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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
TWO WORDS A DAY 時事英語 第13回 標準 読了 6分

buckle

/ˈbʌkəl/ 動詞・名詞 英語ニュースに何度も出てくる語

「①(ベルトなどの)留め金、バックル ②(熱や力で)曲がる、たわむ ③(プレッシャーに)屈する、参る」

to bend or become crushed under pressure or heat, or a metal fastener used to close a belt

どこで出てきたか

Second train derails in England in less than 24 hours amid record heatwave

記録的な熱波の中、24時間足らずでイギリスで2件目の列車脱線

出典: CNN(KESQ配信)(2026年8月14日)

If the issue is loss of track alignment, then it could be heat expansion in rails causing the rails to expand and buckle.

問題が軌道のずれであるなら、熱によるレールの膨張が原因で、レールが膨張して曲がった可能性があります。

英国技術者協会(IET)鉄道技術ネットワーク議長 ジョン・ローレンス氏(CNN(KESQ配信))

記録的な熱波の中、イギリスで24時間のうちに列車の脱線が2件続けて起きました。専門家が原因の1つとして挙げたのが、熱でレールが膨張して曲がる現象です。気候変動でこの手のニュースは増えており、buckle は鉄道・道路・建材の記事に繰り返し登場する語です。

この語の芯

まっすぐなものが、力に負けて曲がる。 buckle はベルトの金具(名詞)でも、線路が曲がること(動詞)でも、心が参ってしまうこと(比喩)でも、この1つの絵で説明がつきます。

実はこの語、名詞と動詞で語源がまったく別です。名詞の buckle(留め金)は1300年ごろに英語に入った語で、古フランス語 bocle(盾の中央にある盛り上がった飾り)を経て、ラテン語 buccula(兜の頬当て、bucca=頬の指小形)にたどり着きます。頬を守る小さな金具、というのがいちばん古い姿です。

動詞の buckle(曲がる)はまったく別に、1520年代ごろ「体をアーチ状にそらせる」という意味で使われ始めました。こちらはフランス語 boucler(膨らむ)に由来します。1590年代には『強い圧力で曲がる』、1640年代には『プレッシャーに屈する』という比喩の意味まで広がりました。たまたま同じ綴りになった2つの語が、いまは1つの単語として使われています。

同じ語根の仲間 unbuckle (バックルを外す)

buckle=まっすぐなものが、力に負けて曲がる。ベルトの金具も、線路も、心も。

ここが面白い

ベルトの留め金と、線路が曲がることが、もとは別の単語だったというのは、英語を学んでいてもなかなか気づけない事実です。しかも面白いのは、いまの英語話者はこの2つを『別の語』だとは感じていないところです。buckle up(シートベルトを締める)と the rails buckled(線路が曲がった)、どちらも同じ1語として自然に使われています。

綴りが同じだから同じ語だと思い込みがちですが、辞書の語源欄をたどると、こうした『他人の空似』は英語にいくつも隠れています。

例文で確かめる

The intense heat caused the rails to expand and buckle.

強烈な熱で、レールが膨張して曲がった。

He finally buckled under the pressure of exams and asked his teacher for help.

彼はついに試験のプレッシャーに参ってしまい、先生に助けを求めた。

Buckle your seatbelt before the plane takes off.

飛行機が離陸する前にシートベルトを締めてください。

この形で覚える

buckle under pressure プレッシャーに屈する
buckle up シートベルトを締める
his knees buckled 彼の膝が崩れた
a seatbelt buckle シートベルトの留め金

似た語とどう違うのか

意味buckle との違い
bend 曲げる bend はただ『曲がる』という一般的な語。buckle は、力や熱に負けて崩れるように曲がるという、失敗のニュアンスを含む。
warp そる、ゆがむ warp は木材や板が湿気・熱でじわじわゆがむイメージ。buckle は圧力によって急に折れ曲がるイメージが強い。
collapse 崩壊する collapse は全体が崩れ落ちること。buckle は一部が曲がる段階を指し、collapse よりも被害が軽い場合に使われる。

使うときの注意

ここで間違える
日本語の『バックル』のイメージが強く、名詞としてしか使えないと思いがちですが、buckle は動詞としてニュースにも日常会話にも頻出します。
使える場面
ニュース英語からカジュアルな会話まで、幅広い場面で使える語です。
発音・リズム
【バクル】。buは日本語の『バ』より唇を丸めず、こもった『ア』に近い音にします。

ミニコラム:原田のミニコラム|同じ綴りの『他人の空似』

buckle という語を調べていて驚いたのは、留め金の buckle と、曲がるという意味の buckle が、もとは別々の単語だったという事実です。似ているようで、生まれた場所も時代も違う2つの語が、たまたま同じ綴りに落ち着き、いまでは1つの単語として辞書に並んでいます。

英語にはこの手の『他人の空似』がいくつも隠れています。綴りが同じだから同じ語源だろう、と決めつけずに、たまには語源辞典をのぞいてみると、思いがけないつながり(あるいは、つながりの無さ)に出会えます。

生徒にも、たまには buckle していい、と伝えたいところです。プレッシャーに押しつぶされそうになるのは、まっすぐ立とうとしている証拠でもあります。曲がったところから、また立て直せば良いのだと思います。

原田高志

確認クイズ

  1. Q1. buckle の動詞としての意味に近いものはどれか。