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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
GRAMMAR 第6回 標準 読了 9分

強調構文の意味と見分け方|It is 〜 that の It は「それ」ではない

入試対策講座 第6回

It is Tom that broke the window. の It を「それ」と訳した瞬間、意味が取れなくなります。天気の it と同じ顔をした、まったく別のはたらきをする構文だからです。今日は「取り出す」という発想ひとつで、この形を丸ごと見抜きます。

監修:原田高志(原田英語.com)

今日のテーマは It is 〜 that … です。It's raining. の It と同じ顔で、はたらきはまるで違います。「それ」と訳した瞬間、文が意味不明になる。この厄介な構文を、今日で見抜けるようにします。

なぜ It is Tom that broke the window. の It を「それ」と訳してはいけないのか

次の文を訳してみてください。
It is Tom that broke the window.
「それはトムです、窓を割ったのは」と訳せた人は、もうかなり近づいています。
つまずくのは、It を「それ」と読んで、指すものを前の文に探しに行ってしまうときです。前を見ても、それらしい名詞はありません。この It が何をしているのかを、今日はっきりさせます。

考えられる答え

仮説1 It's raining. の It と同じで、特に意味のない飾りの語だ

天気の it は、たしかに中身のない形式だけの主語です。同じ発想を強調構文の It に持ち込むと、大きく読み違えます。強調構文の It は空っぽではなく、あとに続く that 節の中身をまるごと指しています。

仮説2 It is 〜 that … は「〜ということ」という名詞のかたまりだ

It is true that he is honest.(彼が正直だということは本当だ)と、形はそっくりです。似ていると気づいたところまでは正解。同じものだと決めてしまうのが間違いです。こちらは that のうしろ(he is honest)だけで完全な文になっていて、欠けているところが1つもありません。ここが、次の仮説との分かれ目です。

仮説3 It is と that を取り除くと、抜き出された語のところだけ穴が残る

It is Tom that broke the window. から It is と that を取り除きます。残るのは Tom broke the window.。それだけで完全に成立する文です。もとの文から Tom を1語だけ取り出し、It is 〜 that という額縁にはめて前へ押し出した。これがこの構文の正体です。

真相

強調構文

強調構文は、完全な文からある1語(句)を抜き出し、It is 〜 that の型にはめて前に押し出すことで、その語を目立たせる「取り出し構文」です。

It is [強調したい語句] that [残りの文]。

手順はいつも同じです。 It is と that を取り除く。残った部分がそれだけで通る完全な文なら、強調構文です。

It is Tom that broke the window.
→ It is と that を外す → Tom broke the window.(完全な文が残る=強調構文)

It is true that he is honest.
→ It is true と that を外す → he is honest(true が丸ごと消え、意味が変わる=形式主語構文)

もう1つ。強調できるのは主語・目的語・場所や時を表す副詞(句)だけで、動詞は強調できません。

It was yesterday that I met her.(私が彼女に会ったのは、昨日だった)
It was her that I met yesterday.(私が昨日会ったのは、彼女だった)

どちらも It is 〜 that を外すと I met her yesterday. に戻ります。取り出された場所にだけ、ぽっかり穴が残る。この穴の有無で、機械的に判定できます。

日本語の頭が、ここで邪魔をする

日本語にも「〜のは…だ」という、よく似た型があります。「窓を割ったのはトムだ」。

ただ日本語は語順を自由に入れ替えられるので、これが特別な構文だという意識がほとんどありません。「トムが窓を割った」も「窓を割ったのはトムだ」も、同じくらい自然に響くからです。

英語はそうはいきません。語順で意味が決まるぶん、1語を前へ押し出すには It is 〜 that という専用の型が要ります。日本語が自由すぎるせいで、英語のこの不自由さが見えにくい。それだけの話で、理解力の問題ではありません。

ここでつまずく

It is 〜 that の間に人や物の名前が挟まっていると、多くの受験生は that を関係代名詞だと思い込みます。It is Tom that broke the window. を「トムという、窓を割った人」と、Tom を先行詞にして訳す誤りが典型です。It is と that を外して文が完全に成立するか、必ず確かめてください。

It is と that を取ってみて、文が完全に残れば強調構文。どこかに穴が空けば、そこが強調されている場所。

焦点発見力を手に入れる

この構文を見抜けると、長文で書き手が「ここをいちばん伝えたい」と思っている場所が一瞬で分かります。強調構文は、わざわざ手間をかけて1語を前へ押し出した跡です。飛ばして読むと、主張の中心を取り逃がします。

例文で確かめる

It was Tom that broke the window, not his brother.

