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テストで答えを変えるのは損?書き直しの51%は正解へ

ニュースレター|Vol.73

テストの見直しで答えを変えると、損をするのか。大学生1,561人の答案から、3,291件の書き直しを数えた研究を紹介します。大学受験で生成AIを使った人が65%になった調査も取り上げました。生成AIとの付き合い方を生徒と考えるための資料4つと、erase・guess の語源も載せました。帯活動2本、教室英語4本つきです。

監修:原田高志(原田英語.com)

おはようございます。今日の話は、テストの見直しで答えを変えると損をするのかです。「迷ったら最初の答えのままにしなさい」と生徒に言ったことのある先生に、読んでいただきたい号です。

10.21.2026 Vol.73

おはようございます。

今日は、テストで答えを書き直すと得か損かを、実際の答案で数えた研究を紹介します。書き直しの約半分は、誤りから正解への変更でした。正解から誤りへの変更は、その半分ほどでした。

注目記事は、大学受験で生成AIを使った学生が、1年で37%から65%に増えたという調査です。いちばん多く使われた科目は、英語でした。

TODAY'S PICK

大学受験で生成AIを使った学生は65%。いちばん使われた科目は英語

ICT教育ニュース(2026年10月20日掲載)

Hanji が運営する「Knock 教育AIラボ」が、大学受験での生成AIの使い方を調べたアンケートの結果を、10月16日に公開しました。対象は、2026年に大学に入学した18歳から20歳の学生で、有効回答は205人です。調査はインターネットで、9月10日から25日に行われました。

記事によると、結果は次のとおりです。

  • ・受験の勉強や進路相談のために、生成AIを「頻繁に」または「時々」使った人は65.3%。昨年の調査の36.6%から増えた
  • ・使い道の1位は「自分の書いた解答の添削」で63.4%。2位は「問題の解答解説やヒントの提示」で52.2%
  • ・使った科目の1位は英語、2位は数学、3位は小論文で、昨年と同じ順位だった
  • ・学校や塾で、生成AIとの付き合い方の指導が「特になかった」は42.4%、「わからない・覚えていない」は21.5%
  • ・指導があった74人では、いちばん多かった内容は「回答が間違っている場合があることへの注意」で43.2%

使った科目の1位は英語で、使い道の1位は自分の解答の添削でした。科目ごとの使い道は、記事には出ていません。それでも、英語の答案をAIに直させている生徒がいると考えておくほうが安全です。

ところが、付き合い方を教わった覚えのある人は、半分もいません。指導があった人の中でも、いちばん多かったのは「AIの答えは間違うことがある」という注意でした。

明日やることは1つです。生徒がAIに直させた英文を1つ選び、直された箇所が本当に正しいかを、辞書か教科書で確かめる手順を授業で見せてください。「間違うことがある」と言うだけでなく、確かめ方まで見せます。

WARM-UPS

今日の帯活動(5分でできる)

どちらも黒板と教科書だけで回せます。1本目は主語を替えて言い回す活動、2本目は過去形の1文に質問を返す活動です。

教科書の1文の主語を替えて、隣、前、後ろの人に1回ずつ言う

対象 中1〜高校 時間 5分 準備 黒板と教科書

  1. 今日の本文から、主語のはっきりした1文を選んで黒板に書きます。主語に下線を引きます
  2. 黒板の横に、替える主語を3つ書きます。たとえば my sister、we、Ken です
  3. 生徒は、1つ目の主語で文を言い直し、隣の人に言います。動詞の形が変わるときは、そこも直して言います
  4. 2つ目の主語で前の人に、3つ目の主語で後ろの人に言います。最後に、動詞の形が変わった文を全員で確かめます
  • 💡 同じ1文でも、主語が変わると動詞の形を考え直すことになります。相手が毎回変わるので、似た文を3回言っても飽きにくくなります。

きのうしたことを過去形で1文言い、隣の人が When か Where で1つ質問する

対象 中1〜高校 時間 3分 準備 黒板のみ

  1. 黒板に、Yesterday, I ___. と書きます
  2. ペアの一方が、きのうしたことを過去形で1文言います
  3. もう一方は、When か Where で始まる質問を1つ返します。言った人は、それに1文で答えます
  4. 役割を交代して、もう1回行います。答えに困った語があれば、最後に先生が黒板で1つだけ扱います
  • 💡 質問を返す側も、相手の文を聞き取らないと質問を作れません。言う側と聞く側の両方が、英語を使う時間になります。

CLASSROOM ENGLISH

そのまま使える教室英語

今日の4本は、テストの見直しと、返却のときに先生が言う英語です。

見直しの時間を告げるとき

You have two minutes to look over your answers.

