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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
TWO WORDS A DAY 流行英語 第20回 標準 読了 6分

let him cook

レット・ヒム・クック スラング表現(命令文由来のフレーズ) いま英語圏で流行っている言い方

「『彼の好きにやらせてやれ』→『邪魔せず、実力を発揮させてあげよう』」

used to tell people to stop interrupting or criticizing someone and let them keep doing what they are good at

どこで出てきたか

The story behind "Let him cook!" and Min Woo Lee's popularity at Memorial

『Let him cook!』の由来と、ミン・ウー・リー選手が人気を集める理由

出典: Yahoo Sports(2025年5月30日)

The Australian has made "Let Him Cook!" a signature saying on tour through his massive social media following.

このオーストラリア人選手は、巨大なSNSのフォロワーを通じて『Let Him Cook!』をツアーの代名詞的な決め台詞にした。

Yahoo Sports の記事より

ゴルフのPGAツアーで人気の選手ミン・ウー・リーの代名詞的な決め台詞になっている『Let Him Cook!』。SNS上での発信と、ファンがスタンドから彼に向けて叫ぶ掛け声、その両方で使われるようになっています。もとはラッパーのLil Bが2010年ごろから使い始めたフレーズです。

この語の芯

邪魔をせず、得意なことを最後までやらせてあげる、という応援の掛け声

cook 動詞(比喩) 料理をする→得意なことをする、の比喩

let him cook は、直訳すると「彼に料理をさせてあげて」。実際に台所の話をしているわけではなく、cook を「得意なことをする」の比喩として使っています

2010年ごろ、ラッパーのLil B(本名Brandon McCartney)が、自分を『料理長』、才能のあるラッパーを『コック』にたとえて "I Cook" という曲を発表し、料理をまねたダンスの動きまで作りました。ここから "let that boy cook"(あいつに料理をさせてやれ=実力を発揮させてやれ)という言い方が生まれ、のちに "let him cook" という形でも広まりました。

let him cook=『彼に料理をさせてやれ』→『邪魔せず実力を発揮させてやれ』

ここが面白い

この言葉がいちばん伸びたのは、ラップの世界ではなくスポーツの実況でした。活躍の場を与えられていない選手について「あいつを試合に出し続けろ、let him cook!」と使われるようになり、いまではオーストラリアのゴルファー、ミン・ウー・リー選手のファンが、コースのギャラリーから本人に向かって直接この言葉を叫ぶほどの定番の掛け声になっています。1人のラッパーの造語だった表現が、まったく別のスポーツの応援文化に根付いた、というのがこの語のいちばん面白いところです。

例文で確かめる

The rookie is scoring every game now — just let him cook.

あの新人、毎試合得点してるじゃないか。もう好きにやらせてやろうよ。

She's on a roll with her essay. Let her cook and don't interrupt.

彼女、レポートの調子がすごくいいの。邪魔しないで、好きにやらせてあげて。

Coach finally let him cook in the fourth quarter, and he scored 20 points.

コーチがようやく第4クォーターで彼を自由にプレーさせたら、20点も取った。

この形で覚える

let her cook (女性に対して)好きにやらせてあげる
just let him cook とにかく彼の好きにやらせて
let that boy cook あの子の好きにやらせてやれ(元の形に近い言い方)

似た語とどう違うのか

意味let him cook との違い
go for it 思い切ってやってみて 言われた本人に直接かける言葉。let him cook は第三者について、周りに向けて言う言葉
you do you あなたの好きにしていいよ 個人の自由な選択を認める言葉で、実力や活躍を前提にしているとは限らない

使うときの注意

ここで間違える
文字どおり『料理をさせる』という意味に取られやすいが、実際に台所の話をしているわけではない。友人同士のくだけた言い方
使える場面
SNSやスポーツ実況、友人同士の会話向け。ビジネスメールや目上の人への発言では使わない。
発音・リズム
cook は「クック」ではなく、口をすぼめた短い母音の音。日本語の『クック』よりも短く、こもった音になる。

ミニコラム:『料理をさせて』が、実況席の決め台詞になるまで

1人のラッパーが2010年ごろに作った言い回しが、いまではゴルフ場のギャラリーが選手本人に向けて叫ぶ掛け声になっています。言葉の旅としては、かなり遠くまで来ています。

おもしろいのは、途中で意味の中心が変わっていないことです。『邪魔せず、得意なことをさせてやれ』という芯は、ラップでもバスケットボールでもゴルフでも同じまま運ばれてきました。ジャンルは変わっても、意味の中身はそのまま、という言葉の広がり方の見本のような表現です。

日本語にも近い感覚はあります。『任せて見てて』『黙って見てろ』のニュアンスに近いですが、let him cook のほうが応援の温度が強く出ます。批判ではなく、信頼して見守る側に立つ言葉です。

原田高志

直訳すれば「彼に料理をさせてあげて」。でも let him cook は、台所の話ではありません。いまアメリカのスポーツ実況やSNSでよく聞くこのフレーズが、どうやって生まれ、なぜゴルフ場のギャラリーまで叫ぶようになったのかを見ていきましょう。

確認クイズ

  1. Q1. 「let him cook」がもともと生まれたきっかけとして正しいものはどれか。