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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
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英単語の覚え方|意味が似た語をまとめると、初めだけ遅い

英語教育ニュースレター Vol.37

教科書の単語一覧は、意味のまとまりで並んでいます。体の部分、食べ物、乗り物。研究者はこの並べ方を長く止めてきました。まとめると混ざって覚えにくい、という理由です。2026年8月29日に出たメタ分析は、30本の研究を集めてそこに条件を付けました。覚えきるまでにかかる回数は、たしかに増えます。ところが事後テストの点には差が出ていません。しかも、語を文の中に入れて出した研究では、まとめたほうが少し良い結果でした。単語を文の中で出すための帯活動2本、教室英語5本、無料の道具4つつきの第37号です。

監修:原田高志(原田英語.com)

教科書の単語一覧を開くと、似た意味の語が並んでいます。果物の名前、天気の言い方、体の部分。この並べ方は覚えにくいので避けるように、と研究者は長く言ってきました。先月末に出たメタ分析は、30本の研究を集めて、その話に条件を付けました。今日は、教科書の並びを変えずに手を入れる方法を考えます。第37号です。

09.15.2026 Vol.37

おはようございます。

単語一覧の並び方は、たいてい意味のまとまりです。果物、天気、体の部分。作る側からすれば、これがいちばん筋が通っています。

ところが研究の世界では、この並べ方は長く止められてきました。似た語を同時に出すと混ざる、という理由です。

先月29日に公開されたメタ分析が、そこに条件を付けました。覚えきるまでの回数は増えます。事後テストの点は変わりません。そして、語を文の中に入れて出した研究では、まとめたほうが少し良い結果でした。

帯活動2本と教室英語5本は、この「文の中に入れて出す」を教室の形にしたものです。無料の道具は、単語を文の中で選び直すための4つです。

TODAY'S PICK

中学英語の全国学力テストの結果が、正答率ではなくIRTスコアで返ってきます

国立教育政策研究所「『中学校英語』IRTを用いた結果返却に関する動画・リーフレット」(2026年9月1日公開)

令和8年度の全国学力・学習状況調査で、「中学校英語」の結果はこれまでの正答数・正答率に代えて、IRTスコアとバンドで返されます。国立教育政策研究所が9月1日、その見方を説明する動画とリーフレットを公開しました。

IRTは、問題ごとの難しさを計算に入れてから力を数値にする方法です。難しさのちがう問題でも、同じ目盛りにそろえて力を表せます。そのかわり、「何問できたか」はそのまま読めません。

公開されたのは、リーフレット2種類(「調査結果(個人票)の見方」と「IRTを用いた結果返却について」)と、学校・教育委員会に向けた動画です。動画は3つに分かれています。Part1が9月に届く資料の説明(00:44〜)、Part2が中学校に届く資料の見方(02:30〜)、Part3が結果データを学習指導に生かす話(10:19〜)。使われたスライドも公開されています。

8月19日と20日にWebで開かれた説明会の動画も出ています。小学校の国語・算数、中学校の国語・数学・英語の5教科ぶんで、視聴できるのは2027年3月末までです(ReseEd、2026年9月2日)。中学校英語の回は、IRTバンド別の類型割合のグラフと、「聞くこと」「読むこと」「書くこと」「話すこと」それぞれの結果を扱っています。

9月に届く紙を見て、去年の数字と並べようとすると手が止まります。正答率とスコアは、別の目盛りです。

見るところは1つに絞れます。自分のクラスが、どのバンドにどれだけ散っているか。Part3がその話です。10分19秒から始まります。

明日やることは1つです。10分19秒から先の部分だけを、英語科の全員で一度見てください。頭から全部を見る必要はありません。

数値の読み方をそろえておかないと、9月の職員室で「去年より下がった」という話だけが残ります。下がったのは数字の種類です。

WARM-UPS

今日の帯活動(5分でできる)