答えを見直す時間が2分あります。

look over は「ざっと目を通す」です。時間を先に言うと、どこまで見直せるかを生徒が自分で決められます。

答えを変えてよいと伝えるとき

If you find a better answer, it's fine to change it.

もっと良い答えが見つかったら、変えていいですよ。

it's fine to ~ は「~してかまわない」です。変えるかどうかは、生徒が理由を持って決めるものだと伝えられます。

書き直した跡を残させるとき

Don't erase your first answer. Just draw a line through it.

最初の答えは消さないで。線を1本引くだけにしてね。

draw a line through ~ は「~に線を引いて消す」です。最初の答えが残るので、返却のあとで、変えてよかったかを確かめられます。

返却したテストで数えさせるとき

Count how many answers you changed from wrong to right.

間違いから正解に変えた答えが、いくつあったか数えてみて。

from wrong to right で「間違いから正解へ」です。right to wrong(正解から間違いへ)と入れ替えれば、もう一方も数えさせられます。

AI TOOLKIT

AI × 英語指導

教師向け1つ、生徒向け1つ

教師向けReading Progress(Microsoft Teams)

Microsoft Teams for Education に入っている、音読の練習と記録のための機能です。Microsoft のサポートページは「無料のツール」と説明しています。生徒が英文を読む様子を録画して提出し、先生が聞いて確認します。「Auto-detect(自動検出)」をオンにすると、AIが録音から、読み間違いや発音の誤りと思われる箇所を推定して印をつけます。正確さの割合と、1分間に正しく読めた語数も集計されます。

使いどころ:🎓 こう使います。Teams のクラスで「課題」から「作成」、「課題」を選び、題名を入れてから「Learning Accelerators」で Reading Progress を選びます。教科書の本文を Word か PDF で上げ、発音の判定の厳しさや、読める回数を決めて出します。録画なしで音声だけ出させる設定もあります。⚠ サポートページは、自動検出を「プレビュー」の機能とし、誤りを「推定する」ものだと説明しています。AIがつけた印は、先生が聞いて直してから生徒に返してください。

生徒向けSpeaker Progress(Microsoft Teams)

Microsoft Teams for Education に入っている、人前で話す練習のための機能です。生徒が話す様子を録画すると、AIが話し方への助言を返します。サポートページによると、見る項目には、話す速さ、um や like のような「つなぎの言葉」、声の高さの変化、同じ言葉のくり返し、体の動き(ボディランゲージ)があります。話す速さは、1分間に100〜165語が目安として示されています。

使いどころ:🎓 こう使わせます。先生が課題で Speaker Progress を選び、題、言語、練習できる回数、制限時間(10分まで)を決めて出します。生徒には、教科書の本文をもとにした30秒の英語のスピーチを録画させ、返ってきた項目のうち1つだけを選んで、2回目で直させます。⚠ サポートページには、費用についての記載がありません。学校の Teams で使えるかどうか、先に確かめてください。

NEWS FLASH

今日のニュース

3本です。中教審の総会、愛知県の教員研修、小中学生の読書の調査です。

JAPAN · 10.20

中教審の総会で、次期学習指導要領と教員養成の審議まとめを報告

教育新聞によると、10月20日の中央教育審議会の第145回総会で、2つの審議まとめが報告されました。

  • ・1つは「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方」。次の学習指導要領のもとになるもので、いまパブリックコメントの最中
  • ・基本の考え方は「主体的・対話的で深い学びの実装」「多様性の包摂」「実現可能性の確保」の3つ
  • ・小中学校で授業時数を柔軟に調整できるようにすることや、中学校に「情報・技術科」を新しく置くことが盛り込まれている
  • ・もう1つは、教職員の質を高めるための方策。教員免許に共通する内容を絞り、「強み専門性」を学ぶ枠を20単位程度設ける案が示された

記事には、外国語の内容は出てきません。外国語の部分がどう変わるかは、審議まとめの本文で確かめる必要があります。

JAPAN · 10.20

愛知県教委とデジタルハリウッド大学が協定。生成AIの教員研修を月1回ほど

こどもとITによると、愛知県教育委員会とデジタルハリウッド大学が、10月19日に「教育連携に関する協定」を結びました。

  • ・高校の教員と教育委員会の関係者向けに、生成AIを授業で使う方法のオンラインセミナーを、月1回ほど開く
  • ・扱うのは Gemini、Gemini Notebook、ChatGPT、Copilot など
  • ・ほかに、Python やデータサイエンスを使った探究の講座、年2回ほどのオンラインの STEAM 研修会を予定している
  • ・生徒向けには、県や学校のガイドラインに沿って、生成AIのリテラシーの授業を行う計画

