clockの意味は?ロボットが100mでボルトを破った日
1日1本!ニュース英語 第14号
中国のスマートフォンメーカーHonorが開発した二足歩行ロボット「Lightning」が、北京での試験走行で100メートルを9.32秒で走りました。ウサイン・ボルトの公式世界記録9.58秒を上回るタイムです。ただし今回は正式な大会ではなく、本番前の準備走行でした。今日の語は clock。『時計』のこの語が、なぜ『タイムを計る』という動詞になるのかを見ていきます。
監修:原田高志(原田英語.com)
人間よりも速く走るロボットがいたら、それはもう『新記録』と呼んでいいのでしょうか。中国で開発されたロボット Lightning が、100メートル走でウサイン・ボルトのタイムを上回りました。ただし話には続きがあります。今日はこの実話から、動詞としての clock を掘り下げます。
見出し
Chinese robot beats Usain Bolt's 100m world record in test run
中国のロボット、試験走行でウサイン・ボルトの100m世界記録を上回る
本文
A humanoid robot named Lightning clocked 100 meters in just 9.32 seconds during a test run in Beijing.
That time is faster than Usain Bolt's official world record of 9.58 seconds, set back in 2009.
It reached a peak speed of 14.5 meters per second during the sprint.
Engineers at the Chinese company Honor had lengthened the robot's legs by 10 centimeters before the run.
Because it was only a preparatory test, the run will not count as an official world record.
チェック
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| humanoid | 人間の形をした(ロボット) | having a shape or appearance similar to a human being |
| clock | (タイムを)記録する、計測する | to measure or record how fast something moves, or how long something takes |
| peak speed | 最高速度 | the fastest speed reached during a particular activity |
| engineer | 技術者、エンジニア | a person who designs, builds, or repairs machines and technical systems |
| lengthen | 長くする | to make something longer |
| preparatory | 準備のための、予備の | done in order to prepare for something that will happen later |
| official | 公式の、正式な | recognized and approved by an authority, not just informal |
全文和訳
Lightning という名の二足歩行ロボットが、北京での試験走行で100メートルをわずか9.32秒で走りました。このタイムは、2009年に樹立されたウサイン・ボルトの公式世界記録9.58秒を上回るものです。ロボットは走行中、最高で秒速14.5メートルに達しました。中国の企業Honorの技術者たちは、走行前にこのロボットの脚を10センチ長くしていました。ただし今回はあくまで本番前の準備走行だったため、このタイムは公式な世界記録としては扱われません。
訳出のポイント
clock (タイムを)記録する、計測する
clock はもちろん『時計』を意味する名詞です。ところがスポーツやレースの記事では、動詞としてもよく使われます。『時計で計った』という発想がそのまま動詞になり、『(あるタイムを)記録する』という意味を持つようになりました。今回のニュースでも "clocked 100 meters in 9.32 seconds"(100メートルを9.32秒で走った)という形で使われています。
似た語に record と time があります。record は『記録する』という一般的な語で、書類にも使えます。time は『時間を計る』という動作そのものを指します。clock はこの2つよりくだけた語で、スポーツ実況やニュースの見出しでよく使われるのが特徴です。
clock にはもう1つ、覚えておきたい使われ方があります。速度違反の取り締まりです。速度を計測するレーダーが車の速度を『記録する』ときにも、この clock が使われます。
The sprinter clocked a personal best of 9.98 seconds in the final.
その短距離選手は決勝で自己ベストの9.98秒を記録した。
A speed camera clocked the car at 140 kilometers per hour in a 100 zone.
