本文へスキップ
NEWSLETTER 標準 読了 12分

インターリーブ練習とは?問題を混ぜた組は1か月後に61%、まとめた組は38%

ニュースレター|Vol.83

同じ種類の問題を続けて練習するほうが身につく。そう思っていませんか。アメリカの中学1年の数学の実験では、種類を混ぜて練習した組が、1か月後の抜き打ちテストで61%、まとめて練習した組は38%でした。英検4・5級チャレンジキャンペーンの終了、埼玉県の学力調査も取り上げました。帯活動2本、教室英語4本つきです。

監修:原田高志(原田英語.com)

おはようございます。今日の話は、練習の問題を並べる順番です。時制ごとに練習させている先生に、読んでいただきたい号です。今日はハロウィンです。小ネタも仮装にちなんだ2語です。

10.31.2026 Vol.83

おはようございます。

今日は、同じ種類の問題を続けるのではなく、種類を混ぜて練習させると何が変わるかを調べた研究を紹介します。中学1年の数学の実験で、1か月後のテストの点に大きな差が出ました。

注目記事は、英検4・5級チャレンジキャンペーンの終了です。受験した生徒に関わる期限があるので、先に確かめてください。

TODAY'S PICK

英検4・5級チャレンジキャンペーン、2026年度第3回検定で終了。2023年度からの利用は延べ約18万人

リセマム(2026年10月27日)「英検4・5級チャレンジキャンペーン、2026年度で終了」

リセマムによると、日本英語検定協会が10月23日に、英検4級・5級のチャレンジキャンペーンを2026年度第3回検定で終えると発表しました。

  • ・準会場で通常の受験をして不合格になった人は、次回と次々回の検定を無償で再受験できる制度だった
  • ・始まりは2023年度。利用者は延べ約18万人
  • ・協会は、当初の目的を一定程度果たしたと説明している

終了後の扱いも書かれています。2026年度第3回検定までに準会場で通常受験して不合格になった人(欠席者を除く)は、これまでどおり、次回と次々回を無償で受けられます。

1. 2026年度第1回で通常受験した人は、同じ年度の第2回と第3回
2. 第2回で通常受験した人は、同じ年度の第3回と2027年度第1回
3. 第3回で通常受験した人は、2027年度の第1回と第2回

2027年度第1回以降に通常受験した人は、対象になりません。適用には条件があるため、詳しくは英検協会の特設サイトで確認するよう、記事は呼びかけています。

生徒に関わるのは、いまの年度に不合格になった生徒です。再受験の無償の枠は、受けた回によって使える回が違います。

明日やることは1つです。今年度、準会場で4級か5級を受けて不合格だった生徒を名簿で探し、受けた回と、無償で受けられる回を一覧にして渡してください。条件の細かい部分は、記事の案内にある英検協会の特設サイトで確かめてから伝えてください。

WARM-UPS

今日の帯活動(5分でできる)

1本目は、時制を混ぜた文を、先に種類を決めてから解く活動です。2本目は、生徒が自分で混ぜた問題を作る活動です。

過去形・現在完了・未来を混ぜた6文を、先に「どの時制か」を言ってから解く

対象 中2〜高校 時間 5分 準備 黒板のみ

  1. 黒板に、空所つきの6文を書きます。過去形、現在完了、未来の文を、同じ時制が続かないように混ぜます
  2. ペアになり、1文ずつ「この文は過去」「この文は現在完了」のように、先に時制を声に出します
  3. 時制を言ったあとで、空所に入る形を答えます
  4. 6文が終わったら、先に時制を決められなかった文に丸をつけ、その文の手がかりの語(yesterday、already、tomorrow など)を探します
  • 💡 同じ種類が続くと、前の問題と同じ形を入れれば解ける場面があります。混ぜると、最初に「どの種類か」を決める必要があります。今日の最後の節の研究は数学のもので、英語でも同じ差が出るかは確かめられていません。まず1回、試してみる形にしてください。

ノートの例文を3つの時制で1文ずつ書き、隣と交換して時制を当てる

対象 中2〜高校 時間 5分 準備 なし(ノートのみ)

  1. ノートに、きのうしたことを過去形で、今までにしたことを現在完了で、あしたすることを未来で、1文ずつ書きます
  2. 書く順番は自由です。隣の人に、書いた3文をそのまま見せます
  3. 見せられた人は、各文の時制を言い当て、手がかりの語に線を引きます
  4. 役を交代し、最後に当たった数を言い合います
  • 💡 生徒が自分で書くので、問題を混ぜる準備が先生にはいりません。時制の名前を言えない生徒には、黒板に3つの時制の名前を書いておきます。

CLASSROOM ENGLISH

そのまま使える教室英語

今日の4本は、混ぜた問題を配るときと、解かせるときに使う英語です。

種類の混ざったプリントを配るとき

These questions are mixed up on purpose.

