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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
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英語が不安だと成績は下がる?語学不安の研究でわかったこと

ニュースレター|Vol.54

英語の授業で感じる不安は、成績とどれくらい関係があるのか。97件の報告(105の集団、19,933人)をまとめた2019年の分析では、「不安が強い人ほど、成績が低い」という傾向が、中くらいの強さで見られました。ただし、不安のせいで成績が下がった、とまでは言えません。帯活動2本、教室英語4本、聞く練習の無料教材4つつき。

監修:原田高志(原田英語.com)

おはようございます。今日は、英語の授業での不安は、成績とどれくらい関係があるのかという研究の話です。生徒が小さな声になる場面を、思い浮かべながら読んでください。

10.02.2026 Vol.54

おはようございます。

今日の研究は、外国語の学習での不安と成績の関係です。97件の報告をまとめた2019年の分析では、不安が強い人ほど成績が低い、という傾向が中くらいの強さで見られました。

注目記事は、9月30日に発表された mikan の話です。中学英語の教科書を出している6社すべてから、使用の許諾を得たそうです。

TODAY'S PICK

mikan が、中学英語の教科書6社すべての使用許諾を取得。2027年度から教科書に沿った学習機能を提供へ

ICT教育ニュース(2026年10月1日)

英語学習アプリの mikan は、中学校英語の検定教科書を出している国内6社すべてから、教科書の使用許諾を得ました。6社は、東京書籍、開隆堂出版、三省堂、教育出版、光村図書出版、新興出版社啓林館です。教科書に沿った学習機能は、2027年度から提供されます。

記事は、4つの機能を挙げています。

  • ・音読:モデル音声を確認し、音読して、AIが診断し、弱点を練習し、内容の理解を確かめる、という流れ
  • ・新出語句・熟語:四択問題やカードめくりなど、タイピングも含めたさまざまな形式の問題
  • ・要点の英文:空所補充や並べ替えの練習。解説と音声つき
  • ・英作文:AIによる、すばやいフィードバック

記事には、料金は書かれていません。学校で使えるのか、個人で使うのかも、記事からは分かりませんでした。提供が始まるのは、来年度からです。

いま分かるのは、教科書に沿った機能が、2027年度に出てくる予定だということです。先生が使っている教科書の会社が、6社のどれにあたるかを、確かめておいてください。

WARM-UPS

今日の帯活動(5分でできる)

どちらも、黒板とノートだけでできます。1本目は、人前で話す前に、隣の人に小声で1回言わせる活動です。2本目は、クラスの間違いを、名前を出さずに全員で直す活動です。

みんなの前で言う前に、隣の人に小声で1回言わせる

対象 中1〜高校 時間 5分 準備 黒板のみ

  1. 発表させたい英文を、1文だけノートに書かせます
  2. 隣の人に、小声で1回だけ言わせます。聞く側は、直さずに聞くだけです
  3. 聞いた側に、よかったところを1つだけ伝えさせます。「声が聞こえた」「止まらずに言えた」のように、具体的に言わせます
  4. そのあとで、数人を指名して、全体の前で言わせます
  • 💡 全体の前でいきなり言わせると、それがその英文を声に出す最初の1回になります。先に隣の人に小声で言っておけば、全体の前では2回目です。ただし、これで不安が減るかどうかは、今日の研究では調べていません。まず1回試して、小声の練習をはさんだ日に、手を挙げる生徒が増えるかを見てください。

クラスの間違いを1つ選んで、名前を出さずに黒板で直す

対象 中2〜高3 時間 5分 準備 黒板のみ

  1. 1分で、今日の表現を使った英文を1つ、ノートに書かせます
  2. 机を回って、直す価値のある間違いを1つ選びます。持ち主の名前は聞きません
  3. 選んだ英文を、黒板に写します。「誰かが書いた文です」と言って、全員で直させます
  4. 直し終わったら、「この文のおかげで、全員が1つ学べました」と伝えます
  • 💡 名前を出さなければ、間違いを見られる恥ずかしさが小さくなります。ただし、書いた本人は、自分の文だと気づくことがあります。そのときは、笑わずに、直し方だけを話してください。これも、研究で効果を確かめた方法ではありません。試してみる案です。

CLASSROOM ENGLISH

そのまま使える教室英語

今日の4本は、小さな声で試してよい、間違えてよい、と伝える場面の言い方です。

全体の前で言う前に、小声で練習させる

Say it quietly to your partner first.

