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READING 第79回 標準 読了 8分

ウサギが冬に白くなる理由は?合図は雪ではなく日の長さ

Why Does the Snowshoe Hare Turn White?

Easy Reading|第79回

北アメリカの森にすむカンジキウサギは、冬の前に茶色の毛を白い毛に生え替えます。合図は雪ではなく、日の長さだと考えられています。雪の季節が短くなると何が起きるのかを、やさしい英文で読みます。

監修:原田高志(原田英語.com)

今日の英文は約238語です。雪の上の白いウサギは、いつ、何を合図に白くなるのでしょうか。雪が降ったから、ではないようです。北アメリカのウサギの話を、英語で読んでみましょう。

英文

Why Does the Snowshoe Hare Turn White?

In the forests of North America lives an animal called the snowshoe hare.

Its back feet are large and covered with fur.

They work like snowshoes on deep snow, which gave the hare its name.

The snowshoe hare also has a secret: it changes color.

In summer, its coat is brown.

Before winter, it loses that coat and grows a white one.

Foxes, coyotes, and lynx hunt the hare.

A brown hare is hard to see on brown ground, and a white hare is hard to see on snow.

But how does the hare know when to change?

Scientists think the main signal is the length of the day.

When the days get shorter in fall, its body starts to make white hair.

As the climate gets warmer, however, snow stays on the ground for a shorter time.

Yet the days still get shorter at the same time every year.

So some hares turn white before the snow comes.

A white hare on brown ground is easy to see.

Scientists in Montana watched nearly 200 snowshoe hares.

The hares did not hide any differently, even when their color was wrong.

In another study, hares with the wrong color were more likely to die.

Each week, their chance of staying alive fell by up to 7 percent.

Still, not every hare changes on the same day.

Scientists hope this difference may help hares keep up with a warmer world.

(238 words)

重要語句

語句意味英語の定義
hare ノウサギ(rabbit より大きく、耳と後ろ足が長い仲間) an animal like a large rabbit with long ears and strong back legs
snowshoe かんじき(雪の上を歩くための、底の広いはきもの) a wide frame you wear on your shoe to walk on deep snow
coat (動物の)毛、毛並み the fur or hair that covers an animal's body
lynx オオヤマネコ a wild cat with a short tail and tufts of hair on its ears
signal 合図 something that tells you it is time to do something
climate 気候 the usual weather of a place over many years
match (色などが)合う to look the same as something or go well with it
keep up with 〜に遅れずについていく to move or change as fast as something else

全文和訳

北アメリカの森に、カンジキウサギ(snowshoe hare)という動物がすんでいます。後ろ足は大きく、毛でおおわれています。この足は、深い雪の上でかんじき(snowshoes)のように働きます。それがこのウサギの名前の由来です。カンジキウサギには、もう1つ秘密があります。体の色が変わるのです。夏の毛は茶色です。冬の前に、その毛が抜けて、白い毛が生えてきます。キツネやコヨーテ、オオヤマネコが、このウサギをねらいます。茶色のウサギは茶色の地面の上では見つけにくく、白いウサギは雪の上では見つけにくいのです。では、ウサギはいつ毛を替えればよいのか、どうやって知るのでしょうか。科学者は、おもな合図は日の長さだと考えています。秋に日が短くなると、体が白い毛を作り始めるのです。ところが、気候が暖かくなるにつれて、雪が地面に積もっている期間が短くなっています。それでも、日が短くなる時期は、毎年同じです。そのため、雪が降る前に白くなってしまうウサギがいます。茶色の地面の上の白いウサギは、とても目立ちます。モンタナ州の科学者たちが、200匹近くのカンジキウサギを観察しました。ウサギたちは、毛の色が地面と合っていないときでも、隠れ方を変えませんでした。別の研究では、毛の色が合っていないウサギのほうが、命を落としやすいことが分かりました。1週間ごとに生き残る見込みが、最大で7%下がっていたのです。それでも、すべてのウサギが同じ日に毛を替えるわけではありません。科学者たちは、この一匹ずつの違いが、暖かくなる世界にウサギが追いつく助けになるかもしれないと期待しています。

コラム:白いウサギ ~衣替えの合図は日の長さ~

名前は「かんじき」から

アラスカ州の魚類野生生物局のページAlaska Department of Fish and Game|Snowshoe Hareによると、カンジキウサギの大きな後ろ足は毛におおわれていて、北の森の深い雪に向いています。snowshoe(かんじき)という名前は、ここから来ています。