この問題は、わざと混ぜてあるよ。

on purpose は「わざと」です。生徒が配置の間違いだと思わないように、先に言います。

解き始める前に

First, decide what kind of sentence it is.

まず、どんな種類の文か決めてね。

kind of sentence は「文の種類」です。時制でも、文型でも、そのとき決めてほしいものに言い換えられます。

手がかりの語を探させるとき

Find the clue word before you answer.

答える前に、手がかりの語を探してね。

clue word は「手がかりの語」です。yesterday や already のような語を指します。

考え込んでいる生徒に

Take your time. Say the kind first.

ゆっくりでいいよ。先に種類を言ってみて。

Take your time は急がせない言い方です。次の文の say the kind first が、解き方の最初の一歩を示します。

AI TOOLKIT

AI × 英語指導

教師向け1つ、生徒向け1つ

教師向けDiffit

公式サイトによると、Diffit は、先生向けの教材づくりのサービスです。扱いたい題材や、手元の資料を入れると、授業で使える課題やスライドの下書きが作れます。作ったものは編集でき、Google ドキュメントやスライド、Forms などに書き出せます。公式サイトには、「生徒のログインは要らず、生徒向けの AI も無い」と書かれています。

使いどころ:🎓 こう使います。「中学2年生向けに、過去形、現在完了、未来の文を混ぜた空所補充を12問」のように打ちます。出てきた問題を、同じ時制が続かない順番に並べ替えてから配ります。中身は必ず自分で確かめてから使ってください。⚠ 公式サイトのトップページでは、無料プランの内容や有料の料金は確認できませんでした。使う前に、公式サイトの料金のページで確かめてください。

生徒向けDeepL Write

公式サイトによると、DeepL Write は、AI で文章を直すサービスです。スペル、文法、句読点を直し、表現を自然にするのを助けます。「Corrections only」を選べば、直しだけを出せます。どこが変わったかを見る画面もあります。

使いどころ:🎓 こう使います。過去形、現在完了、未来の文を1文ずつ自分で書き、貼って、直された所を見ます。直された所を、自分で理由を考えてから確かめます。⚠ 公式サイトのページには、対応する言語と、無料と有料の文字数の違いが書かれていませんでした。使う前に公式サイトで確かめてください。

NEWS FLASH

今日のニュース

3本です。埼玉県の学力調査、長崎のAIと英語学習の講演会、京都の中学1年のAIアプリづくりです。

JAPAN · 10.27

埼玉県の「学力・学習状況調査」、2026年度の結果を公表。英語は中学2〜3年が対象

リセマムによると、埼玉県は10月23日、2026年度の学力・学習状況調査の結果を公表しました。調査は5月7日から20日まで、さいたま市を除く県内の公立小中学校などで、小学4年から中学3年を対象に行われました。教科は国語、算数・数学、英語で、英語は中学2〜3年だけです。

  • ・ほとんどの学年・教科で、学年が上がるごとに学力の伸びがみられた
  • ・2023年度から見られた学力中位層の伸び悩みは、改善傾向にある
  • ・学力の伸びと関連する要因は層ごとに違うが、「認知的方略」は、すべての層で関連が強かった

記事には英語の点数も、前の年との数字の比べ方も載っていません。記事には、「認知的方略」の中身も書かれていません。調査結果を読むときは、埼玉県の公開資料で確かめてください。

JAPAN · 10.30

「AIと、これからの学び。」12月12日に長崎で開催。講演の1つは「AIを活用した英語学習の実践」

ICT教育ニュースによると、佐世保英語教育研究会が後援する催しが、12月12日の14時から16時30分まで、出島メッセ長崎の会議室105で開かれます。参加費は、会場の費用にあてる500円です。事前の申し込みが必要で、教員、学生、一般の人が参加できます。申し込みの締め切りは11月20日です。

