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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
TWO WORDS A DAY 流行英語 第119回 標準 読了 6分

throw shade

/θroʊ ʃeɪd/ 動詞句 いま英語圏で流行っている言い方

「(はっきり言わずに)遠回しにけなす、ちくりと悪く言う」

to criticize or show disrespect for someone in an indirect way

どこで出てきたか

'Stop throwing shade' - the woman trying to stop firms leaving the UK

「けなすのはやめよう」 会社がイギリスから出ていくのを止めようとする女性

出典: BBC News(2026年10月8日)

We need to stop throwing shade at ourselves as a nation... it's a national habit.

国として、自分たちを遠回しにけなすのはやめなければいけません。それは国民の癖なのです。

ロンドン証券取引所のトップ ジュリア・ホゲットさん(BBC News)

BBC によると、イギリスでは、株式を自分の国ではなくアメリカで上場する会社が増えています。ロンドン証券取引所のトップ、ジュリア・ホゲットさんが BBC の取材に答えました。イギリスの市場を悪く言う空気が、会社が出ていく理由の1つになってきた、という話です。ホゲットさんは、その悪い評判には大げさなものも多かった、とも言っています。そこで出てきたのが、見出しにもなった throwing shade です。

動画で見る

BBC Learning English|英語番組 The English We Speak の throw shade の回 (BBC Learning English) 英語学習者向けの短い番組です。

この語の芯

正面から殴らず、上から影を落とす。

throw 動詞 投げる、(光や影を)落とす shade 名詞 日陰、陰

Wiktionary は、throw shade を「もとは LGBTQ の人たちのスラングで、アメリカのスラング」としています。Merriam-Webster によると、この意味の throw shade の記録は1992年からです。

名詞の shade のこの意味は、1990年のアメリカのドキュメンタリー映画『パリ・イズ・バーニング』に出てきます。ジェニー・リヴィングストン監督が、1980年代のニューヨークの「ボール」と呼ばれる文化を撮った映画です。決められたテーマの装いで歩き、トロフィーを競う催しです。アフリカ系やラテン系の、ゲイやトランスジェンダーの人たちが集まっていました。出演したドリアン・コーリーさんは、shade をこう説明しています。「shade っていうのは、私はあなたに醜いとは言わない。でも言う必要もない。あなたは自分が醜いと分かっているんだから」。

同じ語根の仲間 shade (日陰) shady (日陰の、怪しい) shadow (影)

throw shade は「影を投げる」。殴らずに、相手を少し暗くする。

ここが面白い

throw shade には、いまも文字どおりの「日陰を作る」という意味があります。Wiktionary は、1994年のガーデニングの本から1文を載せています。「隣の人が、自分の土地に日陰を落とす木を切ってくれと頼んできた」という文です。ここでは、木が throw shade しています。

つまり、同じ throw shade に、「日陰を落とす」と「遠回しにけなす」の2つの意味が並んでいます。相手に直接ぶつけるのではなく、上から影を落とすだけ。そう思って読むと、スラングのほうの意味も覚えやすくなります。

例文で確かめる

Stop throwing shade at your own school.

自分の学校を遠回しにけなすのはやめなよ。

Was that a compliment, or was she throwing shade at me?

あれってほめ言葉?それとも、遠回しに私をけなしてた?

He threw shade at the other team in his interview.

彼はインタビューで、相手チームのことをちくりと言った。

この形で覚える

throw shade at someone 〜を遠回しにけなす
stop throwing shade 遠回しにけなすのをやめる
throw some shade ちょっと嫌みを言う

似た語とどう違うのか

語意味throw shade との違い
diss けなす、悪口を言う diss は、はっきりけなすことです。throw shade は、はっきり言わずに分からせるけなし方です。
be sarcastic 皮肉を言う sarcastic は、言葉の表と裏を逆にする言い方です。throw shade は皮肉に限らず、態度や遠回しの一言でもできます。
shadow 影 Wiktionary によると、shade と shadow はもとは同じ古英語の語です。遠回しにけなす意味で使われるのは、shade のほうです。

使うときの注意

ここで間違える
shady は「日陰の」のほかに「怪しい、信用できない」の意味があります(Wiktionary)。shady は遠回しにけなすことではないので、throw shade と混ぜないようにしましょう。
使える場面
SNS や友だちとの会話で使う、くだけた言い方です。作文やレポートでは criticize を使いましょう。
発音・リズム
shade は /ʃeɪd/ で、「シェイド」と読みます。throw の th は、舌先を軽くかんで息を出す音です。

ミニコラム:言わないことで、言う

ドリアン・コーリーさんの説明の面白いところは、悪口を1語も言っていないのに、相手には伝わっている点です。言葉の中身ではなく、言わずにおくことで伝えています。

ホゲットさんの言葉も、よく読むと、誰かが誰かを悪く言ったという話ではありません。イギリスの人たちが、自分の国の市場を必要以上に悪く言いがちだ、という指摘です。shade は、自分自身に向けて投げることもできるわけです。

明日、英語のニュースや SNS で throw shade を見かけたら、2つ考えてみましょう。誰が誰に向けたものか。そして、何をはっきり言わずにいるのか。

原田高志

確認クイズ

  1. Q1. "She never said anything bad directly, but she was clearly ______ at her rival." 空所に入る語句として最も適切なものは?