would ratherの意味|あとが原形か過去形かの謎解き
入試対策講座 第32回
『〜してほしい』を丁寧に伝えるwould ratherは、主語が変わると動詞の形まで変わります。原形と過去形をどう使い分けるのか、謎解き形式で確認します。否定文でのnotの位置や、先生の15分パックまでまとめました。
監修:原田高志(原田英語.com)
『あなたに〜してほしい』という一言を英語にするとき、would ratherのあとの動詞の形で迷ったことはありませんか。今日はwould ratherの謎を、謎解き形式で解き明かします。
なぜwould ratherは、主語が変わると原形ではなく過去形になるのか
'I would rather you go home now.' と書いてしまう受験生がいます。しかし正しい形はI would rather you went home now.のように、過去形wentを使う必要があります。
考えられる答え
I would rather stay home.(私はむしろ家にいたい)のように、主語が自分自身のときは、たしかにこれで正しく通じます。しかしI would rather you go home now.のように、あとに来る主語が変わると、この考え方では説明がつきません。
I would rather you went home now.が正しいところまでは合っていますが、なぜ過去のことでもないのに過去形を使うのか、理由まで説明できません。
ここに真相があります。過去形を使うことで、『いま・これから、あなたにこうしてほしい』という気持ちを、命令ではなく遠回しな希望としてやわらかく伝えています。
真相
would ratherのあとの主語が自分自身のときは原形を、主語が変わるときは過去形(いま・これからの望み)か過去完了形(過去についての望み)を使う。過去形を使うのは、相手への希望を遠回しに、やわらかく伝えるためです。
I would rather do ~(自分の望み・原形)/ I would rather S 過去形 ~(相手にいま望むこと)/ I would rather S had 過去分詞 ~(相手に過去望んでいたこと)
would ratherは『むしろ〜したい』という意味を表しますが、あとに来る主語が自分自身か、それとも別の人かで、動詞の形がまったく変わります。
主語が自分自身のとき(I would rather + 原形)は、単純に自分の望みを述べる形です。I would rather stay home tonight.(今夜はむしろ家にいたい)のように、原形をそのまま置きます。
主語が変わり、いま・これから相手にしてほしいことを伝えるときは、I would rather + S + 過去形になります。I would rather you went home now.(いまのうちに帰ってほしいのだけれど)のように、実際にはこれから起こることについて話しているのに、あえて過去形wentを使います。これは、過去形を使うことで、現実からわずかに距離を置き、命令ではなく遠回しな希望として伝えるという、仮定法の考え方と同じ仕組みです(If I were you ~の丁寧さと同じ原理です)。
過去に相手にしてほしかったことについて話すときは、I would rather + S + had 過去分詞を使います。I would rather you had told me earlier.(もっと早く言ってほしかったのだけれど)のように、過去完了形にすることで、さらに時間をさかのぼった内容だと示します。なお、自分自身の過去の望みを言うときは主語を繰り返さず、I would rather have stayed home.(むしろ家にいればよかった)のように、would rather have + 過去分詞の形にします。
否定文を作るときは、not の位置に注意が必要です。自分自身の否定はI would rather not go.(むしろ行きたくない)のようにratherのあとにnotを置き、相手への否定の希望はI would rather you didn't go.(むしろ行ってほしくないのだけれど)のように、過去形の前にdidn'tを置きます。
日本語の頭が、ここで邪魔をする
日本語では、『早く行ってほしい』のように、相手に望むことをそのまま現在形・未来形の感覚で伝えられます。動詞の時制を変えることで丁寧さを表す、という発想そのものが日本語にはあまりないため、would ratherのあとでなぜ過去形が出てくるのか、感覚的につかみにくくなります。知らなかっただけで、理解力の問題ではありません。過去形は『時間をさかのぼる』だけでなく、『相手との距離を置いて、やわらかく伝える』ためにも使われる、と考えると納得しやすくなります。
ここでつまずく
I would rather you go now.のように、主語が変わったのに原形のままにしてしまう誤りが定番です。主語が変わるときは、いま・これからの望みならI would rather you went now.のように過去形に、過去の望みならI would rather you had gone.のように過去完了形にします。また、相手への否定の希望をI would rather you don't smoke here.としてしまう誤りも多く、正しくはI would rather you didn't smoke here.です。
配慮センサーを手に入れる
would ratherのあとの動詞が原形か過去形かを見るだけで、書き手が自分の望みを述べているのか、それとも相手に何かをやわらかく求めているのかを読み分けられるようになります。会話文や手紙文で、直接的な命令とwould ratherによる遠回しな希望の違いにも気づけるようになります。
例文で確かめる
I would rather stay home and read a book tonight.
今夜はむしろ家で本を読んでいたい。
I would rather you called me before you come over.
来る前に電話してほしいのだけれど。
I would rather you hadn't shown him the photo without asking me.
私に聞かずに彼に写真を見せてほしくなかったのだけれど。
Before
would ratherのあとはいつも原形だと思い込み、主語が変わったときに動詞の形をそのままにしていた
After
主語が変わったら過去形(または過去完了形)にすることで、相手への遠回しな希望を正しく伝えられる
For Teachers
明日の授業、この15分で「would rather(相手に望むことを丁寧に伝える形)」が終わります
導入の問いかけ(3分)
- 「「これから帰ってほしい」って、日本語ではふつうの言い方で言えるよね。英語だとwould ratherのあとが過去形になるって知ってた?」
- 「would ratherのあとの動詞、いつも原形だと思っていない?」
- 「『もっと早く言ってほしかった』って、英語でどう言うと思う?」
板書はこの1行だけ
I would rather + 原形(自分) / I would rather + S + 過去形(相手・いま/これから) / I would rather + S + had 過去分詞(相手・過去)
ペアワーク/全体討論(5分)
先生「自分がしたいこと」と「友達にいましてほしいこと」を1つずつ思いついて、と指示する。ペアで、それぞれをI would rather ~とI would rather you ~を使って英語で伝え合う。
レベル別ミニ問題(5分)
日本語に合うように英文を完成させなさい。今夜は静かにしていてほしいのだけれど。I would rather you ______ (be) quiet tonight.
答え:I would rather you were quiet tonight.
誤りを直しなさい。I would rather you don't tell anyone about this.
答え:I would rather you didn't tell anyone about this.(相手への否定の希望は、過去形の前にdidn'tを置く)
出口チケット(2分)
『もっと早く起きてほしかった』という文を、I would rather you ~を使って英語で書きなさい。
AIに貼ると、この項目だけを狙った練習問題が、あなた用に出てきます。
以下の条件で、would ratherを使った例文を5つ作ってください。①家族や友達に望むことなど、身近な場面を扱う。②中学・高校生にも理解できる語彙にする。③日本語訳も添える。④主語が自分自身の文と、主語が変わる文の両方を含める。
動画で見る
確認クイズ
-
Q1. I would rather you ______ me before borrowing my laptop next time.
-
Q2. Looking back, I would rather you ______ more time preparing for the interview.
よくある質問
would ratherとwishは、何が違いますか?
wishは『事実に反すること』への願望を表すのに対し、would ratherは『相手に何かをしてほしい、または自分がむしろ〜したい』という、いま・これから(または過去)への望みを、やわらかく伝えるための表現です。主語が変わるときに過去形・過去完了形を使う点はwishと似ています。