英語の授業の発問は「なぜ?」|説明を渡すより残ります
英語教育ニュースレター Vol.35
同じ文を覚えさせるとき、こちらが理由を説明してあげた生徒と、ただ読んだだけの生徒では、どちらが残るか。1987年の研究では、この2つの組は同じでした。どちらも正答率は約37%。約72%だったのは、「なぜこの人はそうしたのか」を自分で答えた組です。令和8年度の全国学力・学習状況調査では、自分の考えと理由を英語で話す設問で、17.0%の生徒が1語も話しませんでした。「なぜ?」を教室に入れるための帯活動2本、そのまま使える教室英語5本、無料の素材4選つきの第35号です。
監修:原田高志(原田英語.com)
生徒が答えに詰まったとき、先に説明してあげていませんか。1987年の研究では、説明を渡された組の成績は、ただ読んだだけの組と同じでした。伸びたのは、自分で「なぜ?」に答えた組です。今日は、その1語を授業のどこに入れるかを考えます。第35号です。
09.13.2026 Vol.35
おはようございます。
生徒が答えに詰まると、こちらが先に説明してしまいます。時間がないときは、なおさらです。
最後の節で見る1987年の研究では、説明を渡された組の成績が、ただ読んだだけの組と同じでした。正答率はどちらも約37%。約72%だったのは、自分で「なぜ?」に答えた組です。
帯活動2本と教室英語5本は、その1語を授業に入れるために選びました。無料の素材は、聞いたり見たりしたあとに「なぜ?」を言わせるための4つです。
TODAY'S PICK
46,096人のうち17.0%が、その設問で1語も話しませんでした
国立教育政策研究所『令和8年度 全国学力・学習状況調査 報告書 中学校英語』(2026年8月3日公表)138〜141ページ
令和8年度の全国学力・学習状況調査で、中学校英語の「話すこと」に英語19という設問が出ました。かおりという生徒の話を聞いて答えます。「昼食のあと15分眠ったほうがいい。そのほうが気分がよくなって、あとでもっと勉強できる」。賛成する同級生もいるが、友達ともっと話したいから賛成しない同級生もいる。そのうえで、かおりはこう聞きます。Do you think my idea is good? And why?
正答の条件は2つです。かおりの意見に対する自分の考えを話すこと、そしてその理由を話すこと。46,096人が解答して、正答率は25.8%でした。誤答でいちばん多かったのは、考えは話せたが理由を話せなかった生徒で23.6%。条件をどちらも満たせなかった生徒が22.0%。そして無解答が17.0%です。6人に1人ほどの生徒が、1語も話さずに終わりました。
報告書は、無解答だった生徒について3つの可能性を挙げています。1つ目は、かおりの話す内容を理解できず、何を答えたらよいか分からなかった。2つ目は、内容は理解できたが話す内容が思い浮かばなかった。3つ目は、話す内容は思い浮かんだが英語の表現が思い浮かばなかった。
理由を話せなかった生徒(23.6%)と、理由の発話がなかった生徒(3.6%)を足すと、27%を超えます。「賛成です」までは出るのに、because のあとが続きません。
同じ力を見た令和5年度の設問(環境問題のプレゼンテーションを聞いて、自分の考えと理由を伝える)は、正答率が4.2%でした。問題が違うので単純には並べられません。報告書は今回の結果について、引き続き課題があると考えられると書いています。
明日やることは1つです。「どう思う?」のあとに、必ず「なぜ?」を続ける。そして、こちらが理由を先に言わない。理由を渡してしまうとどうなるかは、最後の節に書きました。
国立教育政策研究所|令和8年度 全国学力・学習状況調査 報告書【中学校】英語
WARM-UPS
今日の帯活動(5分でできる)
黒板だけで回る2本。「なぜ?」を1回ずつ足します
答えが出たあとに、英語で1文だけ理由を足させる
- 黒板に、答えが分かれる質問を1つ書く(Is it better to study in the morning or at night? など)
- 全員に手を挙げさせて、どちらかの立場を先に決めさせる。ここまでは英語を使わない
- 隣の人に向かって、Because で始まる1文だけを言う。長くしない。言えたら交代する
- 2人だけ指名して、立場と理由を1文ずつクラスに向けて言わせる。先生は理由を言い足さない
- 💡 立場を先に決めさせるのは、それだけなら1語で済むからです。全国学力・学習状況調査の英語19でも、立場は言えたのに理由が続かなかった生徒が23.6%いました。分かれているのは、この1文です。
5つの文に「なぜその人がそうしたのか」を足す