まず、隣の人に、小さい声で言ってみて。

first は「先に」です。そのあとに、全体で言う場面があると伝わります。quietly は「静かに、小さな声で」です。

間違いを心配している生徒に

Mistakes are fine. This is practice.

間違えてもいいよ。これは練習だから。

fine は「かまわない」です。practice と言うと、いまは本番ではないと伝えられます。

答えるまで、待つとき

Take your time. I'll wait.

ゆっくりでいいよ。待っているから。

take your time は「急がなくていい」です。I'll wait を足すと、先生が待つ、と伝わります。

名前を出さずに、間違いを直すとき

Someone wrote this. Let's fix it together.

誰かが書いた文だよ。みんなで直そう。

Someone で、書いた人の名前を出さずに済みます。let's は「一緒にやろう」と誘う言い方です。

AI TOOLKIT

AI × 英語指導

教師向け1つ、生徒向け1つ

教師向けNearpod の AI Create

授業用のスライドと活動を作る、Nearpod の AI 機能です。公式ページは、2つを挙げています。1つは、活動や確認問題つきの授業を作る「AI Create Lesson Generator」です。もう1つは、選択式の問題を作る「AI Create Question Generator」です。問題の生成は、Silver ライセンスでは、5つまで無料で試せると書かれています。Gold、Platinum、学校・学区のライセンスでは、全部使えます。授業の生成は、学校・学区のライセンスだけです。

使いどころ:🎓 まず、問題の生成を試します。授業のテーマと学年を入れて、出てきた選択式の問題を読み、直して使います。⚠ 個人の先生向けの料金は、このページには書かれていません。英語の授業での出来は、ページからは分かりませんでした。出てきた問題は、必ず先生が読んで、直してから使ってください。

生徒向けBoldVoice

英語の発音を練習する、アクセント練習のアプリです。公式サイトは、「英語を母語としない人が、はっきり自信をもって話せるようにする」アプリだと説明しています。話すと、すぐに発音のフィードバックがもらえて、音のレベルまで間違いを分析すると書いています。アクセントの先生による動画のレッスン、毎日の練習、進み具合の記録もあります。iOS、Android、ウェブで使えます。7日間の無料体験があります。

使いどころ:🎓 生徒に勧める前に、先生が無料体験で試して、出てくる課題が生徒の英語に合うかを見ます。人の前で話すのが苦手な生徒には、まず1人で練習する道具として、紹介できます。⚠ 体験のあとの料金と、日本語の画面があるかは、公式ページからは分かりませんでした。

NEWS FLASH

今日のニュース

3本です。声を上げにくい生徒に気づくための高校生の日記ツール、英検の今後の日程、世界大学ランキングです。

JAPAN · 09.29

高校生が開発した日記ツール「Blesc」。声を上げられない生徒の変化にAIが気づく

広尾学園高校の2年生が開発した、日記のツール「Blesc」を紹介する記事です。生徒が、毎日の短い日記を書きます(朝のホームルームで3〜5分)。AIは、クラスの平均ではなく、その生徒のふだんの書き方と比べて、変化に気づきます。見るのは、話題、言葉の調子、書いた時間帯、文章の量、書く回数です。

先生に届くのは、日記の本文ではなく、AIが出す通知と、その理由です。たとえば「14日のうち11日は、夜中に書いた」「2週間で、友達の話がほとんど無くなった」のようなものです。料金は、生徒1人あたり月1,000円と書かれています。

導入した学校の名前や、効果を測った数字は、記事に書かれていません。生徒の日記を扱う道具は、学校の個人情報の決まりと照らして、先に確かめてください。

JAPAN · 09.28

英検2026年度第2回の一次試験。解答速報が公開され、残りの日程は10月2日から

リセマムによると、日本英語検定協会は9月28日の午後1時ごろ、2026年度第2回の一次試験(9月25日〜27日のA・B・C日程)の解答速報を公開しました。

残りの日程は、次のとおりです。

  • ・D日程:10月2日(今日)
  • ・E日程:10月3日
  • ・F日程と本会場:10月4日

この3つの解答速報は、10月5日の午後1時以降に出ます。一次試験の結果は、10月26日に、受験者のマイページで見られます。3級以上の二次試験は、11月8日(本会場A)と11月15日(本会場B)です。

