綿あめの機械を発明した2人のうち1人は、ナッシュビルの歯医者だった
思わず唸るNo.206

綿あめの機械を発明した2人のうち1人は、ナッシュビルの歯医者だった

綿あめの機械の発明者の1人は、歯医者だった。

ホントTRUE

この判定の対象「綿あめの機械を発明した1人は、歯医者だった」

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もくじ
  1. 1897年、ナッシュビルの歯医者と菓子職人が、綿あめの機械の特許を出願した
  2. 特許の機械は、足で踏んで回し、ガソリンの炎で砂糖を溶かした
  3. 歯医者のモリソンは、弁護士で、子どもの本の作家でもあった
  4. 1904年の博覧会で、綿あめは入場料の半分の値段でも6万5000箱以上売れた
  5. 深掘り講義
  6. まとめ
  7. 英語で読む(A2・4択5問)
  8. 出典・ウラ取り

お祭りの屋台で、ふわふわの綿あめが機械から生まれてくる。あの機械を最初に考えたのは、誰でしょうか。

答えの1人は、アメリカのテネシー州ナッシュビルの歯医者です。名前はウィリアム・J・モリソン(William J. Morrison)。1897年、モリソンは、同じ町の菓子職人と一緒に、綿あめを作る機械の特許を出願しました。菓子職人の名前は、ジョン・C・ウォートン(John C. Wharton)です。

その特許の書類を読むと、今の機械とはずいぶん違います。機械は足でペダルを踏んで回し、砂糖はガソリンの炎で溶かすしくみでした。

この記事では、まず特許の書類から、最初の綿あめ機械のしくみを読み解きます。次に、歯医者のモリソンがどんな人だったのかを紹介します。そして、1904年の博覧会で綿あめがどれほど売れたかを見ます。最後に、同じナッシュビルの大学で、綿あめの機械のしくみが、人工の血管を作る研究に使われた話をします。

011897年、ナッシュビルの歯医者と菓子職人が、綿あめの機械の特許を出願した

アメリカの特許第618,428号。題名は「キャンディー機械」です。発明者の欄には、ナッシュビルに住むモリソンとウォートンの名前があります。特許の出願は1897年12月23日で、特許が認められたのは1899年1月31日でした。

特許の書類は、機械の目的を説明しています。回る入れ物の中で砂糖を溶かし、回る勢いで外へ飛ばす。すると砂糖は、糸のような、絹のような細い線のかたまりになる。この「糸にした砂糖」を、食べられるお菓子にするのが目的だと書いています。

回る物の中から外へ飛び出そうとする力を、遠心力と言います。洗たく機が回ると、服の水が外へ飛ぶのと同じ力です。溶けた砂糖は、遠心力で入れ物のふちの、ぎざぎざの部分や小さな穴から飛び出していきます。

1897年に出願された特許の機械は、足でペダルを踏んで回し、炎で砂糖を溶かすしくみだった
1897年に出願された特許の機械は、足でペダルを踏んで回し、炎で砂糖を溶かすしくみだった

02特許の機械は、足で踏んで回し、ガソリンの炎で砂糖を溶かした

特許の書類をくわしく読むと、機械の動かし方が分かります。

機械を回すのは、足で踏むペダルです。書類は、木などを削る旋盤のように、足の力で回すと書いています。ペダルを踏むと、歯車を通して、砂糖の入れ物が回ります。

砂糖を溶かす熱は、ガソリンを使った炎です。ペダルの動きで空気ポンプも動き、ガソリンのタンクに空気を送りこみます。ガソリンの蒸気と空気が混ざった気体が、入れ物の下の口から出て、燃えます。火は、火をつけるためのランプでつけます。

書類には、熱の加減を変えると、細い糸だけでなく、粒や帯のような形のキャンディーにもできる、とも書かれています。また、足の力はほかの動力に、温め方はほかの燃料の火に変えてもよい、と書いています。

03歯医者のモリソンは、弁護士で、子どもの本の作家でもあった

モリソンは、どんな人だったのでしょうか。2005年、歯科の歴史の専門誌に、モリソンについての論文がのりました。

論文の要旨によると、モリソンは1860年に生まれ、1926年に亡くなりました。1890年にテネシー大学の歯科大学を卒業し、1894年には、テネシー州の歯科医師会の会長になりました。

