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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
TWO WORDS A DAY 流行英語 第83回 基礎 読了 6分

slop

/slɒp/ 名詞 いま英語圏で流行っている言い方

「(いまの主な意味)AIが大量生産した、質の低いネット上のコンテンツ。(元の意味)家畜のえさ、生活排水、泥水。」

low-quality content, especially text, images, or video, that is produced in large quantities by artificial intelligence

どこで出てきたか

AI slop writing has taken over the internet, particularly LinkedIn and X

『AIスロップ』の文章がネットを席巻、特にLinkedInとXで

出典: The Register(2026年7月9日)

A study from AI detection platform Pangram suggests that social media posts are teeming with AI-generated slop, particularly if the posts are long and especially if they live on LinkedIn or X.

AI検出プラットフォームPangramの調査によれば、SNSの投稿には、特に長文でLinkedInやXに投稿されたものほど、AIが生成したslop(スロップ)があふれているという。

The Register の記事より

2025年12月15日、英語辞書大手のMerriam-Websterは、その年を象徴する『Word of the Year』にslopを選びました(Merriam-Webster|Word of the Year 2025)。「digital content of low quality that is produced usually in quantity by means of artificial intelligence(AIによって、たいてい大量に作られる、質の低いデジタルコンテンツ)」と定義されています。SNSのフィードに流れ込む、量産型のAI生成コンテンツを指す語として、2026年になってもニュースの見出しに頻繁に登場しています。

動画で見る

Merriam-Websterの2025年の言葉に『slop』が選ばれたことを伝えるニュース (6abc Philadelphia) 英語です。アメリカのテレビ局が、slop が選ばれた理由を短く伝えています。

この語の芯

AIが大量に作った、量はあっても質のともなわないコンテンツ。

英語語源辞典Etymonline|slopによれば、slopという語は1400年ごろ、古英語で『糞』を意味した語に由来し、『どろどろした液状のもの』というイメージを最初から持っていました。1400年ごろは『ぬかるみ、水たまり』、1650年代には『どろりとした流動食』、1815年には『家庭から出る生活排水』を意味する語(複数形slops)として定着します。さらに1866年には、『安っぽく感傷的なだけの、中身のない作品』という比喩的な意味でも使われ始めました。AI時代よりずっと前から、slopには『質の低い、価値のないもの』という意味が備わっていたことになります。

同じ語根の仲間 sloppy (だらしない、雑な) slush (みぞれ、どろどろの雪)

slopはもともと家畜のえさや泥水。いまはAIが大量生産する『中身のないコンテンツのえさ』。

ここが面白い

Merriam-Websterの社長グレッグ・バーロウ氏は、この語がAIへの反発を含んでいる点に注目しています。「AIに対して、ほとんど反抗的とも言える語だ。人間の創造性を置きかえるという話になると、AIは実のところ、それほど賢くは見えないことがある」と語りました。

面白いのは、この『安っぽくて中身のない』という比喩的な意味が、AIが登場するはるか前の1866年にはすでに使われていたことです。もともと家畜に与える残飯やどろどろの汚水を指した語が、160年の時を経て、いまはSNSに流れ込む大量生産のAIコンテンツを指す語として選ばれました。『量はあるが、味わう価値のないもの』という語のイメージは、時代が変わっても引き継がれているわけです。

例文で確かめる

My social media feed is full of AI slop these days.

最近、SNSのフィードがAIスロップだらけです。

That article looks like it was written by AI. It's total slop.

その記事、AIが書いたっぽいね。まったくの中身なしだよ。

Some creators are trying to filter out slop before it reaches viewers.

一部の制作者は、視聴者に届く前にスロップを取り除こうとしています。

この形で覚える

AI slop AIが量産した低品質コンテンツ
flooded with slop スロップだらけになる
generate slop スロップを大量生産する
filter out slop スロップを取り除く

似た語とどう違うのか

語意味slop との違い
spam 迷惑な大量送信 spamは大量に送りつける行為そのものに注目した語です。slopは、送りつけられる中身が質の低いAI生成物であることに注目します。
clickbait クリックベイト、釣り見出し clickbaitは読者の気を引くための誇張した見出しや作りを指す語です。slopは、AIによる量産という作り方そのものに焦点を当てています。
content farm コンテンツファーム content farmは大量生産の仕組みや運営元を指す語です。slopは、その仕組みから生まれる中身そのものを指します。

使うときの注意

ここで間違える
形容詞sloppy(だらしない、雑な)と混同しないでください。slopは名詞で、『AIが作った低品質なコンテンツ』そのものを指します。
使える場面
もとはネットスラングでしたが、2025年にMerriam-WebsterのWord of the Yearに選ばれ、いまでは大手ニュースサイトの見出しにも普通に使われる語になっています。
発音・リズム
1音節で、短く切ります。アメリカでは/slɑːp/で『スラップ』に近く、イギリスでは/slɒp/で『スロップ』に近い音です。どちらも日本語の『スロップ』のように3拍に伸ばしません。

ミニコラム:家畜のえさが、AI時代を代表する語になるまで

slopという語は、もともと家畜に与える残飯や、生活排水を指す、決して上品とは言えない言葉でした。しかもその比喩的な用法(中身のない安っぽいもの)は、1866年にはすでに存在していたといいます。AIどころか、電気もまだ珍しかった時代です。

そのslopが、160年の時を経て、2025年のWord of the Yearに選ばれました。理由は明快です。SNSのフィードに流れ込む大量のAI生成コンテンツが、『量はあるが味わう価値のないもの』という、slopのイメージそのものだったからです。

英語には、こんなふうに何百年も眠っていた語が、新しい技術の登場で急に息を吹き返すことがあります。slopを見かけたら、それはただの新語ではなく、ずっと昔からあった『安物』という感覚が、姿を変えて戻ってきたものだと思ってください。

原田高志

確認クイズ

  1. Q1. Etymonlineの説明によると、slopが『安っぽく中身のない作品』という比喩的な意味で使われ始めたのはいつごろか。