講演は2本です。

1. 東進ハイスクールの安河内哲也さん:「AIを活用した英語学習の実践」
2. 長崎北高校の上村功樹さん:「米国での学びから考える教育とAI」

記事は、上村さんがハーバード大学教育大学院で学んだことを紹介しています。長崎の近くにいる先生は、予定を確かめてください。

JAPAN · 10.30

京都の中学1年240人がAIでアプリを作る授業。2025年度は50件以上が完成、2026年度も実施

ICT教育ニュースによると、takeforest は10月29日、京都府長岡京市の立命館中学校で、中学1年向けのAIアプリ開発講座を2026年度も行うと発表しました。2025年度は240人が10月から翌年3月まで約10回の授業に参加し、グループで50件以上のアプリを作りました。2026年度は9月から12月までの予定で、人数も240人の見込みです。

授業は、AIとプログラミングの講義、身近な困りごとの洗い出し、AIツールを使った制作、発表と振り返りの順に進みます。記事に、使うAIツールの名前は書かれていません。

英語の授業の話ではありません。ただ、「身近な困りごとを見つけ、AIで形にして、発表する」流れは、英語で発表する活動にもつなげられます。

FREE TOOLS

無料の学習ツール4選

今号のテーマは「問題の順番を混ぜる」。どれも先生が使い始めやすいものです。

Random.org|List Randomizer

1行に1項目ずつ打つと、その並びをランダムな順番に入れかえてくれるページです。公式のページによると、乱数は大気中の雑音から作られています。入れられるのは1万項目までです。問題文や単語を1行に1つ打って、混ぜた順番を印刷に使えます。秘密にしたい情報は入れないよう、ページに書かれています。

Google スプレッドシートの RAND と SORT

Google の公式ヘルプによると、RAND は0以上1未満のランダムな数を返し、SORT は指定した列の値で行を並べかえます。問題を A 列に入れ、C 列に RAND を入れて、SORT で C 列の順に並べれば、問題が混ざります。時制などの種類を B 列に入れておくと、混ざったあとの並びで、同じ種類が続いていないか見られます。

Flippity

Google スプレッドシートから、学習用の活動を作れるサイトです。公式サイトには、フラッシュカード、クイズ番組、ランダムに名前を選ぶ道具、ビンゴなどの型が並んでいます。単語や例文をスプレッドシートに書いて、種類の違うものを混ぜたカードを作る使い方ができます。料金はサイトのページでは確認できませんでした。

Baamboozle

クラスで遊ぶゲームを作れるサイトです。公式サイトでは、「自分のゲームを無料で作って遊べる」と書かれ、1つの画面で、端末なしでも遊べると説明されています。問題を、時制や文型の種類が混ざる順番に並べて、チームで答えるゲームにできます。無料のプランの細かい制限は、ページで確認できませんでした。

STORY BREAK

生徒に話したくなる小ネタ

ハロウィンにちなんだ2語です。costume と ghost を取り上げます。

costume(仮装)は、custom(習慣)と同じ語から出ています

英語版 Wiktionary によると、costume はフランス語の costume から入った語です。さかのぼると、イタリア語の costume、そしてラテン語の consuētūdō(習慣)に行き着きます。

Wiktionary は、costume を custom(習慣)と同じ語から分かれた「二重語」としています。最初の意味は、ある国や時代の人々に特徴的な服装です。「習慣」と「服装」が、同じ語から分かれて育った言葉です。

いまは I made my own costume for Halloween.(ハロウィンのために、自分で衣装を作りました)のように使います。

ghost(幽霊)の h は、1484年に印刷された本の綴りに出てきます

英語版 Wiktionary によると、ghost は古英語の gāst にさかのぼります。gāst の意味は「息、霊、魂」でした。

気になるのは、gāst にはなかった h です。Wiktionary によると、h は、ウィリアム・キャクストンが1484年に印刷した『Royal Book』の序文の「Holy Ghoost」という綴りに出てきます。中オランダ語の gheest の影響だろう、とも書かれています。Wiktionary によると、キャクストンと助手のウィンキン・ド・ウォードは、低地地方(いまのオランダやベルギーのあたり)と縁がありました。

いまは There is a ghost in this old house.(この古い家には、幽霊がいます)のように使います。

QUOTE

今日の名言

今日の一行

“Ever tried. Ever failed. No matter. Try again. Fail again. Fail better.”