黒板だけで回る2本。同じ5語を、まとまりから引きはがして出します

同じまとまりの5語を、別々の場面の文に入れて出す

対象 中1〜高3 時間 5分 準備 黒板のみ

  1. 次の単元の単語一覧から、意味の似た5語を選ぶ(fruits や weather のように、同じ見出しの下にある語)
  2. 黒板に5語を並べず、代わりに5つの短い文を書く。1文に1語だけ入れる。5つの場面は全部変える(教室、駅、台所、体育館、家)
  3. 文を読み上げて、入っている語の意味を生徒に言わせる。語だけを取り出して板書し直さない
  4. 最後に5語を消して、どの文にどの語が入っていたかを言わせる
  • 💡 2026年のメタ分析で、語を文の中に入れて出した研究は g=0.32(少し良い)、単語だけで出した研究は g=−0.05 でした。1つのまとまりに入れる語の数は、結果に関係していません(p=.78)。減らすより、文に入れるほうです。

その語に何回出会ったかを、生徒に数えさせる

対象 中2〜高3 時間 5分 準備 黒板のみ

  1. 前の時間に出した5語を、黒板に書く
  2. 1語ずつ「この語に、今までに何回出会いましたか」と聞く。授業で見た、教科書で読んだ、小テストで書いた、全部を数に入れさせる
  3. 回数を語の横に書く。1回か2回しかない語に印をつける
  4. 印のついた語だけ、その場でもう一度、別の文の中で出す
  • 💡 覚えきるまでにかかる回数を測った研究は6本あり、6本とも「意味の似た語をまとめると回数が増える」で一致しました。増えるのは回数です。だから、回数を数えるほうに生徒の目を向けます。「まだ覚えていない」ではなく「まだ2回目」と言えるようになります。

CLASSROOM ENGLISH

そのまま使える教室英語

単語を、文の中で言わせる5本

生徒が意味だけを答えて、次へ進みそうなとき

Good. Now put it in a sentence.

いいですね。では、それを文の中に入れてください。

意味を言えた直後に足す一言です。文は短くてかまいません。3語でも、その語が文の中を通ったことになります。

似た意味の2語のどちらかで迷っているとき

Which one would you say to a friend?

友達に言うなら、どちらですか。

意味の違いを説明する代わりに、場面を1つ渡します。相手を決めると、生徒は自分で選べます。to your teacher や in an email に入れ替えて使えます。

小テストの前に、覚え方を確かめたいとき

Say the word, then say where you saw it.

単語を言って、それをどこで見たかも言ってください。

「教科書の35ページ」でも「先生が黒板に書いた文」でも正解にします。出会った場面を思い出せる語は、意味も出てきます。

意味のまとまりで並んだページを開いたとき

Pick two words from this page that you always mix up.

このページから、いつも混ざってしまう2語を選んでください。

混ざる組み合わせは生徒ごとに違います。こちらが決めた2語を並べるより、本人が挙げた2語のほうが速く片づきます。

生徒が「まだ覚えられない」と言ったとき

How many times have you met this word?

この単語に、何回出会いましたか。

覚えたかどうかではなく、回数を聞きます。2回で覚えられないのは、ふつうのことです。次に何をするかも、この一言から決まります。

AI TOOLKIT

AI × 英語指導

教師向け1つ、生徒向け1つ

教師向けfobizz

教師向けのAIの道具をまとめたドイツのサイトです。運営は101skills GmbH。メニューには「Create a worksheet(ワークシートを作る)」「AI Prompt Lab」「AI assistants」「AI Multimedia Tools」「Using AI with students」が並びます。トップページには「Start now for free(無料で始める)」の案内があり、EUの個人情報保護の規則(GDPR)に沿っていると書かれています。画面の言語はドイツ語と英語の2つで、日本語はありません。無料の教材も置いてあります。

