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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
READING 第48回 基礎 読了 8分

月が大きく見える理由は?地平線の月は錯覚です

Why Does the Moon Look So Big Near the Horizon?

Easy Reading|第48回

昇ったばかりの月は、空高くにある月より大きく見えます。けれど、月の大きさは変わっていません。この「月の錯覚」を、約240語のやさしい英文と、2000年以上続く謎を追うコラムで読みます。

監修:原田高志(原田英語.com)

今日の英文は約240語です。低い空に昇った月が、やけに大きく見えたことはありませんか。実は月の大きさは、どこにあっても変わりません。では、なぜ大きく見えるのか。自分の指で確かめる方法も出てくるので、読みながら考えてみてください。

英文

Why Does the Moon Look So Big Near the Horizon?

Have you ever seen a huge moon rising above the houses?

It looks much bigger than the moon high in the sky.

But the moon does not really change its size.

This is called the moon illusion.

You can check it with your own hand.

Hold out your arm and put your fingernail next to the moon.

Your fingernail and the moon are about the same size.

Try it again when the moon is high, and you will get the same result.

The moon near the horizon is a little farther away from you.

So it is really a tiny bit smaller, not bigger!

Then why does it look so big?

People have wondered about this for more than 2,000 years.

Scientists still do not have one clear answer.

One idea is about distance.

Our brain seems to feel that the sky near the horizon is farther away than the sky above us.

If two things look the same size, the one that seems farther away must be bigger.

So the brain makes the low moon look bigger.

Another idea is about the things around the moon.

Next to small houses and trees, the moon may look very large.

But astronauts in space also see the moon illusion, and there are no houses or trees up there.

Bend over and look at the big moon between your legs.

It will not look so big anymore.

Your brain did the trick.

(240 words)

重要語句

語句意味英語の定義
huge とても大きい very, very big
illusion 錯覚 something that looks different from what is really there
fingernail 指の爪 the hard, flat part at the end of your finger
horizon 地平線、水平線 the line far away where the land or sea seems to meet the sky
a tiny bit ほんの少し a very small amount
wonder about 〜を不思議に思う to think about something because you want to know more about it
astronaut 宇宙飛行士 a person who travels into space
bend over 体を前にかがめる to move the top part of your body forward and down

全文和訳

家々の上に、大きな月が昇ってくるのを見たことはありますか。その月は、空高くにある月よりずっと大きく見えます。けれど、月の大きさは実際には変わっていません。これは「月の錯覚」と呼ばれています。自分の手で、それを確かめることができます。腕を前にのばして、指の爪を月の横に並べてみてください。爪と月は、だいたい同じ大きさです。月が高く昇ったときにもう一度やってみると、同じ結果になります。地平線の近くにある月は、あなたから少しだけ遠くにあります。ですから本当は、大きいどころか、ほんの少し小さいのです。では、なぜあんなに大きく見えるのでしょうか。人々は、2000年以上もこのことを不思議に思ってきました。科学者にも、まだ1つのはっきりした答えはありません。1つの考えは、距離に関係するものです。私たちの脳は、地平線の近くの空のほうが、頭の上の空より遠くにあると感じているようです。同じ大きさに見える2つの物があれば、遠くにありそうなほうが大きいはずです。そこで脳は、低い月を大きく見せてしまうのです。もう1つの考えは、月のまわりにある物に関係するものです。小さな家や木の隣に並ぶと、月はとても大きく見えるのかもしれません。けれど宇宙にいる宇宙飛行士にも月の錯覚は起きます。そこには家も木もありません。体を前にかがめて、足のあいだから大きな月を見てみてください。もう、それほど大きくは見えないはずです。月を大きく見せていたのは、あなたの脳だったのです。

コラム:月を大きくしているのは、空ではなく脳

月の大きさは、どこにあっても同じ

NASAの解説The Moon Illusion: Why Does the Moon Look So Big Sometimes?は、写真に撮ると、地平線の月も空高くの月も同じ幅に写ると書いています。腕をのばして指の爪を月の横に並べると、爪と月はだいたい同じ大きさだ、とも書いてあります。

しかもWikipedia|Moon illusionによると、地平線の月は頭の上の月より約1.5%遠くにあります。見かけの大きさは、ほんの少し小さくなっているのです。

動画で見る

月の大きさが変わって見える錯覚を取り上げた動画 (SciShow Space) 英語です。科学解説チャンネル SciShow の宇宙版が、月の錯覚を扱っています。

2000年以上前から、答えが出ていない

同じWikipediaのページによると、この錯覚は大昔から記録されています。記録した人には、紀元前330年ごろのアリストテレスや、2世紀のプトレマイオスがいます。プトレマイオスは、はじめは大気による光の屈折で説明しようとしました。のちの著作では、見かけの距離による錯覚だと考え直しています。

11世紀には、イブン・アル=ハイサムもこの考えを進めました。それでも、いまも決着はついていません。NASAの解説も、何千年も観察されてきたのに、確かな科学的説明はまだ無いと書いています。

有力な2つの説と、宇宙飛行士の話

  • ① 距離の説:Wikipediaによると、地平線近くの雲は遠く、頭の上の雲は近くにあります。そのため私たちは、空を平たい天井のように感じます。遠くに見える月を、脳は「大きいはずだ」と読み取ってしまう、という考えです
  • ② まわりの物の説:NASAの解説によると、手前の木や山や建物が脳をだますのかもしれません。月を近く、大きく感じさせるという考えです

ただしNASAによると、軌道上の宇宙飛行士にも月の錯覚は起きます。手前に、距離の手がかりになる物は何もありません。まわりの物だけでは説明しきれないわけです。

レールのように先が細くなる2本の線の上に、同じ長さの横線を2本置くと、上の線が長く見えます。ポンゾ錯視と呼ばれる図です。Wikipedia|Ponzo illusionによると、ポンゾ自身が1912年に、月の錯覚の説明の1つとしてこれを挙げています。

今夜は中秋の名月。英語では harvest moon

国立天文台によると、2026年の中秋の名月は9月25日、つまり今日です。ただし、ちょうど満月になるのは9月27日の1時49分です。

英語には harvest moon という言い方があります。Wikipedia|Harvest moonによると、秋分にいちばん近い満月のことです。このころは月の出が毎晩あまり遅くなりません。夕方も収穫を続けられる明るさがあったことから、この名があります。

低い月が黄色やオレンジっぽく見えるのは、錯覚ではありません。NASAによると、月の光が大気の中を長く通ってくるためです。今夜、昇ったばかりの月を見たら、腕をのばして指の爪を並べてみてください。紙の筒をのぞいて見るのも、NASAが勧めている方法です。

確認クイズ

  1. Q1. 本文によると、地平線の近くにある月は、空高くにある月と比べて実際にはどうか。

  2. Q2. 本文によると、「まわりの家や木のせいだ」という考えだけでは説明できないのはなぜか。

よくある質問

月が地平線の近くで大きく見えるのはなぜですか。

月の大きさそのものは変わっていません。脳が地平線近くの空を遠いと感じ、月を大きく見せているという説などがあります。ただ、はっきりした答えはまだ出ていません。

月の錯覚は英語で何と言いますか。

moon illusion と言います。秋分にいちばん近い満月は harvest moon と呼ばれます。