本文へスキップ
日刊原田英語 Harada Eigo Daily
TWO WORDS A DAY 時事英語 第74回 標準 読了 6分

trial

/ˈtraɪəl/ 名詞 英語ニュースに何度も出てくる語

「①(効き目を確かめる)試験、臨床試験 ②裁判 ③試み、お試し」

a test to find out how well something works; also, the legal process of deciding a case in court

どこで出てきたか

Nearly 10,000 patients reveal what works best for knee arthritis pain relief

1万人近い患者から分かった、膝の関節炎にいちばん効く方法

出典: ScienceDaily(2026年9月14日)

A major analysis of 139 clinical trials involving nearly 10,000 people suggests that some of the simplest treatments may work best for knee osteoarthritis.

1万人近くが参加した139件の臨床試験をまとめて分析したところ、膝の変形性関節症には、いちばん単純な治療こそ効くのかもしれないと分かった。

ScienceDaily の記事より

9月14日に報じられた研究です。膝の変形性関節症に対して、薬を使わない方法を12種類くらべました。レーザー、電気刺激、超音波、テーピング、水中運動、サポーター。1位になったのは、いちばん高価でもいちばん新しくもない「膝サポーター」でした。超音波のようなハイテクな方法のほうが、むしろ成績はふるいませんでした。この研究がまとめたのが、139件の clinical trials(臨床試験)です。

動画で見る

臨床試験(clinical trial)の段階をやさしく説明した動画 (Roswell Park Comprehensive Cancer Center) clinical trial という言葉が、実際にどういう場面で使われるのかが分かります。

この語の芯

うまくいくかどうかを、実際にやって確かめること。

語源辞典Etymonlineによれば、trial が英語に現れるのは15世紀半ばです。古フランス語の trier(試す、選り分ける、より分けて取り出す)から作られた名詞で、そのもとになった語の出どころは分かっていません。

注目したいのは、trier の意味に「選り分ける」が入っていることです。たくさんある中から、良いものと悪いものをふるい分ける。この一点さえ押さえておけば、あとで出てくる意味は全部そこから伸びています。動詞の try も同じ語から来ています。

同じ語根の仲間 try ((動詞)試す、やってみる) trier ((名詞)よく努力する人) trying ((形容詞)つらい、しんどい)

trial の芯は「選り分ける」。だから法廷も、臨床試験も、お試し期間も、全部 trial。

ここが面白い

「臨床試験」と「裁判」が同じ語なのは、偶然ではありません。

Etymonlineによれば、trial が15世紀半ばに現れたときの意味は「法廷での審理」でした。有罪か無罪か、どちらの言い分が正しいか。証拠を出させて、ふるいにかける場のことです。

新しい薬が効くかどうかを確かめる臨床試験も、やっていることは同じです。データを出させて、効くものと効かないものをふるい分ける。法廷も実験室も、英語では「選り分ける場所」として同じ名前で呼ばれているわけです。

そう考えると、trial and error(試行錯誤)という言い方も腑に落ちます。この形が記録に現れるのは1806年から。やってみて、外れを捨てる。それがこの語の芯です。

例文で確かめる

The new drug is still in clinical trials.

その新薬はまだ臨床試験の段階です。

He learned to cook by trial and error.

彼は試行錯誤しながら料理を覚えました。

You can use the app free for a 30-day trial.

そのアプリは30日間のお試し期間、無料で使えます。

この形で覚える

clinical trial 臨床試験
trial and error 試行錯誤
on trial 裁判にかけられて/試用中で
free trial 無料お試し期間

似た語とどう違うのか

意味trial との違い
test テスト、検査 test は点数や合否を出すための1回の測定。trial は、うまくいくかどうかを見きわめる過程そのものを指します。
experiment 実験 experiment は仕組みを知るために条件を変えて調べること。trial は「効くのか、使えるのか」を確かめる側に寄ります。
hearing (法廷の)審問 hearing は言い分を聞く短い手続き。trial は証拠を出し合って決着をつける本審理です。

使うときの注意

ここで間違える
「トライアル」とカタカナで言うときの「お試し」の意味しか知らないと、ニュースの clinical trial や stand trial(裁判にかけられる)が読めなくなります。意味は3つまとめて持つこと
使える場面
かたい語でも俗語でもなく、新聞にも会話にも出ます。ただし「裁判」の意味で使うときは、当然あらたまった話題になります。
発音・リズム
「トライアル」より「トラィアル」に近く、前半を強く読みます。/ˈtraɪəl/ で、後ろは軽く添えるだけです。

ミニコラム:膝サポーターが1位だった、という結果の読み方

この研究でおもしろいのは、順位そのものよりも、高いものが勝たなかったことだと思います。レーザーも超音波も、機械としては立派です。それでも、ただ膝を支えるだけの布と樹脂に負けました。

英語学習にも、同じことがよく起きます。新しいアプリ、新しい教材、新しい勉強法。試すこと自体はいいのです。trial の芯は「選り分ける」でしたから、試さないと選り分けられません。

ただ、選り分けた結果、残るのは地味なものだったという話は、わりとよくあります。音読、書き写し、同じ英文をもう一度聞く。139件ぶんのデータが膝サポーターを1位に押し上げたように、地味なものが勝つことは、ちゃんとあります。

原田高志

確認クイズ

  1. Q1. 本文の説明によると、trial が15世紀半ばに英語へ現れたときの意味はどれか。