gross の意味は?「グロい」と同じ語|興行収入10億ドル
1日1本!ニュース英語 第1号
マイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael』が、世界興行収入10億ドルを突破しました。実在の人物を描いた映画としては史上初。『ボヘミアン・ラプソディ』も『オッペンハイマー』も抜き去りました。今日の主役は gross。総収入を表すこの語が、じつは日本語の「グロい」の語源でもあります。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日の題材は映画です。マイケル・ジャクソンの伝記映画が、実在の人物を描いた映画として史上初めて10億ドルを超えました。ニュースを読むと必ず出てくるのが gross という語。「総収入を上げる」という意味ですが、この語をたどると、スーパーマーケットと、若者が使う「グロい」に行き着きます。同じ1語です。
見出し
'Michael' Crosses $1 Billion, First Biopic to Surpass Coveted Box Office Milestone
『Michael』が10億ドルを突破。伝記映画として初めて、あの大台を超えた
出典: Variety(2026年7月)
本文
The Michael Jackson biopic "Michael" has passed one billion dollars at the global box office.
No other film about a real person has ever reached that number.
It is now the top-grossing music biopic, ahead of "Bohemian Rhapsody."
In the United States, the film started streaming on August 10.
チェック
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| biopic | 伝記映画 biographical picture を縮めた語。読みは「バイオピック」です | a film about the life of a real person |
| box office | 興行収入、チケット売り場 | the money a film earns from ticket sales |
| pass ~ | (数値を)超える、上回る | to go beyond a particular number or level |
| reach ~ | ~に到達する、届く | to get to a particular level or amount |
| top-grossing | 最も興行収入の多い gross(総収入を上げる)の現在分詞。highest-grossing とも言います | earning more money than any other |
| ahead of ~ | ~を上回って、~の前に | in front of someone or something in a ranking |
| surpass ~ | ~を上回る、しのぐ 見出しで使われている硬い語。sur-(上に)+ pass(通る) | to be better or greater than something else |
| milestone | 節目、画期的な出来事 もとは道路脇に置かれた1マイルごとの石。距離を刻む目印です | an important point in the progress of something |
| start streaming | 配信が始まる | to become available to watch online |
全文和訳
マイケル・ジャクソンの生涯を描いた伝記映画『Michael』の世界興行収入が、10億ドルを突破しました。実在の人物を扱った映画でこの数字に届いたのは、史上初めてのことです。
音楽の伝記映画としても、これまで首位だった『ボヘミアン・ラプソディ』を抜いて1位に立ちました。アメリカでは8月10日から配信も始まっています。
訳出のポイント
gross 総額の、(興行収入などを)稼ぎ出す
興行収入のニュースでは、必ずこの語が出てきます。gross は「差し引く前の総額」。反対語は net(正味)で、こちらは経費や税を引いたあとの手取りです。給与明細の「額面」と「手取り」の関係だと思ってください。
語源はラテン語の grossus で、意味は「太い」「大きい」。ここから中世の商売で「まとめて大口で売る」という意味が生まれました。その大口の商人を指す語が grocer。いまスーパーマーケットを指す grocery store の grocer は、もともと「箱でまとめ買いする商人」だったわけです。
そして同じ「太い、粗い」の系統から、もう1つの意味が伸びています。gross=下品な、気持ち悪い。That's gross! で「うわ、キモい」。日本語の「グロい」は、このgross がそのまま入った言葉です。
総収入の gross と、キモいの gross。まったく別の語に見えて、たどると「大ざっぱで、太くて、細かく分けていない」という1つの感覚から枝分かれしています。
The film grossed over one billion dollars worldwide.
その映画は世界で10億ドル以上を稼ぎ出した。
My gross pay looks great until I see the net.
額面の給料は立派に見えます。手取りを見るまでは。
box office 興行収入、チケット売り場
映画の話に必ず出てくるこの語も、由来をたどると劇場の中に行き着きます。
もともと box は劇場の桟敷席(ボックス席)のこと。その席を予約するための窓口が box office でした。やがて意味が窓口そのものから、そこを通ったお金の総額へ広がります。
使い方は3通り覚えておけば足ります。at the box office(興行成績で)、a box-office hit(大ヒット作)、box-office bomb(大コケ作品)。bomb は爆弾ではなく「爆死」で、日本語のネットスラングとほぼ同じ発想です。
数字の言い方も一緒に。10億は one billion。日本語の「億」と桁がずれるので、billion=10億、million=100万と丸ごと覚えてしまうのが早道です。
The movie was a box-office bomb, but fans still love it.