使いどころ:🎓 ワークシートを作るAIに、こう打ち込んでください。「次の5語を使って、5つの短い英文を作ってください。1文に1語だけ入れ、5つの場面は全部変えてください。中学2年生が読める語だけを使ってください。」そのあとに5語を貼ります。場面を変えるところまで指定しないと、5語が1つの話の中に固まって返ってきます。返ってきた文は、そのまま帯活動1本目に使えます。

生徒向けRevisely

自分のノートや教科書の英文を貼ると、AIがフラッシュカードと小テストを作ります。並んでいるのは4つで、AI Flashcard Generator、AI Quiz Generator、AI Notes Generator、AI Video Summarizer。サイトには対象として「For students, teachers and professionals」と書かれています。イギリスのGCSEやA-Levelの復習用の資料も置いてあります。作ったものは、そのまま人に共有できます。

使いどころ:🎓 生徒に渡すときは、貼るものを決めてください。単語一覧ではなく、教科書の本文を貼らせます。本文から作られたカードには、その語が入っていた文が残ります。単語一覧から作ると、語と訳だけのカードが並び、今日の話の逆になります。作ったカードは、次の日にもう一度開くところまでを1セットにしてください。

NEWS FLASH

今日のニュース

今月と来月、先生が申し込める3本

JAPAN · 09.19

新英研の連続講座が9月19日に始まります。全4回で2,000円、録画も見られます

新英語教育研究会の連続講座「楽しい英語授業づくり」が始まります。オンラインで全4回、参加費は4回分で2,000円です。第1回は2026年9月19日(土)20時から21時30分、「教科書を楽しく料理する!(中学編)」で講師は成田茂樹先生(青森・中)。第2回は11月20日(金)「高校編」で斉藤貴子先生(埼玉・高)、第3回は2027年2月19日(金)「生徒が主人公になるICT・AIの使い方」で市川裕理先生(愛知・大)、第4回は2027年3月13日(土)「授業を楽しくする活動 帯学習、Small Talkなど」で大越範子先生(東京・中)ほか。4回まとめて申し込む形です。参加できなかった回は、後日録画で見られます。対象は英語教員・大学生・一般。第1回が終わったあとの申し込みは、メールで受け付けています。帯活動を扱うのは最後の3月の回なので、今日の2本を先に試しておくと、聞く目が変わります。

JAPAN · 09.26

書かせて終わりにしないライティングの回。9月26日の夜、無料で見られます

「AIにはできないヒューマニスティックなライティング活動」と題したウェビナーが、2026年9月26日(土)20時から21時にオンラインで開かれます。無料です。対象は小・中・高・大の英語科教員と、英語科教員をめざす大学生。話すのは大脇裕也先生(大阪商業大学専任講師)。公立中学校で15年勤めたのち、2026年4月から現職で、令和7年度の文部科学大臣優秀教職員表彰を受けています。案内には、生徒の本音を引き出す課題づくり、書く意欲を高めるフィードバック、生徒同士の学び合いを生む仕掛けを紹介すると書かれています。主催はUKEEN(うどん県かがわ英語教育者ネットワーク)。土曜の夜1時間なので、書かせたあとの返し方を1つ持ち帰れます。

JAPAN · 10.04

10月4日、CEFR-JのCan Doからテストを作る講座があります

一般財団法人語学教育研究所(語研)の「ア・ラ・カルト講座13」が、2026年10月4日に開かれます。題は「テスト作りは苦しくておもしろい:CEFR-JのCan Doからテストを作る」。講師は根岸雅史先生(東京外国語大学世界言語社会教育センター)。対面で、会場は語学教育研究所です。参加費は会員3,000円、非会員5,000円(学生は各半額。非会員には年度初期費用2,000円、学生は500円がかかります)。案内文には、CEFR-JのCan-doを基に作られたテストを日々チェックし、問題のある項目は改訂案を作成者に返しているとあります。テストでは文脈と受験者の役割を設定する必要がある、という話も出ています。単語テストを作るときも、同じ問いが出てきます。どの場面で使う語として問うのか、です。