いつも挑んだ。いつも失敗した。かまわない。また挑め。また失敗しろ。よりよく失敗しろ。(訳は筆者)

サミュエル・ベケット(Samuel Beckett、アイルランドの劇作家・小説家、1906-1989)『Worstward Ho』(1983年)。英語版 Wikiquote に載っている一文です

間違えることは、悪いことではありません。

新しい練習のやり方は、うまくいかない日もあります。そこで終わらせず、もう一度試すことが大切です。

明日は、間違えた生徒に「いい間違いだね。どこで迷った?」と声をかけてみてください。

THE FLIP

常識がひっくり返る話

同じ種類の問題を、続けて練習したほうが身につく。そう思っていませんか。中学1年の数学の実験では、問題を混ぜて練習した組が、1か月後のテストで61%、まとめて練習した組は38%でした

過去形を学んだら、過去形の問題を10問続けて解かせる。次の時間は現在完了を10問。多くの先生がこの順番で練習させていると思います。

同じ種類の問題が続けば、生徒は少ない間違いで解けます。練習中の正答率も上がり、教室は落ち着きます。だから、この順番がいちばん身につくやり方に見えます。

では、種類を混ぜた順番で練習させたら、1か月後のテストの点は、どうなるのでしょうか。

ところが

これを確かめたのが、アメリカ・サウスフロリダ大学の Doug Rohrer たちです。2020年に、学術誌 Journal of Educational Psychology に論文を出しました。ここでは、論文の要旨を載せた ERIC の記録と、研究費を出した教育科学研究所(IES)の紹介ページから書きます。

  • ・対象は、フロリダ州の1つの学区の中学1年。5つの学校の、14人の先生が教える54クラス、787人
  • ・どのクラスも、約4か月、同じ数学の問題を練習した。クラスを無作為に2つに分け、ほとんどの課題を「混ぜた順番」か「まとめた順番」で出した
  • ・混ぜた順番は、続けて2問、同じ解き方の問題が出ない並び。まとめた順番は、1つの技能ごとにまとめた並び
  • ・問題の中身は同じで、変えたのは順番だけ
  • ・練習のあとに、全クラスが混ぜた復習課題を1回受けた

1か月後に、予告なしのテストをしたところ、混ぜた組は61%、まとめた組は38%でした。効果量は0.83です(よく使われる目安では、0.8で「大きい」)。

ERIC の要旨によると、先生たちは、研修を受けずにこの練習を実施できました。実験の前に答えた匿名のアンケートでも、先生たちは、この方法に前向きでした。

注意点が2つあります。

1つ目。調べたのは数学です。ERIC の要旨は、英語や、時制のような文法の練習を調べたとは書いていません。英語で同じ差が出るかは、この研究からは分かりません。

2つ目。研究の著者たちも、重要な注意点が残ると述べています。1つの地域の中学1年の数学の結果です。

それでも、授業で試す価値はあります。順番を変えるだけで、1か月後の点に差が出た実験があるからです。まず、小テスト前の復習プリントの順番だけを変えて、試してみてください。

動画で見る

The Learning Scientists|混ぜて練習する方法を、学習科学の動画で説明 (The Learning Scientists) 学習科学を紹介するチャンネルです。題名は「Study Strategies: Interleaving」です。

明日の授業でやること|次の復習プリントで、問題の順番だけを混ぜる

  1. いつも時制ごとにまとめているプリントの問題を、同じ種類が続かないように並べかえます。今日の道具の Random.org か、スプレッドシートの RAND が使えます
  2. 配るときに、「わざと混ぜてあるよ」と伝え、先に種類を決めてから解くように言います
  3. 混ぜる前のプリントは、見比べるために取っておきます
  4. 1か月後に、予告なしの小テストを1回出して、そのクラスの点を前の単元の点と見比べます

この号で触れたリンク

今日の実験では、問題を混ぜて練習した組が、1か月後のテストで61%、まとめた組は38%でした。ただし調べたのは中学1年の数学で、英語で同じ差が出るかは分かっていません。

次の復習プリントは、問題の順番だけを混ぜて配ってみてください。1か月後に小さなテストをして、点を比べてみてください。

またあした。

Vol.83 10.31.2026

よくある質問

インターリーブ練習とは何ですか。

種類の違う問題を混ぜて練習する方法です。反対に、1つの種類の問題をまとめて続ける練習は、ブロック練習と呼ばれます。今日の研究では、続けて2問、同じ解き方の問題が出ない並びを、混ぜた順番としました。

混ぜて練習すると、本当に点が上がるのですか。

アメリカの中学1年の数学の実験では、1か月後の予告なしのテストで、混ぜた組が61%、まとめた組が38%でした。問題の中身は同じで、順番だけが違いました。ただし調べたのは数学です。

英語の授業では、どう試せばよいですか。

いつも時制ごとにまとめているプリントの問題を、同じ時制が続かない順番に並べかえて配る形が試しやすいと思います。英語で同じ効果が出るかは確かめられていないので、1か月後に小テストをして、前の単元と点を見比べてください。