仮定法の if 省略とは?Were I you の if はどこへ消えたのか
入試対策講座 第7回
Were I you, I would apologize immediately. には if が1つもありません。それでも仮定法だと分かるのは、語順そのものが if の代わりをしているからです。今日は『疑問文の形を借りる』という発想ひとつで、この構文を丸ごと見抜きます。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日のテーマは、if が消えた仮定法です。Were I you や Had I known のように、主語と動詞の順番が入れ替わるだけで if が丸ごと消える形があります。なぜ消えるのか、なぜ倒置なのか。今日ではっきりさせます。
なぜ if を消すと、主語と動詞がひっくり返るのか
次の文を訳してみてください。
Were I you, I would apologize immediately.
疑問文のように見えて、実は疑問文ではありません。if もどこにも見当たりません。
これは Were を主語の前に置くことで、if の役目を語順そのものに肩代わりさせている文です。何が起きているのか、順に見ていきます。
考えられる答え
Were I you? と読めば確かに疑問文です。でも今回の文にクエスチョンマークはなく、直後に I would apologize という平叙文が続いています。疑問文の形を借りているだけで、中身は質問ではありません。
if が消えていることに気づいたのは正しい方向です。ただ「たまたま」ではありません。if を消してよいのは be動詞・助動詞(were・had・should)のときだけで、消したあとは必ず主語の前に出すという決まったルールがあります。次の仮説で、その理由まで見ます。
英語は語順で意味を決める言語です。if という目印を消してしまうと、どこからどこまでが条件節か分からなくなってしまいます。 そこで、英語がもともと持っている『主語と動詞を入れ替えると特別な意味になる』というルール(疑問文の語順)を、目印がわりに流用しています。Were I you は、質問しているのではなく「ここは if 節ですよ」という合図なのです。
真相
if が省略できるのは were・had・should の3つだけで、省略した代わりに疑問文と同じ主語・動詞の倒置を使い、『ここが条件節だ』と示している。
Were/Had/Should + 主語 〜, S would/could/might …(if の省略にともなう倒置)
if を消せるのは、次の3パターンだけです。
If I were you, I would apologize. → Were I you, I would apologize.(仮定法過去。be動詞 were)
If he had known the truth, he would have told me. → Had he known the truth, he would have told me.(仮定法過去完了。助動詞 had)
If it should rain tomorrow, we will cancel the picnic. → Should it rain tomorrow, we will cancel the picnic.(未来のことへの仮定。助動詞 should)
どれも、消した if の代わりに、動詞(were・had・should)を主語の前へ出しているだけです。
一方、一般動詞の仮定法(If I knew the answer, ...)には、この倒置は使えません。were・had・should という『前に出せる動詞』を持つ文だけの、限定ルールだからです。
日本語の頭が、ここで邪魔をする
日本語の『もし〜なら』は、語順を入れ替えても意味が変わりません。「もし私があなたなら」も「私があなたなら、もし」も、多少不自然でも意味は通じます。
そのせいで、英語でも if さえ付けておけば語順は自由だ、と思い込みやすくなります。英語は逆で、if という目印を消したときだけ、語順そのものが目印の代わりを引き受けます。日本語の語順が自由すぎるせいで、英語のこの不自由さが見えにくい。それだけの話で、理解力の問題ではありません。
ここでつまずく
Had I known the truth, I would have called you sooner. を、疑問文だと思い込んで「私は真実を知っていましたか」と訳してしまう誤りが典型です。文末にクエスチョンマークが無いこと、後ろに would have などの帰結節が続いていることを、必ず確認してください。
隠れIf発見力を手に入れる
この形を見抜けると、if が1つも無い文でも、仮定法の重みをすぐに感じ取れるようになります。Were・Had・Should が文頭に来て、あとに would・could・might が続いていたら、それは疑問文ではなく仮定法。読み飛ばさずに、条件と結論の関係を正しくつかめます。
例文で確かめる
Were I in your position, I would ask for more time.
私があなたの立場なら、もっと時間をもらえるよう頼むだろう。
Had she studied harder, she could have passed the exam.
彼女がもっと熱心に勉強していたら、試験に合格できていただろう。
Should you have any questions, please contact us at any time.
万一ご質問がございましたら、いつでもご連絡ください。
should を使う形はビジネス英語や案内文でもよく使われます
Before
Were I you や Had I known を見ると疑問文だと思い込み、「私は真実を知っていましたか」と訳して、そのあとの文とつながらなくなっていました。
After
if を省略できるのは were・had・should の3つだけで、省略した印が倒置だと分かります。文頭がこの3語で、あとに would・could・might が続いていれば仮定法。3語を覚えるだけで、消えた if が見えるようになります。
For Teachers
明日の授業、この15分で「仮定法の if 省略倒置」が終わります
導入の問いかけ(3分)
- 「「この文、クエスチョンマークが無いのに疑問文の形をしているのはなぜだと思う?」」
- 「「if を1つ付け足すとしたら、どこに入る?」」
- 「「if を消してよい動詞は、were・had・should の3つだけ。共通点は何だろう?」」
板書はこの1行だけ
If I were you → Were I you(if を消して were を主語の前へ)
ペアワーク/全体討論(5分)
ペアの片方が If を使った仮定法の文を1つ作る(were・had・should のいずれかを使う)。もう片方が、その文から if を消して倒置の形に書き換える。「if を消せる動詞だけを選んで」と声をかけながら3セット行う。
レベル別ミニ問題(5分)
次の文を if を使わない倒置の形に書き換えなさい。If I were rich, I would travel around the world.
答え:Were I rich, I would travel around the world.
次の文の空所に入る最も適切な語を選びなさい。______ it not been for your help, I would have failed the exam.(Had / Did / Was / Were)
答え:Had(Had it not been for 〜=もし〜がなかったら、の定型表現。if it had not been for の if 省略倒置)
出口チケット(2分)
were・had・should のいずれかを使い、if を省略した倒置の仮定法の文を1つ書いてください。
AIに貼ると、この項目だけを狙った練習問題が、あなた用に出てきます。
if を省略した倒置の仮定法の英文を3つ作ってもらう指示文を、次の条件でAIに送ってください。①were・had・should をそれぞれ1回ずつ使う②各文に if を使ったふつうの仮定法の文も並べて出してもらう③日本語訳もそれぞれに付けてもらう。
確認クイズ
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Q1. 次のうち、if が省略された仮定法はどれでしょう。
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Q2. If it were not for his advice, I would have failed. を if を使わない形に書き換えるとどうなるでしょう。
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Q3. Should it rain tomorrow, the game will be canceled. の意味として最も適切なものはどれでしょう。
よくある質問
if を省略できる動詞は、were・had・should の3つだけですか。
はい。仮定法過去のbe動詞were、仮定法過去完了のhad、未来のことへの仮定のshouldの3パターンに限られます。一般動詞の仮定法(If I knew 〜)にはこの倒置は使えません。
Were I you と Were you I. のように、主語の順番を迷います。
If I were you を思い浮かべ、if を消して were を主語 I の前に出すと考えれば迷いません。Were I you.(もし私があなたなら)が正しい形です。
疑問文との見分け方を教えてください。
文末にクエスチョンマークが無いこと、後ろに would・could・might・will などを含む帰結節が続くことを確認してください。この2つがそろえば、倒置による仮定法です。