FREE TOOLS

無料の学習ツール4選

今号のテーマは「単語を文の中で出すための無料の道具」

VocabGrabber

英文を貼ると、その中から役に立つ語を抜き出して並べます。サイトの説明は「VocabGrabber analyzes any text you're interested in, generating lists of the most useful vocabulary words and showing you how those words are used in context.」。語を押すと、意味と、その語が実際に使われている文が出ます。つまり、語と文がいつも一緒に出てきます。作っているのは Thinkmap 社で、Visual Thesaurus と同じ会社です。無料で使えます。結果から語彙リストを作って保存する機能だけは、Visual Thesaurus の有料会員向けです。次の単元の本文をまるごと貼るところから始めてください。

New Word Level Checker

関西大学の水本篤先生が作った、無料のウェブアプリです。英文を貼ると、その中の語がどのレベルの語かを判定します。選べる語彙リストは New JACET8000、JET2020、SVL12000、New General Service List、CEFR-J、SEWK-J。染谷泰正先生の Word Level Checker の考え方を引き継いで作られました。Key Word In Context の機能があり、選んだ語が入っている行を並べて見られます。自作のプリントを貼れば、生徒に渡す前に「この1枚は何レベルの語でできているか」が分かります。

SCoRE(教育用例文コーパス)

無料で、登録も要りません。英語の例文とその和訳を、検索・コピー・ダウンロードできます。文の数は約1万。関係詞や仮定法、前置詞など22の文法項目に分かれ、初級・中級・上級の3段階があります。穴埋め問題を作って、実施と採点までできる仕組みも付いています。語の頻度の研究をもとに、14の分野の文が5,000文以上あとから加えられました。日本大学の中條清美先生たちが2009年から作り、2020年からは千葉大学の西垣知佳子先生が代表を務めています。5語ぶんの例文を探すなら、ここがいちばん速いです。

AntConc

Laurence Anthony 先生が作った、無料のコーパス分析ソフトです。サイトの説明は「A freeware corpus analysis toolkit for concordancing and text analysis」。Windows、macOS(Apple Silicon対応)、Linux で動きます。最新版は4.4.2。語の頻度一覧、キーワード、コロケーション、n-gram、ワードクラウドが出せます。いちばん使うのは concordance です。ある語が出てくる行を、全部そろえて並べます。教科書の本文を1年分打ち込んでおけば、その語が何回、どんな文で出てくるかがその場で並びます。

STORY BREAK

生徒に話したくなる小ネタ

授業の余り3分で話せる2本

glossary は、行のあいだに書き込んだ1語から生まれました

gloss が「説明・訳・定義として差し込まれた語」という意味で英語に現れたのは、1300年ごろです。後期ラテン語の glossa から来ました。もとはギリシャ語の glōssa(または glōtta)で、意味は「言語、舌」。さらにさかのぼると、「とげ、先のとがったもの」を指す語根(*glogh-)に行き着きます。

中世の学者は、ヘブライ語やギリシャ語、ラテン語の難しい語に出会うと、自分たちの言葉での言い換えを行のあいだや余白に書き込みました。それが gloss です。書き込みが集まった本が glossary で、こちらは1300年代の半ばに出てきます。ラテン語の glossarium から来ており、そのもとはギリシャ語の glossarion です。glōssa の小さい形で、この glōssa には「もう使われていない語、外国から来た語」という意味がありました。

面白いのは、早い時期から悪い意味も付いていたことです。1300年代の初めには「意味をごまかす注釈、都合よく読み替える解説」を指しました。書き込む人の都合が入る、と当時から思われていたわけです。

いま英語でどう使うかは、2つ覚えれば足ります。gloss over は「都合の悪いところをさらっと流す」。He glossed over the mistake. で「その間違いに軽く触れて済ませた」。もう1つは glossary で、教科書の巻末にある語彙一覧そのものです。生徒に配る単語プリントも、英語では a glossary です。

forget は、もともと「つかみそこねる」でした

古英語の形は forgietan です。中身は for-(離れて、あやまって)+ gietan(つかむ)。つまり「取りそこねる」「手放す」です。中英語では foryeten と書かれました。

