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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
TWO WORDS A DAY 時事英語 第36回 標準 読了 6分

stalemate

/ˈsteɪlmeɪt/ 名詞・動詞 英語ニュースに何度も出てくる語

「①(交渉・争いなどの)行き詰まり、膠着状態 ②(チェスの)ステイルメート」

a situation in which neither side in an argument or contest can make progress, or (in chess) a position where a player cannot legally move but is not in check

どこで出てきたか

Stalemate on the strait as deadline for US-Iran agreement expires

米・イラン合意の期限切れ、海峡をめぐる行き詰まりは続く

出典: The National(2026年8月16日)

The stalemate between the US and Iran looks set to continue.

アメリカとイランのあいだの行き詰まりは、このまま続きそうだ。

The National の記事より

アメリカとイランは、2026年6月17日の暫定停戦のあと、60日のあいだに本格的な和平合意をまとめることになっていました。その期限が8月16日に過ぎ、合意はできませんでした。争点は、世界の石油と天然ガスのおよそ5分の1が通るホルムズ海峡を、どちらが管理するかです。どちらの国も歩み寄らないまま期限が過ぎ、報道はこの状況を stalemate(行き詰まり)と表現しています。交渉・議会・スポーツなど、『両者ともこれ以上動けない』という場面全般で使われる語で、ニュースの見出しの常連です。

動画で見る

チェスの『ステイルメート』のルールを解説する動画 (Chess.com) stalemate の語源になった、チェスのルールそのものを短く解説しています。解説は英語です。

この語の芯

どちらも動けず、そこで止まっている。stalemate の芯はこの一言に尽きます。勝ち負けが決まらないまま、時間だけが過ぎていく状態です。

stale 名詞(古) 動きが無い状態、行き詰まり mate 名詞 チェスの『詰み』(checkmate の後ろ半分)

stalemate はもともとチェスの専門用語で、1765年ごろから使われ始めました。stale はアングロ・フランス語の estale(動きが無い状態)にさかのぼり、stand(立つ)や stall(屋台、部屋)と同じ語根を持つと考えられています。mate は checkmate(王手詰み)の後ろ半分で、こちらはペルシャ語の shah mat(王が手も足も出ない、というような意味)に由来するとされています(語源には諸説あります)。

チェスでは、stalemate は王が『詰み(checkmate)』ではないのに、動かせる駒が1つも無くなった状態を指し、引き分けになります。『詰みではないのに、詰みのように動けない』という、少しねじれた成り立ちの語です。

同じ語根の仲間 stale (新鮮でない、古びた(ふだんの意味)) checkmate (王手詰み、完全に打つ手が無い状態)

stale(動きが無い)+ mate(チェスの詰み)→ どちらも動けない行き詰まり

ここが面白い

実はこの stalemate というルール、昔のイギリスでは今と逆の結果でした。17世紀から19世紀の初めにかけて、イギリスでは stalemate にされた側、つまり動けなくなったほうが勝ちとされていたのです。今のような『引き分け』という扱いに変わったのは、比較的あとの話です。

つまり、相手を動けなくしたほうが負けになる時代があった、ということです。ルールというのは、思っているほど昔から決まっていたものではない、という一例です。

例文で確かめる

Contract negotiations between the two companies have reached a stalemate.

その2社の契約交渉は行き詰まりを迎えている。

In chess, a stalemate results in a draw, even if one player has far more pieces.

チェスでは、たとえ一方の駒がずっと多くても、ステイルメートになれば引き分けになる。

The city council debate ended in a stalemate, with neither side willing to compromise.

市議会の議論は行き詰まりに終わり、どちらの側も譲ろうとしなかった。

この形で覚える

reach a stalemate 行き詰まりに達する
break the stalemate 行き詰まりを打開する
end in a stalemate 行き詰まりのまま終わる

似た語とどう違うのか

意味stalemate との違い
checkmate 王手詰み、完全な敗北 checkmate は王が逃げ場を失う『負け』の状態。stalemate は逃げ場が無いのに王手ではない、『引き分け』の状態。
deadlock (交渉などの)行き詰まり deadlock はほぼ同じ意味で使えるが、stalemate はチェス由来の比喩を含む分、ニュースの見出しでよく好まれる。
impasse (交渉の)行き詰まり、袋小路 impasse はフランス語由来でやや硬い響き。stalemate より書き言葉・外交の文脈で使われやすい。

使うときの注意

ここで間違える
stalemate は『膠着状態』全般に使えますが、チェスでは正式なルール用語でもあります。checkmate(王手詰み)と混同しないよう気をつけてください。
使える場面
ニュース・ビジネス・スポーツの見出しで頻出。日常会話でも『話がまったく進まない』の意味で自然に使えます。
発音・リズム
【ステイル・メイト】。stale の部分は state(ステイト)と聞き間違えやすいので注意してください。

ミニコラム:原田のミニコラム|『負け』と『引き分け』の境目

英語のニュースでは、政治でもスポーツでも、この stalemate という語に本当によく出会います。

面白いのは、チェスというゲームの中に、『どちらも悪くないのに、勝負が決まらない』という状態がきちんとルールとして用意されていることです。日常のニュースでも、両方の言い分にそれなりの理由があって、簡単には決着しない場面があります。

そういうとき、無理に白黒つけようとせず、『これは stalemate なんだな』と一歩引いて見る言葉を持っておくと、ニュースの見方が少し変わるかもしれません。

原田高志

確認クイズ

  1. Q1. stalemate の説明として最も適切なものはどれか。