今日から受ける生徒がいたら、朝のうちに、声をかけてください。

WORLD · 09.30

THE世界大学ランキング2027が発表。東京大学は27位、京都大学は62位

英国の教育専門誌 Times Higher Education(THE)は9月30日、2027年版の世界大学ランキングを発表しました。リセマムによると、118の国と地域の2,297大学が対象です。評価は、教育、研究環境、研究の質、国際性、産業の5つの分野で行います。

1位は、オックスフォード大学で、11年連続です。日本からは、16大学が上位1,000位に入りました。東京大学が27位、京都大学が62位です。

進路の話で生徒に見せるときは、このランキングは5つの分野で大学を評価するもので、英語の授業の質を測るものではないことも、伝えてください。

FREE TOOLS

無料の学習ツール4選

今号のテーマは「聞く練習を、自分のペースで何度でもできる音声教材」。聞き取りに自信がない生徒が、教室の外で先に慣れるために使えます。音声の多くは、無料で聞けます。

LearnEnglish|Listening(ブリティッシュ・カウンシル)

ブリティッシュ・カウンシルが公開している、無料の聞き取り練習です。A1(初級)からC1(上級)まで、CEFRのレベルで分かれています。ページによると、場面ごとの録音と、インタラクティブな練習問題がついた、自習用のレッスンです。A1は、人に会う場面や買い物、職場での会話などです。B1は、日常や仕事の話題を、はっきりした標準的な話し方で聞きます。B2は、なじみのある話題の、長めの話を聞きます。

SBS Learn English

オーストラリアの放送局 SBS が公開している、無料の英語学習サイトです。Easy、Medium、Advanced の3つのレベルがあり、クイズで自分のレベルを調べられます。ポッドキャストの各回には、文字の台本があり、音声はダウンロードできます。「オーストラリアで暮らすための英語」とうたっているので、話題は、オーストラリアの生活が中心です。

Luke's English Podcast

2009年から続いている、英語学習者向けの音声番組です。台本のある回をまとめたページもあります。有料の LEP Premium は、語彙・文法・発音のレッスンです。レベルの表示は、ページからは確認できませんでした。生徒に勧める前に、先生が1回分を聞いて、速さと内容が合うかを見てください。

Podcasts in English

英語学習者と先生に向けた、ポッドキャストのサイトです。区分は5つで、入門(30本)、レベル1・2・3(それぞれ200本)、ビジネス英語(100本)です。ページに載っている利用者の声では、1本はふつう5分以内とされています。音声の多くは無料で聞けます。ワークシートと台本は、有料会員向けで、3か月で19ユーロと書かれています。

STORY BREAK

生徒に話したくなる小ネタ

どちらも、「不安」を表す語です。どちらも、もとは「しめつける」「首をしめる」という意味でした。

anxious は、もともと「しめつけられる」ことでした

Etymonline によれば、anxiety は1520年代に、anxious は1620年代に、英語で記録されています。どちらも、ラテン語の anxius(落ち着かない、心が苦しい)からです。

anxius のもとは、angere です。「首をしめる、しめつける」という意味で、そこから「苦しめる」という意味にもなりました。さらにさかのぼると、「きつい、苦しいほど締めつけられた」を表す、印欧祖語の語根 *angh- に行きつきます。anxious の元の姿は、「しめつけられた」状態です。

明日、話す前に緊張している生徒に、こう言ってみてください。It's normal to feel anxious before you speak.(話す前に不安になるのは、ふつうのことだよ)

worry は、もともと「首をしめる」ことでした

Etymonline によれば、worry は1300年ごろから、古英語の wyrgan(首をしめる)から来た動詞として、記録されています。犬やオオカミが、獲物の喉にかみついて、揺さぶる様子をさしていました。

1400年ごろには、「悩ませる、いらだたせる」という、たとえの意味が出ています。「首をしめる」という元の意味は、1600年までに使われなくなりました。「不安に感じる」という意味は、1860年から記録があります。worry の元の姿は、首をしめることでした。

明日、間違えた生徒に、こう言ってみてください。Don't worry. You can try again.(心配しないで。もう一度やってみて)

QUOTE

今日の名言

今日の一行

“So, first of all, let me assert my firm belief that the only thing we have to fear is fear itself.”

