金魚の記憶は3秒?水槽を『運転』した実験の話
The Three-Second Myth
Easy Reading
金魚は3秒しか物事を覚えていられない、という話をよく聞きます。ですが科学者たちは60年以上前から、金魚の記憶力の高さを確かめてきました。2022年には、金魚が車輪付きの水槽を『運転』して的に向かう実験まで行われています。
監修:原田高志(原田英語.com)
金魚は3秒しか覚えていられない。そう聞いたことがある人は多いと思います。今日は、その話が本当かどうかを、ある実験から確かめてみましょう。
英文
The Three-Second Myth
Have you ever heard that goldfish can only remember things for three seconds?
Many people believe this is true.
It sounds like a fun fact, but it is not true at all.
Scientists have studied goldfish memory for more than sixty years.
In one famous experiment, goldfish learned to push a lever for food.
They remembered how to do it weeks later.
Goldfish can also learn to recognize colors and shapes.
Some goldfish remember a feeding time for up to five months.
In 2022, researchers in Israel built a strange machine.
The team worked at Ben-Gurion University of the Negev.
They called their invention a Fish Operated Vehicle.
It was a fish tank on wheels, with a screen showing the outside world.
A goldfish inside could drive the tank toward a target.
The fish moved to one side of the tank, and the wheels turned that way.
After a few days of practice, the goldfish learned to steer toward the target.
It worked even when the researchers moved the target around the room.
So why do people believe the three-second myth?
Goldfish swim in slow circles inside small round bowls.
To a human watching, that might look like forgetfulness.
But inside that round bowl is a surprisingly sharp memory.
Today, many scientists agree that goldfish are smarter than most people expect.
(221 words)
重要語句
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| myth | 神話ではなく、多くの人が信じている誤った話 | a widely believed idea that is not actually true |
| lever | レバー、てこ | a bar that you push or pull to make a machine work |
| recognize | 〜を見分ける、識別する | to know what something is when you see it |
| invention | 発明品 | a new machine or device that someone has created |
| steer | 〜を操縦する、かじを取る | to control the direction that something moves in |
| target | 的、目標 | the thing that something is aimed at |
全文和訳
金魚は3秒しか物事を覚えていられない、と聞いたことはありますか。多くの人が、これを本当だと信じています。面白い豆知識のように聞こえますが、これはまったくの事実無根です。科学者たちは60年以上にわたって、金魚の記憶を研究してきました。ある有名な実験では、金魚がえさを得るためにレバーを押すことを学びました。金魚たちは、その方法を何週間もあとまで覚えていました。金魚は色や形を見分けることも学べます。中には、えさの時間を5か月も覚えている金魚もいます。2022年、イスラエルの研究者たちが、風変わりな機械を作りました。研究チームは、ベン=グリオン大学ネゲブ校に所属していました。彼らはこの発明品を『フィッシュ・オペレーテッド・ビークル(魚が操作する乗り物)』と呼びました。それは車輪の付いた水槽で、外の世界を映す画面が付いていました。中にいる金魚は、水槽を的に向かって『運転』することができました。魚が水槽の片側に寄ると、車輪もその方向へ動きました。数日間の練習のあと、金魚は的に向かって操縦することを覚えました。研究者たちが的を部屋のあちこちに動かしても、うまくいきました。では、なぜ人々は『3秒の神話』を信じているのでしょうか。金魚は、小さな丸い鉢の中をゆっくり円を描いて泳ぎます。それを見ている人間には、忘れっぽさのように見えるのかもしれません。しかしその丸い鉢の中には、驚くほど鋭い記憶力が隠れています。今日、多くの科学者が、金魚はたいていの人が思うより賢いと認めています。
コラム:思い込みは、どうやって広まるのか
『3秒』の出どころは、実は誰も知らない
金魚の3秒神話は、いつ・誰が言い始めたのか、はっきりした記録が残っていません。信頼できる学術論文の中に、この説を唱えたものは見つかっていないのです。
広まった理由として考えられているのは、金魚の暮らし方そのものです。小さな丸い鉢の中を、金魚はゆっくりと同じところをぐるぐる泳ぎます。それを見た人が『何も考えていないのだろう』と感じ、そこから『記憶力が無いに違いない』という思い込みが生まれたのではないか、と言われています。
『泳ぐ車』を操縦した金魚たち
本文で紹介した実験は、2022年にイスラエルのベン=グリオン大学ネゲブ校のチームが発表したものです。学術誌『Behavioural Brain Research』に掲載されました。
水槽に取り付けたセンサーが、金魚がどちらの壁に近づいているかを読み取り、車輪付きの台をその方向へ動かします。金魚は、自分の泳ぎ方が乗り物の向きを変えることに、数日で気づきました。壁ではなく、部屋の中に置かれた目印(色の付いた板)を目指して進めるようにさえなったのです。この結果は、映像つきで多くのニュースサイトに取り上げられました。
動画で見る
見た目だけで判断すると、見誤ります
『動きがのんびりしているから、頭も単純だろう』。この考え方は、金魚に限らず、いろいろな生き物に向けられてきました。
ゆっくり動くことと、記憶力が無いことは、まったく別の話です。明日からは、何かをのんびり眺めている生き物を見たとき、『本当は何を覚えているのだろう』と考えてみてください。見た目の印象だけで判断していたことに、きっと気づくはずです。
確認クイズ
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Q1. 本文で紹介された2022年の実験について、正しい説明はどれか。
よくある質問
金魚の3秒神話は、誰が最初に言い出したのですか。
はっきりした記録は見つかっていません。信頼できる学術論文の中に、この説を唱えたものは無く、出どころは分からないままです。