- 黒板に、人がそれぞれ別のことをする短文を5つ書く(The hungry man got into the car. / The tall man bought the ticket. など。主語の形容詞を全部ちがえておく)
- 1文ずつ、Why did that man do that? と聞く。生徒は英語でも日本語でも、思いついた理由を言う
- 黒板を消す。そのあと Who got into the car? のように、動作だけを言って、どの人だったかを当てさせる
- 当たった数をその場で数える。次の授業で、理由を言わせずに同じことをやって、数を比べる
- 💡 これは1987年の実験とほぼ同じ手順です。理由を自分で答えた組の正答率は約72%、説明を渡された組と、ただ読んだ組は約37%でした。手順3で当たる数が多いことを、生徒が自分で体験できます。
CLASSROOM ENGLISH
そのまま使える教室英語
理由を、こちらが言わずに引き出す5本
正解が出て、そこで終わりそうなとき
Right. Now tell me why it's right.
正解です。では、なぜ正しいのか言ってください。
why it's right は「なぜそれが正しいのか」です。疑問文の語順(why is it right)にしないでください。tell me のあとは平叙文の順に戻ります。
誰も答えず、教室が静かなとき
You don't have to answer yet.
まだ答えなくていいです。
don't have to は「しなくてよい」です。must not(してはいけない)ではありません。yet が「いまはまだ」を足します。急かされていないことが、これで伝わります。
考えは言えたが、そこで止まった生徒に
Don't stop there. Give me your reason.
そこで止めないでください。理由をください。
reason は「理由」です。生徒には Because から始めさせてください。1文足すだけで、全国学力・学習状況調査の正答の条件を満たします。
選んだ語がなぜその語なのかを聞くとき
Why this word and not that one?
なぜ、あちらではなくこの語なのですか。
not that one の one は word の代わりです。1987年からの研究で多く使われた問い方が、この形でした。2つを並べて、片方を選ばせます。
「分かりません」と言われたとき
Say the part you do know.
分かるところだけ言ってください。
do は know を強めています。全部を言わなくてよいと伝わります。1語でも出れば、そこから理由をたずねられます。
AI TOOLKIT
AI × 英語指導
教師向け1つ、生徒向け1つ
教師向けLessonUp
手持ちのPowerPointに、その場で答えさせる仕掛けを足せます。選択式のクイズ、空所補充、そして自由に書かせる問い(open questions)。生徒の答えは集まって一覧になり、誰がどこで止まっているかが授業中に見えます。スライドを作るところと、要約や翻訳はAIが手伝います。「Start now for FREE」とあり、登録すれば無料で始められます。
使いどころ:🎓 スライドを1枚だけ作ってください。上に例文を2つ、下に「Why this word and not that one?」を自由記述で1問。全員が理由を打ち込み終わってから、こちらの説明を出します。順番を逆にすると、生徒は理由を考えずに読むだけになります。
生徒向けTalkio AI
ブラウザで開いて、AIを相手に声で話す練習ができます。Chrome・Firefox・Safari・Edge で動き、スマホのブラウザでも使えます。話したあと、発音・流暢さ・文法について、その場で直しが返ります。7日間の無料体験があり、そのあとは有料です。
使いどころ:🎓 生徒に渡すときは、条件を1つだけ決めてください。「答えたら、必ず Because を1つ足す」。話題は教科書の単元に合わせます。相手が待ってくれるので、教室では黙ってしまう生徒も、理由を言い終わるまで話せます。
NEWS FLASH
今日のニュース
先生に関係のある3本
JAPAN · 06.18
次期学習指導要領、外国語にAIの活用を明記
文部科学省が、AIを含むデジタル学習基盤の活用を次期学習指導要領に明記すると決めました。「適切なAI活用を有効な学習手段として位置付ける」という書き方です。いまは学校ごとの判断に任されていて、学習の量と質に差が出ていることへの手当てです。教科書ごとに語彙がばらついている点にも触れ、国が基盤語彙リストを作る予定が示されました。生成AIを使って自分の考えを英語で言う活動の例も、あわせて示されます。示されるのを待たずに、「どう思う」「なぜ」の2問だけの活動を1つ作っておくと、そのまま載せ替えられます。
