本文へスキップ
日刊原田英語 Harada Eigo Daily
TWO WORDS A DAY 流行英語 第12回 標準 読了 6分

rage bait

/ˈreɪdʒ beɪt/ 名詞 いま英語圏で流行っている言い方

「人を怒らせるために意図的に作られたネット上のコンテンツ」

online content deliberately designed to make people angry so they will comment, argue, or share it

どこで出てきたか

The Oxford Word of the Year 2025 is rage bait

オックスフォード辞典『2025年今年の言葉』は rage bait

出典: Oxford University Press(2025年12月1日)

Online content deliberately designed to elicit anger or outrage by being frustrating, provocative, or offensive, typically posted in order to increase traffic to or engagement with a particular web page or social media content.

苛立たせる、挑発的、あるいは不快な内容によって、意図的に怒りや憤りを引き起こすように作られたオンラインコンテンツ。特定のウェブページやSNS投稿への訪問や反応を増やす目的で投稿されることが多い。

Oxford University Press(Oxford University Press)

2025年、権威ある英語辞典を作るOxford University Pressが『今年の言葉』に選んだのが rage bait です。使用頻度がこの1年で3倍に増えたことが選出の理由の1つで、SNSのアルゴリズムが『怒り』を利用して人の目を引こうとする動きが強まっていることを映しています。日本語の『炎上商法』に近い現象で、SNSを使う高校生にとっても無関係ではない語です。

この語の芯

怒らせて稼ぐ罠。読んだ人を怒らせること自体が目的の、仕掛けられたコンテンツ。

rage 要素1 激しい怒り bait 要素2 (釣りや罠の)えさ

rage は中世フランス語の raige(狂気、激しさ)から、さらにラテン語の rabia(狂犬病)にさかのぼります。怒りで我を忘れる状態を、病気で正気を失う様子にたとえた語でした。

bait はもともと『魚を誘うための生きたえさ』を指す語で、動詞としては『えさで誘い出す』という意味を持ちます。rage と bait が組み合わさることで、『怒りをえさにして人を誘い出す』という、SNS時代ならではの意味が生まれました。

rage bait=怒り(rage)をえさ(bait)にする罠。カッとなったら、まず『これは仕掛けかもしれない』と疑ってみましょう

ここが面白い

rage bait という語そのものは新しいものですが、『怒らせて注目を集める』という手口自体は、新聞や雑誌が読者の目を引くために昔から使ってきた手法でもあります。違うのは、SNSのアルゴリズムが『怒りのコメント』を『盛り上がっている良い反応』として扱い、怒らせるほど多くの人に表示されるように設計されている点です。Oxfordの選考担当者は、この語の広がりについて、注目の奪い合いが『好奇心をくすぐる段階』から『感情そのものを乗っ取る段階』に変わったことを示している、と説明しています。

例文で確かめる

Don't fall for rage bait — check the source before you share it.

rage bait に引っかからないで。シェアする前に発信元を確かめよう。

That headline is textbook rage bait; the article barely mentions it.

あの見出しは典型的な rage bait だ。記事本文ではほとんど触れられていない。

The channel posts rage bait almost every day just to get comments.

あのチャンネルは、コメントを集めるためだけにほぼ毎日 rage bait を投稿している。

この形で覚える

fall for rage bait rage bait に引っかかる
pure rage bait 完全な rage bait
spot rage bait rage bait を見抜く
textbook rage bait 典型的な rage bait

似た語とどう違うのか

意味rage bait との違い
clickbait クリックさせるための釣り見出し clickbait は『好奇心』を利用してクリックさせ、rage bait は『怒り』を利用して反応させる点が異なります。
trolling 荒らし行為 trolling は個人が場を乱すためにわざと挑発する行為、rage bait はコンテンツそのものが怒りを誘うように設計されていることを指します。
outrage (受け手側の)激しい怒り outrage は読んだ人が実際に感じる怒りそのもの、rage bait はその怒りを引き出すために仕掛けられた側の言葉です。

使うときの注意

ここで間違える
rage bait は名詞にも動詞にも使えます(to rage-bait someone)。日本語の『炎上商法』とほぼ重なりますが、rage bait は個人の投稿からニュースサイトの見出しまで、より幅広い場面で使われます。
使える場面
SNSやメディア論のくだけた会話でよく使われる語です。まだ新しい語なので、フォーマルな文章では online content designed to provoke anger のように言い換えたほうが伝わりやすいこともあります。
発音・リズム
rage は『レイジ』、bait は『ベイト』。2語ともはっきり発音し、rage のほうを少し強く読みます。

ミニコラム:怒りたくなったら、まず送信ボタンから指を離す

SNSを開いていて、思わずコメントを打ちたくなるほど腹の立つ投稿に出会うことがあります。その投稿がたくさんの『いいね』や引用を集めているとしたら、それは共感の証というより、rage bait としてうまく機能している証拠かもしれません。

怒りは、人を立ち止まらせずに行動させる感情です。だからこそSNSの仕組みは、怒りのコメントを『盛り上がっている投稿』として扱い、より多くの人に表示します。本当に伝えたいことがあるときほど、一度画面から目を離してから書く。それだけで、仕掛けにはまらずに済むことがあります。

原田高志

確認クイズ

  1. Q1. rage bait の意味として最も近いものはどれか。