モリソンは、歯医者であるだけではありませんでした。弁護士でもあり、作家でもありました。子ども向けの本の人気作家で、子どもたちに読書を広めることにも力を入れました。

発明も、綿あめの機械だけではありません。綿の種から油をとって、ラード(料理に使うブタの脂)の代わりにする方法も考えました。ナッシュビルの水道の水を、薬品を使ってきれいにする方法も考えています。

041904年の博覧会で、綿あめは入場料の半分の値段でも6万5000箱以上売れた

綿あめが多くの人に知られたのは、1904年です。この年、アメリカのセントルイスで、184日間の大きな博覧会が開かれました。

モリソンとウォートンは、この博覧会で綿あめを売りました。当時の名前は「フェアリー・フロス」。英語で「妖精の糸」というような意味です。スミソニアン誌によると、1箱の値段は25セント。これは、博覧会の入場料の半分にあたる値段でした。つまり、入場料は50セントだったことになります。

それでも、綿あめは6万5000箱以上売れました。ギネス世界記録は、約6万8000箱としています。6万5000箱で計算しても、売り上げは1万6250ドル以上です。

  • 25セント × 6万5000箱 = 1万6250ドル

スミソニアン誌によると、「フェアリー・フロス」という呼び名は、今もオーストラリアで使われています。イギリスやインドでは「キャンディー・フロス」と呼ばれます。アメリカで使う「コットン・キャンディー」という名前については、スミソニアン誌はこう紹介しています。この名前は、のちの1920年代の、別の歯医者のジョセフ・ラスコー(Josef Lascaux)から来たというのです。

LECTURE

深掘り講義

ここから先は、もう一段深く。しくみ・史料・論争まで踏み込みます。

「電気式の機械」と「足踏みとガソリンの機械」、記録によって書き方が違う

綿あめの機械の始まりを調べると、記録によって書き方が違う点があります。機械を何で動かしたか、です。

2005年の歯科の歴史の論文の要旨は、モリソンとウォートンが1897年に「電気式のキャンディー機械」を考えて、共同で特許を取ったと書いています。ギネス世界記録も、「電気式のキャンディー機械」としています。

ところが、1897年に出願された特許の書類そのものには、電気を使うしくみは書かれていません。書かれているのは、足で踏むペダルと、ガソリンの炎です。

ただし、特許の書類は、足の力はほかの動力に変えてもよい、とも書いています。博覧会で実際に使われた機械が、何で動いていたのか。それは、今回調べた資料だけでは確かめられませんでした。

このような食い違いを見つけたら、まず一番古い元の記録、ここでは特許の書類にもどって読むことが大切です。後の時代の紹介文は、元の記録を短くまとめたり、別の資料と混ぜたりしていることがあるからです。

特許の書類を読めば、130年近く前の発明を自分の目で確かめられる

特許とは、新しい発明をした人に、一定の間、その発明を使う権利を国が認めるしくみです。その代わりに、発明の中身は書類として公開されます。

だから、130年近く前の綿あめの機械でも、今、誰でも特許の書類を読めます。モリソンとウォートンの特許の書類は、本文が2ページ、図面が2ページの合わせて4ページです。最後には、2人の署名と、立ち会った2人の証人の名前があります。

特許の書類から分かるのは、発明者が何を新しいと考えたかです。この特許で2人が権利を求めたのは、主に次の組み合わせでした。

  • 回る、穴のあいた入れ物と、温める装置の組み合わせ
  • 温める装置と、熱をさえぎる囲いなどの組み合わせ

書類によると、熱をさえぎる囲いは、バーナーの熱が、できあがったキャンディーに届くのをさえぎるためのものです。

ナッシュビルの大学では、綿あめの機械が人工の血管作りに使われた

綿あめの機械は、思わぬ所でも使われています。舞台は、モリソンが住んでいたのと同じナッシュビルにある、ヴァンダービルト大学です。

ヴァンダービルト大学のレオン・ベラン(Leon Bellan)准教授は、大学院生のころ、店で約40ドルの綿あめ機械を買って試しました。すると、人の髪の毛の約10分の1の太さの糸ができました。これは、体の中のとても細い血管、毛細血管と同じくらいの太さです。

