it's giving
/ɪts ˈɡɪvɪŋ/ 口語表現(動詞句) いま英語圏で流行っている言い方
「①〜っぽさが
used to say that something strongly reminds you of, or gives off the same energy as, something else
どこで出てきたか
It's giving… 80s Trapper Keeper #TightsTuesday なんか…80年代の柄物バインダーって感じ #TightsTuesday
it's giving 〜 は、いまSNSでいちばんよく見かける言い方の1つです。服装・音楽・部屋の雰囲気・人の態度まで、なんでも『it's giving 〜』の後ろに置くだけで感想が言えます。英語の辞書サイト Dictionary.com が、正式にスラングの項目として取り上げるほど定着しました。目的語を付けずに It's giving. だけで使う人もいます。
この語の芯
it's giving+何か=それが放っている雰囲気を、似た何かで言い当てる。
it's giving は、1960〜70年代にニューヨークで育った、黒人とラテン系のLGBTQ+コミュニティによる『ボールルーム文化』の言葉が元になっています。ファッションやダンスを競い合うこの文化の中で、『it's giving face(表情で魅せている)』のように、パフォーマンスの雰囲気を言い表す言い方として使われていました。
この言い方が広く知られるきっかけになったのが、インフルエンサーの Rolling Ray(ローリング・レイ)です。2019年のテレビ番組『Divorce Court』への出演で何度もこの言葉を口にしたことから注目され、そのあと『RuPaul's Drag Race』でも使われ続けたことで、2020〜2021年ごろに一気にSNS全体へ広がりました。
ここが面白い
it's giving は、文法的にはかなり変わった形をしています。give はふつう『give A B(AにBを与える)』のように、あとに具体的な物を置く動詞です。ところが it's giving 〜 では、主語の it が何を指しているのかはっきりしないまま、あとに雰囲気を表す名詞や固有名詞をそのまま置きます。
『主語を深く考えず、動詞1つで感想をぱっと言い切る』というのが、この言い方のいちばんの発明です。さらに崩れた形として、目的語を付けずに『It's giving.(それな、って感じ)』とだけ言う使い方まで生まれています。
例文で確かめる
Your outfit is giving vacation vibes.
その服、休暇中って感じの雰囲気が出てるね。
Honestly, that ending is giving plot twist.
正直、あの終わり方はどんでん返しって感じだった。
It's giving early morning energy in here.
ここ、なんか早朝っぽい空気が漂ってる。
この形で覚える
| It's giving major character energy. | 完全に主人公って感じがする。 |
| It's giving red flag. | それ、危険信号って感じ。 |
| It's giving nothing. | (それらしさが)全然伝わってこない。 |
似た語とどう違うのか
| 語 | 意味 | it's giving との違い |
|---|---|---|
| vibe | 雰囲気、ノリ | vibe は雰囲気そのものを指す名詞。it's giving 〜 は、その雰囲気が何に似ているかを言葉で言い当てる言い方。 |
| big ~ energy | いかにも〜な感じ | big ~ energy も似た意味だが、名詞のあとに energy を続ける形。it's giving は動詞から始まる文の形で使う。 |
| that's so ~ | いかにも〜 | that's so ~ は形容詞で直接特徴を言う言い方。it's giving 〜 は、名詞や固有名詞を置いて『似ている何か』を示す点が違う。 |
使うときの注意
- ここで間違える
- It's giving nothing. のように、否定的な意味でも使われる。『何も giving していない=それらしさが伝わってこない』という逆の意味になるので、文脈で判断すること。
- 使える場面
- かなりくだけたSNSのスラング。先生や初対面の大人との会話、英作文の答案では使わない。
- 発音・リズム
- 続けて『イッツ・ギヴィン』のように読み、giving の g は軽く弱める。強く読むのは giving のあとに続く語のほう。
ミニコラム:文法をあえて崩すと、新しい言い方が生まれる
it's giving 〜 を初めて見たとき、『主語の it は何を指しているの』と気になった人もいると思います。実はそこがこの言い方のねらいで、主語をあいまいにしたまま、動詞1つで感想を言い切ってしまうのが新しさです。
こういう言い方は、ボールルーム文化のように、既存の言葉のルールの外にいたコミュニティから生まれることが少なくありません。正しい文法を1つ崩すだけで、誰も思いつかなかった短い言い方ができあがる。it's giving 〜 は、その好例だと思います。
原田高志
確認クイズ
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Q1. it's giving 〜 という言い方が最初に使われていた文化として、本文の説明で正しいものはどれか。