録音した自分の声が違う理由|頭の中の声とみんなが聞いている声
Why Does Your Voice Sound Different in Recordings?
やさしい英文de多読 第19回
自分の声を録音して聞くと、なぜか別人のように感じる。その理由は、耳ではなく骨にありました。気導と骨導という2つの聞こえ方の違いを、やさしい英文で読みます。
監修:原田高志(原田英語.com)
録音した自分の声を聞いて「これ、本当に自分?」と驚いたことはありませんか。今日は、その違和感の正体を英文で読み解きます。
英文
Why Does Your Voice Sound Different in Recordings?
Have you ever heard a recording of your own voice and thought, "That doesn't sound like me at all"?
Almost everyone reacts this way the first time they hear a recording of their own voice.
The voice in the recording is not wrong, but it is different from the voice inside your own head.
To understand why, you need to know that you hear your own voice in two ways at once.
The first way is called air conduction.
Sound waves travel through the air and reach your eardrum, just like any other sound.
This is exactly how other people hear your voice, and it is also how a microphone records it.
The second way is called bone conduction.
When you speak, your vocal cords vibrate, and those vibrations travel through the bones in your skull to your inner ear.
Bone conduction adds extra low, rich frequencies that air conduction alone does not carry.
Because of this, the voice inside your head sounds deeper and fuller than what everyone else hears.
A recording only captures the air-conducted sound, so it removes those extra low frequencies.
That is why your recorded voice can sound higher, thinner, or simply unfamiliar.
The voice in your head is a private mix that only you have ever experienced.
Singers and public speakers often listen to their own recordings on purpose, to get used to this gap.
The more you hear your recorded voice, the less strange it starts to sound.
(245 words)
重要語句
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| air conduction | 気導(空気を伝わって音が聞こえること) | the way sound travels through the air to reach your ear |
| bone conduction | 骨導(骨を伝わって音が聞こえること) | the way sound vibrations travel through bone to reach your inner ear |
| vocal cords | 声帯 | the parts inside your throat that vibrate to produce your voice |
| vibrate | 振動する | to move quickly back and forth |
| eardrum | 鼓膜 | the thin piece of skin inside your ear that vibrates when sound hits it |
| frequency | 周波数 | how fast a sound vibrates, which decides how high or low it sounds |
| unfamiliar | 聞き慣れない、なじみのない | not familiar or well known |
| skull | 頭蓋骨 | the bones that form the shape of your head |
全文和訳
自分の声を録音したものを聞いて、「全然自分の声に聞こえない」と思ったことはありませんか。自分の声の録音を初めて聞いたとき、ほとんどの人がこう感じます。録音された声が間違っているわけではなく、頭の中で聞いている自分の声とは違う、というだけです。その理由を理解するには、自分の声を同時に2つの方法で聞いていることを知る必要があります。1つ目は「気導」と呼ばれる方法です。音波が空気の中を伝わり、耳に入って鼓膜に届く、ふつうの音と同じ仕組みです。これは、他の人があなたの声を聞く方法とまったく同じで、マイクが声を録音する仕組みでもあります。2つ目は「骨導」と呼ばれる方法です。話すとき声帯が振動し、その振動が頭の骨を通って直接、内耳に伝わります。骨導は、気導だけでは伝わらない、低くて豊かな周波数を付け加えます。そのため、頭の中で聞いている声は、周りの人が聞いている声より低く、豊かに聞こえます。録音は空気を伝わった音しかとらえないので、その余分な低い周波数が抜け落ちます。だからこそ、録音された自分の声は、より高く、薄っぺらく、なじみのない声に聞こえるのです。頭の中で聞いている声は、空気の音と骨の音が混ざった、自分にしか聞こえない特別な声なのです。歌手や講演者は、この違和感に慣れるために、わざと自分の録音を聞くことがよくあります。自分の録音した声を聞けば聞くほど、その違和感は薄れていきます。
コラム:録音の声が苦手なのは、あなただけではありません ~気導と骨導の話~
録音という技術そのものが、人類にとって「初めての驚き」だった
1877年、トーマス・エジソンが蓄音機(phonograph)を発明したことで、人類は初めて自分の声を録音し、あとから聞き返せるようになりました。それまで、人が自分の声を『他人が聞いているとおりに』聞く方法はありませんでした。
誰もが知っていたのは、骨を伝わる低い響きを含んだ『自分だけの声』だけです。蓄音機は、その響きの入らない声を、初めて本人の耳に届けた機械です。録音した自分の声に驚く、という経験そのものが、このときから始まりました。
「録音の声、苦手」は世界共通の現象
この違和感は、英語を話す人にも日本語を話す人にも、同じように起こります。気導と骨導という耳の仕組みの話であって、言語の問題ではないからです。
歌手やアナウンサーは、自分の声を録音して聞き直す練習をします。今日の英文の最後にも、そのことが書いてありました。聞いた回数が増えるほど、違和感は薄くなります。慣れは、才能ではなく回数で手に入ります。
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自分の「本当の声」と、どう付き合うか
少し不思議に聞こえるかもしれませんが、録音された声のほうが、まわりの人があなたについてずっと聞いてきた声です。友達や家族があなたの声を『いいな』と思ってくれているのは、その声に対してです。
この連載の英文を音読して、自分の声を録音してみてください。最初は違和感があっても、2回目、3回目と聞き返すうちに、その声はだんだん『自分の声』として耳になじんでいきます。明日は、今日読んだ英文を1つ選んで、声に出して録音するところから始めてみましょう。
確認クイズ
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Q1. 自分の頭の中で聞こえる声が、録音された声より低く豊かに聞こえる理由は何ですか。
よくある質問
録音の声に慣れるには、どのくらい聞けばいいですか?
個人差はありますが、歌手や講演者の例からも、くり返し聞くことで違和感は少しずつ薄れていくとされています。1回であきらめず、何度か聞き返してみてください。