つまり、どれだけ素晴らしい内容を書いても、文法・語法のミスがあれば容赦なく点が引かれる。
──「かっこいい英語」ではなく「減点されない英語」を書く。
これが、採点者が本当に求めている答案の姿です。
1なぜ「減点されない英語」が最強の戦略なのか
英作文の世界には、大きな誤解があります。それは「難しい表現を使えば高得点がもらえる」という幻想です。
実際の採点現場では、まったく逆のことが起きています。大学入試の英作文は、多くの場合「減点法」で採点されます。つまり、満点の状態からスタートし、ミスが見つかるたびに点数が引かれていくのです。
主語・動詞の欠落、構文崩壊など文意が不明になるミス
時制の不一致、自動詞/他動詞の混同、接続詞の誤用
冠詞の抜け、スペルミス、三単現のs脱落、前置詞の誤り
語数制限違反、設問と無関係な内容、白紙
たとえば、配点10点の英作文で3つの冠詞ミスと1つの時制ミスがあれば、それだけで-5点。内容がどれだけ良くても、半分しか得点できません。
一方、中学英語レベルのシンプルな表現でも、文法的にパーフェクトなら満点を取れるのが英作文です。ここに「減点されない英語」という戦略の本質があります。
無理に使おうとする
→ ミス頻発で大量減点
確実に書き切る
→ 減点ゼロで満点圏
英作文の採点は「あなたの英語力を測る試験」ではなく、「ミスなく英語を書けるかを測る試験」です。この認識の転換が、得点力を劇的に変えます。
2【鉄則①】冠詞の抜けは「即マイナス」──a/an/theの生存戦略
日本人が英作文で最も失点するポイント。それは冠詞(a / an / the)です。
日本語には冠詞という概念がないため、多くの受験生が「名詞を裸のまま」書いてしまいます。しかし英語では、名詞は原則として冠詞か所有格(my, his, theirなど)とセットで使うのがルール。これを1つ忘れるたびに-1点。5つ忘れれば-5点。これだけで壊滅的なダメージを受けます。
名詞を書くたびに「左側に何かあるか?」を確認する癖をつけましょう。
冠詞ミスの実例と修正
→ 減点3箇所(-3点)
→ education(不可算:冠詞不要)、children(複数形:冠詞不要)、a good future(可算単数:aが必要)
裏技:冠詞の判断に自信がないなら、名詞を複数形にして逃げるのも有効な戦略です。「a student → students」にすれば、a/theの選択で迷う必要がなくなります。
3【鉄則②】時制を統一せよ──「現在形ベース」が最強の盾
英作文で冠詞に次いで多いミス。それが時制の不一致です。
日本語は時制に対して非常にルーズな言語です。「昨日、友達と話す」「来年、大学に行く」──日本語では現在形で過去も未来も語れてしまう。しかし英語では、1文ごとに「いつの話か」を正確に示す必要があります。
時制混乱の実例と修正
→ 意見部分に過去形、過去のエピソードに現在形が混在(-2点以上)
→ 意見=現在形 / 体験=過去形。切り替えが明確
4【鉄則③】主語と動詞を5語以内に──構文崩壊を防ぐ技術
採点者が最も大きく減点するミス。それは「構文エラー」──つまり、文の骨格(主語+動詞)が崩れている状態です。冠詞やスペルのミスが-1点なのに対し、構文エラーは-2〜3点と、ダメージが段違い。
なぜ構文エラーが起きるのか? 原因の9割は、日本語の語順のまま英語を書こうとすることにあります。
構文崩壊が起きるパターン
→ 主語と動詞が特定できない。構文エラーで-3点。
→ 主語(I) + 動詞(think) = 2語。構文が明快。
日本語は「修飾語が前に来る言語」ですが、英語は「修飾語が後ろに来る言語」。この違いを意識するだけで、構文崩壊のリスクは激減します。
試験本番のテクニック:英作文を書き終えたら、すべての文の主語と動詞に下線を引く。主語か動詞が見つからない文があれば、そこが構文エラー。書き直すだけで-3点の失点を防げます。
5【鉄則④】「和文和訳」で日本語を解体してから英語にする
英作文で最もコスパの高い技術。それが「和文和訳」です。
「和文和訳」とは、与えられた日本語をそのまま英訳するのではなく、一度「英語にしやすい日本語」に言い換えてから英語にする技術。これは予備校界で長年教えられてきた、減点回避の最重要テクニックです。
ポイントは「和文和訳」の段階で小学生でも理解できる日本語にまで解体すること。「少子高齢化」を直接英訳しようとして limit や aging society という単語を無理に使うより、「子どもの数が減り、お年寄りが増えている」と言い換えれば、中学レベルの英語で正確に書けます。
直訳で0点になるより、言い換えて-1点で済む方が1000倍マシ。完璧な英語を書こうとするのではなく、「自分が確実に書ける英語」に日本語を寄せていく。これが和文和訳の極意です。
6【鉄則⑤】自動詞と他動詞を見極めよ──前置詞の罠
「discuss about the problem」──この英文、何が間違っているかわかりますか?
