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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
TWO WORDS A DAY 流行英語 第75回 基礎 読了 6分

crash out

/kræʃ aʊt/ 句動詞 いま英語圏で流行っている言い方

「感情を抑えきれずに爆発する、取り乱す、キレる(もとの意味は「眠りこける」)」

to lose emotional control, act recklessly, or erupt in anger or distress

どこで出てきたか

crash out

crash out(スラング辞典の項目)

出典: Dictionary.com(スラング辞典 crash out の項)(2026年9月16日閲覧)

Finding out crash out worthy information when you're somewhere you can't crash out really is a special level of hell.

取り乱したくなるような話を、取り乱せない場所で知ってしまうのは、まさに特別あつらえの地獄です。

Dictionary.com(スラング辞典 crash out の項) の記事より

Dictionary.comのスラング辞典によれば、この語はアフリカ系アメリカ人の話し言葉(AAVE)から来ていて、ネット上の用例は2013年までさかのぼります。2017年、ラッパーのYoungBoy Never Broke Againが楽曲「Stepped On」で使ったことで広まったとされ、2020年代に入ってTikTokから一気に一般へ出ました。いまでは、テストの結果や注文の間違いといったささいなことで「もう無理」と大げさに崩れてみせる、半分冗談の使い方が中心になっています。

動画で見る

crashing out の意味を、ネットスラングの解説シリーズで紹介した動画 (The Daily Dot) crashing out がどういう意味かを、ネットスラングの解説シリーズの中で英語で扱っています。

この語の芯

こらえていたものが、音を立てて一気に崩れること。

crash 動詞 がしゃんと崩れる、ぶつかる out 副詞 外へ、すっかり

crash はもともと「がしゃんと壊れる音」を表す語です。そこから「衝突する」「(機械が)落ちる」へ広がりました。パソコンがフリーズすることを日本語でも「クラッシュする」と言いますね。

おもしろいのは、crash out がずっと前から別の意味で使われていたことです。語源辞典Etymonlineによれば、crash が「眠りこける」という意味で使われ出すのは1943年で、広く使われるようになったのは1965年ごろからです。句動詞の crash out も同じく「寝落ちする」の意味で、いまも辞書に載っています。長い一日のあと、あるいは飲みすぎたあと、そのままばたんと寝てしまう、あの感じです。

同じ語根の仲間 crashout ((名詞)取り乱すこと。取り乱しやすい人) crash ((動詞)衝突する、崩れる、寝落ちする) meltdown ((名詞)感情の崩壊)

crash out は「こらえきれずに崩れる」。内へ崩れれば寝落ち、外へ崩れればブチ切れ。

ここが面白い

同じ crash out が、「気を失うように寝る」と「感情が爆発する」の両方を指しています。

方向がまるで逆です。片方は静かに落ちること、もう片方は派手に噴き出すこと。それなのに、英語を使う人はどちらも crash out と呼びます。

芯にあるのは、たぶん「もうこらえていられない」のほうです。こらえきれなくなった力が、内へ落ちれば寝落ちになり、外へ出れば爆発になる。崩れる向きが違うだけで、崩れることそのものは同じです。

だから文脈で見分けるしかありません。I crashed out at 9pm. なら寝落ち、I'm about to crash out. なら、たいてい怒りのほうです。

例文で確かめる

I'm about to crash out if this printer jams one more time.

このプリンターがもう一回詰まったら、わたしはもうキレます。

Don't crash out over a text message.

メッセージ1通くらいで取り乱さないで。

He crashed out on the sofa before the movie ended.

彼は映画が終わる前にソファで寝落ちしました。

この形で覚える

crash out over something 〜のことで取り乱す
be about to crash out いまにもキレそうだ
a crash out moment こらえきれなくなった瞬間
crash out on the sofa ソファで寝落ちする

似た語とどう違うのか

意味crash out との違い
lose it キレる、取り乱す lose it は世代を問わず通じる定番の言い方。crash out はいまの若い世代の言い方で、冗談めかして使われることが多いです。
meltdown (感情の)崩壊 meltdown は名詞で、泣き崩れる・手がつけられなくなる状態を指します。crash out のほうが軽く、短く終わる感じです。
snap ぷつんと切れる snap は我慢の糸が切れる一瞬を指します。crash out はそのあと荒れている時間まで含みます。

使うときの注意

ここで間違える
「寝落ち」の意味が今も生きているので、文脈を見ないと逆の意味に取られます。He crashed out. だけでは、寝たのかキレたのか決まりません。
使える場面
完全にくだけたSNSのスラングです。面接、先生への連絡、目上の人には使わないこと。また、人の心の状態を軽く笑う言い方でもあるので、本当に苦しんでいる相手には使わないでください。
発音・リズム
crash の a は「キャ」に近い音です。「クラッシュ・アウト」と切らず、つなげて「クラッシャウト」のように言うと自然です。

ミニコラム:スラングは、古い言い方の上に新しい意味を積む

crash out を辞書で引くと、「寝落ちする」のほうが先に出てきます。新しいスラングは、まったくの新語であることのほうが少なくて、すでにある言い方の上に、別の意味を積み上げることがほとんどです。

日本語でも同じことが起きています。「やばい」がもとは危ないという意味だったのに、いまは褒め言葉にもなりました。古い意味が消えたわけではなく、両方が並んで生きています。

だから、スラングを覚えるときにもとの意味まで一緒に押さえておくと、得をします。crash(がしゃんと崩れる)さえ握っていれば、寝落ちのほうも、ブチ切れのほうも、同じ1つの絵から引き出せます。

原田高志

確認クイズ

  1. Q1. 本文の説明によると、crash out には「キレる」のほかに、古くからどんな意味があるか。