今日の注目記事では、生成AIとの付き合い方を教わった覚えのない学生が多くいました。校内で研修を考えるとき、先生の研修と生徒の授業を対にしている点は参考になります。

JAPAN · 10.19

小4〜中3の約7割が「本が好き」。それでも7割は、読書が週1時間未満

教育新聞によると、博報堂教育財団こども研究所が、小学4年生から中学3年生の1,200人(各学年の男女100人ずつ)にインターネットで調査しました。

  • ・本が「大好き」「好き」「まあ好き」は合わせて69.3%
  • ・学校がある期間の1週間の読書は、「読まない」17.4%、「30分未満」31.7%、「30分以上1時間未満」23.5%。合わせると7割を超える
  • ・まったく読まない人は、小学生で12.8%、中学生で22.0%
  • ・「動画やゲームのほうが読書より楽しい」は76.5%
  • ・調査の「本」には、電子書籍やオーディオブック、絵本、漫画、図鑑も含まれる

英語の調査ではありませんが、本が好きでも読む時間は短い、という結果です。英語の多読を続けさせたいときも、家に任せる前に、授業の中で読む時間を取ることから考えてください。

FREE TOOLS

無料の学習ツール4選

今号のテーマは「生成AIとの付き合い方を、生徒と考えるための資料」。国の指針、国際機関の指針、授業で使える教材を選びました。

文部科学省|初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)

2024年12月26日に公表された、学校で生成AIを使うときの国の指針です。2023年7月の暫定版を改訂したものです。ページには、本文のほか、1枚の概要、英語の仮訳、教員向けの研修動画がまとまっています。教育新聞(10月20日)によると、中教審の委員会で、次の改訂の検討が始まっています。

UNESCO|Guidance for generative AI in education and research

ユネスコが2023年9月に出した、教育と研究で生成AIを使うための指針です。利用者のデータの保護と、生成AIと1人で会話してよい年齢の線引きを各国に求めています。年齢に合った使い方を考えることも示しています。ユネスコの電子図書館(UNESDOC)から、14の言語でダウンロードできます。

Common Sense Education|AI Literacy Lessons

アメリカの Common Sense Education がまとめた、AIについて考える授業の教材集です。小学校から高校までの学年の帯に分かれています。ページには「20分以内」の短い授業と書かれていますが、高校の帯の授業には45分と表示されたものもあります。英語の教材なので、高校生には英語の読み物としても使えます。

Day of AI(MIT RAISE)

マサチューセッツ工科大学(MIT)の取り組み「MIT RAISE」が運営するサイトです。サイトによると、AIの道具、授業の教材、評価の材料、教員研修の資料を、無料でオープンソースとして公開しています。就学前から高校3年生までの、学年ごとの教材があります。

STORY BREAK

生徒に話したくなる小ネタ

どちらもテストの話で出る語です。erase(消す)と guess(推測する)です。

erase(消す)と razor(かみそり)は、同じ「削る」から来ています

Wiktionary によれば、erase はラテン語の ērādere(削り取る)の過去分詞 ērāsus から来ています。ērādere は、ex-(外へ)と radere(削る)が組み合わさった語です。

razor(かみそり)は、中英語と古フランス語の rasour を経て、古フランス語の raser(削る、そる)にさかのぼります。raser は、ラテン語の rādō(削る)の過去分詞 rāsus から作られた語です。

つまり、erase も razor も、もとをたどると同じ「削る」の語に行き着きます。

英語では、テストのときに Don't erase your answer.(答えを消さないで)と言えます。

guess(推測する)は、get(手に入れる)から来た語かもしれません

Wiktionary によれば、guess は中英語の gessen にさかのぼり、おそらく北ゲルマン語から来た語です。古デンマーク語の getse(推測する)、ゲルマン祖語の gitisōną(推測する)を経て、getaną(手に入れる)にたどり着く、とされています。

*getaną は、英語の get のもとでもあります。「推測する」は、「答えをつかみに行く」ことだったのかもしれません。ただし、Wiktionary は「おそらく」と書いており、言い切ってはいません。

英語では、自信がないときに This is just a guess, but ...(あてずっぽうですが…)と前置きできます。

QUOTE

今日の名言

今日の一行

“To err is human, to forgive, divine.”

