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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
GRAMMAR 第1回 標準 読了 9分

分詞構文に主語が無い理由|犯人は、圧縮されたカンマ

入試対策講座 第1回/謎解き式・先生の15分パックつき

Walking along the street, I met an old friend. なぜ主語を書かなくても通じるのか。なぜ接続詞まで消えているのか。この2つを同時に説明できる犯人を突き止めると、6つの意味の暗記が「復元」に変わります。

監修:原田高志(原田英語.com)

分詞構文でつまずく人は、たいてい6つの意味を暗記しようとして溺れます。今日は逆から行きます。先に謎を出し、考えられる答えを1つずつ確かめていきます。理屈が手に入れば、6つの意味は覚えるものではなく、その場で復元するものになります。最後に、先生がそのまま使える15分の授業案を置いておきます。

分詞構文には、なぜ主語が無いのか

次の文を見てください。

Walking along the street, I met an old friend.(通りを歩いていたら、旧友に会った)

前半に、主語がありません。歩いていたのは誰なのか、書かれていない。

それだけではありません。「〜していたら」に当たる接続詞も消えています。When も Because も If も無い。

それなのに、読む側は意味を取り違えません。主語も接続詞も無いのに、なぜ通じるのでしょうか。

考えられる答え

仮説1 主語が同じだから、省略しただけ

主語については正しい説明です。ただし接続詞まで消えている理由が説明できません。主語が同じでも、When は残せるはずです。実際 When walking ~ という形も存在します。もう一段、深いところに理由があります。

仮説2 書き言葉らしく見せるための飾り

硬い文章に多いのは事実ですが、飾りなら意味は変わらないはずです。しかし分詞構文は、どの接続詞で復元するかによって意味が変わります。時なのか、理由なのか、条件なのか。飾りが意味を変えることはありません。

仮説3 カンマが、接続詞と主語をまとめて圧縮した跡である

分詞構文は、副詞節をまるごと圧縮した形です。接続詞と主語を落とし、動詞を -ing に変える。カンマは、圧縮した跡に残ったつなぎ目。ここに真相があります。

真相

準動詞

分詞構文とは、「接続詞+主語」を落として圧縮した副詞節です。落とせるのは、副詞節の主語が主節の主語と同じときだけ。書かなくても誤解が起きないから、書かない。カンマは、圧縮のつなぎ目として残った印です。

Ving 〜, S + V 〜.(= When/Because/If/Though + S + V 〜, S + V 〜.)

分詞構文とは、「接続詞+主語」を省いて圧縮した副詞節のことです。

もとの文は When I walked along the street, I met an old friend. の2文構造。主節と副詞節で主語が同じ(どちらも I)だったので、副詞節の側から接続詞と主語を消し、動詞を -ing に変えて Walking along the street, I met an old friend. と圧縮しました。「-ing の意味上の主語=主節の主語」と決まっているから、書かなくても誤解が起きない。これが「主語を書かない」理由のすべてです。

逆に言えば、意味上の主語が主節と違うときは、消すと意味が壊れます。だから Night falling, we hurried home. のように主語を残す。これが独立分詞構文です。「特別な構文」として別に覚える必要はありません。圧縮のルールがそのまま適用できなかっただけの、同じ仕組みの別の顔です。

否定は not を -ing の直前に置いて Not knowing what to say, he kept silent.。主節よりの出来事なら Having + 過去分詞(完了分詞構文)で時間差を示します。どの形も「解凍したら元の副詞節に戻せるか」を確かめれば、正誤が自分で判定できます。

日本語の頭が、ここで邪魔をする

日本語は、「〜して、」だけで、時も理由も条件もぜんぶ言えてしまいます。

「歩いていて、会った」(時)。「疲れていて、休んだ」(理由)。「右に曲がって、まっすぐ行けば着く」(条件)。つなぎ方は1つなのに、意味は3つ。日本語話者は、これを文脈で読み分けています。

だから、接続詞の無い英文を見ても違和感がありません。違和感が無いことが、逆に落とし穴になります。

入試の分詞構文の設問は、まさに「どの接続詞で復元するか」を聞いてきます。日本語の頭で読むと意味は取れてしまうので、復元する習慣が育たない。ここで差がつきます。

対策は1つ。分詞構文を見たら、必ず接続詞を1つ選んで口の中で戻す。When なのか Because なのか。これを毎回やるだけで、設問に対応できます。

ここでつまずく

「-ing の意味上の主語=主節の主語」というルールを忘れると、Walking along the street, a dog bit me. のような文を書いてしまいます。これでは「散歩していたのは犬」となり、いわゆる懸垂分詞(dangling participle)です。ネイティブでもうっかりやる誤りですが、入試では確実に減点対象。書く前に「-ing しているのは誰か」を主節の主語と一致させる癖をつけてください。

分詞構文=副詞節のZIPファイル。解凍すると「接続詞+主語」が出てくる。主語が主節と同じだから圧縮できた。違うなら消せない(独立分詞構文)。

文をひとかたまりに圧縮して読む力を手に入れる

分詞構文が復元できるようになると、長い文を、意味のかたまりごとに畳んで読むという読み方が手に入ります。

カンマの前までを1つの副詞のかたまりとして畳み、主節だけを骨として取る。英文の長さに気圧されなくなるのは、この畳み方が身についたときです。

さらに、書くほうでも効きます。英作文で2文をだらだら並べる代わりに、1文を圧縮して差し出せる。採点者が読みやすいと感じる文は、たいていこの圧縮ができている文です。

例文で確かめる

Walking along the street, I met an old friend of mine.

