耳が飛行機で詰まる理由|300年前の解剖学者の発見
Why Do Your Ears Pop on Airplanes?
Easy Reading
飛行機が離陸したり着陸したりするとき、耳がポンと詰まるように感じるのは、耳の中と外の気圧の差が鼓膜を押すからです。この仕組みと、それを解消する簡単なコツを1704年に説明したイタリアの解剖学者ワルサルバの発見までを、やさしい英文で読み解きます。
監修:原田高志(原田英語.com)
飛行機が着陸するとき、耳の奥がポンと詰まったように感じたことはありませんか。実はこの現象、300年以上前にイタリアの解剖学者がすでに仕組みを解き明かし、対処法まで残していました。今日は、耳の中で何が起きているのかを、英文で読んでいきましょう。
英文
Why Do Your Ears Pop on Airplanes?
Have you ever felt a strange popping sensation in your ears as an airplane takes off or lands?
That popping happens because of a sudden change in the air pressure around you.
Deep inside your head, a narrow passage called the Eustachian tube connects your middle ear to the back of your throat.
Normally, this tube stays closed, which keeps the pressure inside your ear steady.
But when a plane climbs or descends quickly, the air pressure outside your ear changes much faster than the pressure inside it.
This pressure difference pushes on your eardrum, and that push is exactly what you feel as discomfort.
When you swallow, yawn, or chew gum, the Eustachian tube briefly opens and lets a small bubble of air pass through.
That bubble equalizes the pressure on both sides of your eardrum, and you hear a soft pop.
In 1704, an Italian anatomist named Antonio Maria Valsalva described a simple trick for opening this tube on purpose: pinch your nose, close your mouth, and gently blow.
Doctors still call this trick the Valsalva maneuver today, and pilots, scuba divers, and even astronauts use it to protect their ears from sudden pressure changes.
So the next time your ears pop on a flight, remember that a 300-year-old anatomist had already figured out exactly why, and exactly what to do about it.
(225 words)
重要語句
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| eustachian tube | 耳管 | a narrow tube that connects the middle ear to the back of the throat |
| pressure | 気圧 | the force that air puts on the things around it |
| eardrum | 鼓膜 | a thin piece of tissue inside the ear that moves with sound and air pressure |
| equalize | 均等にする | to make two things, such as air pressure on both sides, become the same |
| anatomist | 解剖学者 | a scientist who studies the structure of the body |
全文和訳
飛行機が離陸したり着陸したりするとき、耳に不思議なポンという感覚を覚えたことはありませんか。そのポンという感覚は、まわりの気圧が急に変わることで起こります。頭の奥深くには、中耳とのどの奥をつなぐ、耳管と呼ばれる細い通り道があります。この管はふだん閉じていて、耳の中の気圧を一定に保っています。しかし飛行機が急に上昇したり下降したりすると、耳の外側の気圧が、耳の中の気圧よりずっと速く変化します。この気圧の差が鼓膜を押し、その押される感覚こそが、あの不快感の正体です。つばを飲み込んだり、あくびをしたり、ガムをかんだりすると、耳管が一瞬開いて、小さな空気の泡が通り抜けます。その空気の泡が鼓膜の両側の気圧を均等にし、小さなポンという音が聞こえるのです。1704年、イタリアの解剖学者アントニオ・マリア・ワルサルバは、この管をわざと開くための簡単なコツを説明しました。鼻をつまみ、口を閉じて、そっと息を吹くのです。医師たちはいまもこの方法を『ワルサルバ手技』と呼んでおり、パイロットやスキューバダイバー、そして宇宙飛行士まで、急な気圧の変化から耳を守るために使っています。だから次に飛行機で耳がポンと鳴ったときは、300年前の解剖学者がすでにその理由と対処法を突き止めていたことを、思い出してみてください。
コラム:ワルサルバ手技を生んだ、300年前のイタリアの解剖学者
耳の仕組みを1冊の本にまとめた男
1666年、イタリアのイモラに生まれたアントニオ・マリア・ワルサルバは、ボローニャ大学で解剖学の教授を務めた人物です。彼は何年にもわたって耳の構造を研究し、1704年に『人間の耳についての論考(De aure humana tractatus)』という本を出版しました。
この本には、耳の中でも特に分かりにくい部分、中耳とのどをつなぐ管や、耳の中の小さな空洞の仕組みまでが、当時としては驚くほど詳しくまとめられています。ライト兄弟が初めて空を飛ぶ200年近く前に、彼はすでに耳の中の空気の通り道を解き明かしていたのです。
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『耳管』と名づけたのも、この人物
現在、私たちが『耳管(Eustachian tube)』と呼んでいる管の名前を付けたのも、ワルサルバだとされています。彼はこの管の働きや、それを動かす筋肉についても記録を残しました。
さらに、耳の奥にある小さな空洞と中耳のつながりまで示し、耳の仕組みについての観察を数多く残しました。1本の管の名前の裏に、ここまで丁寧な観察があったのだと知ると、聞き慣れた医学用語の見え方が少し変わってきます。
鼻をつまんで、そっと息を吹く
ワルサルバの本には、耳管をわざと開くための方法も書かれていました。鼻をつまみ、口を閉じたまま、鼻から息を押し出すように吹く、というものです。
この方法はいま『ワルサルバ手技』と呼ばれ、耳鼻科の診察だけでなく、心臓や血管の働きを調べる検査としても使われています。1つの手技が、耳の圧力を調整する目的と、体の別の部分を調べる目的の、両方に使われているのです。
300年前の一工夫が、いまも宇宙で使われている
ワルサルバ手技は、耳鼻科の外でも広く使われています。スキューバダイバーは水中で耳の痛みを防ぐためにこの方法を使い、宇宙飛行士も、宇宙服の中で気圧が変化するときに同じ方法で耳を守ります。
次に飛行機に乗って耳がポンと鳴ったら、鼻をつまんでそっと息を吹いてみてください。300年前にイタリアの解剖学者が見つけた小さな工夫が、いまもあなたの耳を守っています。
確認クイズ
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Q1. 本文によると、飛行機で耳がポンと鳴るのは何が原因か。
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Q2. 本文によると、耳をわざと開くコツを1704年に説明したのは誰か。
よくある質問
耳がなかなかポンと鳴らないときはどうすればいいですか。
本文で紹介したとおり、つばを飲み込む、あくびをする、鼻をつまんで優しく息を吹く、といった方法を試すと耳管が開きやすくなります。それでも治まらないときは無理をせず、耳鼻科に相談してください。