無生物主語構文の意味|雨が人を止める英文のしくみ
入試対策講座 第11回
The rain prevented us from going out. のように、人ではなく雨や道具や出来事が主語になり、そこから人が受ける結果を動詞でつなげる文があります。この無生物主語構文が、日本語の発想とどこですれ違うのかを、謎解きの順で解説します。
監修:原田高志(原田英語.com)
雨や時間割やチケットのようなモノが、英語では平気で文の主語になります。The rain prevented us from going out. という文を、日本語の感覚のまま読もうとすると、どこかで引っかかりませんか。今日はその引っかかりの正体を、謎解きの形で開けていきましょう。
雨は動けないのに、なぜ英語では「雨が人を止める」と言えるのか
The rain prevented us from going out. という文を見てください。主語は rain(雨)、目的語は us(私たち)です。日本語なら「雨のせいで、私たちは外に出られなかった」のように、雨は原因を表す言葉として文の外側に置かれます。ところが英語では、雨がそのまま主語の位置に座り、人を止める側になっています。
考えられる答え
たしかに prevent は無生物主語とよく組み合わさる動詞の1つです。ただし enable や allow や entitle や force など、同じ形を取る動詞は他にもたくさんあります。1つの動詞の例外として覚えると、動詞が変わるたびに一から覚え直すことになります。
雨が人のように振る舞っているように見えるので、擬人化という説明は感覚としては近いです。ただしこれでは、なぜこの形が詩や物語だけでなく、天気予報や取扱説明書のような無機質な文章にも当たり前に出てくるのかまでは説明できません。
雨(rain)が主語になっているのは、雨を人のように扱っているからではなく、「雨が降った」という出来事そのものを主語にして、そこから生まれた結果(私たちが外出できなかったこと)を動詞以下でつなげているからです。ここに真相があります。
真相
無生物主語構文は「原因となる出来事」を主語に置き、そこから生まれる結果を他動詞+人+to不定詞/前置詞句でつなげる書き方です。日本語の「〜のせいで、人が〜する」を、英語は「出来事が、人を〜させる」という1つの文で言い換えます。
モノ/出来事 + 他動詞 + 人 + to不定詞/前置詞句
無生物主語構文の骨格は、「出来事+他動詞+人+to不定詞/前置詞句」です。主語の位置に来るのは、天気・時間・規則・道具・出来事など、人間ではないものばかりです。
① prevent型(妨げる)
The heavy rain prevented us from going out.(激しい雨が、私たちが外出するのを妨げた)
出来事(rain)が主語、妨げられる人(us)が目的語になり、妨げられた行動が from doing の形で続きます。
② enable型(可能にする)
This app enables you to translate English in real time.(このアプリを使うと、英語をリアルタイムで翻訳できる)
道具(app)が主語になり、人(you)ができるようになったことを to不定詞で示します。
③ entitle型(権利を与える)
This ticket entitles you to a free drink.(このチケットがあれば、無料の飲み物がもらえる)
チケットという物が主語になり、人が手に入れる権利を to+名詞で示します。
日本語に訳すときは、主語のモノを「〜のおかげで」「〜のせいで」という原因の言葉に変え、目的語だった人を文の主語に戻すと自然になります。英語は出来事を主語にする言語で、日本語は人を主語にしたがる言語だという違いが、ここに現れています。
日本語の頭が、ここで邪魔をする
日本語は「〜のせいで、人が〜する」のように、人を主語にしないと文の座りが悪く感じられる言語です。モノや出来事は「〜のせいで」「〜によって」という原因を表す言葉として、副詞の位置に置かれるのが普通です。この感覚のまま英文を読んだり書いたりすると、無生物主語構文を見ても「なぜモノが主語になれるのか」と立ち止まってしまいます。知らなかっただけで、理解力の問題ではありません。英語には、モノや出来事をそのまま主語にして、そこから生まれる結果を動詞でつなげるという、日本語には無い書き方があるというだけのことです。
ここでつまずく
日本語の「人」を主語にしたまま英作文を始めてしまう誤りが定番です。
✕ We were prevented from going out because of the rain.(不可能ではありませんが、無生物主語構文としては回り道な言い方です)
○ The rain prevented us from going out.