その映画は興行的には大コケしましたが、ファンにはいまも愛されています。
First Biopic to Surpass 見出し英語のワンポイント:序数のあとの to不定詞
見出しの後半 First Biopic to Surpass Coveted Box Office Milestone を見てください。First のあとに to不定詞が続いています。
これは the first ... to do で「~した最初の…」という形です。the first man to walk on the moon なら「月を歩いた最初の人」。first、second、last、only、そして最上級のあとでは、to不定詞が「~した」という意味で後ろから名詞を説明します。これから~する、ではありません。
ややこしいのは、新聞の見出しでは同じ to不定詞がこれからの予定も表すことです。PM to visit Tokyo なら「首相が東京を訪問する予定」。見分け方は前の語で、序数や最上級があれば「~した」、名詞だけなら「~する予定」と読みます。
ついでに coveted は「誰もが欲しがる」。covet(切望する)の過去分詞で、賞やタイトルの前によく置かれます。
She was the first student to finish the exam.
彼女はその試験を最初に解き終えた生徒だった。
Prime Minister to visit Osaka next week.
首相、来週に大阪訪問へ。
こちらは見出し。同じ to不定詞でも「これからの予定」です
発音・リズム
biopic は /ˈbaɪoʊpɪk/「バイオピック」。bio(生涯)と pic(映画)をつないだ語なので、頭の bio を「バイオ」と読みます。「ビオピック」ではありません。
gross は /ɡroʊs/「グロウス」。日本語の「グロい」より、oを長めに転がします。net /net/ と並べて、gross and net で覚えてしまうと現場で迷いません。
背景メモ
『Michael』の世界興行収入は10億100万ドル。内訳は北米が3億7180万ドル、北米以外が6億2980万ドルです。これまでの記録は、実在の人物を描いた映画では『オッペンハイマー』の9億7500万ドル、音楽の伝記映画では『ボヘミアン・ラプソディ』の9億1100万ドルでした。その両方を抜いたことになります。
監督はアントワン・フークア。マイケル・ジャクソン役を演じたのは、実の甥にあたるジャファー・ジャクソンで、これが俳優としての初仕事でした。配給のライオンズゲートにとっても、初めての10億ドル作品です。
アメリカでは8月10日から Starz で配信が始まりました。
今日のまとめ
- 1 『Michael』が世界興行収入10億ドルを突破。伝記映画では史上初
- 2 『オッペンハイマー』と『ボヘミアン・ラプソディ』の記録を同時に更新した
- 3 gross は「差し引く前の総額」。grocery も「グロい」も同じ語源
- 4 見出しの first ... to do は「~した最初の…」。to だけなら「~する予定」
編集後記
gross のいいところは、入試に出る意味と、ふだん耳にする言葉が、1本の線でつながるところです。日本語の「グロい」は、この gross から来ています。
総収入の gross も、気持ち悪いの gross も、もとは「太い、大ざっぱ、細かく分けていない」。細かく仕分けられていないものは、量としては大きく、見た目としては粗い。そこから両方に伸びました。語源を調べる値打ちは、こういうところにあります。知っている言葉と、知らない言葉が1本でつながると、単語は覚えやすくなります。
今日おぼえるなら、gross と net の対です。額面と手取り、総収入と純利益。ニュース英語では、この2語はほぼ必ず並んで出てきます。片方だけ覚えても使えません。
原田高志
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確認クイズ
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Q1. 空所に入る語として最も適切なものはどれでしょう。 The film ____ over one billion dollars worldwide.
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Q2. the first biopic to surpass the milestone の to不定詞は、どの意味でしょう。
よくある質問
gross と net は、どう使い分けますか。
gross は差し引く前、net は差し引いたあとです。gross pay(額面の給料)と net pay(手取り)、gross sales(総売上)と net profit(純利益)のように、ほぼ必ず対で登場します。片方を覚えるときは、もう片方も一緒に入れておくのが得です。
biopic は bio-pic と切って読むのですか。
はい。biographical(伝記の)と picture(映画)を縮めてつないだ語なので、bio と pic の合わせ技です。発音も /ˈbaɪoʊpɪk/ で、頭の bio を「バイオ」と読みます。
興行収入の10億ドルは、日本円だといくらですか。
為替で変わりますが、1ドル150円なら1500億円ほどです。英語の billion は10億、million は100万。日本語の「億」「万」と桁の区切りが違うので、数字ごと丸暗記してしまうのが安全です。