しゃっくりの原因は?68年止まらなかった実話
The Hiccup That Wouldn't Stop
やさしい英文de多読 第6回
誰もが経験する、あの「ヒック」。原因は横隔膜の小さなけいれんです。ただ、なぜ止まらなくなる人がいるのかは、医学でもまだ分かっていません。今日は68年間しゃっくりが止まらなかった男性の実話とあわせて読みます。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日の題材は「しゃっくり」です。たかがしゃっくり、と思うかもしれません。ところが、いまだに医学で説明しきれていない現象でもあります。英文を読んだあとは、68年間しゃっくりが止まらなかった男性の話へ進みます。
英文
The Hiccup That Wouldn't Stop
Everyone gets hiccups sometimes.
They usually last only a few minutes, then disappear on their own.
But have you ever wondered what a hiccup actually is?
Deep inside your body, there is a muscle called the diaphragm.
It sits just below your lungs and helps you breathe.
Normally, the diaphragm moves smoothly, up and down, without you noticing.
Sometimes, though, it suddenly tightens by mistake.
This sudden movement is called a spasm.
When the diaphragm spasms, you take in a quick, surprised breath of air.
That air rushes past your vocal cords, and they snap shut instantly.
The sudden closing makes the strange "hic" sound we all know.
Doctors still don't fully understand why the diaphragm spasms in the first place.
Eating too fast, drinking soda, or feeling excited can all trigger it.
Many home remedies, like drinking water upside down or getting scared, don't have strong scientific proof behind them.
They may simply work because they distract your brain or change your breathing for a moment.
For most of us, hiccups are nothing more than a small, funny interruption.
But in 1922, an American farmer named Charles Osborne started hiccuping and could not stop.
His hiccups continued, on and off, for the next sixty-eight years.
He is still remembered today as the record holder for the longest hiccup attack ever documented.
(225 words)
重要語句
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| hiccup | しゃっくり | a sudden sound your body makes when your diaphragm moves without warning |
| diaphragm | 横隔膜 | the muscle below your lungs that helps you breathe in and out |
| spasm | けいれん | a sudden, uncontrolled movement of a muscle |
| vocal cords | 声帯 | the parts inside your throat that vibrate to make sound |
| snap shut | 急に閉じる | to close very quickly and suddenly |
| trigger | 引き起こす、きっかけになる | to cause something to start happening |
| remedy | 対処法、民間療法 | something people do to try to stop or cure a problem |
| record holder | 記録保持者 | the person officially known for doing something more than anyone else |
全文和訳
誰でも、しゃっくりが出ることがあります。たいていは数分だけ続いて、自然に消えていきます。でも、しゃっくりとはいったい何なのか、考えたことはありますか。体の奥深くに、横隔膜と呼ばれる筋肉があります。肺のすぐ下にあって、呼吸を助けています。ふだんは、この横隔膜は気づかないうちに、なめらかに上下に動いています。ところが、ときどきこの筋肉が、思いがけず急に縮むことがあります。この急な動きは、けいれんと呼ばれています。横隔膜がけいれんすると、驚いたように急いで息を吸い込んでしまいます。その空気が声帯のそばを勢いよく通り抜け、声帯が一瞬で閉じます。その急な閉じ方が、あの独特の『ヒック』という音を生み出します。そもそもなぜ横隔膜がけいれんするのか、医師たちにもまだ完全には分かっていません。早食いや炭酸飲料、興奮した気持ちなどが、きっかけになることがあります。逆さまに水を飲む、驚かせるといった昔ながらの対処法の多くには、強い科学的根拠があるわけではありません。単に気をそらしたり、一瞬だけ呼吸のリズムを変えたりする効果があるだけなのかもしれません。たいていの人にとって、しゃっくりは少し笑える、ささいな邪魔者にすぎません。ところが1922年、チャールズ・オズボーンというアメリカの農夫が、しゃっくりを始めて、止まらなくなってしまいました。そのしゃっくりは、途切れながらも、その後68年間続きました。彼は今も、記録に残るいちばん長いしゃっくりの持ち主として記憶されています。
コラム:しゃっくりの止め方は、世界中でバラバラです ~迷信と体のしくみのあいだ~
『驚かせる』は本当に効くのか
しゃっくりの止め方は、国によってずいぶん違います。アメリカでは、コップの反対側から水を飲む、砂糖をひとさじなめる。日本なら、驚かせる、水を一気に飲む、息を止める。
どれも狙いは同じです。「横隔膜のけいれんを、何かの形で断ち切る」。息を止めれば血液中の二酸化炭素の量が変わり、驚かせれば脳の注意が一瞬そちらへ向きます。証明された方法ではありませんが、体のリズムを少し乱すことが、けいれんを止めるきっかけになると考えられています。
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hiccup という単語も、実は音そのものでした
hiccup という単語自体、あの「ヒック」という音を真似た擬音語だと考えられています。中世の英語には hicket や hyckock という似たつづりの語がすでにあったそうです。
面白いのは、この発想が英語だけのものではないことです。フランス語は hoquet、日本語は「しゃっくり」。つづりも発音もまったく違うのに、どの言語も『あの音』から単語を作っています。同じ体のしくみを持つ以上、言葉の生まれ方も似てくるのかもしれません。
68年間、推定4億3千万回
本文のチャールズ・オズボーンさんの記録は、ギネス世界記録に正式に認定されています。1922年、豚の体重を量ろうとして転んだ拍子に始まったと伝えられています。
多いときは1分間に40回ほど。68年間の合計は、推定4億3千万回にのぼります。それでも彼は結婚し、8人の子どもを育て、ふつうに暮らしていたそうです。止まったのは1990年、亡くなる前年でした。
小さな『なぜ』ほど、答えが出ていない
しゃっくりは、命にかかわる現象ではありません。だからこそ真剣に研究される機会も少なく、「なぜ起こるのか」という最初の疑問さえ、まだ解けていません。
身近すぎて、誰も本気で調べてこなかった謎。次にしゃっくりが出たときは、止めることだけに気を取られず、この小さな不思議に少しだけ思いを馳せてみてください。
確認クイズ
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Q1. 本文の内容と合っているものはどれでしょう。
よくある質問
しゃっくりを止める確実な方法はありますか。
医学的に完全に証明された確実な方法は、今のところありません。水を飲む・驚かせるといった方法は、体のリズムに変化を与えることで結果的に止まる場合がある、という程度のものです。
チャールズ・オズボーンさんのしゃっくりは、なぜ止まらなかったのですか。
本文中では、豚の体重を量ろうとして転んだことがきっかけとされていますが、なぜそれほど長く続いたのかについて、医学的にはっきりした説明は確立されていません。