JAPAN · DATA
中学校卒業段階でA1相当以上は54.6%。目標の6割には届いていません
令和7年度「英語教育実施状況調査」の結果が、2026年6月18日に公表されました(調査の基準日は令和8年2月1日)。中学校卒業段階でCEFR A1レベル相当以上の生徒は54.6%で、前年度の52.4%から上がりました。高等学校卒業段階でA2レベル相当以上は52.4%、B1レベル相当以上は23.9%です。第4期教育振興基本計画の目標は、中学校卒業段階でA1相当以上、高等学校卒業段階でA2相当以上が6割以上、高校生のB1相当以上が3割以上。どれも目標には届いていません。自校の数字を見るときは、この全国の数字が物差しになります。
JAPAN · EVENT
JALT2026は11月20日から、名古屋で開かれます
全国語学教育学会(JALT)の国際大会が、2026年11月20日(金)から22日(日)まで、名古屋のWINC Aichi(愛知県産業労働センター)で開かれます。テーマは Beyond the Classroom ~ From Local Voice to Global Impact ~ です。日程と会場は公式ページに出ています。2学期のあいだに1つ試して、その記録を持って行くと、同じ発表の聞き方が変わります。
FREE TOOLS
無料の学習ツール4選
今号のテーマは「聞いたあと、見たあとに『なぜ?』を言わせる素材」
Linguapress
1980年に英語学習者向けの出版社として始まり、いまはウェブで無料で読めます。「FREEはFREEという意味です」と書かれていて、アカウントもメールアドレスも要りません。文化を扱った読み物が約200本。上級(B2・C1・C2)、中級(B1・B2)、初級(A2・B1.1)に分かれています。1本ごとに、選択式の問題、空所補充、語形を変える問題、語彙の手引きが付きます。音声が付いた読み物もあります。付いている問題は内容を確かめるものだけなので、読み終わったあとの「なぜそう思うか」は、こちらで1問足してください。
ELLLO
無料のリスニング教材が3,000本以上あります。A1(初級)からC1(上級)までの5段階で、1本ごとに音声か動画、書き起こし、語彙の解説、クイズが付いています。印刷できるワークシートも500枚以上あります。「自然な会話(Natural Conversations)」「生きた英語(Real English)」と書かれた録音が多く並んでいます。1本聞かせてから理由をたずねるまでを、1つの画面の中で終えられます。
Spotlight English
ゆっくり、はっきりした英語で読まれる番組を無料で聞けます。世界中の学習者に分かりやすくするための独自の放送のしかたを使っている、と書かれています。人物・文化・スポーツ・歴史のように話題ごとにまとまっていて、Word of the Day もあります。AIが作った音声ではなく、人が読んでいると明記されています。聞き取りでつまずく生徒にも、理由を考える余裕が残ります。
The Learning Scientists(無料の配布資料)
学習方法の研究者が作っている資料が、無料で配られています。掲示用のポスター、授業用のスライド、生徒に渡すしおり、シールの型紙。6つの学習方法ごとに分かれていて、Elaboration(なぜかを説明する)もその1つです。「教育の目的で使って、他の人にも渡してください」と書かれています。ただし条件が3つあります。出典を明記すること、商用に使わないこと、そして一部だけを抜き出したり、書かれている情報を削ったりしないことです(クリエイティブ・コモンズの表示・非営利・改変禁止)。翻訳版はポスターが12言語、スライドが5言語ありますが、どちらにも日本語はまだありません。改変を禁じている資料なので、訳し直さず、英語のまま掲示して使ってください。
STORY BREAK
生徒に話したくなる小ネタ
授業の余り3分で話せる2本
because は、もともと2語でした
because が英語に現れたのは1300年代の後半です。もとの形は bi cause。2語に分かれていて、「by cause(原因によって)」、つまり「〜という理由で」という意味でした。フランス語の par cause をまねた言い方です。
つまり because の中には、いまも cause(原因)がそのまま入っています。理由を答えなさいと言うより、「その cause を言って」と言ったほうが、語の形に近いわけです。
