英語の訂正フィードバック|直すより、言い直させる
英語教育ニュースレター Vol.36
生徒が He go to school. と言ったとき、Oh, he goes to school. と自然に言い直してあげる。この形をリキャストといいます。1997年の研究では、教師の訂正の55%がこれでした。ところが、そのあと生徒が何か言ったのは31%、正しい形を言い直せたのは18%です。しかもその18%は、こちらが言った形をなぞったものでした。言いかけて止める形では、生徒は100%が何かを言い、46%が自分で正しい形にたどり着いています。直したあとに1つ足すための帯活動2本、そのまま使える教室英語5本、無料サイト4選つきの第36号です。
監修:原田高志(原田英語.com)
生徒の英語に間違いがあったとき、会話を止めずにそっと正しい形を返していませんか。恥をかかせない、いい対応だとされてきた形です。1997年の研究では、この形のあとに生徒が正しい形を言い直せたのは18%で、しかもそれはこちらが言った形をなぞったものでした。今日は、直したあとに何を1つ足すかを考えます。第36号です。
09.14.2026 Vol.36
おはようございます。
生徒が He go to school every day. と言いました。こちらは会話を止めず、Oh, he goes to school every day. と返します。恥をかかせず、流れも切らない。いい対応とされてきた形です。
最後の節で見る1997年の研究では、この形が教師の訂正の55%を占めていました。ところが、そのあと生徒が正しい形を言い直せたのは18%です。
帯活動2本と教室英語5本は、その18%を動かすために選びました。無料サイトは、生徒が手本を自分で確かめるための4つです。
TODAY'S PICK
文科省が公開した英語のAI事例集は、326校ぶんありました
ReseEd(リシード)2026年5月22日/文部科学省「AIの活用による英語教育強化事業」英語教育におけるAI活用の事例集(令和8年3月31日)
文部科学省が、英語教育でAIを使った実践の事例集を公開しました。載っているのは全国46の指定機関、326校の実践です。小学校・中学校・高等学校・特別支援学校が含まれます。
使われ方は大きく2つに分かれます。1つは生徒が使うほうで、対話型のアプリを相手に話し、発音と流暢さについてその場で直しが返る形。書いた英文への直し、生徒の発話をその場で文字にする使い方も並んでいます。もう1つは教師が使うほうで、授業の準備と設計を手伝わせる形です。70%前後の教師が、AIの活用によって授業準備をより効率的・効果的に進められるようになったと答えています。
生徒が話すそばから直しが返る。数年前の教室では考えられなかったことです。
ただし、返ってきた直しを読むことと、生徒が自分の口でもう一度言うことは、別の動作です。直しが速く、正確に、何度でも返るようになったぶん、「それを受けて言い直したか」を見る人がいなくなりました。アプリの画面には、赤い印と正しい形が並んでいます。生徒はそれを見て、次の文へ進みます。
最後の節で見る1997年の研究は、これと同じ形を教師の口について調べたものです。正しい形を渡す訂正のあと、生徒が正しい形を言い直した割合は18%でした。
明日やることは1つです。直しが返ったあとに、同じ文をもう一度言わせる。アプリでも、こちらの口からでも、足すものは変わりません。
ReseEd|英語教育AI活用事例集、文科省が公開…326校の実践
WARM-UPS
今日の帯活動(5分でできる)
黒板だけで回る2本。正しい形を、こちらが言い切らずに済ませます
先生が文の途中で止めて、続きを生徒に言わせる
- 前の時間に出た英文を1つ、正しい形で黒板に書く。全員で1回読む
- 黒板を消す。先生が途中まで言って止める(He ... to school every day. のように、動詞の直前で切る)
- 生徒が続きを言う。合っていたら何も言わず、次は別の場所で止める。前置詞・冠詞・語尾の直前を狙う
- 最後は先生が何も言わず、生徒だけで1文を通して言う
- 💡 1997年の研究で、この「言いかけて止める形」のあとは、生徒が必ず何かを言いました(100%)。そのうち46%が自分で正しい形に直しています。こちらが最後まで言ってしまう形(リキャスト)では、何かを言った生徒は31%でした。
その時間に出た英文を3つ黒板に並べて、直す係を生徒にする
- 授業中に生徒の口から出た英文を、そのままの形で黒板の端に書きためる。名前は書かない
- 3つのうち1つは、最初から正しい文を混ぜておく
- 残り5分で3つを読み上げ、直すところがあると思った文に手を挙げさせる
- 手を挙げた生徒に、直した文を丸ごと言わせる。語だけを言わせて終わりにしない
- 💡 正しい文を1つ混ぜるのは、「黒板に書かれた=間違い」と決めつけさせないためです。混ぜないと、生徒は文を読まずに、どこかを変えようとします。名前を書かないのは、誰の文かを当てる時間にしないためです。
CLASSROOM ENGLISH
そのまま使える教室英語
正しい形を渡さずに、生徒の口から出させる5本
生徒の英語に、直すところがあったとき
Say that again and change one word.
