比較級の強調は much か very か?「ずっと高い」の正しい言い方
入試対策講座|第76回
「ずっと背が高い」を very taller と書いていませんか。比較級を強めるのは much・far・a lot・even で、very は使えません。名詞の前では much と far だけになる形と、many more books の many まで、入試で問われる形をまとめました。
監修:原田高志(原田英語.com)
「兄は私よりずっと背が高い」を英語にしてみてください。My brother is very taller than me. と書いた人は、今日の記事がちょうど役に立ちます。比較級を強める語は、ふだんの「とても」とは別の顔ぶれです。正誤問題と空所補充でよく狙われる形を見ていきます。
「とても」は very なのに、なぜ「ずっと背が高い」は very taller にならないのか
次の2つを見比べてください。
① My brother is very tall.
② My brother is very taller than me.
- ①は正しい英文です。ところが②は誤りです。perfectyourenglish.com の解説は、比較級に very は使えないと書いています。
「とても」と「ずっと」は、日本語ではよく似ています。なぜ英語では、比較級の前に very を置けないのでしょうか。
考えられる答え
語の長さで決まると考えたくなる気持ちは分かります。 ただ、British Council の強調語の解説は、比較級の前に a lot や a great deal のような2語以上のかたまりも置けると書いています。長さが原因なら、こちらも置けないはずです。ですから、長さは理由になりません。
「比較級に very は付かない」は、そのとおりです。覚えておけば正誤問題の点は取れます。 ただ、これだけでは「では何を使うのか」が出てきません。much・far・a lot・even を選ぶ理由まで説明できないので、空所補充で4択に並ぶと迷います。
British Council の解説は、比較級の前の much・a lot・even・far を「大きな差」、slightly・a little・a bit を「小さな差」を表す語として分けて並べています。 比較級の前に置く語は、2つのあいだの差がどれくらいかを言う語だということです。very は tall(高い)の程度を強める語なので、この仲間に入っていません。
真相
比較級は2つの「差」を言う形。だから強めるときは、差の大きさを言う much・far・a lot・even を使い、very は使わない。
much / far / a lot / even + 比較級 =「ずっと〜」/ very + 比較級 は使わない/名詞の前では a much bigger country
① 比較級の前に置ける語
British Council の解説は、比較級の前に置く語を差の大きさで分けています。
・大きな差:much・a lot・far・even
・小さな差:slightly・a little・a bit
- ・Sales in July were a lot higher than sales in June.(7月の売り上げは6月よりずっと多かった)
- ・He was far less experienced than the other applicant.(彼はもう1人の応募者よりずっと経験が浅かった)
どちらも British Council の例文です。差が大きいか小さいかを言っているだけで、high や experienced の程度は強めていません。
② very は使えない
perfectyourenglish.com の解説は、比較級に very は使えず、代わりに much や far などを使うと書いています。
✕ very taller
○ much taller/far taller/a lot taller
文法書は「なぜ very ではないのか」までは書いていません。very は形容詞そのものの程度を強める語、much や far は差の大きさを言う語と分けておくと、4択で迷わずに選べます。
③ even は「もともと〜なのに、さらに」
Mango Languages の解説は、even は差が大きいことを表すのではなく、比べている2つのどちらもその性質を強く持っていることを表すと説明しています。
・Maggie is even taller than Susan.(スーザンも背が高いのに、マギーはさらに高い)
スーザンはもともと背が高い、と分かっていることが前提です。much taller とは、伝わることが違います。
④ 名詞の前では much と far だけ
British Council の強調語の解説は、名詞の前の比較級を強めるときは much と far を使うと書いています。
・France is a much bigger country than Britain.(フランスはイギリスよりずっと大きな国だ)
perfectyourenglish.com も、a bit と a lot はふつう名詞の前の比較級には使わないと書いています。
⑤ more + 名詞なら、数えられるかどうかで分ける
同じく perfectyourenglish.com によると、more のうしろが複数形の名詞なら many、数えられない名詞なら much で強めます。
・many more opportunities(ずっと多くの機会)
・much more money(ずっと多くのお金)
入試で使う3ステップ
① 空所のうしろが比較級(-er/more 〜)かを見ます。比較級なら very を消します。
② 比較級のうしろに名詞が続くなら、much か far を選びます。
③ more のうしろが複数形の名詞なら many、数えられない名詞なら much を選びます。
日本語の頭が、ここで邪魔をする
日本語では、「とても高い」も「ずっと高い」も「かなり高い」も、同じ「高い」の前に置けます。だから「とても」の英語の very を、そのまま比較級の前に置きたくなります。
もう1つ、日本語の「高い」には、比較級のような形の違いがありません。「兄のほうが高い」と言っても、「高い」は「高い」のままです。形が変わらないので、「差を言っている」ことに気づきにくいのです。
知らなかっただけで、あなたの理解力の問題ではありません。比較級を見たら、「ここは差の話だ」と一度つぶやいてから、強める語を選んでください。
ここでつまずく
入試でいちばん出るのは、very と much の選び分けです。
✕ This bag is very heavier than that one.