人工の臓器を作るには、その中に、細胞に栄養と酸素を届ける細い管の網が必要です。ベランは、綿あめの機械で作った細い糸の網を「型」にして、管の網を作ろうと考えました。

ただし、砂糖の糸では困ることがありました。細胞を入れたゼリー状の材料は、ほとんどが水なので、流しこむと砂糖が溶けてしまうのです。そこでチームは、32℃より温かいときは水に溶けず、それより冷たいと溶ける、PNIPAMという素材を選びました。そして、綿あめの機械によく似た機械で、この素材の糸の網を作りました。

まず、温かい状態で、糸の網に細胞入りのゼラチンを流しこんで固めます。その後、室温まで冷やすと、中の糸だけが溶けて、細い管の網が残ります。ヴァンダービルト大学の発表によると、できた管の太さは3〜55マイクロメートル、平均は35マイクロメートルでした(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)。管に栄養をふくむ液を流し続けると、7日後も細胞の90%が生きていました。管がないか、液を流さない場合は、60〜70%でした。

1897年に歯医者と菓子職人が考えた機械のしくみが、約120年後、同じ町で、人工の臓器を作る研究に使われたのです。

05まとめ

綿あめの機械の特許は、1897年12月23日に、アメリカのナッシュビルの歯医者モリソンと、菓子職人ウォートンが出願しました。特許の書類にある機械は、足でペダルを踏んで回し、ガソリンの炎で砂糖を溶かすしくみでした。

モリソンは、テネシー州の歯科医師会の会長を務めた歯医者で、弁護士や子どもの本の作家でもありました。1904年の博覧会では、2人の「フェアリー・フロス」が、入場料の半分の値段でも6万5000箱以上売れました。

そして約120年後、同じナッシュビルの大学で、綿あめの機械のしくみが、人工の毛細血管を作る研究に使われました。お祭りで綿あめを買ったら、その機械が歯医者の発明から始まったことを話してみてください。

人に話すなら、こう言おう

綿あめの機械って、アメリカの歯医者さんがお菓子職人と一緒に発明したんだって。最初の特許の機械は、足でペダルを踏んで回して、ガソリンの火で砂糖を溶かすしくみだったらしいよ。
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英語で読む

The Dentist Who Helped Invent Cotton Candy

CEFR A2224 words4択 5問全訳つき
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英文をタップすると、その文の訳が出ます。

Who made the first cotton candy machine?最初の綿あめの機械を作ったのは誰でしょうか。 One of the two inventors was a dentist.2人の発明者のうち1人は、歯医者でした。 His name was William Morrison, and he lived in Nashville, in the United States.彼の名前はウィリアム・モリソンで、アメリカのナッシュビルに住んでいました。

In 1897, Morrison and a candy maker named John Wharton asked for a patent.1897年、モリソンとジョン・ウォートンという菓子職人は、特許を出願しました。 A patent is a paper that protects a new invention.特許とは、新しい発明を守るための書類です。 Their machine was very different from the machines we see today.2人の機械は、今私たちが見る機械とはずいぶん違っていました。 You turned it with your foot, and a flame from gasoline melted the sugar.足で回し、ガソリンの炎で砂糖を溶かしたのです。 The melted sugar flew out through small holes and became thin threads.溶けた砂糖は小さな穴から飛び出し、細い糸になりました。

Morrison was not only a dentist.モリソンは、歯医者というだけではありませんでした。 He was also a lawyer and wrote books for children.弁護士でもあり、子ども向けの本も書きました。 In 1894, he became the leader of a group of dentists in Tennessee.1894年には、テネシー州の歯医者の団体のリーダーになりました。

In 1904, a big fair opened in St. Louis.1904年、セントルイスで大きな博覧会が開かれました。 The two men sold their candy there as "fairy floss."2人はそこで、自分たちのお菓子を「フェアリー・フロス」として売りました。 One box cost 25 cents, half the price of a ticket to the fair.1箱25セントで、これは博覧会の入場券の半分の値段でした。 Still, they sold more than 65,000 boxes.それでも、6万5000箱以上が売れました。

