しゃっくりが出る理由|魚だったころの名残かもしれません
Why Do We Hiccup?
Easy Reading|第42回
しゃっくりには、役に立つ仕事がありません。息を吸う邪魔をするだけです。それなのに、なぜ人はしゃっくりをするのか。答えの手がかりは、水の中にいたころのご先祖にあるかもしれません。約220語のやさしい英文で読みます。
監修:原田高志(原田英語.com)
しゃっくりは、止めようとすると止まりません。しかも、何の役にも立っていないように見えます。今日はその「なぜ」を、やさしい英語で読んでみましょう。答えは、かなり昔にさかのぼります。
英文
Why Do We Hiccup?
Hiccups are strange.
They come without warning and leave when they want to.
And they do not seem to help us at all.
So why do we have them?
First, look at what happens in your body.
Under your lungs there is a flat sheet of muscle.
It pulls down when you breathe in.
In a hiccup, it pulls down suddenly, like a quick breath.
But halfway through, the opening between your vocal cords snaps shut.
Those cords sit at the top of your airway, just above your lungs.
When it closes in the middle of a breath, you hear it.
That sound is the "hic."
The word hiccup comes from that very sound.
Now for the interesting part.
Scientists think hiccups may be very, very old.
Long ago, some fish began to live partly on land.
They had to use two systems to breathe.
Gills in the water, and lungs in the air.
To use their gills, they took water into the mouth.
But that water must not go into the lungs.
So the airway had to shut at the right moment.
That closing may be what we still do today.
If so, your hiccup is a very old habit.
It is just being used in the wrong place.
Nobody knows a sure way to stop it, and now you know why.
(223 words)
重要語句
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| hiccup | しゃっくり | a sudden sound in your throat that you cannot control |
| muscle | 筋肉 | the parts of your body that you use to move |
| vocal cords | 声帯 | the two small parts in your throat that you use to make sounds |
| snap shut | ぱたんと閉じる | to close quickly and suddenly |
| airway | 気道 | the tube that air goes through to reach your lungs |
| gill | えら | the part a fish uses to breathe in water |
全文和訳
しゃっくりは、不思議なものです。前ぶれもなく始まり、勝手に終わります。しかも、私たちの役に立っているようには見えません。では、なぜしゃっくりはあるのでしょうか。まず、体の中で何が起きているかを見てみましょう。肺の下に、平たい筋肉の板があります。息を吸うとき、その筋肉は下へ引っぱられます。しゃっくりのときは、素早い呼吸のように、それが急に下がります。ところがその途中で、声帯のあいだの通り道が、ぱたんと閉じます。その声帯は、気道のいちばん上、肺のすぐ上にあります。息の途中で閉じると、その音が聞こえます。その音が、あの「ヒック」です。hiccup という語は、まさにその音から来ています。さて、ここからが面白いところです。科学者たちは、しゃっくりはとても古いものかもしれないと考えています。はるか昔、一部の魚が陸でも暮らし始めました。彼らは2つの仕組みで呼吸しなければなりませんでした。水の中ではえら、空気中では肺です。えらを使うには、口の中へ水を入れます。ただし、その水を肺に入れてはいけません。だから、ちょうどよいときに気道を閉じる必要がありました。その「閉じる動き」が、いまも残っているのかもしれません。もしそうなら、あなたのしゃっくりは、とても古い習慣です。ただ、使う場所を間違えているだけなのです。確実な止め方は誰も知りません。その理由も、もう分かりましたね。
コラム:しゃっくりは、進化の消し忘れかもしれません ~hiccup という語の作り方~
「ヒック」を、そのまま単語にした
英語の hiccup は、音をそのまま文字にした語です。ヒック、と鳴るから hiccup。
日本語の「しゃっくり」も、もとをたどれば音から来ていると言われます。世界のどこでも、人は同じ音を聞いて名前をつけているわけです。
フランス語では hoquet(オケ)、スペイン語では hipo(イポ)。どれも、少し似ています。
こういう語を英語では onomatopoeia(擬音語)と呼びます。長くて覚えにくい語ですが、buzz(ブーン)、splash(バシャッ)、crunch(ぼりぼり)など、身のまわりに山ほどあります。
閉じているのは「のどのふた」ではなく、声帯でした
しゃっくりの仕組みは、こうです。
横隔膜が、息を吸うときのように下がる。ところがその途中で、声帯のあいだのすきま(声門)が、ぱたんと閉じます。その音が「ヒック」です。閉じるまでにかかる時間は、わずか100分の3秒ほどだと言われます。
⚠ ここは、書かれているものによって食い違います。ナショナルジオグラフィックの解説など、「喉頭蓋(食べ物が気道に入らないようにしているのどのふた)が閉じる」と書いているものがあります。ですが医療機関の解説では、閉じるのは声門のほうだとされています。
どちらにしても、言えることは同じです。しゃっくりは、本来やるべき仕事を、間違ったタイミングでやっている。
のどの仕組みそのものは、私たちを守るために毎日働いています。ごはんを飲みこむたび、きちんと閉じてくれている。悪いのは仕組みではなく、タイミングのほうです。
魚だったころの、消し忘れ
同じ解説には、しゃっくりを起こす神経(横隔神経)は「水の中で暮らし、えらで呼吸していた魚や両生類の祖先の中で発達した」と書かれています。
そして、こう続きます。「しゃっくりそのものは、魚が陸でも暮らす両生類に進化したときに役立っていたのかもしれない」。
彼らは呼吸の仕組みを切り替える必要がありました。水中ではえら、空気中では肺。「『ヒック』という動きで祖先ののどの弁を閉じることで、水を口へ、そしてえらへ送りながら、肺に水を入れずに済んだ」というのです。
つまり、しゃっくりは昔の機能が消されずに残ったものという見方です。パソコンで言えば、使わなくなった古いソフトが起動時に立ち上がってしまうようなもの。消し忘れです。
止め方に、決定版が無い理由
「息を止める」「水を飲む」「驚かせる」。しゃっくりの止め方は、家庭ごとに違う方法が伝わっています。
どれも確実ではありません。それもそのはずで、しゃっくりが何のためにあるのかが、まだはっきりしていないからです。原因が定まらないものに、効く薬は作れません。
ただ、今日の話を知っていると、少しだけ気が楽になります。あなたの体が壊れたわけではない。何億年も前の動きが、たまたま出てきているだけかもしれないのです。
次にしゃっくりが出たら、英語で一言つぶやいてみてください。I have the hiccups. 複数形で、the が付くのがこの言い方の決まりです。
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よくある質問
しゃっくりはなぜ起きるのですか?
肺の下にある横隔膜が急に下がり、その途中で声帯のあいだのすきま(声門)がぱたんと閉じるために起こります。その閉じる音が「ヒック」です。解説によっては「喉頭蓋が閉じる」と書かれていることもありますが、医療機関の説明では声門とされています。なぜこの反射があるのかは、まだはっきり分かっていません。
英語で「しゃっくりが出ている」は何と言いますか?
I have the hiccups. と言います。複数形にして the を付けるのが決まった形です。1回だけの音を指すときは a hiccup と単数で使えます。