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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
ONE NEWS A DAY 第1回 標準 読了 9分

gross の意味は?「グロい」と同じ語|興行収入10億ドル

1日1本!ニュース英語 第1号

マイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael』が、世界興行収入10億ドルを突破しました。実在の人物を描いた映画としては史上初。『ボヘミアン・ラプソディ』も『オッペンハイマー』も抜き去りました。今日の主役は gross。総収入を表すこの語が、じつは日本語の「グロい」の語源でもあります。

監修:原田高志(原田英語.com)

今日の題材は映画です。マイケル・ジャクソンの伝記映画が、実在の人物を描いた映画として史上初めて10億ドルを超えました。ニュースを読むと必ず出てくるのが gross という語。「総収入を上げる」という意味ですが、この語をたどると、スーパーマーケットと、若者が使う「グロい」に行き着きます。同じ1語です。

見出し

'Michael' Crosses $1 Billion, First Biopic to Surpass Coveted Box Office Milestone

『Michael』が10億ドルを突破。伝記映画として初めて、あの大台を超えた

出典: Variety(2026年7月)

本文

The Michael Jackson biopic "Michael" has passed one billion dollars at the global box office.

No other film about a real person has ever reached that number.

It is now the top-grossing music biopic, ahead of "Bohemian Rhapsody."

In the United States, the film started streaming on August 10.

チェック

語句意味英語の定義
biopic 伝記映画 biographical picture を縮めた語。読みは「バイオピック」です a film about the life of a real person
box office 興行収入、チケット売り場 the money a film earns from ticket sales
pass ~ (数値を)超える、上回る to go beyond a particular number or level
reach ~ ~に到達する、届く to get to a particular level or amount
top-grossing 最も興行収入の多い gross(総収入を上げる)の現在分詞。highest-grossing とも言います earning more money than any other
ahead of ~ ~を上回って、~の前に in front of someone or something in a ranking
surpass ~ ~を上回る、しのぐ 見出しで使われている硬い語。sur-(上に)+ pass(通る) to be better or greater than something else
milestone 節目、画期的な出来事 もとは道路脇に置かれた1マイルごとの石。距離を刻む目印です an important point in the progress of something
start streaming 配信が始まる to become available to watch online

全文和訳

マイケル・ジャクソンの生涯を描いた伝記映画『Michael』の世界興行収入が、10億ドルを突破しました。実在の人物を扱った映画でこの数字に届いたのは、史上初めてのことです。

音楽の伝記映画としても、これまで首位だった『ボヘミアン・ラプソディ』を抜いて1位に立ちました。アメリカでは8月10日から配信も始まっています。

訳出のポイント

gross 総額の、(興行収入などを)稼ぎ出す

興行収入のニュースでは、必ずこの語が出てきます。gross は「差し引く前の総額」。反対語は net(正味)で、こちらは経費や税を引いたあとの手取りです。給与明細の「額面」と「手取り」の関係だと思ってください。

語源はラテン語の grossus で、意味は「太い」「大きい」。ここから中世の商売で「まとめて大口で売る」という意味が生まれました。その大口の商人を指す語が grocer。いまスーパーマーケットを指す grocery store の grocer は、もともと「箱でまとめ買いする商人」だったわけです。

そして同じ「太い、粗い」の系統から、もう1つの意味が伸びています。gross=下品な、気持ち悪い。That's gross! で「うわ、キモい」。日本語の「グロい」は、このgross がそのまま入った言葉です。

総収入の gross と、キモいの gross。まったく別の語に見えて、たどると「大ざっぱで、太くて、細かく分けていない」という1つの感覚から枝分かれしています。

The film grossed over one billion dollars worldwide.

その映画は世界で10億ドル以上を稼ぎ出した。

My gross pay looks great until I see the net.

額面の給料は立派に見えます。手取りを見るまでは。

gross は「まだ引いていない、太いままの数字」。だから総収入で、だからグロい。

box office 興行収入、チケット売り場

映画の話に必ず出てくるこの語も、由来をたどると劇場の中に行き着きます。

もともと box は劇場の桟敷席(ボックス席)のこと。その席を予約するための窓口が box office でした。やがて意味が窓口そのものから、そこを通ったお金の総額へ広がります。

使い方は3通り覚えておけば足ります。at the box office(興行成績で)、a box-office hit(大ヒット作)、box-office bomb(大コケ作品)。bomb は爆弾ではなく「爆死」で、日本語のネットスラングとほぼ同じ発想です。

数字の言い方も一緒に。10億は one billion。日本語の「億」と桁がずれるので、billion=10億、million=100万と丸ごと覚えてしまうのが早道です。

The movie was a box-office bomb, but fans still love it.

