鳥がV字で飛ぶ理由は?前の鳥が作る上向きの風に乗る
Why Do Birds Fly in a V?
Easy Reading|第50回
渡り鳥がV字で飛ぶ理由は、前の鳥の翼の先で生まれる上向きの空気に乗るためです。2014年のホオアカトキの研究では、羽ばたきの間合いまでそろえていることが分かりました。約240語のやさしい英文とコラムで読みます。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日の英文は約240語です。秋の空で、鳥がV字に並んで飛んでいるのを見たことはありませんか。実はうしろの鳥は、前の鳥が作った空気に乗って楽をしています。しかも先頭の鳥は、交代で務めているようです。鳥たちの「飛び方の工夫」を、英語で読んでみましょう。
英文
Why Do Birds Fly in a V?
Look up at the autumn sky, and you may see birds flying in a V.
Geese, swans, cranes and pelicans often fly this way.
But why do they make this shape?
When a bird flaps its wings, it pushes air down.
But near the tips of its wings, some of the air goes up.
A bird flying behind and a little to the side can ride on this rising air.
That is why the birds fly at an angle, not in a straight line.
In 2014, scientists in Britain showed that it was true.
They studied fourteen young northern bald ibises.
These birds were raised by people in Austria and learned to follow a small plane to Italy.
The scientists put tiny devices on the birds to record each bird's position and flaps.
The birds flew in just the right places to catch the rising air.
They also timed their flaps with the bird in front, so their wingtips followed the same path.
When a bird flew straight behind another, it flapped the opposite way to avoid the air going down.
Flying in a V saves energy, but the leader gets no help.
So who flies at the front?
A study in 2015 found that these ibises take turns.
A bird that leads for a while can later rest behind another bird.
Next time you see birds flying in a V, watch the front.
The leader may soon change places.
(240 words)
重要語句
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| flap | (翼を)羽ばたかせる | to move wings up and down quickly |
| tip | 先、先端 | the pointed end of something long or thin |
| rising | 上がっていく | going up |
| at an angle | 斜めに | not straight; leaning to one side |
| raise | 育てる | to take care of a child or a young animal until it grows up |
| device | 装置、機器 | a small machine made for a special job |
| take turns | 交代でする | to do something one after another, not all at the same time |
全文和訳