もう一度言ってください。1語だけ変えて。
どの語かは言いません。生徒が自分で探すところまでが、この一言の仕事です。one word と数を示すことで、探す範囲だけは狭くなります。
どこが違うかを、こちらから言いたくなったとき
You're almost there, so try the verb again.
もう少しです。動詞をもう一度言ってみてください。
verb のところは、the ending(語尾)や the preposition(前置詞)に入れ替えて使えます。場所だけを伝えて、形は渡しません。
正しい形を言ってあげたあと、次へ進みそうなとき
Now you say it.
では、あなたが言ってみてください。
4語です。こちらが正しい形を言ったあとにこれを足すかどうかで、生徒の口が動くかどうかが変わります。
生徒が固まって、何も出てこないとき
Is it go or goes?
go ですか、goes ですか。
2つ並べて選ばせる形です。どこを見ればよいかは伝わりますが、答えはまだ渡していません。生徒が選びます。
1語だけ直せたとき
Now say the whole sentence.
では、文を丸ごと言ってください。
語だけを直して終わると、その語を文の中で使う練習が抜けます。最後に1文まるごと言わせてください。
AI TOOLKIT
AI × 英語指導
教師向け1つ、生徒向け1つ
教師向けMagicSchool
教師向けのAIの道具が80以上まとまっています。そのうちの1つが Writing Feedback で、生徒の英作文への指摘を、こちらが決めた基準にそって作れます。ほかに小テスト作り、ルーブリック作り、通知表の所見、文章のやさしい書き換えなど。トップページには「Free for teachers(教師は無料)」と出ています。生徒向けの道具も50以上あり、教師が渡す形になっています。
使いどころ:🎓 生徒の英作文を1本貼り、基準の欄に「直した形は書かず、直す場所だけを指すこと」と打ち込んでください。返ってきた指摘は、3つに絞ってから生徒に渡します。全部渡すと、生徒は読むだけで終わります。3つに絞れば、そのうち1つを直して出し直させられます。
生徒向けELSA Speak
話した英語に、AIがその場で直しを返すアプリです。iPhone と Android で動きます。サイトには「あなたの声に合わせたAIの指摘が返るので、何をどう直せばよいかが分かる」と書かれています。無料で使える範囲があり、そこに学習の道筋作りと、AIを相手にした役割練習が入っています。有料のプランと、学校向けのプランもあります。
使いどころ:🎓 生徒に渡すときは、回数ではなく手順を決めてください。「1文を録音する → 返ってきた指摘を1つだけ選ぶ → 同じ文をもう一度録音する」。同じ文を2回録るところまでで1セットです。指摘を読んで次の文へ進む使い方を、この決め方で止められます。
NEWS FLASH
今日のニュース
先生に関係のある3本
JAPAN · 09.11
英検のデジタル証明書、不合格だった回も無料で出せるようになります
日本英語検定協会が、デジタル証明書の無償発行の対象を広げます。2026年9月15日の午後3時からです。対象は2018年度以降に受けた回で、従来型の英検、英検S-CBT、英検S-Interview、英検CBT、英検2020 1 day S-CBTが含まれます。これまで合格者は無料でしたが、不合格だった回のデジタル英検CSEスコア証明書も無料になります。受験者本人が自分のアカウントにログインし、「デジタル証明書」の欄から発行を申し込みます。紙の証明書は有料のままです。進路の書類でスコアを使う生徒がいるクラスでは、9月中に一度、出し方を確かめておくと出願期に慌てません。
JAPAN · 08.12
『英語教育』9月号の第1特集は、生成AIを使った授業の実践報告
大修館書店の月刊誌『英語教育』2026年9月号が、2026年8月12日に出ました。第1特集は「実践投稿でシェアする 生成AIを活用した英語授業」です。教科書本文の理解、中学生のやり取りを支える使い方、例文ドリルと質問対応スライド、リスニング指導での使い方など、現場からの報告が並びます。第2特集は「持続可能な英語教育のために 英語教師のウェルビーイング」で、ストレスの中身とセルフケアを扱っています。定価957円。AIの導入例だけを集めた号なので、自分の教室で試す前に、失敗も含めて読んでおける材料になります。
JAPAN · EVENT
ELECの冬期英語教育研修会は、12月25日から27日です