答えはaboutが不要。discussは他動詞なので、目的語を直接とります。正しくは「discuss the problem」。しかし、このミスは受験生の間で非常によくあり、-1〜2点の減点対象です。
逆に、自動詞なのに目的語を直接つけてしまうパターンもあります。
対策:自分が英作文でよく使う動詞20個について、「他動詞か自動詞か」「どの前置詞と組み合わせるか」をリスト化して暗記する。これだけで試験本番のミスが劇的に減ります。
7【鉄則⑥】省略形は使うな──I’m → I am が鉄則
英作文で意外な落とし穴になるのが、省略形(contraction)の使用です。
普段の英会話や日記では I’m, don’t, can’t を使うのが自然ですが、試験の英作文ではフォーマルな書き言葉が求められます。省略形は「口語体」とみなされ、減点対象にする採点者が少なくありません。
ただし、これにはメリットもあります。省略形を使わないことで語数を稼げるのです。「don’t」は1語ですが「do not」は2語。語数制限がある試験では、正式形を使うだけで自然に語数が増えます。
注意:「cannot」は1語で書くのが正式。「can not」(2語)は強調の意味になるため、通常は使いません。この細かい違いを知っているだけでも、採点者に「この受験生はちゃんとわかっている」という印象を与えられます。
8【鉄則⑦】同じ表現を繰り返すな──言い換えの武器庫を持て
英作文の中で同じ単語や表現が何度も出てくると、文章が幼稚に見えてしまいます。これは英検や大学入試の「語彙・表現」の評価項目に直結するため、言い換え力=得点力と考えてください。
| よく使う表現 | 言い換え候補 |
|---|---|
| I think | I believe / In my opinion / I consider / It seems to me that |
| important | essential / necessary / significant / crucial / vital |
| good | beneficial / effective / useful / valuable / positive |
| bad | harmful / negative / problematic / detrimental |
| many / a lot of | numerous / various / a number of / several |
| because | since / as / due to / owing to / for this reason |
| but | however / on the other hand / nevertheless / yet |
| so | therefore / consequently / as a result / thus |
9【鉄則⑧⑨⑩】語数管理・論理構成・最終チェックの三位一体
ここからは、答案全体の「設計図」に関わる3つの鉄則をまとめて紹介します。
鉄則⑧:語数は指定の90〜100%に収める
語数制限は、英作文における絶対的なルールです。
指定語数を超えると、大幅減点または0点にされる大学もある
指定語数の80%未満だと大幅減点。大学によっては0点
指定の90〜100%がゴールデンゾーン。語数を稼ぐために中身を薄めない
「100語以内」と指定されたら、90〜100語が理想。80語を下回ると危険信号です。
鉄則⑨:「主張→理由→具体例→結論」の型を守る
英作文の論理構成にはテンプレートがあります。特に英検や自由英作文では、以下の「4段構成」がほぼ万能です。
この型に沿って書くだけで、「論理構成」の評価項目は満点に近づきます。オリジナリティは不要。型を守ることこそが高得点への最短ルートです。
鉄則⑩:書き終えたら「減点チェックリスト」で見直す
英作文を書き終えてから提出するまでの2〜3分。この時間の使い方で、5点以上の差がつきます。
すべての名詞に冠詞または所有格がついているか
時制が統一されているか(意見=現在形、体験=過去形)
すべての文に主語と動詞があるか
三人称単数現在のsは正しいか
省略形(don’t等)を使っていないか
スペルに自信がない単語は別の単語に置き換えたか
語数は指定の90〜100%に収まっているか
主張→理由→具体例→結論の流れになっているか
10採点者が「加点したくなる」答案の条件
ここまで「減点されない」技術を徹底的に解説してきました。最後に、もう一歩先──採点者が思わず「良い答案だ」と感じるポイントに触れておきます。
減点法が基本の英作文でも、実は「加点要素」は存在します。特に自由英作文では、内容の論理性と英語表現の多様性が「印象点」として加味される大学が増えています。
「高校生はアルバイトをすべきか」──満点答案の見本
Second, part-time jobs give students a chance to develop communication skills. They have to talk to customers and coworkers, which is different from what they learn at school.
Some people may say that part-time jobs take away study time. However, if students manage their time well, they can balance both.
For these reasons, I think high school students should be able to work part-time.
上の模範答案をよく見てください。難しい単語はほとんど使われていません。中学校で習う表現だけで、論理的で説得力のある答案が書けている。これこそが「減点されない英語」の究極形です。
