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GRAMMAR 第75回 標準 読了 9分

had better の意味は?should より強い「でないと困るよ」

入試対策講座|第75回

had better は「〜したほうがいい」と習いますが、should より強く、「そうしないと困るよ」という警告の響きを持ちます。had が過去の形なのに今の話をする理由と、入試で問われる not の位置・原形・'d の正体までまとめました。

監修:原田高志(原田英語.com)

先生が遅くまで残っていたら、You had better go home. と声をかけますか。「〜したほうがいい」と習ったので、親切な一言に見えます。ところが had better は should より強く、場面しだいで警告に聞こえます。今日は had better の強さと、入試で問われる形を見ていきます。

had better は「〜したほうがいい」なのに、なぜ should より強く聞こえるのか

次の2つを見比べてください。

① You should go home.
② You had better go home.

どちらも、学校では「家に帰ったほうがいい」と訳します。

ところが、VOA Learning English の文法解説は、had better は should や ought to より強く、遠回しな脅しを含むと書いています。

同じ訳なのに、②だけが強く聞こえるのはなぜでしょうか。

考えられる答え

仮説1 過去形の had が入っているから、強く聞こえる

had は、たしかに過去の形です。そこに引っかかる気持ちは分かります。 ただ、test-english の解説は、had は過去の形でも、had better はすぐ先のことを言うときだけ使うと書いています。had は過去の話を表していません。ですから、had が強さの原因にはなりません。

仮説2 better が比較級なので、上から比べている感じがするから

had better が should より強いのは本当です。VOA の解説もそう書いています。 ただ、強さの中身は「比べている」ことではありません。同じ解説が挙げているのは、強さに加えて「遠回しな脅し」です。比較級だというだけでは、そこまで説明できません。

仮説3 「そうしないと困ることになる」という警告の含みがあるから

ビクトリア大学の英語学習ページは、had better には「助言に従わないと悪いことが起きる」という警告の考えが含まれると説明しています。 VOA の解説も、立場が上の人が下の人に had better を使うことがある、親もよく使う、と書いています。上から下へ向かう場面で使われることがある言い方です。生徒が先生に使うと、その向きが逆になります。

真相

助動詞の語法

had better は「〜しないと困ることになるよ」という警告の含みを持つ、should より強い助言。VOA の解説によると、立場が上の人が下の人に使うことがある言い方でもある。

had better + 動詞の原形 =「〜しないと困ることになる。だから〜しなさい」/否定は had better not + 原形

① should はやわらかい助言、had better は強い助言
VOA の解説(2024年)は、should は提案や親しい助言によく使うと書いています。一方で、had better は should や ought to より強く、遠回しな脅しを含むとしています。
・You should try this book.(この本、読んでみるといいよ)
・You had better finish the report.(報告書を仕上げなさい。でないと困ることになる)

② 急ぎの場面なら、失礼にはならない
同じ解説は、had better はいつも失礼なわけではなく、急ぎの気持ちを表すこともあると書いています。飛行機の出発が迫っている人に「走ったほうがいい」と言う例です。相手を責めるのではなく、相手が困らないように急かしているからです。

言語学者のデニソンとコートの論文(Better as a verb)も、脅しの意味は had better そのものに入っているのではなく、文脈や場面から生まれると論じています。

③ had は過去ではない
Grammarphobia の解説によると、もとの形は were better でした。10世紀の古英語の文 Him wære betere … は「彼にとっては〜のほうがよかろう」という意味です。16世紀から had better の形が広まりました。

デニソンとコートの論文は、had better の had を、OED(オックスフォード英語辞典)が仮定法の過去形と呼んでいると紹介しています。I wish I were a bird. の were と同じく、過去の形で今のことを言う形です。

④ 形のきまり
▼ うしろは動詞の原形。to は付けない(You had better go.)
▼ 否定は better のうしろに not(You had better not go.)
▼ 話し言葉では You'd better と縮める。この 'd は had
▼ 過去形と疑問文の形は、ふつう使わない(VOA の解説)

入試で使う3ステップ
① had better を見たら、うしろが原形かを確かめます。
② 否定なら、not が better のうしろにあるかを見ます。
③ 'd better の 'd は had だと読み、would と取り違えないようにします。

日本語の頭が、ここで邪魔をする

日本語の「〜したほうがいい」には、「従わないと困るぞ」という脅しの響きはふつうありません。だから had better を「〜したほうがいい」とだけ覚えると、should と同じやわらかさで使ってしまいます。

もう1つ、日本語の「早く寝たほうがいい」の「た」も、過去の話ではありません。had が過去の形なのに今の話をするのと、よく似ています。形が過去でも、時は過去ではない。

知らなかっただけで、あなたの理解力の問題ではありません。had better を見たら、「でないと困るよ」を後ろに足して読んでください。

ここでつまずく

入試でいちばん出るのは、not の位置です。

✕ You had not better go out tonight.
○ You had better not go out tonight.

うしろに to を付ける誤りも出ます。

✕ You had better to see a doctor.
○ You had better see a doctor.