あやまつは人の常、許すは神の業。(訳は筆者)

アレキサンダー・ポープ(Alexander Pope、1688-1744)。『批評論』(An Essay on Criticism、1711年)より。英文は Project Gutenberg の版(eBook #7409)から

この一行は、他人の作品を批評する人に向けて、人としての情けを忘れるなと書いた部分にあります。

間違えることは、誰にでもあります。テストで答えを書き直した生徒を、迷ったことで責めないでください。変えた理由を聞いて、その理由が正しかったかを一緒に確かめます。

THE FLIP

常識がひっくり返る話

「迷ったら最初の答え」は本当でしょうか。答案を数えると、書き直しの約半分は誤りから正解への変更でした

「テストで迷ったら、最初に選んだ答えのままにしなさい」。そう教わった先生も、そう教えている先生も多いと思います。

理由も分かりやすいです。最初の直感のほうが当たっている。考え直すと、かえって迷って間違える。実際、正解から間違いに書き直した苦い記憶は、誰にでもあるはずです。

では、本当に答えを変えると損をするのでしょうか。

ところが

この思い込みを調べたのが、Justin Kruger、Derrick Wirtz、Dale T. Miller の研究です。アメリカの心理学の学術誌 Journal of Personality and Social Psychology の2005年の号(88巻5号)に載りました。論文の要約は、こう書いています。

  • ・多くの人は、選択式のテストで答えを変えないほうがよいと信じている
  • ・ところが、このテーマのほぼすべての研究では、答えの変更の多くは誤りから正解へのもので、答えを変えた人はたいてい点数が上がっている

論文の著者3人が、Pragya Mathur と書いた一般向けの記事があります(ニューヨーク大学スターン校の雑誌、2008年)。そこで紹介された数字は、次のとおりです。

  • ・イリノイ大学で、心理学入門の選択式の中間テストを受けた1,561人の答案を、第三者が調べた
  • ・答えの書き直しは3,291件。51%が誤りから正解、25%が正解から誤り、23%が誤りから別の誤りだった
  • ・答えを変えたとき、正解になる場合は、誤りになる場合の約2倍だった

では、なぜ「最初の答え」が信じられているのか。要約は、理由の1つをこう説明しています。正解を間違いに変えると、「変えなければよかった」と強く悔やみます。そのため、その記憶が残りやすくなります。変えずに間違えたときは、それほど悔やみません。

注意点が2つあります。

1つ目。数えたのは、アメリカの大学生の、心理学の選択式テストです。日本の中学生や高校生の英語のテストで、同じ割合になるかは分かりません。

2つ目。この研究は、答えを変えた全体を数えたものです。どんなときに変えると得をするかまでは、ここで紹介した数字からは分かりません。何となく変えるのがよい、という話ではありません。

教室への結論は、次のとおりです。「迷ったら最初の答えのまま」と一律に教えるのはやめます。見直して、変える理由が見つかったら変えてよい、と伝えます。そのうえで、生徒自身の答案で、変えて得をしたか損をしたかを数えさせます。

明日の授業でやること|次の小テストで、書き直した答えを消させずに残し、得か損かを数えさせる

  1. 小テストの前に、「答えを変えるときは、消しゴムを使わず、最初の答えに線を1本引いて横に書く」と伝えます
  2. 最後の2分を見直しの時間にします。変える理由が見つかったら変えてよい、と言います
  3. 返却のとき、線を引いた問題を「誤り→正解」「正解→誤り」「誤り→誤り」の3つに分けて数えさせます
  4. クラス全体の数を黒板で合計し、自分たちの答案では、変えて得をした数と損をした数のどちらが多かったかを確かめます

この号で触れたリンク

今日の研究では、テストの書き直しの約半分が、誤りから正解への変更でした。ただし、日本の中高生の英語のテストで同じになるかは、まだ分かりません。

明日は、次の小テストで、書き直した答えを消させずに残してください。返却のときに、変えて得をしたか損をしたかを、生徒と一緒に数えます。

またあした。

Vol.73 10.21.2026

動画で見る

Learn about the new Reading Progress updates enhanced by AI (Microsoft Education) 英語の動画です。IV で紹介した Reading Progress について、Microsoft Education の公式チャンネルが出している動画です。

よくある質問

テストで答えを変えると、損をしますか。

Kruger らの2005年の研究の要約では、答えの変更の多くは誤りから正解へのもので、答えを変えた人はたいてい点数が上がっていると書かれています。著者たちが一般向けの記事で紹介した大学生1,561人の答案では、3,291件の書き直しのうち、51%が誤りから正解、25%が正解から誤りでした。

なぜ「最初の答えのままがよい」と信じられているのですか。

同じ研究の要約は、理由の1つを挙げています。正解を間違いに変えたときのほうが強く悔やむので、その記憶が残りやすいというものです。

大学受験で生成AIを使う学生は、どのくらいいますか。

Knock 教育AIラボが2026年に大学に入学した205人に聞いた調査では、受験の勉強や進路相談に生成AIを「頻繁に」または「時々」使った人は65.3%でした。使った科目の1位は英語でした。