まず、私の固い信念を述べさせてください。私たちが恐れなければならない唯一のものは、恐れそのものです。

フランクリン・D・ルーズベルト(アメリカ合衆国大統領)。1933年3月4日の就任演説

演説は、このあと「必要な努力をまひさせる、名前のない、理屈に合わない、根拠のない恐怖」(nameless, unreasoning, unjustified terror which paralyzes needed efforts)と続きます。教室についての言葉ではなく、1933年に国民へ向けた演説の一節です。

明日やることは1つです。全体の前で言わせる前に、隣の人に小声で1回、言わせてください。

THE FLIP

常識がひっくり返る話

「不安を取り除けば、英語は伸びる」とは、言い切れませんでした

生徒が、英語の授業で小さな声になります。当てると、固まります。こう考えたくなります。「不安が、力を出す邪魔をしている。不安を取り除けば、伸びるはずだ」。

英語の学習で感じる不安は、語学不安(second language anxiety)と呼ばれて、何十年も研究されてきました。不安と成績の関係は、研究でも調べられてきました。

ところが

2019年に、この関係をまとめた分析が出ました。

Teimouri、Goetze、Plonsky が、Studies in Second Language Acquisition 第41巻に載せた、メタ分析(たくさんの研究をまとめ直す分析)です。97件の報告(105の集団、23か国、合計19,933人)を集めて、216個の相関を平均しました。

結果は、学んでいる外国語(英語に限りません)で不安が強い人ほど、その言語の成績が低いという傾向でした。強さは、中くらいです。

関係の強さは、相関係数という数字で表します。−1から1までの数字で、0なら関係なし、−1や1に近いほど関係が強いことを表します。マイナスは「片方が高いほど、もう片方が低い」という向きです。この分析の平均は −0.36 でした(論文では r = −.36 と書きます)。

−0.36 を2乗すると、約0.13です。成績の個人差のうち、不安の強さと一緒に動いている部分は1割ちょっと、という目安になります。残りの9割近くには、不安以外のものが関わっています。

また、効果の大きさは、成績の測り方、学校の段階、学習している言語、不安の種類で、変わりました。不安と成績には、たしかに関係があります。ただし、関係の強さは、中くらいです。

この研究が示したのは、不安が強いほど成績が低い傾向があることです。論文の要旨は、「不安が外国語の学習にマイナスに働いていることの、確かな証拠を示した」とまとめています。

一方で、相関は、不安が成績を下げた、と決めるものではありません。成績が低いから不安になる、という向きも、考えられます。2023年に Papi と Khajavy が書いた論文も、不安のもとを整理した節で、注意を書いています。「もと」と呼んでいても原因とは限らず、多くの場合、不安とほかの要素はたがいに影響しあっている、というものです。

注意が2つあります。1つ目は、この分析が、不安を減らす授業の効果を調べたものではないことです。2つ目は、日本の中学・高校の英語の授業だけを調べたものではないことです。

不安をなくせば成績が上がる、とまでは言えません。それでも、不安を小さくする工夫をやめる理由にはなりません。下の手順は、この研究で効果を確かめた方法ではありません。試してみる案として読んでください。

明日の授業でやること|全体の前で言う前に、小声で1回言わせる

  1. 言わせたい英文を、1文、ノートに書かせます
  2. 隣の人に、小声で1回、言わせます。聞く側は、直さずに聞くだけです
  3. 聞いた側に、よかったところを1つだけ、伝えさせます
  4. そのあとで、全体の前で言わせます。言えた人の数を、数えておきます。次の授業で、同じ活動のときに、数を比べます

この号で触れたリンク

mikan の教科書に沿った学習機能は、2027年度から提供される予定です。英検は、今日から受ける生徒がいます。

外国語の学習では、不安が強い人ほど成績が低い、という中くらいの傾向がありました。ただし、不安のせいで成績が下がったとは、決められません。不安をなくそうと力む必要はありません。

明日は、全体の前で言わせる前に、隣の人に小声で1回、言わせてみてください。

またあした。

Vol.54 10.02.2026

よくある質問

英語の不安が強いと、成績は低くなりますか。

97件の報告をまとめた2019年の分析では、外国語の不安が強い人ほど成績が低い、という傾向が、中くらいの強さで見られました(相関係数の平均は −0.36)。ただし、不安が成績を下げた、と決めるものではありません。

生徒の不安を減らせば、成績は上がりますか。

この分析は、不安を減らす授業の効果を調べたものではありません。不安を減らせば成績が上がる、とは、この研究からは言えません。

不安が成績を下げるのですか、成績が低いから不安になるのですか。

相関だけでは、決められません。2023年の Papi と Khajavy の論文は、多くの場合、不安と他の要素の関係は、たがいに影響しあう関係だと書いています。