同じページには、色の話も載っています。

1. 夏の毛は、黄色っぽい茶色から灰色っぽい茶色で、おなかは白い
2. 冬には、その毛が抜けて白い毛に替わる
3. ただし、白い毛も根もとは黒っぽく、下に生えている細かい毛は灰色

真っ白に見えるのは、毛の外側だけなのです。このウサギをねらう動物として、キツネ、コヨーテ、オオカミ、オオヤマネコ、ボブキャットなどが挙げられています。

日本のノウサギも白くなる

白くなるウサギは、日本にもいます。Wikipedia|ニホンノウサギによると、東北地方や日本海側の雪の多い地域のノウサギと、佐渡島のノウサギは、冬に全身が白くなります。

雪の積もる地域では、秋ごろから毛が抜け始めます。冬には、耳の先の黒い毛を残して白くなります。早春になると白い毛が抜け、茶色の毛に生え替わります。

北海道には、ユキウサギの仲間のエゾユキウサギがすんでいます。Wikipedia|ユキウサギによると、ユキウサギは、冬に備えてほとんどの個体が白い毛(または大部分が白い毛)になります。ユキウサギは英語で mountain hare と呼ばれ、ヨーロッパにもすんでいます。

合図は雪ではなく、日の長さ

モンタナ大学などの研究者が、2014年に論文を発表しました(Zimova ほか|Proceedings of the Royal Society B(2014年))。論文によると、カンジキウサギのほかに、世界で少なくとも9種のほ乳類が、季節ごとに白い毛と茶色の毛を替えます。

毛を替える時期は、日の長さが合図になっていると考えられています。気温や雪は、替わる速さに影響するかもしれない、という書き方です。

研究者たちは、モンタナ州の2か所で、200匹近くのカンジキウサギを観察しました。分かったことは次の2つです。

1. 毛を替える時期は、同じ場所ではほとんど変わらなかった。雪の多い年も少ない年も、ほぼ同じ時期に替わった
2. 毛の色が地面と合っていなくても、隠れ方や逃げ方を変えたようすは見られなかった

論文によると、このウサギが死ぬ原因のうち、ほかの動物に食べられるものが85〜100%に達することがあります。目立つことは、命に関わります。

雪の季節が短くなると

2016年の研究では、首輪の発信機をつけたカンジキウサギを追いかけました(Zimova ほか|Ecology Letters(2016年))。毛の色が地面と合っていないウサギは、1週間ごとに生き残る見込みが、最大で7%下がっていました。

北海道のエゾユキウサギと同じユキウサギでも、調べた研究があります(Zimova ほか|Proceedings of the Royal Society B(2020年))。スコットランドで、1950年代の調査をもう一度くり返しました。毛を替える時期は、短くなった雪の季節に合わせて動いていませんでした。そのため、色が合わない日が、1950年から2016年までに35日増えていました。

2016年の論文は、毛を替える時期がウサギごとに大きく違うことにも触れています。その違いがあれば、自然選択によって適応できるかもしれない、と書いています。

明日、天気予報で日の出と日の入りの時刻を見てください。日は、毎日少しずつ短くなっています。そのとき、今日の3語を英語で言ってみましょう。

  • ・hare(ノウサギ)
  • ・coat(動物の毛)
  • ・match(色が合う)

動画で見る

カンジキウサギと気候変動を取り上げた英語の動画(題名は「Will Snowshoe Hares Win a Race Between Evolution and Climate Change?」) (National Geographic) 英語の動画です。ナショナルジオグラフィックのチャンネルが、題名のとおり、カンジキウサギが気候の変化に追いつけるかを取り上げています。

確認クイズ

  1. Q1. 本文によると、snowshoe hare という名前は何から来ているか。

  2. Q2. 本文によると、カンジキウサギが毛を替えるおもな合図は何だと考えられているか。

  3. Q3. モンタナ州の観察で分かったことと合っているものはどれか。

よくある質問

ウサギが冬に白くなるのはなぜですか。

雪の上で目立たないようにするためです。カンジキウサギは、キツネやオオヤマネコなどにねらわれます。白い毛なら、雪の上で見つかりにくくなります。毛を替える合図は、日の長さだと考えられています。

日本にも冬に白くなるウサギはいますか。

います。東北地方や日本海側の雪の多い地域のノウサギや、佐渡島のノウサギは、冬に耳の先を残して白くなります。北海道のエゾユキウサギの仲間(ユキウサギ)も、冬にはほとんどの個体が白い毛になります。

ノウサギは英語で何と言いますか。

hare と言います。rabbit とは別の語です。カンジキウサギは snowshoe hare、ユキウサギは mountain hare です。