seem to have done の意味は?to have で1つ前の時を表す理由
入試対策講座|第64回
He seems to have been ill. は「病気だったようだ」です。不定詞には過去形が無いので、主節より前の時を表すときは to have + 過去分詞を使います。It seems that の書きかえ問題で、to be と to have been を選び分ける手順をまとめました。
監修:原田高志(原田英語.com)
It seems that he was ill. を、He seems で始まる文に書きかえてください。He seems to be ill. と書いた人は、時が1つずれています。今日は、to のうしろに have が入る理由を見ていきます。
なぜ「病気だったようだ」は He seems to have been ill. になるのか
次の文を、He seems で始まる文に書きかえてみてください。
It seems that he was ill.(彼は病気だったようだ)
よく出てくる答えは、これです。
He seems to be ill.
ところが、この文は「彼は(いま)病気のようだ」という意味です。
was の「だった」は、どこへ行ってしまったのでしょうか。
考えられる答え
「だった」を表したいのだから、be を過去形にする、という考え方です。過去のことは過去形で、という感覚は正しいです。 ただ、不定詞は to + 動詞の原形の形しかなく、to was のような過去形はありません。to のうしろの動詞を過去形にして、過去を表すことはできません。
It seems that he has been ill. も He seems to have been ill. に書きかえられるので、半分は当たっています。 ただ、It seems that he was ill. のように、ただの過去形の文も同じ形になります。現在完了だけの形だと考えると、この書きかえが説明できません。
英文法の学習サイト Test-English は、完了不定詞について、We use the perfect infinitive or the perfect gerund to emphasize that the action is complete or in the past. と説明しています。完了不定詞は、その動作が終わっていること、または過去のことであることをはっきりさせる、という意味です。 不定詞には過去形が無いので、have + 過去分詞を借りて「1つ前の時」を表します。seems はいまの話なので、to have been ill は、それより前の「病気だった」を表します。
真相
to do は主節の動詞と同じ時、to have + 過去分詞は主節の動詞より前の時を表す。that 節の動詞が主節より前なら、to have + 過去分詞にする。
S seem(s) to do(主節と同じ時)/ S seem(s) to have + 過去分詞(主節より前の時)
It seems that の文を、主節と that 節の時の前後で並べます。
① 同じ時なら to do
例:It seems that he is ill.
= He seems to be ill.(彼は病気のようだ)
seems も is も、いまの話です。
② 前の時なら to have + 過去分詞
例:It seems that he was ill.
= He seems to have been ill.(彼は病気だったようだ)
seems はいま、was はそれより前です。
③ 主節が過去でも、考え方は同じ
例:It seemed that he had been ill.
= He seemed to have been ill.(彼は病気だったようだった)
seemed より、had been がさらに前です。
例:It seemed that he was ill.
= He seemed to be ill.(彼は病気のようだった)
seemed と was は、同じ時です。
見るのは、主節の動詞と that 節の動詞の2つです。同じ時なら to do、that 節のほうが前なら to have + 過去分詞を選びます。
この考え方は、be said to や be believed to にもそのまま使えます。Test-English には They are believed to have been lovers. という例文があり、「2人は恋人どうしだったと信じられている」と、前の時を表しています。
日本語の頭が、ここで邪魔をする
日本語では、文の最後に「た」を付けるだけで時を表せます。「病気のようだ」と「病気だったようだ」は、真ん中に「だった」が入るだけです。だから英語でも、どこか1語を過去形にすれば足りるように思えてしまうのです。
知らなかっただけで、あなたの理解力の問題ではありません。英語の不定詞には過去形が無いので、have + 過去分詞の形で「前の時」を表します。書きかえるときは、まず2つの動詞の時を比べてください。
ここでつまずく
よくあるのは、主節の動詞を過去形に変えてしまう誤りです。
✕ It seems that he was ill. → He seemed to be ill.
○ It seems that he was ill. → He seems to have been ill.
He seemed to be ill. は「病気のようだった」で、元の文とは意味が違います。主節の seems はそのまま残し、時のずれは不定詞の側で表します。
もう1つは、to のうしろを原形にしない誤りです。
✕ He seems to had been ill.
○ He seems to have been ill.
to のうしろは、いつも原形の have です。
時の前後を見抜く力を手に入れる
書きかえ問題で to be と to have been が並んでいても、2つの動詞の時を比べるだけで選べるようになります。
主節の動詞と、that 節の動詞を指でおさえてください。同じ時なら to do、that 節のほうが前なら to have + 過去分詞です。
例文で確かめる
He seems to be busy today.