見分け方は1つです。原因になっている出来事やモノが文中にあるなら、まずそれを主語の位置に置けないか考える。人を主語にする発想から抜け出すことが、この構文を使いこなす近道です。
無生物主語読解力を手に入れる
無生物主語構文を読めるようになると、英文を読んだ瞬間に「何が原因で、誰にどんな結果が起きたか」を一発で見分けられます。The rain prevented us from going out. を見て、日本語の「〜のせいで」にいちいち組み替えなくても、雨(原因)が私たちを外出できなくした(結果)という骨格がそのまま見えるようになります。英作文でも This app allows you to〜のような文を自分の手で書けるようになり、伝えられる内容の幅が広がります。
例文で確かめる
The traffic jam made us late for the meeting.
渋滞のせいで、私たちは会議に遅れた。
This medicine will help you sleep better.
この薬を飲めば、よく眠れるようになる。
A sudden noise woke the baby up.
突然の物音で、赤ちゃんが目を覚ました。
Before
無生物主語の文を見ると、いったん「〜のせいで」と頭の中で日本語に組み替えてから読んでいた
After
出来事やモノが主語に来た瞬間、それを原因、うしろの人を結果として、語順のまま意味を取れるようになる
For Teachers
明日の授業、この15分で「無生物主語構文」が終わります
導入の問いかけ(3分)
- 「「The rain prevented us from going out. 雨って歩いたり止めたりできないよね?なんで主語になれるんだろう?」」
- 「「日本語で言うなら、雨が主語?それとも『雨のせいで』?」」
- 「「entitle って知ってる語?チケットが持ってる力って何だと思う?」」
板書はこの1行だけ
出来事/モノ+他動詞+人+to不定詞/前置詞句=「出来事が、人を〜させる」
ペアワーク/全体討論(5分)
「The heavy rain ___ us from going out. に入る動詞は何?」とペアに投げてください。preventが出ないペアには、「妨げる、じゃまする、で始まる動詞」とヒントを出します。出たあとは、「『雨のせいで』じゃなくて『雨が』で日本語訳を作ってみて」と続け、無生物主語のまま訳す練習に移ります。
レベル別ミニ問題(5分)
このアプリのおかげで、英語を毎日勉強できる。(このアプリを主語にして書きなさい)
答え:This app enables me to study English every day.
誤りを直しなさい:The accident prevented the train arrive on time.
答え:The accident prevented the train from arriving on time.(prevent A from doing の形にする)
出口チケット(2分)
「モノ/出来事+動詞+人+to不定詞/前置詞句」の形で、今日の天気か持ち物について1文書きなさい(例:This umbrella will keep you dry.)。
AIに貼ると、この項目だけを狙った練習問題が、あなた用に出てきます。
あなたは大学入試の英語講師です。無生物主語構文(出来事やモノを主語にして、他動詞+人+to不定詞/前置詞句で結果を表す文)を私が使いこなせるようにしてください。条件:①prevent型・enable型・entitle型の3パターンをそれぞれ例文つきで示す ②日本語の「〜のせいで、人が〜する」という文を5つ渡すので、無生物主語構文の英文に直してほしい ③私が書いた英文がその構文になっているかを判定し、なっていなければ書き直し案を出してください。
確認クイズ
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Q1. 次の文の空所に入れるのに最も適切なものはどれか。The heavy snow ______ the trains from running on time.
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Q2. 次のうち、無生物主語構文として最も自然な英文はどれか。
よくある質問
無生物主語構文は難関大学でしか出ませんか。
共通テストの読解や、自由英作文でもよく使われます。人を主語にする発想から抜け出せると英作文の幅も広がるので、レベルを問わず身につけておく価値があります。