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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
ONE NEWS A DAY 第26回 標準 読了 9分

hoaxの意味は?AIの帽子猫が英国を震え上がらせた

1日1本! ニュース英語 第26回

英国とアイルランドで、AIが作った『帽子をかぶった猫』の不気味な映像がSNSで拡散し、実在する殺人鬼がいるかのような恐怖が広がりました。警察が相次いで否定に追われた今回の騒動から、hoax(でっち上げ)とspook(怖がらせる)という2つの英単語を読み解きます。

監修:原田高志(原田英語.com)

今日は、SNSで一気に広まった『AIが作った不気味なキャラクター』の話です。実際には誰もいないのに、なぜ警察まで動くことになったのでしょうか。英文で読んでみましょう。

見出し

UK Police Forced To Clarify Viral 'Cat in the Hat Serial Killer' Isn't Real After AI Videos Spook Residents

英国警察、拡散するAI動画に対応|『帽子の猫連続殺人鬼』は実在しないと表明

出典: IBTimes UK(2026年8月26日)

本文

AI-generated videos of a life-sized Cat in the Hat have gone viral in the UK and Ireland.

The clips show the character standing in driveways and peering through windows, sometimes holding a knife.

Police in Wexford, South Yorkshire, Cheshire and Cumbria all had to confirm publicly that the sightings are fake.

One 16-year-old told the BBC she got so scared during a sleepover that she called her mother for a ride home.

チェック

語句意味英語の定義
AI-generated AIが生成した made or created by using artificial intelligence rather than being real
life-sized 実物大の the same size as a real person, animal, or thing
go viral (動画などが)急速に拡散する to spread very quickly online and be seen or shared by a huge number of people
peer through 〜越しにじっと見る、のぞき込む to look carefully at something that is difficult to see clearly
confirm (事実だと)確認する、明言する to state officially that something is true
sighting 目撃情報、目撃例 an occasion when someone sees something unusual or rare

全文和訳

実物大の『帽子をかぶった猫』が写ったAI生成の動画が、英国とアイルランドで拡散した。映像には、その猫が私道に立っていたり窓越しにのぞき込んだりする様子が映っており、ナイフを持っているように見える版もある。ウェックスフォード、サウスヨークシャー、チェシャー、カンブリアの各警察は、そろって『目撃情報は偽物だ』と公式に表明することになった。ある16歳の少女はBBCの取材に対し、外泊中にあまりに怖くなり、母親に迎えを頼んだと語った。

訳出のポイント

hoax でっち上げ、いたずら。人をだますための作り話

hoaxという語は18世紀の終わりに記録に現れた語で、手品師の呪文hocus pocusのhocusを短くしたものだと考えられています。hocus pocusという言葉自体は17世紀前半にはすでに使われており、当時の手品師が唱えた『hax pax max Deus adimax』という、ラテン語もどきの呪文が元になっているという説があります。

1796年には動詞としてのhoaxが辞書『Grose's Classical Dictionary of the Vulgar Tongue』に載り、その10年ほどあとには名詞としても定着しました。手の込んだ、あるいはいたずら心のあるでっち上げという、いまと同じ意味です。

今回のCat in the Hat騒動は、まさに現代のhoaxです。実在する住宅街の映像にAIで作った猫を重ねただけなのに、多くの人が本物の事件だと信じてしまいました。

The police confirmed that the terrifying videos were part of an elaborate hoax.

警察は、その恐ろしい動画が手の込んだでっち上げの一部だったと確認した。

手品の呪文hocus pocusが縮んで、いたずらの意味に化けた語。

動画で見る

『帽子をかぶった猫連続殺人鬼』騒動をAIパニックとして報じるニュース映像 (TalkTV) SNSで映像がどう広まり、なぜ多くの人が信じてしまったのかが手短にまとまっています。

Police Forced To Clarify 警察が説明を迫られた(見出しでのbe動詞の省略)

英字ニュースの見出しでは、Police Forced To Clarify のように、本来あるはずのare/wereが省かれます。文の形に直すと Police were forced to clarify … となり、be forced to do(〜せざるを得ない、〜することを強いられる)という受け身の形が隠れています。

見出しは限られたスペースに情報を詰め込むための独自のルールを持っており、be動詞・冠詞・接続詞をできるだけ省きます。be動詞が見当たらない見出しに出会ったら、動詞の原形やing形・過去分詞の前にwas/wereやis/areを補って読むと、文の骨格が見えてきます。

今回の見出しも、Policeが主語、Forced(過去分詞)の前にwereを補うと、Police were forced to clarify that the killer isn't real(警察は、殺人鬼が実在しないと説明せざるを得なかった)という文になります。

Residents were forced to leave their homes because of the flood.