通りを歩いていて、旧友にばったり出会った。

= When I was walking along the street, I met ... の圧縮形。

Not knowing what to say, he kept silent for a while.

何と言えばよいかわからず、彼はしばらく黙っていた。

否定は not を分詞の直前に。never も同じ位置。

Having finished my homework, I went out for a walk.

宿題を終えてから、散歩に出かけた。

主節(went)より前の出来事なので Having + 過去分詞(動詞の3つめの形。written、broken など)。

The weather being fine, we decided to have lunch outside.

天気がよかったので、私たちは外で昼食をとることにした。

主節(we)と分詞の主語(The weather)が違うので主語を残す=独立分詞構文。

All things considered, her plan is the most realistic.

すべてを考え合わせると、彼女の案が最も現実的だ。

慣用化した独立分詞構文。considered は受動なので過去分詞。

Before

分詞構文は「時・理由・条件・譲歩・付帯状況・連続動作」の6つを覚えるものだと思っていた。覚えても、実際の文でどれなのかは選べなかった。

After

圧縮された副詞節を、接続詞を戻して解凍する。6つは覚えるリストではなく、戻すときの候補になる。候補から選ぶ作業なら、その場でできる。

For Teachers

明日の授業、この15分で「分詞構文」が終わります

導入の問いかけ(3分)

  • Walking along the street, I met an old friend. 歩いてたのは誰? なんで書いてないのに分かる?
  • この文、接続詞も消えてるよね。When も Because も無い。なんで消せたんだろう
  • Walking along the street, a dog bit me. これ、何がおかしい?

板書はこの1行だけ

分詞構文=副詞節の圧縮。接続詞と主語を落とせるのは、主語が主節と同じときだけ。

ペアワーク/全体討論(5分)

3番目の問いかけが、この授業でいちばん効きます。

「Walking along the street, a dog bit me. これ、何がおかしい?」(2分)

「犬が歩いてることになる」と気づいた生徒が出たら、その場で拍手してください。懸垂分詞は、説明されるより自分で見つけたほうが一生忘れません。

気づかないクラスでは、「歩いてたのは誰?」とだけ聞き直します。それでも出なければ、日本語で「通りを歩いていると、犬が私を噛んだ」と読み上げ、「日本語だと自然だよね。そこが落とし穴」と受けてください。日本語では成立してしまうことを、生徒自身に確認させるのが目的です。

レベル別ミニ問題(5分)

標準

( Seeing / Seen ) the police officer, the man ran away. 正しいのはどちらか。

答え:Seeing。見たのは the man(主節の主語)で、能動の関係。

標準

Not knowing what to say, he kept silent. の not の位置に注意して、否定の分詞構文の作り方を説明しなさい。

答え:not は -ing の直前。文頭に置く。doing not ~ とはしない。

難関

Night falling, we hurried home. なぜ主語 Night が残っているのか。

答え:副詞節の主語(Night)が主節の主語(we)と違うため、落とすと意味が壊れる。これが独立分詞構文。

難関

Having finished my homework, I went out. の Having は何をしているか。

答え:主節より前に起きたことを示す完了分詞構文。時間差を明示している。単なる Finishing では前後関係が出ない。

出口チケット(2分)

分詞構文で主語を書かなくてよいのはどんなときか。条件を1行で書きなさい。

MAKE IT YOURS

AIに貼ると、この項目だけを狙った練習問題が、あなた用に出てきます。

あなたは大学入試の英語講師です。私は高校2年生で、分詞構文が苦手です。条件:①分詞構文を含む英文を10文作り、それぞれ適切な接続詞(when / because / if / though / and)を使って書き換えさせる問題にする ②10文のうち2文は独立分詞構文、2文は完了分詞構文、1文は懸垂分詞の誤文にする ③各文の解説では「主語が主節と同じか」を必ず確認する ④誤文については、なぜ誤りなのかを日本語訳を添えて説明する ⑤最後に、私が長文で分詞構文に詰まらないための読み方を3ステップで書いてください。

確認クイズ

  1. Q1. 空所に入る最も適切な語句を選びなさい。 ( ) what to do next, he called his father for advice.

  2. Q2. 次の文を分詞構文に書き換えたとき、最も自然なものを選びなさい。 As it was written in easy English, the book was easy to read.

  3. Q3. 下線部の Having の役割として最も正しいものを選びなさい。 Having lived in London for ten years, she speaks English fluently.

よくある質問

分詞構文の意味は6つあると言われますが、どうやって見分けますか?

文脈で決めますが、実務上は「時(〜するとき)」で訳して意味が通れば時、通らなければ理由・条件・譲歩の順に試す、が最速です。and でつないで「そして〜」と訳せる場合は付帯状況(同時進行)です。訳語より、主節との論理関係のほうを優先してください。

Being sick, he stayed home. の Being はよく省略されると聞きますが、なぜですか?

分詞構文の Being/Having been は情報量がほぼゼロなので、書き言葉ではしばしば省かれます。省くと Sick, he stayed home. のようになり、一見「形容詞が突然置いてある」ように見えますが、これは分詞構文の名残です。入試の並べ替えで狙われます。