白髪ができる理由|ストレスが減ると黒く戻ることもある
Why Does Hair Turn Gray?
Easy Reading
白髪は、メラニンという色素を作る細胞が働きを失うことで生まれます。2020年のハーバード大学の研究は、ストレスが白髪の引き金になることをマウスで確かめました。ところが2021年のコロンビア大学の研究では、人間の髪が実際に黒さを取り戻す例が見つかっています。
監修:原田高志(原田英語.com)
白髪を1本見つけると、なんとなく気が重くなりませんか。今日は、髪の色を作る仕組みと、ストレスが白髪を引き起こす理由を、2つの大学の研究をたどりながら読んでいきます。読み終えるころには、白髪の意外な一面が見えてくるはずです。
英文
Why Does Hair Turn Gray?
Have you ever spotted a single gray hair and wondered where its color went?
Every hair gets its color from melanin, a pigment made inside the hair follicle by cells called melanocytes.
As people get older, these melanocytes slowly lose the power to keep making pigment, and a chemical called hydrogen peroxide can build up and block new color from forming.
A hair without melanin has no color at all, so it isn't truly gray: it's clear, and it only looks gray or white next to darker hairs nearby.
Age is not the only trigger.
A 2020 Harvard study found that stress can turn hair gray too.
Researchers put mice through short bursts of stress and saw a flood of a chemical called norepinephrine, which drained the stem cells that make pigment.
In those mice, the graying looked permanent, because once the stem cells were gone, they never made pigment again.
A 2021 Columbia University study, though, told a more surprising story about humans.
Scientists tracked single hairs on people's heads and found some had turned gray during a stressful stretch, then grown back dark once the stress eased.
One volunteer had five hairs turn dark again during a two-week vacation.
So for at least some gray hairs, the change may not be permanent after all.
Scientists are still working out exactly why stress affects hair color this way.
(230 words)
重要語句
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| melanin | メラニン(色素) | the natural substance that gives hair and skin their color |
| melanocyte | メラノサイト(色素を作る細胞) | a cell that produces melanin inside the hair follicle |
| hydrogen peroxide | 過酸化水素 | a chemical that can build up in the body and damage cells if not broken down |
| norepinephrine | ノルアドレナリン | a chemical released by the body during stress |
| permanent | 永久の、元に戻らない | lasting forever or not able to be changed back |
全文和訳
白髪を1本見つけて、色はどこへ行ってしまったのだろうと思ったことはありませんか。髪の色はすべて、毛包(もうほう)の中でメラノサイトと呼ばれる細胞が作る色素、メラニンから生まれます。年を取るにつれて、このメラノサイトは徐々に色素を作る力を失っていき、過酸化水素と呼ばれる化学物質が毛包にたまって、新しい色が作られるのを妨げることがあります。メラニンのない髪には色そのものがありません。つまり本当は灰色ではなく透明で、周りの色の付いた髪と並んだときに初めて、灰色や白に見えるのです。引き金になるのは、加齢だけではありません。2020年のハーバード大学の研究は、ストレスも白髪の原因になることを明らかにしました。研究者たちがマウスに短時間のストレスを与えたところ、ノルアドレナリンという化学物質が大量に放出され、色素を作る幹細胞を消耗させていました。このマウスたちでは、白髪化は元に戻らないように見えました。幹細胞が失われると、二度と色素を作れなくなるからです。ところが2021年のコロンビア大学の研究は、人間についてもっと意外な話を伝えています。研究者たちが人の頭の1本1本の髪を追跡したところ、ストレスの多い時期に白くなった髪が、ストレスが和らぐと再び黒く戻っているものがありました。ある被験者では、2週間の休暇のあいだに、5本の髪が再び黒く戻りました。つまり少なくとも一部の白髪については、その変化は永久に決まったものではないのかもしれません。ストレスがなぜこのように髪の色に影響するのか、科学者たちはいまも解明を続けています。
コラム:白髪は「白い色」ではなく、色が「無い」だけ
白髪はそもそも白くない。色そのものが無いだけ
白髪は、黒や茶色の髪が『白色に染まった』ものだと思われがちですが、それは正確ではありません。髪の色はすべて、毛包の中のメラノサイトという細胞が作るメラニンという色素から生まれています。年を取るとメラノサイトが色素を作る力を失い、過酸化水素という物質が毛包にたまって、新しい色が作られにくくなると考えられています。
色素をまったく持たない髪は、本当は無色透明です。これが、周りの色の付いた髪と並んだときに光を反射して、灰色や白に見えているだけなのです。つまり白髪は『白く染まった髪』ではなく、『色を失った髪』というわけです。
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ストレスで白髪になるのは、作り話ではなかった
『ストレスで白髪になる』という話を聞いたことがある人は多いはずですが、これは長年、科学的にはっきりしない俗説として扱われてきました。2020年、ハーバード大学のYa-Chieh Hsu准教授らの研究チームが、この俗説に実験で答えを出しました。
マウスに短時間の痛みや行動の制限などのストレスを与えたところ、ノルアドレナリンという神経伝達物質が大量に放出され、色素を作る幹細胞が数日のうちに使い果たされて、白髪化しました。幹細胞は一度失われると再生しないため、この研究チームは、ストレスによる白髪化は元に戻らないと結論づけました。
ところが人間では「戻った」髪が見つかった
話はここで終わりません。2021年、コロンビア大学のMartin Picard准教授らのチームが発表した研究は、マウスの実験とは違う結果を人間で示しました。研究チームは14人の髪を1本ずつ画像として取り込み、根元から毛先までの色の変化を数値にして分析しました。
すると、ストレスの多い時期に白くなった髪の一部が、ストレスが和らいだあとに再び黒く戻っていることが分かったのです。ある被験者は、2週間の休暇のあいだに5本の髪が黒さを取り戻していました。研究チームは、ミトコンドリアの働きの変化がこの現象に関わっているとみていますが、なぜ一部の髪だけが戻り、他は戻らないのかは、まだ解明されていません。
白髪を1本見つけたときは、老いのしるしとしてだけでなく、そのときの自分の体が置かれていた状況を映す記録として眺めてみると、また違って見えるかもしれません。
確認クイズ
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Q1. 本文によると、メラニンのない髪について正しいのはどれか。
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Q2. 2021年のコロンビア大学の研究で分かったこととして正しいのはどれか。
よくある質問
白髪は一度できたら絶対に戻りませんか。
2020年のハーバード大学のマウスを使った研究では、ストレスによる白髪化は元に戻らないという結果が出ました。一方で2021年のコロンビア大学の人間を対象にした研究では、ストレスが和らいだあとに髪が黒さを取り戻す例が見つかっています。すべての白髪が戻るわけではなく、まだ研究が続いている段階です。