面白いのは、そのあとの縮み方です。1400年代の半ばには、頭の bi のほうが落ちた cause('cause)という書き方が現れます。いまSNSで見る 'cause は、最近くずれた形ではなく、600年近く前からある形です。
いま英語でどう使うかは、教室でそのまま見せられます。Because I was tired. のように、because のうしろには主語と動詞が続きます。名詞だけを置きたいときは because of です。Because of the rain, we stayed home. この使い分けは、生徒がいちばん間違えるところです。
reason(理由)と ratio(比)は、同じ語から分かれました
reason が英語に入ったのは1200年ごろです。フランス語の raison を通って、ラテン語の rationem から来ました。この語の意味は1つではありません。「計算すること、理解、動機、原因」。もとは rēri「数える、考える」という動詞です。
同じラテン語を、辞書の見出しの形(ratio)のまま英語に持ってきたのが ratio(比)です。数を数えることと、理由を言うことが、1つの語の中に同居していました。rational(理にかなった)も同じところから来ています。
数学の授業で出てくる ratio と、英語の授業で言わせたい reason が、もとは同じ語だと知っている生徒はまずいません。
いま英語でどう使うかも、そのまま渡せます。the reason why は「〜する理由」。ただし、くだけた言い方では why を落として the reason I came here とも言います。Give me one reason. なら「理由を1つ言って」。授業で理由をたずねるとき、いちばん短くて通じる言い方です。
QUOTE
今日の名言
問いをやめない
“The important thing is not to stop questioning.”
大事なのは、問いをやめないことです。
アルバート・アインシュタイン(1879-1955)。LIFE誌 1955年5月2日号「Old Man's Advice to Youth」に、編集者のウィリアム・ミラーが書き残した言葉
この記事が世に出たのは、アインシュタインが亡くなった1955年4月18日のあとでした。
教室で問いを出すのは、たいてい先生です。それも、答えを知っている問いを出します。今日の号でお願いしたいのは、そこに1語足すことだけです。答えが出たあとの「なぜ?」。問いをやめないのは、生徒ではなく、こちらの側の話です。
THE FLIP
常識がひっくり返る話
説明してあげた組は、ただ読んだ組と同じでした
生徒が答えに詰まったら、説明します。それが授業です。
語法でも文法でも、こちらには整った説明があります。なぜ現在完了なのか、なぜ to 不定詞ではないのか。噛んで含めるように話せば、生徒はうなずきます。うなずいたのだから、伝わったはずだと考えます。
時間の節約にもなります。生徒に考えさせると5分かかるところが、説明なら1分で終わります。テストが近い時期には、なおさらそちらを選びます。
ところが
1987年、Pressley・McDaniel・Turnure・Wood・Ahmad の5人が、大学生を3つの組に分けました。見せたのは、それぞれ別の男が別のことをする短い文です。「The hungry man got into the car.(空腹の男が車に乗った)」のような文が並びます。
1つ目の組には、1文ごとに「なぜ、その男はそうしたのか」と問いました。2つ目の組には、こちらから説明を渡しました。「空腹の男は、レストランへ行くために車に乗った」。3つ目の組は、ただ読むだけです。
そのあとのテストは、動作を言って、どの男だったかを答えさせるものでした。「車に乗ったのは誰か」。
自分で「なぜ?」に答えた組の正答率は、約72%。説明を渡された組と、ただ読んだだけの組は、どちらも約37%でした。
説明を渡すことは、何もしないことと同じ結果でした。渡された説明は、読み流した文と同じ扱いを受けていたわけです。Seifert が1993年にまとめたところでは、この効果の大きさは0.85から2.57の範囲にありました。
ここからが大事なところです。この研究が覚えさせたのは、文と人の対応です。英文法そのものではありません。授業でそのまま同じ数字が出るとは限りません。
Dunlosky らが2013年に10の学習方法を評価した論文(Psychological Science in the Public Interest 14巻1号)は、この「なぜ?」に自分で答えるやり方を中程度(moderate utility)としています。高い評価にしなかった理由もはっきり書かれていて、効果を裏づける証拠がまだ限られているからです。
