猫の目が光る理由は?目の奥にある小さな鏡
Why Do Cats' Eyes Shine in the Dark?
Easy Reading|第52回
夜、猫の目がライトを当てると光って見えるのはなぜでしょうか。目の奥にある、鏡のような膜が光をはね返しているからです。人の目が写真で赤く写る理由もあわせて、約240語のやさしい英文とコラムで読みます。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日の英文は約240語です。夜道でライトを向けたら、暗がりに2つの光る点が見えた。そんな経験はありませんか。正体は、猫などの動物の目です。猫の目の奥には、鏡のような膜があります。その膜のしくみと、人の目が写真で赤く写るわけを、英語で読んでみましょう。
英文
Why Do Cats' Eyes Shine in the Dark?
At night, you shine a flashlight into a dark garden.
Suddenly, two small lights look back at you.
They are the eyes of a cat!
Why do some animals' eyes shine like this?
The answer is a special layer at the back of their eyes.
It is called the "tapetum lucidum."
In Latin, this name means "bright tapestry."
The layer works like a mirror.
Light comes into the eye and goes through the retina, the part of the eye that catches light.
Some of the light is not caught the first time.
The mirror sends this light back through the retina again.
So the animal can use more light and see better in the dark.
When we shine a light into these eyes, some of it comes back to us.
That is why the eyes seem to glow.
Cats, dogs, cows, and horses have this layer.
Some night birds, like owls, have it too.
The eyes can shine in different colors, such as green, yellow, or blue.
But there is a small cost.
The mirror makes the picture in the eye a little blurry.
Humans are active in the daytime, and we do not have this layer.
Then why do people's eyes sometimes look red in flash photos?
The flash reaches the back of the eye, where there is a lot of blood.
So the light that comes back looks red!
Next time you see shining eyes at night, remember the little mirror inside.
(244 words)
重要語句
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| flashlight | 懐中電灯 | a small light that you hold in your hand |
| layer | 層、膜 | a thin sheet of something that lies over or under something else |
| tapestry | タペストリー、つづれ織りの布 | a heavy cloth with a picture made of colored threads |
| mirror | 鏡 | a piece of glass that shows what is in front of it |
| retina | 網膜 | the part at the back of the eye that catches light |
| glow | 光る、輝く | to give out a soft, steady light |
| blurry | ぼやけた | not clear, so it is hard to see the shape well |
| active | 活動している | awake and moving around |
全文和訳
