cakeage の意味は?ケーキ持ち込み料で店員が激怒
1日1本!ニュース英語 第3号
5歳の誕生日ケーキを持ち込んだ家族が「ナイフを貸してください」と頼んだところ、店員に叱りつけられた。その30秒の動画が拡散し、アメリカ中が「客が悪い」「店が悪い」で真っ二つに割れています。この騒ぎで多くの人が初めて知った語が cakeage。ワインの corkage をもじって生まれた「ケーキ持ち込み料」です。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日の題材は、宇宙でも化石でもありません。ピザ屋に持ち込んだ誕生日ケーキです。「ナイフを貸してください」の一言から店員が怒りだし、その様子を撮った30秒の動画が世界中に広がりました。ネットは「客が非常識」「店が異常」で真っ二つ。この騒ぎで一気に検索されたのが cakeage という英単語です。日本語の「持ち込み料」と、きれいに重なる語です。
見出し
Can you bring a birthday cake to a restaurant? Viral pizzeria dispute reveals the rules
レストランに誕生日ケーキを持ち込んでもいいのか|炎上したピザ店の一件が、そのルールを浮かび上がらせた
本文
A family in New Jersey brought a birthday cake to a pizzeria and asked for a knife.
A staff member told them off on camera, and the clip went viral within days.
The internet took sides, and the restaurant was hit by a flood of one-star reviews.
The fight also taught many people a new word: cakeage.
チェック
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| pizzeria | ピザ専門店 読みは「ピッツェリーア」。イタリア語からそのまま入った語です | a restaurant that mainly serves pizza |
| ask for ~ | ~を(くれと)頼む、求める | to say that you want someone to give you something |
| tell ~ off | ~を叱りつける、どやしつける scold より口語的。家族や店員など、身近な相手を叱る場面で使います | to speak angrily to someone about something they did wrong |
| on camera | カメラの前で、撮影されている状態で | while being filmed |
| clip | (切り取られた短い)動画 もとは「切り取る」。切り抜き動画の「切り抜き」がそのまま名詞になった語です | a short piece of a video |
| go viral | (ネット上で)一気に拡散する、バズる | to spread very quickly on the internet |
| take sides | どちらかの側につく、肩を持つ side は必ず複数形。両陣営があるところから1つを選ぶ、という形です | to support one person or group in an argument |
| a flood of ~ | 殺到する~、~の洪水 | a very large number of things that arrive at the same time |
| be hit by ~ | ~に見舞われる、~を浴びる | to be badly affected by something |
| cakeage | ケーキの持ち込み料 | a fee for serving a cake that the customers brought themselves |
全文和訳
ニュージャージー州のピザ店で、5歳の誕生日を祝っていた家族が、持ち込んだケーキを切るためにナイフを貸してほしいと頼みました。ところが店員がこれに激高し、家族を叱りつけます。その様子を撮った短い動画がSNSに投稿されると、数日のうちに一気に拡散しました。
ネットの反応は真っ二つに割れました。「連絡もせずに持ち込むほうが非常識だ」という声と、「子どもの誕生日に、あの言い方はない」という声。店には星1つのレビューが殺到しました。そしてこの騒ぎをきっかけに、多くの人が cakeage という耳慣れない単語を検索することになったのです。
訳出のポイント
cakeage ケーキの持ち込み料
cakeage は、まだ辞書に載っていないことも多い新しい語です。それでも意味がすぐ伝わるのは、先輩にあたる語をそのまま真似して作られているからです。
その先輩が corkage。ワインを持ち込んだお客さんに、店が請求する料金のことです。cork は「(ワインの)コルク栓」。栓を抜き、グラスを出し、注ぎ、あとで洗う。その手間賃が corkage です。
最後の -age はフランス語から入った接尾辞で、「~すること」「~にかかる料金」を作ります。postage(郵便料)、storage(保管料)、mileage(走行距離)、breakage(破損)。全部この仲間です。
つまり cork+age が「栓を抜く料金」なら、cake+age は「ケーキを切る料金」。英語は、名詞のうしろに -age を付けるだけで、新しい料金の名前を1つ作れてしまうわけです。日本語の「持ち込み料」と役割がぴったり重なります。
Does this restaurant charge a cakeage fee?
この店、ケーキの持ち込み料は取りますか。
They kindly waived the corkage for us.
その店は、ワインの持ち込み料をまけてくれました。
waive は「(権利や料金を)行使しないでおく」。請求できるけれど請求しない、というニュアンスです
go viral 一気に拡散する、バズる
viral は virus(ウイルス)の形容詞です。もとは医学の語で、「ウイルス性の」という意味しかありませんでした。viral infection なら「ウイルス感染」です。
これが宣伝の世界で使われ始めたのが1990年代の後半。口コミで人から人へ勝手に広がっていく宣伝手法を viral marketing と呼んだのがきっかけでした。そこから、動画や投稿が自力で広がる現象そのものを go viral と言うようになります。
面白いのは、日本語の「バズる」との差です。buzz はもともと蜂の羽音、転じて「ざわめき」。英語は拡散を「感染」でとらえ、日本語は「羽音」でとらえている。同じ現象を、まるで違う絵で見ているわけです。
go+形容詞は「その状態になる」という型で、go bad(腐る)、go missing(行方不明になる)、go bankrupt(倒産する)と並びます。go viral もこの一員です。become viral とは普通言いません。
The clip went viral before the family got home.
