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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
TWO WORDS A DAY 流行英語 第41回 標準 読了 6分

slay

動詞(口語のほめ言葉として) いま英語圏で流行っている言い方

「圧倒的にすごい、最高に決めている、完璧にやってのける」

an informal way of saying that someone or something is doing extremely well, looks amazing, or is highly impressive

どこで出てきたか

What does 'Quiet on the Creek' mean? 2026 back-to-school slang guide

『Quiet on the Creek』の意味とは?2026年版・新学期スラングガイド

出典: USA TODAY NETWORK - Florida(記者 Lianna Norman, Samantha Neely)(2026年8月10日)

Sabrina Carpenter's new album totally slays.

Sabrina Carpenterの新しいアルバムは、最高に決まっている。

USA TODAY NETWORK - Florida(記者 Lianna Norman, Samantha Neely) の記事より

slay は2020年代に入って定着したほめ言葉ですが、2026年8月10日付のこのスラングガイドにも改めて取り上げられているとおり、いまも新学期の教室で使われ続けている表現です。パフォーマンス・服装・作品など、何かが完璧に決まったときに使う語として、SNSの投稿に日常的に登場します。

動画で見る

slayという言葉を育てたボールルーム文化を記録したドキュメンタリー映画の予告編 (Film Threat) 1980年代のボールルーム文化を記録した映画『Paris Is Burning』の予告編です。解説は英語です。

この語の芯

相手を圧倒するほど、完璧にやってのける。もとは『殺す、討ち取る』という意味だった語が、いまでは正反対に近い、最高級のほめ言葉として使われています。

slay は古英語の slēan(打つ、殺す)にさかのぼる語で、ドラゴンを退治する英雄の物語などで『討ち取る』という意味で使われてきました。実はこの語がスラングとして使われるのは今回が初めてではありません。1590年代にはすでに『笑い死にさせる』という意味の俗語として使われた記録があり、1920年代(小説『グレート・ギャツビー』の時代)には『誰かを大笑いさせる』という意味で使われていました。

今の意味が生まれたのは1970〜80年代、黒人・ラテン系・クィアのコミュニティが築いたボールルーム文化でのことです。ダンスや服装、態度で相手を『討ち取る』ように圧倒することを slay と呼ぶようになりました。1990年のドキュメンタリー映画『Paris Is Burning』でこの文化が広く知られ、2009年から始まった『ル・ポールのドラァグ・レース』を通じてさらに広まりました。

討ち取るように圧倒する → 完璧に決めている

ここが面白い

slay という語は、この100年ほどのあいだに意味を2回乗り換えています。1920年代は『大笑いさせる』、1970〜80年代からは『完璧に決める』。しかも、もとをたどれば古英語で『殺す』を意味していた語です。

『殺す』を意味する語が最高のほめ言葉に変わるのは、実は珍しいことではありません。英語には他にも kill it(すごくうまくやる)、killer outfit(すごい服装)、that's sick(やばいほどいい)のように、物騒な言葉がそのまま賞賛の言葉に転用される例がいくつもあります。

例文で確かめる

Her performance at the talent show totally slayed.

彼女の発表会でのパフォーマンスは、完璧に決まっていた。

You slayed that presentation. Every slide was clear.

あのプレゼン、完璧だったよ。どのスライドも分かりやすかった。

I'm nervous about the recital, but I hope I slay.

発表会が緊張するけど、うまく決めたいな。

この形で覚える

slay the look 服装や見た目を完璧に決める
slay a performance パフォーマンスを完璧にやり切る
slay all day ずっと最高に決めている

似た語とどう違うのか

意味slay との違い
ate 最高だった ate は『その瞬間、相手を食ってしまうほど圧倒した』という一回性の強さを表す。slay はダンスや見た目など、決まっている状態そのものを広く指せる。
killed it すごくうまくやった killed it はより古くからある主流の言い方で、フォーマルさは低いがslayほど若者言葉という響きはない。年配の人にも通じやすい。
iconic 伝説的な、忘れられない iconic はその瞬間の記憶に残る度合いを言う語で、必ずしも『うまさ』を評価してはいない。slay は出来の良さそのものをほめる語。

使うときの注意

ここで間違える
『殺す』という直訳のイメージが強く残っていると誤解されがちですが、いまの日常的な使い方はほぼ100%ほめ言葉です。ニュースなど深刻な文脈の kill と混同しないでください。
使える場面
友人同士の会話やSNSでは自然に使えますが、面接や公式な文章では使いません。
発音・リズム
/sleɪ/。sky ではなく day と同じ響きで伸ばします。

ミニコラム:原田のミニコラム|物騒な言葉が、最高のほめ言葉になるまで

slay の歴史をたどっていちばん驚いたのは、この語がすでに1920年代に一度、今とは別の意味のスラングとして流行っていたという点です。『大笑いさせる』という意味だったその使われ方は、いまではほとんど忘れられています。

今の意味は、1970〜80年代のボールルーム文化から生まれました。人種やセクシュアリティを理由に外の社会で認められにくかった人たちが、自分たちの舞台の中でお互いを『討ち取るほどすごい』とたたえ合う言葉として育てたのが slay です。

次に slay という語を見かけたら、それが誰かを傷つける言葉ではなく、誰かをたたえるために大切に育てられてきた言葉だということを、少しだけ思い出してみてください。

原田高志

確認クイズ

  1. Q1. slay の今の使い方として最も適切なものはどれか。