チョウの渡りの理由は?4,800キロを迷わず飛ぶ触角の時計
How Do Monarch Butterflies Find Their Way?
Easy Reading|第82回
オオカバマダラというチョウは、毎年秋にアメリカとカナダからメキシコまで、最長で約4,800キロを飛びます。1匹も行ったことのない森へたどり着けるのは、太陽を方位磁石にし、触角の中の時計で時刻を合わせているからです。そのしくみを、やさしい英文で読みます。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日の英文は218語です。いまごろ、北アメリカでは何百万匹ものチョウが、メキシコを目指して南へ飛んでいます。どのチョウも、その場所へ行ったことがありません。それなのに、なぜ迷わずにたどり着けるのでしょうか。しくみを英語で読んでみましょう。
英文
How Do Monarch Butterflies Find Their Way?
Every fall, millions of monarch butterflies leave the United States and Canada and fly south.
Some of them fly as far as 3,000 miles, or about 4,800 kilometers.
Their goal is a forest of fir trees high in the mountains of Mexico.
There, they stay together on the trees until spring.
Here is the amazing part.
None of these butterflies has ever been to Mexico before.
The butterflies that left Mexico in spring were born several generations before them.
So how do they find the way?
Monarchs use the sun like a compass.
But the sun moves across the sky during the day.
To fly in the right direction, a butterfly also needs to know the time.
Scientists found that the clock for this is in the butterfly's antennae.
Monarchs can also sense the earth's magnetic field.
The fall butterflies are special in another way, too.
In summer, a monarch lives for only about four weeks.
But the butterflies that fly to Mexico can live for up to eight months.
They need that long life for the trip and the winter.
In Mexico, their arrival is linked to the Day of the Dead, a festival in early November.
In spring, they fly north again and lay eggs on the way.
Their children and grandchildren finish the trip home.
(218 words)
重要語句
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| monarch butterfly | オオカバマダラ(チョウの一種) | a large orange and black butterfly that lives in North America |
| fir tree | モミの木 | a tall tree with thin, sharp leaves that stay green all year |
| compass | 方位磁石 | a tool that shows you which direction is north |
| direction | 方向 | the way that someone or something is going |
| antenna(複数形 antennae) | 触角 | one of two long, thin parts on the head of an insect, used for feeling |
| sense | 感じ取る | to know that something is there without seeing it |
| magnetic field | 磁場 | the area around a magnet where its power can be felt |
| arrival | 到着 | the act of coming to a place |
| lay eggs | 卵を産む | to produce eggs from the body |
全文和訳
