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TWO WORDS A DAY 流行英語 第137回 標準 読了 6分

lore

/lɔː/(米 /lɔːr/) 名詞 いま英語圏で流行っている言い方

「①(ある分野について)長い間に積み重なった知識や言い伝え ②(ゲームや作品の)背景設定、裏の物語 ③(ネットの俗語)その人の意外な過去や小ネタ」

the knowledge and stories about a subject that build up over time; the backstory of a fictional world; (internet slang) surprising facts or stories about a person's past

どこで出てきたか

“Lore” crowned the 2026 social media word of the year, according to Sprout Social

Sprout Social が lore を2026年のSNSの言葉に選ぶ

出典: Sprout Social(プレスリリース)(2026年10月14日)

Driven by everyday trends like “realizing your friend has lore,” the term’s rise reflects a broader cultural shift away from fast, surface-level posts toward content rich in context, history, and narrative.

「友だちに lore があると気づく」のような身近な流行にのって、この語は広まりました。その広まりは、さっと見て終わる投稿から、背景や歴史や物語のある投稿へと、好みが大きく移っていることを表しています。

Sprout Social の発表文(Sprout Social(プレスリリース))

Sprout Social は、企業のSNS運用を助ける道具を作っているアメリカの会社です。10月14日に、1年間の公開投稿を分析した「ソーシャルメディア辞典」の2026年版を出しました。lore はSNS上で1,000万回以上使われ、その年の言葉に選ばれました。ほかの上位の語は slop(880万回)、niche(420万回)、maxxing(350万回)です。昨日この欄で取り上げた polyester も、2027年に向けて注目の語として載っています。

この語の芯

長い時間をかけて積み重なった「物語」。 世界にも、ゲームにも、1人の人にも、それぞれの lore があります。

lore 語根 教えられたこと(古い英語 lār から)

Wiktionary によると、lore は古い英語の lār から来ています。さかのぼると、「教える」という意味の古いゲルマン語の動詞に行き着きます。オランダ語の leer、ドイツ語の Lehre と同じ仲間で、英語の learn(学ぶ)とも関係があります。

つまり lore は、教えられて、受け継がれてきたことです。そこから、ある分野について長い間に積み重なった知識や言い伝えを指すようになりました。

同じ語根の仲間 folklore (民間伝承) learn (学ぶ) birdlore (鳥についての知識や言い伝え)

lore は「受け継がれてきた物語」。民話なら folklore、ゲームなら設定、友だちなら意外な過去。

ここが面白い

folklore(民間伝承)は、1846年にイギリスの作家ウィリアム・トムズが作った語です。Wiktionary によると、それまでの popular antiquities(民衆の古い風習)のような言い方の代わりとして作られました。トムズは、Volklehre(人々の風習)のようなドイツ語の言い方をまねています。

この Lehre は、lore と同じ仲間の語です。ドイツ語をまねて作った folklore の中に、もともとの英語の lore が入っていたわけです。それから180年たって、lore はゲームの背景設定になり、いまでは「友だちの意外な過去」にまで使われています。

例文で確かめる

My quiet friend turned out to have so much lore.

物静かな友だちに、意外な過去がたくさんあった。

Fans love to talk about the lore of the game.

ファンは、そのゲームの背景設定について話すのが大好きだ。

The story of the old bridge is part of local lore.

その古い橋の話は、土地の言い伝えの一部だ。

この形で覚える

have lore (人に)意外な過去がある
the game's lore そのゲームの背景設定
local lore 土地の言い伝え
Silicon Valley lore シリコンバレーの語り草

似た語とどう違うのか

語意味lore との違い
backstory 背景の物語 backstory は1人の人物や1つの話のそれまでのいきさつを指し、lore はそれを含む世界全体の設定や言い伝えの集まりにも使います。
canon 正式な設定 canon は作品の中で正式と認められた出来事を指し、lore は背景の設定や言い伝え全体を指します。
trivia 雑学、小ネタ trivia は話題を問わない小ネタで、ネットの俗語の lore は、ある人が自分について話す小ネタや過去を指します。

使うときの注意

ここで間違える
人について使う lore は、相手の過去を話題にする語です。本人が話したくない過去に使うのはやめましょう。
使える場面
「意外な過去」の意味は、友だちどうしのくだけた語です。面接や作文では使いません。「言い伝え」の意味なら、硬い文章でも使えます。
発音・リズム
Wiktionary は、r を発音しないアクセントの一部では、law(法律)と同じ音になるとしています。アメリカ英語では最後に r の音が入ります。

ミニコラム:新しい意味は、古い意味の上に積み重なる

lore には、いま3つの意味があります。昔からの「言い伝え」、ゲームの「背景設定」、そしてSNSの「その人の意外な過去」です。新しい意味が出てきても、古い意味は消えていません。3つとも「積み重なった物語」という中心の意味でつながっています。

スラングは、まったく新しい語に見えることがあります。でも lore のように、古い語の中心の意味を残したまま、使う場所だけが広がったものもあります。中心の意味が分かれば、初めて見る使い方でも意味の見当がつきます。

明日からできることは1つです。SNSで見かけた英語のスラングを1つ選び、辞書で昔からの意味を調べてください。そして、いまの意味とどこがつながっているかを、1行で書いてみてください。

原田高志

確認クイズ

  1. Q1. Sprout Social の発表によると、lore はSNS上でどれくらい使われたか。