More than 100 years later, cotton candy machines found a new job.100年以上たって、綿あめの機械は新しい仕事を見つけました。 At a university in Nashville, a scientist used one to make very thin threads.ナッシュビルの大学で、ある科学者が綿あめの機械を使って、とても細い糸を作ったのです。 The threads were about one tenth as thick as a human hair.その糸の太さは、人の髪の毛の約10分の1でした。 Later, his team used threads like these to make tiny tubes like very small blood vessels.その後、彼のチームはこうした糸を使って、とても細い血管のような小さな管を作りました。 A machine from a dentist's idea is now helping medical science.歯医者のアイデアから生まれた機械が、今では医学の役に立っているのです。

4択問題 Reading Quiz

  1. Q1What is this story mainly about?

    この話は主に何についてのものですか。

  2. Q2When did Morrison and Wharton ask for a patent?

    モリソンとウォートンは、いつ特許を出願しましたか。

  3. Q3How was the machine in their patent turned?

    2人の特許の機械は、何で回しましたか。

  4. Q4In paragraph 4, the word "Still" is closest in meaning to

    第4段落の Still という語に最も意味が近いのはどれですか。

  5. Q5Which is true about the story?

    この話の内容と合っているのはどれですか。

重要語 Key Words(タップで裏返る)

  • inventor名詞
    発明者

    The inventor showed his new machine to the class.

    その発明者は、クラスに新しい機械を見せた。

    💡 動詞 invent(発明する)、名詞 invention(発明)とセットで覚える。

  • dentist名詞
    歯医者

    I go to the dentist twice a year.

    私は年に2回歯医者に行く。

    💡 dent- は「歯」を表す。go to the dentist で「歯医者に行く」。

  • patent名詞
    特許

    She got a patent for her new design.

    彼女は新しいデザインの特許を取った。

    💡 get a patent で「特許を取る」。発音は「パテント」。

  • melt動詞
    溶ける、溶かす

    The ice cream melted in the sun.

    アイスクリームが日なたで溶けた。

    💡 熱で溶けるのは melt、水に溶けるのは dissolve。

  • thread名詞
    糸

    My grandmother needs a needle and thread.

    祖母は針と糸が必要だ。

    💡 th の発音に注意(スレッド)。

  • lawyer名詞
    弁護士

    Her father works as a lawyer in Tokyo.

    彼女の父は東京で弁護士として働いている。

    💡 law(法律)+-yer。

  • fair名詞
    博覧会、品評会

    We saw many new machines at the fair.

    私たちは博覧会でたくさんの新しい機械を見た。

    💡 形容詞の fair(公平な)と同じつづり。world's fair で「万国博覧会」。

  • blood vessel名詞
    血管

    Blood vessels carry blood around the body.

    血管は血液を体じゅうに運ぶ。

    💡 vessel は「入れ物、管」。船の意味もある。

SOURCES出典・ウラ取り

この記事の事実は、次の資料を実際に開いて確認しています(確認した事実 29件)。

  1. Morrison, W. J. & Wharton, J. C. US Patent 618,428 "Candy-Machine"(1899年。出願1897年)image-ppubs.uspto.gov
  2. Christen, A. G. & Christen, J. A. (2005) William J. Morrison (1860-1926): co-inventor of the cotton candy machine, Journal of the History of Dentistry 53europepmc.org
  3. Eschner, K. (2016) People at the 1904 World's Fair Paid Half the Price of Admission for a Box of Cotton Candy, Smithsonian Magazinesmithsonianmag.com
  4. First cotton candy / candy floss(Guinness World Records)guinnessworldrecords.com
  5. Cotton candy machines may hold key for making artificial organs(Vanderbilt University, 2016)news.vanderbilt.edu
  6. Lee, J. B. et al. (2016) Development of 3D Microvascular Networks Within Gelatin Hydrogels Using Thermoresponsive Sacrificial Microfibers, Advanced Healthcare Materials 5doi.org

文章はすべて資料をもとに独自の言葉で書いています。画像はオリジナルのイメージです。誤りにお気づきの方は訂正窓口へ。

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