同じ作りの語が、まわりの言語にも並んでいます。古ザクセン語 fargetan、古フリジア語 forjeta、オランダ語 vergeten、古高ドイツ語 firgezzan、そしてドイツ語の vergessen。ドイツ語を少しやった生徒がいれば、ここで顔が上がります。

ただし、「手の中のものを取り落とす」という体の動きの意味で使われた記録は、ゲルマン語には残っていません。語の作りから読み取れるだけです。「気にかけなくなる」という使い方は、1200年代の終わりから見られます。

いま英語でどう使うかは、入試にそのまま出ます。forget to do は「するのを忘れた」で、その動作はやっていません。forget doing は「したことを忘れた」で、動作はすでに済んでいます。I forgot to bring it.(持ってこなかった)と I forgot bringing it.(持ってきたのを忘れていた)。語の中に「つかむ」が入っていると知っていれば、to のほうが「これからつかむ」、doing のほうが「もうつかんだ」と並べられます。

QUOTE

今日の名言

言葉は、何に似ているのか

“I am, by calling, a dealer in words; and words are, of course, the most powerful drug used by mankind.”

私は仕事の上では、言葉を売り買いする者です。そして言葉は、もちろん、人間が使ういちばん強い薬です。

ラドヤード・キプリング(1865-1936)。1923年2月、英国の王立外科医師会の晩餐会での挨拶より(『A Book of Words』所収「Surgeons and the Soul」)

広く出回っているのは Words are, of course, the most powerful drug used by mankind. という後半だけの形です。前半が落ちています。キプリングは外科医の集まりで、自分の仕事を「言葉を扱う商売」と名乗ったうえで、この一文を続けました。

薬は、量と出し方で効き方が変わります。同じ5語でも、一覧に並べて出すか、文の中に入れて出すかで、覚えるまでの回数が変わっていました。出す語を選ぶだけでは足りません。

THE FLIP

常識がひっくり返る話

「意味の似た語をまとめるな」が、30本の研究を集めると半分だけ残りました

教科書の単語一覧を開くと、似た意味の語が並んでいます。果物の名前、天気の言い方、体の部分。作る側からすれば、これがいちばん整った並べ方です。

ところが研究の世界では、この並べ方は長く止められてきました。Paul Nation は2000年に「Learning Vocabulary in Lexical Sets: Dangers and Guidelines」という論文を書いています。題にある dangers は「危ないところ」です。

根拠になっているのは干渉(interference)という考え方です。似たものを同時に覚えると、互いに邪魔をして区別が付かなくなる。Tinkham の1993年の研究と Waring の1997年の研究が、まとめて出すと覚えにくくなることを示しました。どちらも System という雑誌に載っています。Tinkham は1997年に、別の雑誌(Second Language Research)でも同じ向きの結果を出しています。

こうして「意味のまとまりで教えるな」は、語彙指導の常識になりました。教科書の並び方と、研究の言うことが食い違ったまま、30年が過ぎています。

ところが

2026年8月29日、その30年ぶんをまとめたメタ分析が公開されました。書いたのは4人です。Muhang Li(東北大学・オックスフォード大学)、内原卓海(東北大学)、中田達也(立教大学)、Victoria Murphy(オックスフォード大学)。雑誌は System の142巻、論文番号104141。誰でも読めます(CC BY)。

集められたのは30本の研究です。内訳は、覚えきるまでにかかった回数を測ったもの6本と、あとでテストをしたもの24本。

結果は、測り方で分かれました。

  • 覚えきるまでの回数… まとめて出すと、有意に多くの回数が必要(g=1.02、p=.0002)
  • 即時の事後テスト… 差は出ない(g=0.01、p=.96)