一般財団法人英語教育協議会(ELEC)の冬期英語教育研修会が、2026年12月25日(金)から27日(日)に開かれます。対象は中学校と高等学校の英語教師です。夏期の研修会はすべて終了しており、冬期の講座内容・受講料・申込開始日は、決まりしだい同じページに出ると書かれています。いまの時点では日程だけが出ている状態です。2学期に試したことを1つ持って行くと、講座の聞き方が変わります。
FREE TOOLS
無料の学習ツール4選
今号のテーマは「生徒が手本を自分で確かめて、言い直すための無料サイト」
Breaking News English
ニュースを題材にした英語の教材が3,658本、無料で置いてあります。Level 0(初級)から Level 6(上級)までの7段階。1本ごとに、オンラインの問題が11〜24問、速さを5段階に変えて聞ける音声、速読、ディクテーション(上の段階では10文の書き取り)、印刷用の手引き、話し合いの問い、文法・つづり・前置詞の問題が付きます。ディクテーションが入っているのがここの強みです。自分で書き取った文を音声と突き合わせる作業は、生徒が自分で直す場面そのものです。サイトには2004年からの著作権表示があり、Sean Banville の名前で続いています。
YouGlish
語や言い回しを打ち込むと、実際の動画の中でその語が言われている場面だけを次々に再生します。作られた音声ではありません。英語は US・UK・オーストラリア・カナダ・アイルランド・スコットランド・ニュージーランドの7つのなまりで絞り込めます。話し手の性別や品詞でも絞れます。英語を含めて24言語に対応。無料で、ページには寄付(Donate)の案内だけが出ています。「先生の言い方が全てではない」と生徒に見せるのに、2分あれば足ります。
Speechling
アメリカ・カリフォルニアの非営利団体(501(c)3)が運営しています。自分の声を録って送ると、発音・抑揚・リズム・文法・語の選び方について直しが返ります。サイトには24時間以内に返すと書かれています。プラットフォーム自体は「entirely free - for eternity(ずっと無料)」と明記されており、コーチによる無制限の添削だけが月19.99ドルです。英語は US と UK に対応。利用者は50万人以上。「直しが返ってくる」ではなく「録音してから返ってくる」ので、生徒は必ず一度は声を出します。
Tatoeba
例文とその訳を集めた、公開の文集です。収録は1,360万文を超え、430言語。クリエイティブ・コモンズのライセンスで公開されています。有志が文を足し、訳しています。音声が付いた文もあり、音声だけを一覧で開く欄が用意されています。1語を引くと、その語が入った文が並ぶので、辞書の語義だけでは決められない使い分けを、文の数で見られます。生徒が「この言い方で合っているか」を確かめたいとき、同じ形の文が並ぶかどうかが手がかりになります。
STORY BREAK
生徒に話したくなる小ネタ
授業の余り3分で話せる2本
correct は、もともと「まっすぐにする」でした
correct が英語に現れたのは1300年代の半ばです。ラテン語の correctus(動詞 corrigere の過去分詞)から来ました。corrigere の意味は「まっすぐに直す、曲がったものをまっすぐにしようとする、秩序を取り戻す」。中身は com-(強める働き)+ regere「まっすぐに導く、治める」です。
さかのぼると「まっすぐな線の上を動く」という意味の根(*reg-)に行き着きます。同じ根から出た語には、regular(規則的な)、direct(まっすぐな)、rule(規則)、royal(王の)が並びます。
面白いのは、英語に入ったときの最初の意味です。「罰を与えて、人を正しくする」。教室の直しというより、しつけのほうでした。文章を直すという意味で使われ始めたのは1300年代の終わりごろ、「正しい」という形容詞が出てくるのは1670年代です。動詞のほうが300年以上早く、しかも人に向いていました。
いま英語でどう使うかも、そのまま渡せます。Correct me if I'm wrong.(間違っていたら直してください)は、自分から直しを頼む言い方です。That's correct. なら「合っています」。生徒に言わせるなら、Am I correct? が短くて通じます。
mistake の take は、あの take です
mistake は、mis-(誤って)+ take(取る)でできています。もう1つ、古ノルド語の mistaka「取り違える、しくじる」から来たという説もあり、辞書はその2つが混ざった形かもしれないと書いています。
最初に現れるのは1300年代の半ばで、意味は「過ちを犯す」。1300年代の終わりには「誤解する、取り違えて受け取る」が加わります。名詞の mistake が出てくるのは、ずっとあとの1630年代です。