窓を割ったのは弟ではなく、トムだった。

It was in this very room that they first met.

2人が最初に出会ったのは、まさにこの部屋だった。

It is hard work, not luck, that makes the difference.

違いを生むのは運ではなく、努力だ。

not 〜 と対比させると、強調構文の効果がさらに際立ちます

Before

It is 〜 that が出てくると、とりあえず「それは〜ということだ」と訳していました。that を関係代名詞だと思い、It is Tom that broke the window. を「窓を割ったトムという人」と読んでいました。

After

It is と that を外して、完全な文が残るかを確かめる。残れば強調構文で、前へ出ている語が書き手のいちばん言いたい1語。残らなければ関係代名詞です。試す手順が1つ決まるので、迷いが確認作業に変わります。

For Teachers

明日の授業、この15分で「強調構文(分裂文)」が終わります

導入の問いかけ(3分)

  • 「この it は、何を指していると思う?」
  • 「It is と that を取ってみたら、文はどうなる?」
  • 「この文でいちばん言いたいのは、どの1語だと思う?」

板書はこの1行だけ

It is 〜 that … → It is と that を消す → 完全な文が残れば強調構文

ペアワーク/全体討論(5分)

ペアの片方が Tom broke the window in the garden yesterday. のような完全な文を1つ作る。もう片方が、その文から主語・目的語・時・場所のどれか1つを選んで強調構文に書き換える。「どこを強調したい?」と役を交代しながら3セット。「取り出した場所に穴が空いているか、確認して」と声をかけながら回ります。

レベル別ミニ問題(5分)

標準

次の文の下線部を強調する文に書き換えなさい。I found my key under the sofa.(under the sofa を強調)

答え:It was under the sofa that I found my key.

難関

次の文が強調構文か形式主語構文かを判定し、理由を1文で説明しなさい。It was in 1969 that the first man walked on the moon.

答え:強調構文。It was と that を取ると in 1969 the first man walked on the moon が残り、時を表す副詞句 in 1969 が取り出された場所に当たるため。

出口チケット(2分)

It is 〜 that を使って、自分がいちばん伝えたい語を1つ選び、それを強調する英文を1つ書いてください。

MAKE IT YOURS

AIに貼ると、この項目だけを狙った練習問題が、あなた用に出てきます。

It is 〜 that の強調構文を使った英文を5つ作ってもらう指示文を、次の条件でAIに送ってください。①元になる完全な文を1つ自分で用意する②その文の主語・目的語・時・場所のそれぞれを強調した4パターンと、強調しない元の文を1つ、計5文を並べて出してもらう③日本語訳もそれぞれに付けてもらう。

確認クイズ

  1. Q1. 次のうち、強調構文はどれでしょう。

  2. Q2. It was at the station that I lost my wallet. の下線部(強調されている語句)はどれでしょう。

  3. Q3. It is not money but time that we really need. の意味として最も適切なものはどれでしょう。

よくある質問

強調構文で強調できるのは、どんな要素ですか。

主語・目的語・時や場所を表す副詞(句)を強調できます。ただし動詞そのものを It is 〜 that の型で強調することはできません。

強調構文と形式主語構文はどう見分けますか。

It is と that を取り除いてみてください。残った部分がそれだけで完全な文になれば強調構文、that の中の要素が1つでも欠けると意味が変わってしまうなら形式主語構文です。

It is 〜 who … のように who が使われることもありますか。

あります。強調する語が人の場合、that の代わりに who を使うこともできますが、入試ではthatで統一されている場合がほとんどです。