秋の空を見上げると、V字に並んで飛ぶ鳥が見えるかもしれません。ガン・ハクチョウ・ツル・ペリカンは、よくこの形で飛びます。でも、どうしてこの形になるのでしょうか。鳥は羽ばたくとき、空気を下へ押します。ところが翼の先の近くでは、空気の一部が上へ向かいます。うしろの少し横を飛ぶ鳥は、この上向きの空気に乗ることができます。だから鳥たちは、まっすぐ一列ではなく、斜めに並んで飛ぶのです。2014年、イギリスの科学者たちが、それが本当だと示しました。調べたのは、14羽の若いホオアカトキです。この鳥たちはオーストリアで人に育てられ、小さな飛行機について、イタリアまで飛ぶことを覚えました。科学者たちは鳥たちに小さな装置を付けて、1羽ずつの位置と羽ばたきを記録しました。鳥たちは、上向きの空気をつかまえるのにちょうどよい場所を飛んでいました。さらに前の鳥と羽ばたきの間合いを合わせ、翼の先が同じ道筋をたどるようにしていました。別の鳥の真うしろを飛ぶときは、下向きの空気を避けるために、逆の間合いで羽ばたいていました。V字で飛ぶと力の節約になりますが、先頭の鳥は助けてもらえません。では、だれが先頭を飛ぶのでしょうか。2015年の研究で、このトキたちは交代していることが分かりました。しばらく先頭を務めた鳥は、あとで別の鳥のうしろに入って休めるのです。今度V字で飛ぶ鳥を見かけたら、先頭をよく見てください。先頭の鳥が、もうすぐ入れかわるかもしれません。
コラム:鳥がV字で飛ぶ理由 ~先頭は交代制~
うしろの鳥は、上向きの空気に乗っている
Wikipedia|V formationによると、鳥の翼の先では空気が渦を巻き、そのそばに上向きの空気の流れができます。うしろの鳥はこれに乗ると、自分の体重を支えるのが楽になります。同じページは、上昇気流の中のグライダーにたとえています。
V字で飛ぶ鳥として、同じページは次の鳥を挙げています。
- ・ガン、ハクチョウ、カモ
- ・カモメ、ツル、ペリカン
- ・ウ、トキ
1970年の計算では、25羽で飛ぶと、飛べる距離が71%のびるとされています。
ペリカンの心拍数でも確かめられた
2001年には、ヴェイメルスキルシュらのチームが、Natureに論文を出しました。人に慣らして、V字で飛ぶように訓練したモモイロペリカンの心拍数を測り、使っている力を調べたものです。
結果は、V字で飛ぶと、力をかなり節約できるというものでした。Wikipediaによると、1羽だけで飛んだペリカンは、心拍数が高く、羽ばたく回数も多かったそうです。比べた相手は、同じ速さでV字の中を飛んだペリカンです。
2014年、羽ばたきの間合いまで分かった
本文の研究は、イギリスのロンドン大学王立獣医大学のチームが2014年にNatureに出したものです。ScienceDailyによると、使ったのはオーストリアのウィーン動物園で人が育てた、14羽の若いホオアカトキです。鳥たちは小型の飛行機について、オーストリアからイタリアのトスカーナ地方まで渡りました。
鳥に付けたのは、GPSと、動きを測る小さな装置です。位置は最大30cmの細かさで記録できました。分かったことは2つです。
- ① 斜めうしろを飛ぶとき:前の鳥と翼の先が同じ道筋を通るように、羽ばたきをそろえる
- ② 真うしろを飛ぶとき:羽ばたきを逆にずらし、下向きの空気の影響を減らす
論文は、こうした飛び方は複雑すぎて、鳥には無理だと考えられてきたと書いています。下の動画は、BBCニュースが、鳥がV字で飛ぶ理由を伝えたものです。
動画で見る
先頭は交代制。英語で言うと take turns
V字の先頭の鳥だけは、上向きの空気に乗れません。では、だれが損な役を引き受けるのか。2015年にPNASに出た研究は、人の案内で秋の渡りをしたホオアカトキの群れを調べました。すると、先頭を務めた時間が長い鳥ほど、ほかの鳥のうしろで楽をした時間も長かったのです。2羽のあいだで、先頭をひんぱんに入れかわっていました。
Wikipedia|雁によると、ガンは先頭の1羽について列を作って飛びます。この列を「雁行(がんこう)」と呼びます。ガンは冬鳥として、宮城県の伊豆沼などに渡ってきます。
本文に出てきた take turns は「交代でする」です。Let's take turns.(交代でやろう)の形で、そのまま会話に使えます。今度だれかと掃除や運転を分けるときに、この一言を声に出して言ってみてください。
確認クイズ
-
Q1. 本文によると、うしろの鳥がまっすぐ一列ではなく斜めに並ぶのはなぜか。
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Q2. 2015年の研究で分かった、ホオアカトキの先頭の決め方として正しいものはどれか。
よくある質問
鳥がV字で飛ぶ理由は何ですか。
前の鳥の翼の先にできる上向きの空気に乗って、力を節約するためです。2001年のペリカンの研究では、V字で飛ぶと心拍数が下がることが確かめられています。
V字の先頭の鳥は疲れないのですか。
先頭の鳥は上向きの空気に乗れません。2015年のホオアカトキの研究では、先頭を交代で務めていることが分かりました。
take turns はどういう意味ですか。
「交代でする」という意味です。Let's take turns.(交代でやろう)のように使います。