その映画は興行的には大コケしましたが、ファンにはいまも愛されています。

box は桟敷席。その予約窓口が box office、通ったお金が興行収入。

First Biopic to Surpass 見出し英語のワンポイント:序数のあとの to不定詞

見出しの後半 First Biopic to Surpass Coveted Box Office Milestone を見てください。First のあとに to不定詞が続いています。

これは the first ... to do で「~した最初の…」という形です。the first man to walk on the moon なら「月を歩いた最初の人」。first、second、last、only、そして最上級のあとでは、to不定詞が「~した」という意味で後ろから名詞を説明します。これから~する、ではありません。

ややこしいのは、新聞の見出しでは同じ to不定詞がこれからの予定も表すことです。PM to visit Tokyo なら「首相が東京を訪問する予定」。見分け方は前の語で、序数や最上級があれば「~した」、名詞だけなら「~する予定」と読みます。

ついでに coveted は「誰もが欲しがる」。covet(切望する)の過去分詞で、賞やタイトルの前によく置かれます。

She was the first student to finish the exam.

彼女はその試験を最初に解き終えた生徒だった。

Prime Minister to visit Osaka next week.

首相、来週に大阪訪問へ。

こちらは見出し。同じ to不定詞でも「これからの予定」です

first+to不定詞は「~した最初の」。見出しの to だけは「~する予定」。

発音・リズム

biopic は /ˈbaɪoʊpɪk/「バイオピック」。bio(生涯)と pic(映画)をつないだ語なので、頭の bio を「バイオ」と読みます。「ビオピック」ではありません。

gross は /ɡroʊs/「グロウス」。日本語の「グロい」より、oを長めに転がします。net /net/ と並べて、gross and net で覚えてしまうと現場で迷いません。

背景メモ

『Michael』の世界興行収入は10億100万ドル。内訳は北米が3億7180万ドル、北米以外が6億2980万ドルです。これまでの記録は、実在の人物を描いた映画では『オッペンハイマー』の9億7500万ドル、音楽の伝記映画では『ボヘミアン・ラプソディ』の9億1100万ドルでした。その両方を抜いたことになります。

監督はアントワン・フークア。マイケル・ジャクソン役を演じたのは、実の甥にあたるジャファー・ジャクソンで、これが俳優としての初仕事でした。配給のライオンズゲートにとっても、初めての10億ドル作品です。

アメリカでは8月10日から Starz で配信が始まりました。

今日のまとめ

  1. 1 『Michael』が世界興行収入10億ドルを突破。伝記映画では史上初
  2. 2 『オッペンハイマー』と『ボヘミアン・ラプソディ』の記録を同時に更新した
  3. 3 gross は「差し引く前の総額」。grocery も「グロい」も同じ語源
  4. 4 見出しの first ... to do は「~した最初の…」。to だけなら「~する予定」

編集後記

gross のいいところは、入試に出る意味と、ふだん耳にする言葉が、1本の線でつながるところです。日本語の「グロい」は、この gross から来ています。

総収入の gross も、気持ち悪いの gross も、もとは「太い、大ざっぱ、細かく分けていない」。細かく仕分けられていないものは、量としては大きく、見た目としては粗い。そこから両方に伸びました。語源を調べる値打ちは、こういうところにあります。知っている言葉と、知らない言葉が1本でつながると、単語は覚えやすくなります。

今日おぼえるなら、gross と net の対です。額面と手取り、総収入と純利益。ニュース英語では、この2語はほぼ必ず並んで出てきます。片方だけ覚えても使えません。

原田高志

動画で見る

伝記映画『Michael』が世界興収10億ドルを突破したことを伝えるニュース映像 (WION) 伝記映画として史上初の10億ドル突破という記録の背景を解説しています

確認クイズ

  1. Q1. 空所に入る語として最も適切なものはどれでしょう。 The film ____ over one billion dollars worldwide.

  2. Q2. the first biopic to surpass the milestone の to不定詞は、どの意味でしょう。

よくある質問

gross と net は、どう使い分けますか。

gross は差し引く前、net は差し引いたあとです。gross pay(額面の給料)と net pay(手取り)、gross sales(総売上)と net profit(純利益)のように、ほぼ必ず対で登場します。片方を覚えるときは、もう片方も一緒に入れておくのが得です。

biopic は bio-pic と切って読むのですか。

はい。biographical(伝記の)と picture(映画)を縮めてつないだ語なので、bio と pic の合わせ技です。発音も /ˈbaɪoʊpɪk/ で、頭の bio を「バイオ」と読みます。

興行収入の10億ドルは、日本円だといくらですか。

為替で変わりますが、1ドル150円なら1500億円ほどです。英語の billion は10億、million は100万。日本語の「億」「万」と桁の区切りが違うので、数字ごと丸暗記してしまうのが安全です。