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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
TWO WORDS A DAY 時事英語 第28回 標準 読了 6分

backlog

/ˈbæklɔːg/ 名詞・動詞 英語ニュースに何度も出てくる語

「①(未処理のまま)たまった仕事・注文 ②(コンピュータ)処理待ちの作業」

a large amount of work, orders, or tasks that are waiting to be done

どこで出てきたか

Boeing Reports Second Quarter Results

ボーイング、2026年第2四半期決算を発表

出典: Boeing(決算発表資料)(2026年7月28日)

Total company backlog grew to a record $715 billion, including over 6,200 commercial airplanes.

会社全体の受注残高は過去最高の7,150億ドルに増え、旅客機の受注は6,200機を超えました。

Boeing(決算発表資料) の記事より

航空機メーカーのボーイングは2026年7月28日、受注残高が過去最高の7,150億ドルに達したと発表しました。注文は増えているのに、実際に完成して届ける機体の数が追いついていません。この『注文はあるのに、まだこなせていない量』を表す語が backlog です。移民審査の待ち件数や、裁判所の未処理事件を伝える記事でも、同じ語が繰り返し使われます。

動画で見る

ボーイングCEOが第2四半期の決算を語るインタビュー (CNBC Television) 決算発表と同じ日の映像です。受注残高が過去最高になった背景をCEO本人が話しています。

この語の芯

backlog=後ろにたまって、まだ流れていない量

back 形容詞 後ろの log 名詞 丸太、記録

backlog は1680年代のアメリカ英語で生まれた語で、もとの意味は『暖炉のいちばん奥にくべる、大きな丸太』でした。手前の薪だけでは火はすぐに燃え尽きてしまいますが、奥に太い丸太を1本置いておくと、何日もかけてじわじわとくすぶり続け、火を絶やしません。

この『奥にたまっていて、時間をかけて少しずつ片付いていくもの』というイメージが、1880年代に『あとで使うために取ってあるもの』という比喩の意味に広がりました。さらに1930年代になると、いまと同じ『まだこなせていない注文・仕事の山』という意味で使われるようになりました。

同じ語根の仲間 logjam ((川で丸太がつかえることから)行き詰まり、停滞)

backlog は、暖炉の奥でじわじわ燃える丸太から。『奥にたまって、少しずつしか片付かない量』を指す

ここが面白い

backlog は、いま英語ニュースのあちこちに出てきます。ボーイングの受注残高(7,150億ドル)だけでなく、アメリカの移民審査は1,100万件以上が未処理のまま残っていると報じられ、ウィキペディアでさえ、公開を待つ下書き記事の山を backlog と呼び、有志の編集者が2026年8月の1か月間、その山を減らすための企画を開いています。

会社も、役所も、ボランティアの集まりも、抱えているのは同じ形の悩みです。入ってくる量に、片付ける量が追いついていない。それを1語で言い表せるのが backlog です。

例文で確かめる

The company's order backlog grew to a record high this year.

その会社の受注残高は、今年過去最高に増えた。

There is a huge backlog of visa applications waiting to be processed.

ビザの申請が、処理を待って大量にたまっている。

We need extra staff to clear the backlog before the deadline.

締め切りまでにたまった仕事を片付けるには、人手を増やす必要がある。

この形で覚える

a huge backlog 大量にたまった未処理分
clear the backlog たまった仕事を片付ける
a backlog of orders たまった注文
work through the backlog たまった仕事を少しずつ片付けていく

似た語とどう違うのか

意味backlog との違い
queue (順番待ちの)列 queue は待っている『人や物の並び』そのもの。backlog はまだ処理できていない『仕事の量』を指し、順番に並んでいるとは限らない。
pile-up 山積み、(交通の)玉突き pile-up はくだけた言い方で、物理的に積み上がったイメージが強い。backlog はビジネスや行政の文脈でも使われる、より標準的な語。
arrears (支払いなどの)滞納、未払い分 arrears はほぼお金の支払いにしか使われない。backlog は仕事・注文・書類など、幅広い『たまったもの』に使える。

使うときの注意

ここで間違える
名詞のイメージが強いが、『backlog the requests(要望をため込む)』のように動詞としても使われる。文中の位置を見て品詞を判断すること。
使える場面
ニュース・ビジネス文書・IT分野まで幅広く使われる、標準的でやや硬めの語。日常会話でも問題なく通じる。
発音・リズム
/ˈbæklɔːg/。back を強く読み、log は軽く『ローグ』に近い響きになる。back と log の間を切らず、1つの語としてつなげて読む。

ミニコラム:たまっているのは仕事だけではない

backlog という語を知ってから英語のニュースを読むと、いろいろな場所に『たまっているもの』があることに気づきます。

会社の受注残高、役所の未処理の申請、裁判所で順番を待つ事件。形はそれぞれ違っても、『入ってくる量に、片付ける量が追いついていない』という構造は同じです。

暖炉の奥の丸太は、燃え尽きるまでに何日もかかります。backlog という語を作った人たちも、たまったものはすぐには片付かないということを、よく知っていたのかもしれません。

原田高志

確認クイズ

  1. Q1. backlog の語源として、本文の説明で正しいものはどれか。