1897年の Century Dictionary は、mistake と error を分けています。mistake は判断や選び方を誤ることで、道徳的な落ち度は含まない。欠けているのは人柄ではなく、その場の見立てのほうだという書き分けです。生徒の間違いをどう呼ぶかを考えるとき、この区別はそのまま使えます。
いま英語でどう使うかは、2つ覚えれば足ります。make a mistake(do ではありません)。そして mistake A for B「AをBと取り違える」。語の中に take が入っていると知っていれば、この for の形が丸暗記ではなくなります。
QUOTE
今日の名言
間違いは、どこへ通じるのか
“A man of genius makes no mistakes. His errors are volitional and are the portals of discovery.”
天才は間違えない。その誤りは自分で選んだものであり、発見への入口になる。
ジェームズ・ジョイス『ユリシーズ』(1922年)第9挿話「スキュレとカリュブディス」で、スティーヴンが語る一文
広く出回っているのは Mistakes are the portals of discovery.(間違いは発見への入口)という短い形ですが、原文はこうではありません。ジョイスが書いたのは上の2文で、errors(誤り)と volitional(自分で選んだ)という語が落ちた形が独り歩きしました。
落ちた2語のほうが、教室では効きます。入口になるのは、ただの間違いではなく、本人が選んで通った誤りのほうです。こちらが先に正しい形を渡すと、生徒はその扉の前を通り過ぎます。
THE FLIP
常識がひっくり返る話
やさしく言い直してあげる形が、いちばん多くて、いちばん生徒を動かしていませんでした
生徒が He go to school every day. と言いました。
こちらは会話を止めません。Oh, he goes to school every day. と、正しい形で受け直して先へ進みます。間違いを指さないので恥をかかせず、話す気持ちも折れません。この形をリキャストといいます。
英語で授業を進めるほど、この形が増えます。いちいち止めていたら、45分で扱える量が半分になるからです。正しい形は耳に入っている。だから直っているはずだと考えます。
生徒のほうも、たいてい嫌な顔をしません。教室の空気は、この形がいちばん穏やかです。
ところが
1997年、Roy Lyster と Leila Ranta が、フランス語で教科を学ぶイマージョンの小学校のクラス4つを記録しました。教科の授業14回とフランス語の授業13回、合わせて18.3時間ぶんの授業のやり取りです。
教師の訂正を6つに分けて数えたところ、割合はこうなりました。
- ・リキャスト(正しい形で言い直してあげる)… 55%
- ・言いかけて止める … 14%
- ・もう一度言ってと聞き返す … 11%
- ・語の説明だけをする … 8%
- ・はっきり訂正する … 7%
- ・間違った部分をそのまま繰り返す … 5%
半分以上がリキャストです。問題は、そのあとに起きたことでした。
リキャストのあとに生徒が何か言ったのは31%。正しい形を言い直せたのは18%でした。
ここは読み違えないでください。リキャストは正しい形をこちらが渡してしまうので、この18%は、直前にこちらが言った形をなぞったものです。生徒が自分でたどり着いた言い直しは、リキャストでは1件もありませんでした。はっきり訂正する形も同じです。正しい形を渡す以上、生徒に残るのは復唱しかありません。
いっぽう、言いかけて止める形(n=94)では、生徒は100%が何かを言い、46%が自分で正しい形にたどり着いています。正しい形を渡していないので、直せたならそれは生徒自身の力です。いちばん多く使われていた形が、生徒の口をいちばん動かしていませんでした。
ここは正確に読んでください。この研究が数えたのは教室で起きたことで、テストで力が伸びたかどうかは測っていません。リキャストが効かないと証明した研究ではありません。
その後の結果も出ています。2010年、同じ Lyster が Kazuya Saito と、教室で行われた15の研究・827人ぶんをまとめたメタ分析を出しました。訂正フィードバックにははっきりした効果があり、時間がたっても残る。そのうえで、効果は言い直させる形(prompts)のほうが、リキャストより大きいという結果でした。自由に英語を作らせる測り方をしたときに、差がいちばん出ています。