毎年秋になると、何百万匹ものオオカバマダラ(monarch butterfly)が、アメリカとカナダをはなれて南へ飛びます。中には、3,000マイル、およそ4,800キロも飛ぶものがいます。目指すのは、メキシコの高い山の上にあるモミの森です。そこで、春が来るまで木の上で身を寄せ合って過ごします。ここからが驚きです。このチョウたちは、1匹もメキシコに行ったことがありません。春にメキシコを出たのは、何世代も前のチョウたちなのです。では、どうやって道を見つけるのでしょうか。オオカバマダラは、太陽を方位磁石のように使います。でも、太陽は1日のうちに空を動いていきます。正しい方向へ飛ぶには、時刻も知っていなければなりません。科学者たちは、そのための時計がチョウの触角の中にあることを見つけました。オオカバマダラは、地球の磁場を感じ取ることもできます。秋のチョウには、ほかにも特別なところがあります。夏のオオカバマダラは、4週間ほどしか生きません。ところが、メキシコへ飛ぶチョウは、8か月まで生きることがあります。長い旅と冬を越すために、その長い命が必要なのです。メキシコでは、チョウがやって来る時期は、11月の初めのお祭り「死者の日」と結びついています。春になると、チョウはまた北へ飛び、途中で卵を産みます。その子どもや孫たちが、北への旅を終えるのです。
コラム:オオカバマダラ ~会ったことのない祖先の森へ帰るチョウ~
太陽の方位磁石と、触角の時計
英語版Wikipedia(Monarch butterfly migration)によると、オオカバマダラは「時刻で補正する太陽コンパス(time-compensated sun compass)」を使って方向を決めています。太陽の位置は時刻とともに動くので、体内の時計で「いまは何時か」を合わせながら飛ぶしくみです。
その時計がどこにあるのかを調べたのが、2009年に科学誌 Science に載った研究です。論文の要旨によると、それまでは時計は脳の中にあると考えられていました。ところが調べてみると、正しい方向へ飛ぶには触角が必要で、触角そのものに時計があり、それが太陽コンパスのおもな時計らしいと分かりました。論文は、この結果を「予想していなかった(unexpected)」と書いています。
英語では、触角は antenna、2本なら antennae です。テレビやラジオのアンテナと同じ語です。
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夏は4週間、秋は8か月
アメリカの魚類野生生物局(U.S. Fish and Wildlife Service)の記事「The monarch super generation and their phenomenal migration」は、秋にメキシコへ飛ぶ世代を super generation(スーパー世代) と呼んでいます。
1. 親や祖父母の世代は、4週間で一生を終えた
2. スーパー世代は、その8倍、最長で8か月生きる
3. 飛ぶ距離は、親たちの10倍になる
同じ記事によると、渡りが始まるのはふつう8月の半ばで、1日におよそ50マイル(約80キロ)ずつ進みます。英語版Wikipediaは、アメリカとカナダの繁殖地へ戻るのに、春から2〜3世代かかると書いています。メキシコへ向かうチョウは、前の年にメキシコを出たチョウの、何代もあとの子孫なのです。
「死者の日」にやって来るチョウ
アメリカ農務省森林局(USDA Forest Service)のオオカバマダラの渡りのページによると、北アメリカの東側のオオカバマダラは、メキシコのシエラ・マドレ山脈で冬を越します。標高の高いところにあるオヤメルモミの森で、10月から3月の終わりまで過ごします。
英語版Wikipediaは、チョウがやって来る時期が、メキシコの伝統的なお祭り「死者の日(Día de los Muertos)」と深く結びついていると書いています。
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「渡り」を英語で言うと
鳥やチョウが季節ごとに長い距離を移ることを、英語では migration と言います。動詞は migrate です。
- ・Monarch butterflies migrate to Mexico.(オオカバマダラはメキシコへ渡る)
- ・The fall migration starts in August.(秋の渡りは8月に始まる)
migrate は、人が仕事を求めて別の国へ移るときにも使います。ニュースで migrant(移民、移住者)を見かけたら、同じ仲間の語だと思い出してください。そして今日の英文を読み返して、antennae・compass・migrate の3語を声に出してみてください。
確認クイズ
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Q1. 本文によると、オオカバマダラは正しい方向へ飛ぶために何を使っているか。
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Q2. 本文によると、メキシコへ飛ぶチョウについて正しいものはどれか。
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Q3. 本文によると、秋のチョウが長く生きるのはなぜか。
よくある質問
オオカバマダラはどこからどこへ渡りますか。
アメリカとカナダから、メキシコの高い山の上にあるモミの森へ渡ります。アメリカ農務省森林局によると、中には3,000マイル(約4,800キロ)飛ぶものがいます。
オオカバマダラはどうやって道を見つけるのですか。
太陽を方位磁石のように使い、触角の中にある時計で時刻を合わせています。2009年に Science に載った研究で、触角に時計があることが分かりました。2014年に Nature Communications に載った研究では、地球の磁場を感じ取る方位磁石も使っていると報告されています。
オオカバマダラは何か月生きますか。
夏の世代は4週間ほどです。アメリカの魚類野生生物局によると、秋にメキシコへ飛ぶ世代は、最長で8か月生きます。