It is no use doingはなぜto不定詞にならないのか
入試対策講座|第43回
「〜しても無駄だ」を表すIt is no use doing。なぜto不定詞ではなく動名詞が続くのかを、use という語の正体から解き明かします。There is no point in doingやIt is worth doingなど、同じ仲間の構文もまとめて整理します。
監修:原田高志(原田英語.com)
「泣いても仕方ない」を英語にしようとして、to 不定詞を使ってしまったことはありませんか。今日はその理由を、use という語の正体から探ります。
It is no use のあとは、なぜ to 不定詞ではなく ~ing なのか
『泣いても仕方ない』を英語にしようとして、It is no use to cry over spilt milk.と書いた人は少なくないはずです。ところがこの文は不正解です。正しくは It is no use crying over spilt milk. のように、doing の形でなければなりません。
考えられる答え
『〜しても無駄だ』という日本語には、まるで目的を述べているような響きがあります。ですが no use が表しているのは目的ではありません。行為そのものの値打ちです。ここに to 不定詞を選ぶ理由はありません。
たしかに丸暗記でも点は取れます。ただしそれだと、worth や no good のような似た形に出会うたびに、また一から覚え直すことになります。
ここに真相があります。
真相
It is no use のうしろに来るのは、名詞として働く ~ing(動名詞)です。use は「使うこと」ではなく「役に立つこと」を表す名詞として使われており、doing はその use の中身を説明する形。名詞に行為の内容をつなぐときは前置詞(of)を挟む形が下敷きになっており、前置詞のうしろに置けるのは動名詞だけなので、to 不定詞は入りません。
It is no use doing ~(〜しても無駄だ)
まず、use という語の正体を確かめてください。ここでの use は動詞『使う』ではありません。『役に立つこと、益』を表す名詞です。発音も、動詞の use(ユーズ)ではなく、名詞の use(ユース)になります。
名詞のうしろに行為の内容をつなげたいとき、英語がよく使う道具が前置詞の ofです。It is of no use.(それは何の役にも立たない)という、of を使った言い方も実際にあります。doing の前に of が隠れていると考えると、一気にすっきりします。前置詞のうしろに置ける動詞の形は、to 不定詞ではなく動名詞だけです。
この仕組みは It is no use doing ~ 1つだけの特別ルールではありません。同じ形の仲間が英語にはいくつもあります。
- ▼ There is no point in doing ~(〜しても意味がない)
- ▼ It is no good doing ~(〜してもだめだ)
- ▼ It is worth doing ~(〜する価値がある)
- ▼ What is the use of doing ~(〜して何になるのか)
point・good・worth・use。どれも名詞、あるいは名詞に近い働きをする語です。それぞれのうしろに、前置詞(in / of)が省略されているか、そもそも動名詞だけを取る決まりになっています。
動名詞は前置詞のうしろに置けますが、to 不定詞は置けません。これが英語の大原則です。I'm interested in swimming.(泳ぐことに興味がある)の in のうしろが swimming であって to swim にならないのと、まったく同じ理由です。
日本語の頭が、ここで邪魔をする
日本語の『〜しても無駄だ』は、『〜するために』という目的の文にも似た形をしています。そのため、目的を表すときによく使う to 不定詞を、無意識に当てはめてしまいます。知らなかっただけで、あなたの理解力の問題ではありません。use が名詞だという事実さえ押さえれば、迷わなくなります。
ここでつまずく
実際に書かれてしまう誤りは、It is no use to cry over spilt milk.のように、to 不定詞をそのまま当てはめる形です。『〜するために』という日本語の感覚に引っぱられて起こります。同じ誤りは It is worth to visit や There is no point to argue のような形でも起こります。
隠れ前置詞キャッチ力を手に入れる
use・point・good・worth のような名詞のうしろに、~ing がすんなり浮かぶようになります。1つずつ丸暗記していた表現が、『前置詞のうしろは動名詞』という1本のルールでつながって見えてきます。
例文で確かめる
It is no use worrying about things you cannot control.
自分ではどうにもできないことを心配しても仕方ありません。
It was no use arguing with him once he had made up his mind.
彼が一度心を決めてしまうと、言い争っても無駄でした。
Before
no use のあとを見るたび、to 不定詞か ~ing か、毎回迷って手が止まっていた
After
use が名詞だと分かれば、迷わず ~ing を選べる。worth や no good も同じ理由で ~ing だと即断できる
For Teachers
明日の授業、この15分で「It is no use doing ~(〜しても無駄だ)」が終わります
導入の問いかけ(3分)
- 「「無駄だ、を英語にすると?」と聞いてみてください」
- 「「to cry と crying、どちらだと思う?」と挙手で聞く」
- 「「no use の use は名詞だと思う人?」と聞いてみる」
板書はこの1行だけ
It is no use + doing ~(= It is of no use, doing ~ の of が隠れた形)
ペアワーク/全体討論(5分)
ペアの一方が「テスト前日に一夜漬けしても無駄だよね」と日本語で言い、もう一方が It is no use ~ing の形で英語にして返す。先生は机間巡視をしながら「use は名詞、だから ing だよ」と1組ずつに声をかける。
レベル別ミニ問題(5分)
「後悔しても仕方ない。」を It is no use で始めて英語にしなさい。
答え:It is no use regretting (it now).
次の文の誤りを直しなさい。There is no point to complain about the weather.
答え:There is no point complaining about the weather.(in を補うか、そのまま complaining にする)
出口チケット(2分)
It is no use ~ を使って、自分が『やっても無駄だ』と思うことを1文書かせる
AIに貼ると、この項目だけを狙った練習問題が、あなた用に出てきます。
It is no use doing の形を使った例文を3つ作ってください。それぞれ、①勉強、②人間関係、③日常のちょっとした失敗、という異なる場面で書き、日本語訳も添えてください。
動画で見る
確認クイズ
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Q1. 次の文の空所に入れるのに最も適切なものはどれですか。It is no use ______ over spilt milk.
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Q2. 次のうち、正しい英文はどれですか。
よくある質問
It is no use to do とは言えないのですか?
言えません。use はここでは名詞として使われており、うしろに続けるのは前置詞のうしろに置ける動名詞(doing)です。to 不定詞を直接つなぐことはできません。
There is no point in doing の in は省略できますか?
会話ではしばしば省略され、There is no point doing ~ の形でも使われます。ただし、かたい書き言葉では in を残す形が一般的です。