前半は、これまで言われてきたとおりです。しかも6本が6本とも同じ向きでした。後半が、そうではありませんでした。初めに遅れたぶんが、テストの点までは残っていません。

さらに、12個の要因を調べて、2つが効いていました。

  • 語を文の中に入れて出したか(F(1,35)=5.49、p=.03)。文ありの研究は g=0.32、単語だけを並べた研究は g=−0.05
  • 1回の練習にかけた時間(p=.046)。長いほど有利で、1分ごとに g が0.01増える

1つのまとまりに入れる語の数は、関係していませんでした(p=.78)。著者たちは論文の最後に、「実際の場面でこの提示方法を避ける根拠は、ほとんど無さそうだ」と書いています。

ここは正確に読んでください。まとめて出すほうが良い、と示した研究ではありません。覚えきるまでの回数は、やはり増えています。言えるのは、その遅れがテストの点まで残らなかったことと、文の中に入れて出した研究では向きが変わったことです。

弱いところも著者が自分で書いています。回数を測った6本のうち4本は、実際の英単語ではなく、研究のために作った語を使っていました。5本は回数しか測っておらず、そのあとどれだけ残ったかを見ていません。自然な教室で行われた研究のほうが良い結果でしたが(g=0.49)、これは差があるとまでは言えない数字です(p=.09)。

それでも、明日の授業でやることは決まります。教科書の並びを組み替える必要はありません。同じまとまりを、単語だけで出さないことです。5語を一覧で見せる代わりに、5つの別の場面の文に入れて出す。かかる時間は5分増えます。増えるのは、初めて出す日だけです。

動画で見る

Paul Nation を招いたウェビナーの録画。題は「How to teach vocabulary?」 (e-future ELT) 上で触れた Paul Nation を招いた回です。ELT Experts Webinar の1本で、英語です。

明日の授業でやること|明日の授業で、同じ5語を文の中で出す

  1. 教科書の単語一覧は、そのまま使う。並べ替えない
  2. 初めて出す日だけ、5語を一覧で板書しない。5つの別の場面の文に、1語ずつ入れて出す
  3. その5語には、初めの日に5分多く取る。回数が増えるのは、この日だけ
  4. 次の日に、同じ5語をもう一度、別の文で出す。ここで追いつきます

この号で触れたリンク

今日お願いしたいのは、1つだけです。次の単元の5語を、一覧で板書しないでください。

5つの文を書くのに、準備は5分かかります。その5分で、単語一覧を組み替える必要がなくなります。教科書の並びは、そのままでかまいません。

またあした。

Vol.37 09.15.2026

よくある質問

教科書の単語一覧は、意味のまとまりで並んでいます。並べ替えたほうがよいのですか。

並べ替えなくてかまいません。2026年のメタ分析(Li・内原・中田・Murphy)は、30本の研究を集めて、即時の事後テストでは差が出なかったと報告しています(g=0.01、p=.96)。著者たちは論文の最後で「実際の場面でこの提示方法を避ける根拠は、ほとんど無さそうだ」と書いています。ただし、覚えきるまでにかかる回数は増えていました(g=1.02、p=.0002)。並べ替えるのではなく、出し方に手を入れるのが今日の提案です。

「意味が似た語をまとめるな」は、間違いだったのですか。

間違いだと決まったわけではありません。覚えきるまでの回数を測った研究は6本あり、6本とも「まとめると回数が増える」で一致しています。著者たちも、初めて覚える段階では不利だという結論は確かそうだと書いています。変わったのは、その不利が最後まで残るかどうかです。続けて出会わせれば、点では追いついていました。

1回に出す語の数を減らせばよいのですか。

そこは関係がありませんでした。同じメタ分析で、1つのまとまりに入れる語の数は結果を左右していません(p=.78)。効いていたのは2つです。語を文の中に入れて出したか(文ありで g=0.32、単語だけで g=−0.05)と、1回の練習にかけた時間(長いほど有利。1分ごとに g が0.01増える)です。