'd better の 'd を would と読む誤りもあります。

✕ You'd better = You would better
○ You'd better = You had better

had better =「〜しなさい。でないと困るよ」。not は better のうしろ、うしろは原形。

助言の強さを聞き分ける力を手に入れる

should・had better のどちらが使われているかで、話し手がどれだけ強く求めているかが分かります。had better なら「でないと困る」まで読み取ります。

この見方ができると、会話文の空所補充で、場面に合う強さの表現を選べます。登場人物の立場の上下や、急ぎの場面かどうかも読み取れます。

例文で確かめる

You'd better take an umbrella. It's going to rain soon.

傘を持っていきなさい。もうすぐ雨が降るよ。

'd は had。降られて困らないように、という注意の場面。

The last train leaves in five minutes. We'd better hurry.

終電はあと5分で出る。急がないと。

主語が We でも使える。急ぎの場面なので失礼にはならない。

You'd better not be late for the exam.

試験に遅れてはだめだよ。

否定の not は better のうしろ。

You should try the new cafe near the station.

駅の近くの新しいカフェ、行ってみるといいよ。

親しい気持ちでのおすすめは should。had better にすると強すぎる。

Before

had better を should と同じ「〜したほうがいい」だと思い、誰にでも使っていた

After

had better には「でないと困るよ」という警告の含みがあると分かった。だから、会話文で親しいおすすめなら should、急ぎや注意の場面なら had better と、場面に合う方を選べる

For Teachers

明日の授業、この15分で「had better の意味と使い方(should より強い、警告を含む助言)」が終わります

導入の問いかけ(3分)

  • 「「先生が遅くまで残っています。You had better go home. と声をかけるのは、親切ですか」と聞き、手を挙げさせます」
  • 「「では、You should go home. とくらべて、どちらが強く聞こえますか」と聞き、隣の人と15秒話させます」
  • 「「had は過去の形なのに、なぜ今からのことを言えるのでしょう」と聞き、答えは板書のあとで明かします」

板書はこの1行だけ

should = やわらかい助言/had better = 強い助言(でないと困るよ)+原形。否定は had better not

ペアワーク/全体討論(5分)

「1人が困った場面を言います(例:もうすぐ電車が出る)。もう1人は、You'd better で始まる一言を返します」5分。

先生の発話は、「had better のうしろは原形です。打ち消すなら better のうしろに not を置きます」です。言い終わったら役を替え、最後に should で言い直すとどう変わるかを聞きます。

レベル別ミニ問題(5分)

標準

誤りを直しなさい。You had better to take an umbrella with you.

答え:You had better take an umbrella with you. had better のうしろは動詞の原形で、to は付けない

標準

誤りを直しなさい。You had not better eat too much before the race.

答え:You had better not eat too much before the race. 否定の not は better のうしろに置く

難関

次の会話で、( ) に should と had better のどちらがふさわしいか答え、理由を書きなさい。Student: Ms. Green, you ( ) try the new cafe near the station. It's really nice.

答え:should。生徒が先生に、親しい気持ちですすめる場面。VOA の解説によると、親しい助言には should を使う。had better は「でないと困る」という警告の含みがあるので、このおすすめには強すぎる

出口チケット(2分)

「試験に遅れないようにしなさい(でないと困るよ)」を、had better not を使って英語で書かせる(例:You'd better not be late for the exam.)

MAKE IT YOURS

AIに貼ると、この項目だけを狙った練習問題が、あなた用に出てきます。

あなたは大学入試英語の指導者です。had better の使い方を確かめる練習問題を6問作ってください。条件は次のとおりです。①全問を4択の空所補充にして、正解が1つだけになるようにする。②2問は had better のうしろの動詞の形、2問は否定の not の位置、2問は should と had better のどちらが場面に合うかを問う。③会話文の問題では、話し手と聞き手の立場(先生と生徒、親と子など)が分かるようにする。④解答には、なぜその答えになるかを一言添える。⑤私が答えるまで解答を見せない。

動画で見る

should・ought to・had better を比べる VOA の文法解説動画(英語) (VOA Learning English) 記事でたびたび引いている VOA の文法コーナー「Everyday Grammar」の動画です。

確認クイズ

  1. Q1. ( ) に入れるのに最も適切なものはどれか。It's getting dark. You had better ( ) home before the storm.

  2. Q2. ( ) に入れるのに最も適切なものはどれか。You ( ) touch that pan. It's still very hot.

  3. Q3. You'd better ask your teacher about it. の文で、下線部 'd は何の短い形か。

よくある質問

had better と should は、同じ意味ですか?

どちらも助言に使いますが、強さが違います。VOA Learning English の解説によると、should は提案や親しい助言によく使い、had better は should より強く、遠回しな脅しを含みます。

had は過去形なのに、なぜ今やこれからのことを言えるのですか?

had better の had は、過去の話を表していないからです。デニソンとコートの論文によると、OED はこの had を仮定法の過去形と呼んでいます。I wish I were a bird. の were と同じく、過去の形で今のことを言う形です。

had better を使うと、いつも失礼になりますか?

いつもではありません。VOA の解説は、had better が急ぎの気持ちを表すこともあると書いています。出発が迫っている人に「急いで」と言うような場面なら、相手のための一言になります。