○ This bag is much heavier than that one.
名詞の前の形も出ます。
✕ It was a very bigger problem than we thought.
○ It was a much bigger problem than we thought.
more のうしろの名詞を見落とす誤りもあります。
✕ There were much more students than last year.
○ There were many more students than last year.
差の大きさを読み取る力を手に入れる
比較級の前の語を見れば、2つの差が大きいのか小さいのかが分かります。much・far なら大きな差、slightly・a little なら小さな差です。
グラフや統計の英文で、どれくらい増えたのかを正しく読めます。英作文では、「少しだけ」と「ずっと」を書き分けられます。
例文で確かめる
My brother is much taller than me.
兄は私よりずっと背が高い。
比較級の前は much。very taller とは言わない。
This bag is far heavier than it looks.
このかばんは、見た目よりずっと重い。
far も大きな差を表す。
It was a much bigger problem than we thought.
それは、思っていたよりずっと大きな問題だった。
名詞の前の比較級は much か far で強める。
There were many more students at the festival than last year.
学園祭には、去年よりずっと多くの生徒が来た。
students は複数形の名詞なので many more。
Before
「とても」と同じ感覚で、比較級の前にも very を置いていた
After
比較級は差を言う形なので、差の大きさを言う much・far で強めると分かった。名詞の前なら a much bigger、複数形の名詞なら many more と、うしろの形を見て選べる
For Teachers
明日の授業、この15分で「比較級の強調(比較級の前に置く much・far・a lot・even と、very が使えない形)」が終わります
導入の問いかけ(3分)
- 「「兄は私よりずっと背が高い、を英語で書いてみてください」と言い、30秒で書かせます」
- 「「very taller と書いた人は手を挙げてください。では、very tall と very taller は、どこが違うでしょう」と聞き、隣の人と15秒話させます」
- 「「taller は、何と何を比べている形ですか」と聞き、「差」という言葉が出るのを待ちます」
板書はこの1行だけ
比較級=差の話 → much/far/a lot/even + 比較級(very は✕)。名詞の前は a much/far bigger + 名詞。many more + 複数名詞
ペアワーク/全体討論(5分)
「1人が2つのものを言います(例:東京タワーとスカイツリー)。もう1人は much か a little を使って、比べる文を1つ言います」5分。
先生の発話は、「差が大きいなら much、小さいなら a little です。very は使いません」です。言い終わったら役を替え、最後に名詞の前に置く形(a much taller tower)でも言わせます。
レベル別ミニ問題(5分)
誤りを直しなさい。This question is very easier than the last one.
答え:This question is much easier than the last one. 比較級の前には very を置かず、much や far で強める
誤りを直しなさい。There are much more books in this library than in ours.
答え:There are many more books in this library than in ours. books は複数形の名詞なので、more を強めるのは many
次の2文の意味の違いを説明しなさい。(a) Ken is much taller than Taro. (b) Ken is even taller than Taro.
答え:(a) は「ケンはタロウよりずっと背が高い」で、差が大きいことを言う。(b) は「タロウも背が高いのに、ケンはさらに高い」で、タロウももともと背が高いことが前提になる
出口チケット(2分)
「この問題は、思ったよりずっと難しかった」を、比較級を強める語を使って英語で書かせる(例:This problem was much more difficult than I thought.)
AIに貼ると、この項目だけを狙った練習問題が、あなた用に出てきます。
あなたは大学入試英語の指導者です。比較級を強める語の練習問題を6問作ってください。条件は次のとおりです。①全問を4択の空所補充にして、正解が1つだけになるようにする。②2問は very と much(または far)の選び分け、2問は名詞の前の比較級(a much bigger ~)、2問は many more と much more の選び分けを問う。③選択肢には、日本語の「とても」につられやすい very を入れる。④解答には、なぜその答えになるかを一言添える。⑤私が答えるまで解答を見せない。
確認クイズ
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Q1. ( ) に入れるのに最も適切なものはどれか。The new phone is ( ) lighter than the old one.
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Q2. ( ) に入れるのに最も適切なものはどれか。We need ( ) more chairs for the meeting. Twenty people are coming.
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Q3. ( ) に入れるのに最も適切なものはどれか。Russia is a ( ) larger country than Japan.
よくある質問
比較級の前に very を置いてはいけないのですか?
置けません。perfectyourenglish.com の解説も、比較級に very は使えないと書いています。代わりに much・far・a lot などを使い、much taller のように言います。
much と even は、どう違いますか?
much は差が大きいことを言います。Mango Languages の解説によると、even は差の大きさではなく、比べている2つのどちらもその性質を強く持っていることを表します。Ken is even taller than Taro. なら、タロウももともと背が高いことになります。
many more と much more は、どう使い分けますか?
more のうしろの名詞で決まります。perfectyourenglish.com の解説によると、複数形の名詞なら many more opportunities、数えられない名詞なら much more money のように言います。