付帯状況のwith の意味|with his arms folded に動詞が要らない理由
入試対策講座 第10回
He was standing there with his arms folded. という文には、withのあとに動詞がありません。それでも「腕を組んで立っていた」という意味が伝わるのはなぜか。付帯状況のwithという構文の仕組みを、謎解きの順で解説します。
監修:原田高志(原田英語.com)
with のうしろに、動詞が1つも無い。それなのに、まるで2つの動作が同時に起きているように読める文があります。今日はその仕組みを、謎解きの形で開けていきましょう。
with のあとに動詞が無いのに、なぜ2つの動作が同時に起きていると分かるのか
He was standing there with his arms folded.(彼は腕を組んでそこに立っていた)という文を見てください。standing という動詞はありますが、arms folded の部分には be動詞も一般動詞もありません。それでも「立っていた」のと「腕を組んでいた」のが同時に起きていたことが、読んだ瞬間に伝わります。
考えられる答え
with を『〜と一緒に』の意味だけで覚えていると、with his arms folded を「腕を組んだ状態と一緒に」という曖昧な訳で済ませてしまいます。これでは、なぜ folded という形(過去分詞)が選ばれているのかまでは説明できません。
He was standing there, and his arms were folded. の省略だと考えると、意味の見当は付きます。ただしこれでは「なぜ主語 his arms のあとに were が消え、folded だけが残るのか」という文法の理屈までは説明できません。惜しいところまで来ています。
with のあとに「主語のようなもの(O)」と「状態を表すことば(C)」を並べると、『Oが Cの状態で』という意味のかたまりが1つできあがります。これは省略ではなく、with がもともと持っている働きです。ここに真相があります。
真相
with + O + C は「OがCの状態で」という意味を作る、独立した構文です。Cには現在分詞・過去分詞・形容詞・前置詞句のいずれも入ります。
with + O + 現在分詞/過去分詞/形容詞/前置詞句
with + O + C は「OがCの状態で」という意味のかたまりを作る構文です。Cの部分に何が来るかで、Oがどんな状態にあるかが変わります。
① Oが自分から『する』動作なら、現在分詞(doing)。
He spoke with his eyes shining.(彼は目を輝かせながら話した)。eyesはshine(輝く)という動作を自分からしている側なので、現在分詞です。
② Oが『される』側、すでに完了した状態なら、過去分詞(done)。
He was standing there with his arms folded.(彼は腕を組んで立っていた)。armsはfold(組む)という動作をする側ではなく、『組まれた』状態にある側なので、過去分詞になります。
③ Cには形容詞や前置詞句も入ります。
Don't speak with your mouth full.(口をいっぱいにしたまま話さないで)
She sat with her legs crossed under the table.(彼女はテーブルの下で脚を組んで座っていた)
with 以下は、主節の動作と同時に起きている、もう1つの状態を、動詞を増やさずに書き足すための道具です。日本語の『〜しながら』『〜した状態で』に近い働きだと考えてください。
日本語の頭が、ここで邪魔をする
日本語では「腕を組んで、立っていた」のように動詞を連続させて、2つの動作を1つの文に収めることができます。ところが英語の1つの文には、原則として述語動詞(文の骨組みになる動詞)を1つしか置けません。日本語の『〜して、〜して』の感覚のまま英作文をすると、standing and folding のように動詞を無理やり2つ並べてしまい、不自然な英文になりがちです。with + O + C は、この『2つ目の動詞』を分詞や形容詞に姿を変えて処理するための道具です。知らなかっただけで、感覚がずれているわけではありません。
ここでつまずく
現在分詞と過去分詞を逆にしてしまう誤りが定番です。
✕ with his eyes closing(目が『閉じている最中』という不自然な動作の意味になってしまう)
○ with his eyes closed(目を閉じた状態で)
見分け方は1つだけです。Oが自分でCという動作をするなら doing、Oがすでにその状態にある(される側)なら done。eyes は自分で「閉じる」動作を行う主体ではなく、「閉じられた」状態にあるので、正しくは closed です。
同時進行描写力を手に入れる
with + O + C を使えるようになると、主節の動作に、もう1つの状態をその場に重ねて書き足せるようになります。自由英作文で場面を描写するとき、He was walking. と She was walking with her dog running beside her. とでは、伝わる情報の量がまったく違います。文を増やさずに、絵を1枚増やせる力です。
例文で確かめる
She fell asleep with the TV on.
彼女はテレビをつけたまま眠ってしまった。
He answered the question with his arms crossed.
彼は腕を組んだまま質問に答えた。
Don't talk with your mouth full.
口の中に食べ物を入れたまま話さないで。
Before
with のあとに完全な文が続かない英文を見ると、そこで思考が止まっていた
After
withのあとにO+Cの形を見つけたら、『Oが Cの状態で』という付帯状況だと即座に読み替えられる。読解でも英作文でも、動詞を増やさずに場面の情報量を増やせるようになる
For Teachers
明日の授業、この15分で「付帯状況のwith(with + O + 分詞・形容詞)」が終わります
導入の問いかけ(3分)
- 「「He was standing there with his arms folded. このwithのあとに動詞、ある?」」
- 「「無いのに、なんで意味が分かるんだろう?」」
- 「「eyes closingとeyes closed、どっちが自然だと思う?」」
板書はこの1行だけ
with + O + C = 「Oが Cの状態で」(C:doing/done/形容詞/前置詞句)
ペアワーク/全体討論(5分)
先生がジェスチャーで『腕を組んで立つ』をやって見せます。『これを英語で実況して』とペアに投げてください。standing だけで終わる生徒がほとんどのはずです。そこで『腕の状態も付け加えるには?』と聞き、with his arms folded を引き出します。
レベル別ミニ問題(5分)
彼は帽子をかぶったまま教室に入ってきた。(with を使って)
答え:He came into the classroom with his cap on.
誤りを直しなさい:She was talking with her arms crossing.
答え:She was talking with her arms crossed.(armsは『組まれる』側なので過去分詞)
出口チケット(2分)
with + O + C の形を使って、いまの自分の状態を1文で書きなさい(例:I'm writing this with my headphones on.)。
AIに貼ると、この項目だけを狙った練習問題が、あなた用に出てきます。
あなたは大学入試の英語講師です。付帯状況のwith(with + O + 現在分詞/過去分詞/形容詞)を私が使いこなせるようにしてください。条件:①現在分詞と過去分詞をどう選ぶかの判断基準を1文で示す ②with + O + Cを3回使った短い情景描写の英文(100語程度・日本語訳つき)を作る ③OとCの組み合わせが正しいかを判定させる4択問題を5問、各問1行の解説つきで作ってください。
確認クイズ
-
Q1. 次の文の空所に入れるのに最も適切なものはどれか。He was reading a book with his legs ______.
-
Q2. 次のうち、with + O + C の使い方として正しい文はどれか。
よくある質問
with + O + 分詞は難しい大学でしか出ませんか。
共通テストの読解問題にも、状況を描写する場面で頻出します。読めると場面が鮮明になるので、難易度を問わず押さえておく価値があります。