それでも、同じ論文にはこうもあります。生徒がよく使うと答えるのは、読み直しとハイライトの2つで、この2つはどちらも低い評価(low utility)でした。別の調査では、読み直しを「いちばん多く使う」と挙げた大学生が55%います。生徒が自分で選ぶ勉強法より、「なぜ?」に答えるほうが上だという評価です。
明日できることは、説明を1分遅らせるだけです。
Dunlosky, J. ほか『Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques』(2013年)
明日の授業でやること|明日の授業で、説明を1分遅らせる
- 新しい説明をする前に、例文を2つ黒板に並べる。片方には○、もう片方には×を付けておく
- Why this word and not that one? と聞いて、生徒に理由を言わせる。当たっていなくてよい
- 生徒が言い終わってから、こちらの説明を出す。先に出すと、ただ読んだのと同じ状態に戻る
- 授業の終わりに見返させるのは、線を引いた箇所ではなく、「なぜ」を書いた箇所にする
この号で触れたリンク
- 国立教育政策研究所|令和8年度 全国学力・学習状況調査 報告書【中学校】英語
- 国立教育政策研究所|令和8年度 調査問題・正答例・解説資料【中学校英語(「話すこと」)】
- 文部科学省|令和7年度「英語教育実施状況調査」の結果について
- リシード|次期学習指導要領、外国語にAI活用を明記…基盤語彙リストも作成へ
- JALT|International Conference(JALT2026・名古屋)
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T.『Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques』Psychological Science in the Public Interest 14巻1号 4〜58ページ(2013年)
- PubMed|同論文の書誌情報(PMID 26173288)
- 同論文の全文PDF(1987年の実験と、10の学習方法の評価はここで読めます)
- Online Etymology Dictionary|because
- Online Etymology Dictionary|reason
- LessonUp(自由記述の問いを授業に足す)
- Talkio AI(ブラウザで話す練習)
- Linguapress(登録なしで読める、約200本の無料読解教材)
- ELLLO(3,000本以上の無料リスニング)
- Spotlight English(ゆっくり読まれる英語の番組)
- The Learning Scientists|Downloadable Materials(無料の配布資料)
今日の号で増やすものは1語です。答えが出たあとの「なぜ?」。
減らすものも1つあります。こちらの説明を、答えより先に出すこと。1987年の実験で説明を渡された組は、ただ読んだ組と並んで37%でした。説明そのものが悪いのではありません。出す順番の話です。
黒板に例文を2つ並べて、○と×を付ける。それだけで、明日の1時間目から試せます。
またあした。
Vol.35 09.13.2026
よくある質問
「なぜ?」と聞くだけで、本当に覚えるのですか。
1987年の研究(Pressley・McDaniel・Turnure・Wood・Ahmad)では、大学生に「The hungry man got into the car.」のような文を見せ、「なぜこの人はそうしたのか」を自分で答えさせた組の正答率が約72%でした。説明を渡された組と、ただ読んだ組は、どちらも約37%です。ただし覚えたのは文と人の対応で、英文法そのものではありません。
生徒がいちばんよくやっている勉強法は、効くのですか。
Dunlosky らが2013年に10の学習法を評価した論文では、生徒がよく使うと答える読み直しとハイライトは、どちらも「低い(low utility)」に分類されました。高いのは練習テストと分散学習です。「なぜ?」に自分で答えるやり方は、その中間の評価です。
「なぜ?」は、どんな形で聞けばいいのですか。
研究で使われた問い方は3つです。Why does it make sense that…?(なぜこれで筋が通るのか)、Why is this true?(なぜこれが正しいのか)、そして単に Why? 多くの研究は「なぜこの事実は、ほかのものではなくこれに当てはまるのか」という形を使っていました。英語の授業なら、Why this word and not that one? がそのまま使えます。