夜、暗い庭に懐中電灯を向けたとします。すると急に、2つの小さな光がこちらを見返してきます。それは猫の目です。動物の中には、なぜこのように目が光るものがいるのでしょうか。答えは、目の奥にある特別な膜です。この膜は「タペタム・ルシダム」と呼ばれます。ラテン語で「明るいタペストリー(織物)」という意味です。この膜は、鏡のように働きます。光は目に入ると、網膜を通ります。網膜は、光を受け止める目の部分です。光の一部は、1回目では受け止められません。鏡の膜は、その光を網膜にもう一度通します。そのため動物は、より多くの光を使えて、暗い所でもよく見えるのです。私たちがこうした目に光を当てると、光の一部がこちらに戻ってきます。だから目が光って見えるのです。猫、犬、牛、馬は、この膜を持っています。フクロウのように、夜に活動する鳥の中にも持っているものがいます。目は、緑、黄色、青など、いろいろな色に光ります。ただし、小さな代償もあります。鏡の膜のせいで、目に映る像が少しぼやけるのです。人は昼に活動する生き物で、この膜を持っていません。では、フラッシュで撮った写真で、人の目が赤く写ることがあるのはなぜでしょうか。フラッシュの光が、目の奥まで届きます。そこには血がたくさん流れています。そのため、戻ってくる光が赤く見えるのです。今度、夜に光る目を見たら、その奥にある小さな鏡を思い出してください。
コラム:猫の目が光る理由 ~目の奥の鏡と、赤く写る人の目~
光を来た道へそのまま返す膜
Wikipedia|Tapetum lucidumによると、タペタム・ルシダムは網膜のすぐうしろにある膜です。多くの脊椎動物と、そのほかの一部の動物が持っています。
この膜は、光を来た道へそのまま返すはたらきをします。網膜を通った光をはね返し、もう一度網膜に通します。そのぶん、光を感じる細胞に届く光が増えます。ただし、像は少しぼやけます。
膜の材料は、動物によって違います。
・犬やフェレット 亜鉛を含む結晶
・猫 リボフラビン(ビタミンB2)と亜鉛の結晶
・牛、羊、ヤギ、馬 細い繊維(主にコラーゲン)
人の目には、この膜がありません。人は昼に活動する生き物だからです。
子猫の膜は青く見える
同じページによると、光る色は白・青・緑・黄色・ピンク・赤とさまざまです。見る角度や、膜の結晶をつくる成分によっても変わります。
膜そのものの色は、年齢でも変わります。子犬の膜は、生後4か月までは青く見えます。大人になると黄緑色です。子猫も青く見え、年を取ると黄色へ変わります。大人の猫では、薄いオレンジから緑まであります。
猫の膜は特によく光ることで知られています。はね返す光の量は、人の目のおよそ130倍とされています。古代エジプトの人々は、猫の目が夜に太陽の光を映していると考えていたそうです。下の動画は、科学を解説するチャンネル SciShow が、猫の目が暗い所で光る理由を取り上げた回です。
動画で見る
人の目が写真で赤く写るわけ
人の目には、この鏡の膜がありません。それでもフラッシュで撮ると、目が赤く写ることがあります。英語では red-eye effect(赤目現象)と呼びます。
Wikipedia|Red-eye effectによると、赤く見えるおもな理由は、網膜のうしろにある脈絡膜という部分です。ここには血がたくさん流れています。フラッシュの光が目の奥ではね返ると、その色が写るのです。
防ぐ方法もあります。カメラの赤目軽減の機能は、撮る直前に光を当てます。するとひとみが小さくなり、赤く写りにくくなります。
lucidum と lucid は同じ「光」の仲間
tapetum lucidum はラテン語で「明るいタペストリー」という意味です。後ろの lucidum は、英単語の lucid と同じ仲間です。
Etymonline|lucidによると、lucid はラテン語の lucidus(明るい、澄んだ)から来ています。もとをたどると lucere(輝く)、lux(光)に行き着きます。lucid は、はじめは「明るい、輝く」という意味でした。「分かりやすい」という意味が記録に出てくるのは1786年です。
英語で a lucid explanation と言えば「分かりやすい説明」です。「光を当てたように、よく見える説明」と覚えておくとよいでしょう。今夜、猫や犬の目が光っているのを見たら、lucid という語もいっしょに思い出してみてください。
確認クイズ
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Q1. 本文によると、猫の目が暗い所で光って見えるのはなぜか。
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Q2. 本文によると、この膜にはどんな代償があるか。
よくある質問
猫の目が光るのはなぜですか。
目の奥の網膜のうしろに、タペタム・ルシダムという鏡のような膜があるからです。入ってきた光をはね返して網膜にもう一度通すので、暗い所でもよく見えます。当たった光の一部がこちらに戻るので、目が光って見えます。
人の目はなぜ光らないのですか。
人の目には、タペタム・ルシダムがないからです。ただしフラッシュで撮ると、目の奥の血の多い部分の色が写り、目が赤く見えることがあります。これを赤目現象(red-eye effect)と呼びます。
猫の目が光る色はいつも同じですか。
同じではありません。見る角度や、膜の結晶をつくる成分で変わります。膜そのものの色も年齢で変わり、子猫では青く、年を取ると黄色へ変わります。大人の猫では、薄いオレンジから緑まであります。