だから、リキャストをやめる必要はありません。足すものが1つあるだけです。Now you say it.(では、あなたが言ってみて)。1997年の研究が、この4語を試したわけではありません。ただ、18%と46%を分けていたのは、生徒の口が動いたかどうかでした。この4語は、そこに手をかけます。
明日の授業でやること|明日の授業で、直したあとに1つ足す
- いつもどおり、正しい形で言い直してあげる。ここは変えない
- そのまま次へ進まず、Now you say it. と足す。生徒が同じ文を言うまで待つ
- 生徒が言えたら、何も言わずに次へ進む。よくできましたと足すと、そこで区切りが付いて、生徒はもう1回言わない
- 3回に1回は、言い直してあげる前に Is it go or goes? と2つ並べて選ばせる
この号で触れたリンク
- ReseEd|英語教育AI活用事例集、文科省が公開…326校の実践
- 文部科学省|AIの活用による英語教育強化事業 プラットフォームサイト
- 文部科学省|英語教育におけるAI活用の事例集(令和8年3月31日)
- ReseEd|英検デジタル証明書、無償発行対象を拡大…9/15午後3時から
- 大修館書店|英語教育 2026年9月号
- ELEC(一般財団法人英語教育協議会)|英語教育研修会
- Lyster, R. & Ranta, L.『Corrective Feedback and Learner Uptake: Negotiation of Form in Communicative Classrooms』Studies in Second Language Acquisition 19巻1号 37〜66ページ(1997年)
- ERIC|同論文の書誌情報(EJ539354)
- Lyster, R. & Saito, K.『Oral Feedback in Classroom SLA: A Meta-Analysis』Studies in Second Language Acquisition 32巻2号 265〜302ページ(2010年)
- Online Etymology Dictionary|correct
- Online Etymology Dictionary|mistake
- Wikiquote|Ulysses(第9挿話の一文)
- MagicSchool(作文への指摘を基準つきで作る)
- ELSA Speak(話した英語にその場で指摘が返る)
- Breaking News English(7段階・3,658本の無料教材)
- YouGlish(実際の動画で語の言い方を聞く)
- Speechling(録音を送ると直しが返る非営利のサイト)
- Tatoeba(1,360万文を超える公開例文集)
今日の号でお願いしたいのは、4語だけです。Now you say it.
こちらが正しい形を言うところまでは、これまでどおりで構いません。変えるのは、そのあとに次の生徒を指すか、同じ生徒にもう一度言わせるかの分かれ道だけです。1回につき3秒かかります。45分の授業で5回足しても、15秒です。
またあした。
Vol.36 09.14.2026
よくある質問
リキャスト(言い直してあげる形)は、使ってはいけないのですか。
そうではありません。1997年の Lyster と Ranta の観察で分かったのは、リキャストのあとに生徒が正しい形を言い直す割合が低かったことです(18%)。しかもリキャストは正しい形をこちらが渡してしまうので、その18%は生徒が自力でたどり着いた形ではありません。テストで伸びたかどうかを測った研究ではありません。2010年に同じ Lyster が Saito とまとめたメタ分析では、訂正フィードバック全体に効果があり、その効果は言い直させる形のほうが大きいという結果でした。やめるのではなく、あとに1つ足すのが今日の提案です。
言い直させる形とは、具体的にどれですか。
1997年の研究が数えた6つのうち、4つがこれにあたります。言いかけて止める(elicitation)、もう一度言ってと聞き返す(clarification request)、語の説明だけをする(metalinguistic feedback)、間違った部分をそのまま繰り返す(repetition)です。残り2つ、リキャストと明示的な訂正は、正しい形をこちらが渡す形です。
間違いをその場で直すと、生徒が話さなくなりませんか。
だから、正しい形を渡さない形が要ります。Is it go or goes? のように2つ並べて選ばせれば、どこを見ればよいかは伝わり、答えは生徒の口から出ます。教室英語の5本は、全部この考え方で選んであります。