速度取締カメラが、その車を制限速度100の区間で140キロと記録した。
動画で見る
beats(見出しの現在形) 見出しでは、すでに起きた出来事も現在形で書く
今回の見出しは "Chinese robot beats Usain Bolt's 100m world record in test run" でした。この出来事はもう起きたことなのに、動詞は過去形の beat ではなく現在形の beats になっています。
英語のニュース見出しには、独自の時制のルールがあります。すでに起きた出来事でも、目の前で起きているかのような臨場感を出すために、現在形で書くのが決まりです。本文(lead)のほうは通常どおり過去形(clocked、reached、lengthened)で書かれていて、時制が使い分けられています。
このルールを知らないと、見出しだけを読んで『いま起きている最中の出来事だ』と誤解してしまいます。見出しは現在形、本文は過去形。この対応を覚えておくと、英字新聞の見出しがぐっと読みやすくなります。
Robot Beats World Record (見出し)
ロボットが世界記録を破る(見出し。実際にはもう起きたこと)
The robot beat the human world record yesterday. (本文)
そのロボットは昨日、人間の世界記録を破った。(本文)
beat a record と break a record どちらも『記録を更新する』意味で使われる、似た2つの言い方
『記録を更新する』という意味では、break a record がいちばんよく使われる言い方です。record という物そのものを『壊す』というイメージです。
一方、今回の見出しのように beat + 人の名前's record(〇〇の記録を beat する)という形も、実際によく使われます。誰か特定の人物が持つ記録と比べるときに好んで選ばれる、という傾向があります。ただし break Usain Bolt's record も誤りではなく、2つの言い方がかなり重なって使われているのが実情です。
迷ったときは、record 単独なら break、〇〇's record(人の記録)なら beat、くらいの目安で覚えておくと、見出しを読むときに引っかかりにくくなります。
She broke the school record for the 200m.
彼女は200メートルの校内記録を更新した。
He finally beat his older brother's record.
彼はついに兄の記録を上回った。
発音・リズム
humanoid は、最初の hu を強く読みます。カタカナの『ヒューマノイド』はどこも同じ強さで平板に読みますが、英語では続く ma があいまいな短い音になり、頭とうしろで長さがはっきり違います。
背景メモ
この結果は、北京で2026年8月22日に開幕した第2回世界人形機器人運動会(World Humanoid Robot Games)を前にした準備走行で記録されました。ロボットLightningは身長169センチで、大会前に脚の長さが10センチ延長され、1.05メートルになっています。中国の国営メディアがこの記録を報じました。
1年前と比べると、速さの伸びがよく分かります。2025年8月に開かれた第1回大会の100メートルで優勝したのは、北京のTiangong Ultraというロボットで、タイムは21秒50でした。今回は正式なレースではなく準備走行ですが、それでも1年でこれだけ差がついています。
Lightningが人間の記録に迫ったのはこれが初めてではありません。2026年4月には北京のハーフマラソン(21キロ)に出場し、50分26秒で完走しました。これは、人間のエリート選手が持つ世界記録のペースを上回るタイムです。
今回の100メートル走は、あくまで大会前の試験走行であり、国際的な記録として公式に認定されたものではありません。
今日のまとめ
- 1 中国企業Honor製のロボット「Lightning」が、北京での試験走行で100メートルを9.32秒で走った
- 2 このタイムは、ウサイン・ボルトの公式世界記録9.58秒を上回っている
- 3 ただし正式な大会ではなく準備走行だったため、公式記録としては扱われない
- 4 clock はもともと『時計』を意味する名詞だが、動詞では『タイムを記録する』という意味になる
編集後記
『世界記録を破った』という見出しを読んだとき、そこで思考を止めてしまうと、今回のような『実は準備走行だった』という条件を見落とします。本文まで読んで初めて、記録の中身が分かるという例でした。
英語のニュースを読む練習をしている人ほど、見出しの強い言葉に引っぱられがちです。見出しはあくまで注意を引くための一行で、正確な条件は本文に書かれています。
明日、驚くようなニュースの見出しを見つけたら、本文まで読んで『公式なのか、それとも試験段階なのか』を確認する習慣をつけてください。
原田高志
確認クイズ
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Q1. この記事での clock の意味として最も適切なものはどれか。
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Q2. 見出しの "Chinese robot beats Usain Bolt's 100m world record" が現在形で書かれている理由として正しいものはどれか。
よくある質問
この記録は正式な世界記録として認められましたか。
認められていません。大会前の準備走行での結果であり、公式な記録として認定されたものではないと報じられています。
Lightningというロボットは、ほかにどんな記録がありますか。
2026年4月に北京のハーフマラソン(21キロ)を50分26秒で完走しており、これは人間のエリート選手の世界記録ペースを上回るタイムだったと報じられています。