その動画は、家族が家に着く前に拡散していた。
One of my old photos suddenly went viral last night.
昔の写真が1枚、昨夜いきなりバズってしまいました。
reveals 見出し英語のワンポイント:見出しの現在形
見出しの後半をもう一度見てください。Viral pizzeria dispute reveals the rules. 起きたのは先週の出来事なのに、動詞は reveals と現在形です。
これは英字新聞の決まりごとで、過去の出来事も、見出しでは現在形で書く。いま目の前で起きているような臨場感が出るからです。文法の教科書では historic present(歴史的現在)と呼ばれます。Japan wins gold. なら「日本が金メダルを獲得した」です。
見出しの前半 Can you bring a birthday cake to a restaurant? も覚えておきたい型です。読者への問いかけをそのまま見出しにする。答えが気になってクリックしてしまう、ネット記事の定番の作りです。
見出しでは be動詞と冠詞がよく落ちます。Man arrested in Tokyo. は Man was arrested in Tokyo. の was と A が消えた形。慣れると、削られた語を頭のなかで戻しながら読めるようになります。
Typhoon hits Okinawa, thousands lose power.
台風が沖縄を直撃、数千世帯が停電。
hits も lose も現在形ですが、すでに起きたことを指しています
発音・リズム
cakeage は /ˈkeɪkɪdʒ/「ケイキッジ」。-age を「エイジ」と読まないのがポイントです。package、message、village と同じ、弱くて短い「イッジ」。corkage /ˈkɔːrkɪdʒ/ も同じリズムです。
もう1つ、pizzeria /ˌpiːtsəˈriːə/ は「ピザリア」ではなく「ピッツェリーア」。イタリア語から来た語なので、zz はしっかり詰めて、リー にアクセントを置きます。
背景メモ
現場はニュージャージー州ポイントプレザントビーチのピザ店 Joey Tomato's。家族は5歳の誕生日を祝うため店を訪れ、ピザなどに約250ドルを使ったあと、持ち込んだケーキを切るためのナイフを頼みました。家族側は「事前に電話で確認し、持ち込んでよいと言われた」と説明しています。
動画をSNSに投稿したのは、ニュージャージーの歴史を紹介する X のアカウント Vintage New Jersey。8月2日の投稿から一気に広がり、店には星1つのレビューが殺到しました。
店側は沈黙を破って反論しています。「30秒の映像を見ただけで、インターネットはうちの店のすべてを知ったつもりでいる」。その映像は built for outrage(炎上するように作られている)だ、というのが店の言い分です。あわせて「うちはパーティー会場ではない」とも述べ、持ち込みを断る方針そのものは変えていません。
なお cakeage を明示的に取る店は実際にあります。ロンドンでは1人あたり10ポンドを請求する店が報じられ、話題になったこともありました。
今日のまとめ
- 1 5歳の誕生日ケーキとナイフ1本から、全米規模の論争になった
- 2 cakeage は corkage(ワインの持ち込み料)をもじって作られた新しい語
- 3 -age は「~料」を作る接尾辞。postage、storage、breakage の仲間
- 4 go viral の viral は virus の形容詞。日本語の「バズる」は蜂の羽音から
編集後記
この一件が面白いのは、どちらが悪いかを簡単には決められないところです。事前に電話したという家族の言い分と、うちはパーティー会場ではないという店の言い分。どちらにも理屈があります。だからネットが割れました。
英語のニュースを読むときは、この「両方の言い分が並ぶ」構造に慣れておくと、ぐっと読みやすくなります。The family says … / The restaurant says … と、says の主語が入れ替わりながら進む。どちらが事実かではなく、誰がそう言ったのかを追う。これが報道英語の読み方です。
日本にも似た話はいくらでもあります。飲食店の持ち込み、カラオケのお菓子、ホテルの部屋での飲み会。「うちの国では」と語り出せる話題は、英語を使う理由そのものになります。
次に外食したときに、メニューの隅を見てみてください。「持ち込み料」と書いてある店の英語表記が、corkage になっているか cakeage になっているか。見つけたら、その日は当たりです。
原田高志
動画で見る
確認クイズ
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Q1. 空所に入る語として最も適切なものはどれでしょう。 Do they charge a ____ fee if we bring our own wine?
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Q2. 見出し Viral pizzeria dispute reveals the rules で、reveals が現在形なのはなぜでしょう。
よくある質問
cakeage は辞書に載っている正式な英語ですか。
大きな辞書にはまだ見出し語として載っていないことがあります。ただし英語圏の飲食店とメディアでは普通に通じる語で、corkage をもじった作りなので、初めて聞いた人にも意味が伝わります。
go viral と become viral は、どちらでも同じですか。
go viral が圧倒的に自然です。go は「(悪い方向や新しい状態に)なる」を表す動詞で、go bad、go missing と同じ仲間。become viral は文法的に誤りではありませんが、ネイティブはまず使いません。
日本の飲食店にもケーキを持ち込めますか。
店によります。持ち込み自体を断る店、1人あたりの持ち込み料を取る店、無料で切り分けてくれる店の3通りがあります。今回の騒動も、家族が事前に電話したかどうかが争点になりました。予約のときにひとこと確認しておくのが確実です。