住民たちは洪水のせいで自宅を離れることを余儀なくされた。

見出しのbe動詞は消えている前提で読み、あとから補う。

spook 〜を怖がらせる、おびえさせる(動詞)

spookはオランダ語のspook(幽霊)に由来し、中期オランダ語のspooc・spoockeまでさかのぼります。ドイツ語のSpuk(幽霊、化け物)やスウェーデン語のspok(かかし)なども同じゲルマン語族の仲間です。

まず英語に入ったのは『幽霊』という名詞のほうで、1801年、アメリカの新聞に載ったユーモラスな詩に出てくるのが早い例だとされています。ニューヨーク州オールバニに住むオランダ系の老人が語り手、という設定の詩でした。いま習っている『怖がらせる』という他動詞の使い方は、そこからずっとあとの1930年代に広まったものだとされています。

Cat in the Hatの動画は、まさにこのspookの実例です。実際に幽霊や殺人鬼が現れたわけではないのに、多くの住民が本気で怖がってしまいました。

The eerie videos spooked residents across several towns.

その不気味な動画は、いくつもの町の住民を怖がらせた。

spookの語源はオランダ語の『幽霊』。

発音・リズム

hoaxは「ホウクス」と、oaの部分を二重母音/oʊ/で伸ばして発音します。『ホア・ックス』のように区切らないよう注意してください。spookのoo部分は/uː/で、『スプーク』と伸ばして読みます。

背景メモ

AIで作られたCat in the Hatの映像は、まずアイルランドのウェックスフォード州などで話題になり、その後英国のウォリントンやサウスヨークシャーなど各地に広がりました。ガルディー(アイルランド警察)と、英国のサウスヨークシャー・チェシャー・カンブリアの各警察が、2026年8月下旬にかけて相次いで『実在の事件ではない』と公表する事態になりました。ウェックスフォードのガルディーは、これはAIのプロンプトが見慣れた場所の画像・動画にキャラクターを合成しているだけだと説明しています。

今日のまとめ

  1. 1 英国とアイルランドで、AIが作った『帽子をかぶった猫』の不気味な映像がSNSで拡散した。
  2. 2 アイルランドのガルディー、英国のサウスヨークシャー・チェシャー・カンブリア各警察が、実在の事件ではないと相次いで公表した。
  3. 3 実在しない『ヨークシャー警察』の名前をかたる偽の注意喚起まで出回り、騒動を後押しした。
  4. 4 16歳の少女が動画を見て怖くなり、外泊先から母親に迎えを頼んだという。

編集後記

AIが作った映像1本で、実在しない事件が『本当にあった話』として広まってしまう。今回のCat in the Hat騒動は、そのことをよく示しています。

英語のニュースを読むときも、驚くような話ほど、誰が確認したのかを見る癖をつけると安心です。今回の記事でも、警察が公式に否定したという一文が、いちばん大事な部分でした。

明日は、SNSで見かけた気になる話題を1つ選び、その出どころが報道機関なのか、それとも個人の投稿なのかを確かめてみてください。

原田高志

確認クイズ

  1. Q1. The AI-generated videos ______ many residents into believing a killer was nearby.

  2. Q2. 『でっち上げ、人をだます作り話』という意味の語はどれですか。

よくある質問

Cat in the Hatとは誰ですか?

アメリカの絵本作家ドクター・スースが1957年に発表した絵本の主人公で、赤と白のしましま帽子をかぶった猫のキャラクターです。2003年には実写映画にもなりました。

この動画は誰が作ったのですか?

特定の1人ではなく、複数のSNSユーザーがAI動画生成ツールを使い、それぞれCat in the Hatの映像を作って投稿したと報じられています。