彼は今日、忙しいようです。
seems と be busy は同じ時なので、to do の形。
He seems to have been busy last week.
彼は先週、忙しかったようです。
seems はいま、busy だったのは先週なので、to have + 過去分詞の形。
She seemed to have forgotten my name.
彼女は私の名前を忘れてしまっていたようでした。
seemed より、forgotten のほうがさらに前の時。
The temple is said to have been built about 800 years ago.
その寺は、約800年前に建てられたと言われています。
is said はいま、建てられたのは800年前。受け身なので to have been + 過去分詞。
Before
It seems that he was ill. を書きかえるとき、was の過去をどこに入れればよいか分からず、He seemed to be ill. と主節を過去形にしていた
After
主節の動詞と that 節の動詞の時を比べ、that 節が前なら to have + 過去分詞にする、と決めて書ける。be said to や be believed to の書きかえも、同じ手順で解ける
For Teachers
明日の授業、この15分で「完了不定詞(seem to have done で、主節の動詞より前のことを表す形)」が終わります
導入の問いかけ(3分)
- 「「『彼は病気のようだ』と『彼は病気だったようだ』を、He seems で始めて英語にしてください」と言い、2つの文を書かせます」
- 「「to was や to were という形を見たことがありますか」と聞き、不定詞に過去形が無いことに気づかせます」
- 「「It seems that he was ill. の seems と was は、どちらが前の時ですか」と問いかけます」
板書はこの1行だけ
同じ時 → to do / that 節が前 → to have + 過去分詞 / 主節の動詞はそのまま
ペアワーク/全体討論(5分)
「隣の人と、1人が It seems that の文を言い、もう1人が He seems で始まる文に書きかえてください。書きかえる前に『同じ時』か『前の時』かを声に出します」5分。
慣れてきたら、「主節を seemed にしたら、どう変わりますか」と聞き、It seemed that he had been ill. の形でもやらせます。最後に、to のうしろが原形の have になっているかを確かめて、役を替えます。
レベル別ミニ問題(5分)
ほぼ同じ意味になるように、空所に適語を入れなさい。It seems that she lost her key. = She seems to ( ) ( ) her key.
答え:have lost ※ seems はいま、lost はそれより前なので、to have + 過去分詞にする
ほぼ同じ意味になるように、空所に適語を入れなさい。It is said that the castle was built 400 years ago. = The castle is said to ( ) ( ) built 400 years ago.
答え:have been ※ is said はいま、was built はそれより前。受け身なので to have been + 過去分詞になる
出口チケット(2分)
「彼女は昨日忙しかったようだ」を、She seems で始めて英語で書かせる
AIに貼ると、この項目だけを狙った練習問題が、あなた用に出てきます。
あなたは大学入試英語の指導者です。seem to do と seem to have done の使い分けを確かめる練習問題を6問作ってください。条件は次のとおりです。①It seems that の文を、S seem(s) to の文に書きかえる問題を4問、be said to を使う問題を2問にする。②そのうち2問は、主節が過去形(seemed・was said)の文にする。③解答には、主節と that 節の動詞が同じ時か前の時かを一言添える。④私が答えるまで解答を見せない。
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確認クイズ
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Q1. ほぼ同じ意味になるように、( ) に入れるのに最も適切なものはどれか。It seems that Tom was sick yesterday. = Tom seems ( ) sick yesterday.
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Q2. ほぼ同じ意味になるように、( ) に入れるのに最も適切なものはどれか。It seemed that she was very tired. = She seemed ( ) very tired.
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Q3. 次の英文の意味として最も適切なものはどれか。The bridge is said to have been built in the 1800s.
よくある質問
He seems to have been ill. と He seemed to be ill. は、同じ意味ですか?
違います。He seems to have been ill. は「(いま見ると)病気だったようだ」、He seemed to be ill. は「(そのとき)病気のようだった」です。前者は seems がいまで、病気だったのがそれより前。後者は seemed と病気が同じ時です。
seem 以外にも、to have + 過去分詞を使う形はありますか?
あります。be said to・be believed to・be thought to のうしろでも、主節より前の時を表すときに使います。The castle is said to have been built 400 years ago. は「その城は400年前に建てられたと言われている」です。