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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
READING 第40回 基礎 読了 8分

静電気が冬に多いのはなぜ?乾いた空気に答えがあります

Why Static Shocks Happen in Winter

Easy Reading|第40回

ドアノブに触れた瞬間の、あのバチッ。寒いから起きるのだと思われがちですが、原因は気温ではなく空気の乾きです。約220語のやさしい英文で読んだあと、electric という語が『琥珀』から来ている話まで広げます。

監修:原田高志(原田英語.com)

そろそろ空気が乾いてくる季節です。ドアノブに手を伸ばすのが、少しこわくなってきませんか。今日はあのバチッの正体を、やさしい英語で読んでみましょう。読み終わるころには、痛くしないコツも1つ持って帰れます。

英文

Why Static Shocks Happen in Winter

In winter, you touch a doorknob and feel a sharp snap.

It hurts for a moment, and sometimes you can even see a tiny spark.

Why does this happen only in the cold months?

The answer is not the cold itself.

It is the dry air.

Everything around you is made of tiny parts called atoms.

Atoms carry small electric charges.

When you walk on a carpet, your shoes rub against it.

The rubbing moves some of these charges from the carpet to your body.

Now your body holds extra charge, but you cannot feel it yet.

In summer, the air is full of water.

That water carries the extra charge away quietly, little by little.

In winter, the air is dry, so the charge has nowhere to go.

It stays on you and waits.

Then you reach for a metal doorknob.

Metal lets charge move easily, so all of it jumps at once.

That jump is the snap you feel.

Scientists call this static electricity.

"Static" means something that stays still.

The charge is not moving, so it builds up until it has a way out.

There is a simple way to make it hurt less.

Before you touch the door, put your hand on a wall for a second.

The charge leaves you slowly, so the snap is much weaker.

(221 words)

重要語句

語句意味英語の定義
rub こする、こすれる to move something against a surface with pressure(押しつけながら動かす)
charge 電気(の量)、帯電 the amount of electricity that something holds(ものが持っている電気の量)
spark 火花 a very small flash of light made by electricity(電気によって出る、ごく小さな光)
static 静止した、動かない staying in one place, not moving(一か所にとどまって動かない)
build up たまっていく to increase slowly in amount over time(時間をかけて少しずつ増える)

全文和訳

冬になると、ドアノブに触れた瞬間、鋭い衝撃を感じます。一瞬痛くて、ときには小さな火花が見えることさえあります。どうしてこれは寒い時期にだけ起きるのでしょうか。答えは、寒さそのものではありません。乾いた空気です。あなたのまわりのものはすべて、原子と呼ばれる小さな粒でできています。原子は、小さな電気を帯びています。カーペットの上を歩くと、靴がカーペットとこすれます。そのこすれによって、電気の一部がカーペットからあなたの体へ移ります。体に余分な電気がたまりますが、この時点ではまだ感じません。夏は、空気の中に水分がたっぷりあります。その水分が、余分な電気を少しずつ静かに運び去ってくれます。冬は空気が乾いているので、電気の行き場がありません。電気はあなたの体にとどまって、待っています。そこへ、金属のドアノブに手を伸ばします。金属は電気をよく通すので、たまっていた電気が一度に飛び移ります。その飛び移りが、あのバチッの正体です。科学ではこれを静電気と呼びます。static とは「じっと動かない」という意味です。電気が流れずにいるため、出口が見つかるまでたまり続けるのです。痛みを軽くする簡単な方法があります。ドアに触れる前に、壁に1秒だけ手をついてみてください。電気がゆっくり逃げていくので、バチッがずっと弱くなります。

コラム:バチッの正体をたどると、宝石にたどり着く ~electric はもともと「琥珀」だった

「静」電気という名前が、仕組みを言い当てている

英語では static electricity と言います。static は「じっと動かない」。日本語の「静電気」も同じ発想です。

電気そのものが特別なのではありません。動かずにたまっている、その状態だけを指した名前です。だから逃げ道ができた瞬間に、一気に動く。あのバチッは、静けさが終わる音でした。

乾いた空気は、その静けさを長引かせます。夏に起きないのは、空気中の水分がこっそり逃がしてくれているからです。

electric という語は、1600年に作られた

語源辞典Etymonlineによれば、electricus というラテン語を作ったのは、イギリスの科学者ウィリアム・ギルバートです。1600年に出した『De Magnete(磁石について)』という本の中でした。英語として使われ始めるのは1640年代からです。

もとになったのはラテン語の electrum、さらにさかのぼるとギリシャ語の ēlektron。その意味は、電気でも雷でもありません。「琥珀(こはく)」です。

なぜ宝石の名前が、電気の名前になったのか

琥珀は、木の樹脂が長い時間をかけて固まった石です。古代ローマでも装飾品として珍重されていました。

そしてこの石は、布でこするとほかのものを引き寄せます。紙くずや髪の毛が、すっと吸い寄せられる。当時の人にとっては不思議な力でした。

ギルバートは、こすると同じようにものを引き寄せる性質を持つ物質をまとめて「琥珀のような(electricus)」と呼びました。つまり electric とは、もともと「琥珀っぽい」という意味の形容詞だったのです。electricity(電気)という名詞が1640年代に生まれたときも、はじめは「こすること」を指していました。

こすったから、名前がついた

今日の英文で、電気がたまる場面を思い出してください。靴がカーペットをこする。あの rub です。

2000年以上前の人が琥珀をこすっていたのも、同じことでした。やっていることは変わらないまま、名前だけが「琥珀」から「電気」へ育ったわけです。

次に冬のドアノブでバチッときたら、少しだけ思い出してみてください。あなたの指先で起きているのは、古代ローマの宝石と同じ現象です。そして壁に1秒、手をつく。それだけで、あのバチッがずっと弱くなります。

動画で見る

静電気でバチッとならないためには?(英語の科学解説) (SciShow) 今日の英文と同じ、静電気を防ぐ方法を英語で説明しています。英語字幕を出して聞いてみてください。

よくある質問

静電気が冬に多いのはなぜですか?

気温ではなく、空気の乾燥が原因です。夏は空気中の水分が体にたまった電気を少しずつ逃がしてくれますが、冬は空気が乾いているため電気の行き場がなく、体にたまったまま金属に触れた瞬間に一気に流れます。

静電気のバチッを防ぐ方法はありますか?

金属のドアノブに触れる前に、壁など電気をゆっくり通すものに1秒ほど手をついてください。たまった電気が少しずつ逃げるため、火花が起きにくくなります。