unprecedented
/ʌnˈpresɪdentɪd/ 形容詞 英語ニュースに何度も出てくる語
「前例の
never having happened, been done, or existed before
どこで出てきたか
Hungary's only nuclear plant on brink of shutdown as Europe heat wave threatens energy crisis
ヨーロッパの熱波がエネルギー危機を招くなか、ハンガリー唯一の原発が停止の瀬戸際に
Sassi said the "unprecedented" situation in Hungary was impacting the "backbone" of the country's energy grid. サッシ氏は、ハンガリーの『前例のない』事態が、同国のエネルギー網の『屋台骨』に影響を与えていると述べた。
記録的な熱波でドナウ川の水位が下がり、冷却に川の水を使うハンガリー唯一の原発が、稼働開始から初めて停止に追い込まれかねない事態になりました。専門家はこの状況を unprecedented と表現しています。異常気象のニュースでは『観測史上初』を言うのに、この語が繰り返し使われます。半年後もまた別の記録更新のニュースで出会うはずの語です。
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この語の芯
これまでの記録に、比べられる前例が1つも無い。
precedent はラテン語 praecedere(prae-=前に+cedere=行く)から来た語で、「前を行くもの」がそのまま「先例」という意味になりました。precedented なら「先例のある」、そこに否定の un- が付いて unprecedented(先例が無い) になります。
英語では16世紀末から使われている、意外と古い語です。ニュースで急に増えたわけではなく、もともと法律や歴史の文章で「過去に一度も無かったこと」を言うために使われてきました。
同じ語根の仲間 precede (先行する) proceed (進む) exceed (超える) succeed (成功する、継承する) recede (後退する)
ここが面白い
cedere(行く)という同じラテン語の根っこは、precedent 以外にも英語のあちこちに隠れています。pre-cede(前を行く)、pro-ceed(前へ行く)、ex-ceed(外へ行く=超える)、suc-ceed(後に続いて行く=成功する)。
綴りが -cede か -ceed かで揺れているのはフランス語を経由した時期の違いによるもので、意味の根っこはどれも同じ「行く」です。『超える』も『成功する』も『先例』も、もとをたどれば全部『行く』の仲間だと知ると、バラバラに覚えていた単語が急につながって見えてきます。
例文で確かめる
The heat wave pushed river levels to an unprecedented low.
その熱波は、川の水位を前例のない低さまで押し下げた。
The city faced unprecedented demand for electricity during the summer.
その都市は、夏のあいだ前例のない電力需要に直面した。
We're living through unprecedented times, and nobody has a perfect playbook for it.
私たちはいま前例のない時代を生きていて、それに対する完璧な手引きなど誰も持っていません。
この形で覚える
| unprecedented levels of ~ | 前例のない水準の〜 |
| an unprecedented crisis | 前例のない危機 |
| in an unprecedented move | 前例のない動きとして |
| unprecedented growth | 前例のない成長 |
似た語とどう違うのか
| 語 | 意味 | unprecedented との違い |
|---|---|---|
| unusual | 普段と違う | unusual は『いつもと違う』程度の軽さで使えますが、unprecedented は『記録上、一度も無かった』という強い言い切りです |
| extraordinary | 並外れた | extraordinary は質の高さ・珍しさを褒める文脈でも使えますが、unprecedented は『比較する前例が無い』という事実に焦点があります |
使うときの注意
- ここで間違える
- 『すごい』程度の意味で使いすぎると、本来の『前例が無い』という強さが薄れます。誇張表現として乱用しないよう注意しましょう
- 使える場面
- ニュース・論文・スピーチなど、ややフォーマルな文章で使われる語です。日常会話では amazing や crazy のほうが自然です
- 発音・リズム
- un-PRES-i-den-tid。中ほどの pres にアクセントがあります。『アン・プリシデンティッド』と平板に読まないよう注意
ミニコラム:『前例が無い』は、いちばん頼りない言い訳でもある
unprecedented は、報道でとても便利に使われる語です。説明が難しい出来事に出会ったとき、ひとまずこの語を置けば、記事の体裁が整ってしまう。それくらい万能な言葉です。
ただ、この語には落とし穴もあります。「前例が無い」は「だから仕方ない」と同じ意味ではありません。ハンガリーの原発の話も、川の水位が下がったこと自体は、暑い夏が続けば起こりうる話です。『前例が無い』と『予測できなかった』は、本当は別のことです。
英語のニュースを読むとき、unprecedented という語に出会ったら、一度立ち止まって「本当に初めてなのか、それとも記録が浅いだけなのか」を考えてみてください。その一手間が、ニュースを鵜呑みにしない読み方につながります。
原田高志
確認クイズ
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Q1. unprecedented の意味として最も適切なものはどれでしょう。