boil the ocean
/bɔɪl ði ˈoʊʃən/ 動詞句(慣用表現) いま英語圏で流行っている言い方
「(仕事や
to try to do something that is much too big, or to make a task far bigger than it needs to be
どこで出てきたか
‘Circle back,’ ‘synergy,’ ‘boil the ocean’: The corporate phrases Gen Z doesn’t get, and what they say instead
「サークル・バック」「シナジー」「ボイル・ザ・オーシャン」。Z世代が分からない職場の決まり文句と、かわりに言うこと
“Boil the ocean” means taking on something impossibly large or overcomplicating a task. 「boil the ocean」は、不可能なほど大きなことに手を出すこと、または、仕事を必要以上に複雑にすることを意味します。
英語学習サービスのPreplyが、職場の決まり文句について調べた結果を、Fortuneが2026年10月19日に伝えました。調べたのは、Redditの投稿とコメント3,000件、アメリカのGoogle検索のデータ、そしてZ世代の会社員10人への聞き取りです。10人には18の決まり文句の意味を見せて、「自分ならどう言うか」を聞きました。boil the oceanは、10人の言い換えで「aim too high」になりました。ただし10人だけの調査なので、Fortuneも「全体を代表する調査ではない」と書いています。
この語の芯
海をわかすような、ばかでかい仕事に手を出すこと。やる前から、終わらない。
出どころははっきりしません。ウィル・ロジャーズの言葉だという話や、マーク・トウェインの言葉だという話がインターネットで語られています。でも、いつどこで言ったのかを示す出典は、確かめられませんでした。
確かなのは、意味の作りです。海の水をすべてわかすのは、できない仕事の例えです。英語版Wiktionaryは、この句を「とても難しい仕事や、とても難しい問題の解き方に取りかかる」という比喩の表現として載せています。
同じ語根の仲間 circle back ((あとで)その話題に戻る) bandwidth ((仕事を引き受ける)余力) low-hanging fruit (すぐに取れる成果) move the needle (成果に大きな違いを出す)
ここが面白い
Preplyの調査(Fortuneが報道)で、10人はこの句を「aim too high(高すぎる目標を狙う)」と言い換えました。でも記事の説明文は、「不可能なほど大きなことに手を出す」と「仕事を必要以上に複雑にする」の2つを挙げています。つまり「目標が高い」という言い換えでは、後半の「複雑にしすぎる」が抜け落ちます。
実際の使い方は、褒め言葉ではなく注意の言葉です。Wiktionaryの用例も、2010年のABCニュースの「欲張って引き受けすぎない」という意味の言い方でした。「大きな夢に挑む」という良い意味の言葉ではありません。
例文で確かめる
Our manager said, "Don't boil the ocean. Pick one goal for this month."
上司は「欲張りすぎないで。今月は目標を1つに絞って」と言いました。
If you try to boil the ocean, this project will never be finished.
一度に全部やろうとすると、この計画はいつまでも終わりません。
Let's fix the biggest problem first, without boiling the ocean.
欲張らずに、まず、いちばん大きな問題から直しましょう。
この形で覚える
| try to boil the ocean | 一度に全部やろうとする |
| Don't boil the ocean. | 欲張りすぎないで。 |
| without boiling the ocean | 大がかりにせずに |
似た語とどう違うのか
| 語 | 意味 | boil the ocean との違い |
|---|---|---|
| bite off more than one can chew | 自分の力以上のことを引き受ける | bite off more than one can chewは、引き受ける人の力が足りない、という話です。boil the oceanは、仕事そのものが大きすぎる、または複雑にしすぎている、という話です。 |
| scope creep | 作業の範囲が、いつのまにか広がること | scope creepは、決めていた範囲が少しずつ広がっていく現象です。boil the oceanは、はじめから範囲を広げすぎる行動に使います。 |
| low-hanging fruit | すぐに取れる成果 | low-hanging fruitは、手の届く簡単な成果です。boil the oceanとは反対に、小さく始める話で使います。 |
使うときの注意
- ここで間違える
- 「大きな夢に挑む」という良い意味の言葉ではありません。Don't boil the ocean.(欲張るな)のように、止める言葉として使えます。
- 使える場面
- 職場の会話やビジネス文書で使う、会社の決まり文句です。今回の調査のように、若い世代には通じにくいという声もあります。学校の作文や面接では、意味を説明する言葉を足したほうが安全です。
- 発音・リズム
- boilは1音節で「ボイル」より短く読みます。oceanは最初のoを強く読み、「オーシャン」ではなく、「オウシャン」に近い音です。
ミニコラム:コラム:職場の決まり文句を、若い人は言い換えている
今回のFortuneの記事で面白いのは、10の言い換えが並んでいることです。circle backはcome back(戻る)、synergyはteamwork(チームワーク)、bandwidthはavailability(空いている状態)になりました。boil the oceanはaim too high(高すぎる目標を狙う)です。
Preplyは、若い世代は職場の言葉をくだけさせたいのではなく、分かりやすくしたいのだ、と説明しています。調査では、10人は18の決まり文句のうち8つを言い換えず、そのまま使いました。best practiceなどです。ただし10人だけの調査で、全体の傾向とは言えません。
英語を勉強する私たちにとっては、どちらも役に立ちます。決まり文句を知っておけば、聞いて分かります。そして、言い換えも知っておけば、相手に通じなかったときに、すぐ言い直せます。
原田高志
確認クイズ
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Q1. My boss told me, "Don't boil the ocean." 上司が言いたいことに最も近いのはどれか。