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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
READING 第67回 標準 読了 8分

アヒルの羽が水をはじく理由は?羽のつくりと脂の組み合わせ

Why Does Water Roll Off a Duck's Back?

Easy Reading|第67回

雨の日もアヒルは平気で泳ぎます。羽には、小さな枝がひっかかり合うつくりがあり、尾の近くの腺から出る脂もぬられています。この2つの組み合わせで水をはじくしくみを、やさしい英文で読みます。

監修:原田高志(原田英語.com)

今日の英文は約229語です。雨の日のアヒルは、ぬれても平気そうに泳いでいます。その背中を、水が転がり落ちていきます。英語には、これをたとえにした言い回しまであります。羽の中でどんなことが起きているのか、英語で読んでみましょう。

英文

Why Does Water Roll Off a Duck's Back?

Rain falls on a duck, and the duck just keeps swimming.

Water seems to roll right off its back.

People even say "like water off a duck's back" about things that do not bother them.

So what is the secret?

A duck feather has a very special shape.

Small branches grow from the center line of the feather.

Even smaller branches grow from those branches.

The tiny branches hook onto each other, a little like Velcro.

Together they make a tight layer that helps keep out wind and water.

A duck also has a small gland near its tail.

The gland makes an oil.

The duck picks up the oil with its beak and spreads it over its feathers.

This is called preening.

Preening takes a lot of time.

Some kinds of birds spend up to a quarter of their waking hours on it.

Scientists say that tight feathers and oil work together.

Tiny pockets of air stay among the small branches, so water drops sit on top.

Under the outer feathers, a duck also has soft down.

The down keeps the duck warm.

This is why ducks spend so much time cleaning their feathers.

The oil is spread again and again, and the small branches are put back in place.

Next time you see a duck on a rainy day, look at what it does with its beak.

(229 words)

重要語句

語句意味英語の定義
gland 腺(体の中で、あぶらなどを作る場所) a part of the body that makes a liquid, such as oil or sweat
spread ぬり広げる to put something over a surface in a thin layer
preen (鳥が)羽の手入れをする、羽づくろいする when a bird cleans its feathers and puts them in order with its beak
tight すきまの少ない、ぴったりした fitting closely together, with almost no space between the parts
pocket 小さなふくろ、くぼみ a small space with something inside, such as air
waking hours 起きている時間 the time of the day when you are not sleeping
down 綿毛 the very soft, small feathers of a bird, close to its body

全文和訳

雨がアヒルに降りますが、アヒルは平気で泳ぎ続けます。水は背中からそのまま転がり落ちるように見えます。人は、気にならないことを「アヒルの背中から落ちる水のようだ」と言うことさえあります。では、そのひみつは何でしょうか。アヒルの羽は、とても特別な形をしています。羽の中心の軸から、小さな枝が出ています。その枝から、さらに小さな枝も出ています。ごく小さな枝どうしは、マジックテープに少し似たしくみで、ひっかかり合います。いっしょになって、風や水を通しにくい、すきまの少ない層を作ります。アヒルには、尾の近くに小さな腺もあります。その腺は、あぶらを作ります。アヒルはそのあぶらをくちばしでとり、羽にぬり広げます。これを「羽づくろい」と呼びます。羽づくろいには、たくさんの時間がかかります。鳥の種類によっては、起きている時間の4分の1までを、これに使います。科学者たちは、すきまの少ない羽とあぶらが、いっしょにはたらくのだと言います。小さな枝のあいだに空気の小さなふくろが残るので、水のつぶは上にのったままになります。外側の羽の下には、やわらかい綿毛もあります。綿毛は、アヒルをあたたかく保ちます。だからアヒルは、羽の手入れにたくさんの時間を使うのです。あぶらは何度もぬり直され、小さな枝は元の位置にもどされます。今度、雨の日にアヒルを見かけたら、くちばしで何をしているか見てみましょう。

コラム:アヒルの羽 ~小さな枝と脂、そして water off a duck's back~

羽の中は、小さな枝のかたまり

KQED|What Actually Makes Water Roll Off a Duck's Back?(2020年8月18日、2025年2月6日更新)によると、アヒルのような鳥の、体をおおう羽(contour feather)は、小さな枝がマジックテープのようにひっかかり合って、風や水を通しにくい壁を作っています。

同じ記事は、2016年の研究にも触れています。研究者の Orsolya Vincze さんは、水鳥の羽の密度は、同じ大きさの陸の鳥より「ずっと大きい」と話しています。

同じ記事によると、水鳥は羽の数が多いうえに、羽の中の小さな枝も、陸の鳥よりずっと密に詰まっています。

この回の英文では、細かい枝のことを、まとめて small branches と書きました。

動画で見る

アヒルの背中から水が転がり落ちる理由を取り上げた英語の動画(題名は「What Actually Makes Water Roll Off a Duck's Back? | Deep Look」) (Deep Look) 英語の動画です。KQED の科学記事と同じ題材を扱っています。

尾の近くの腺と、羽づくろい

Wikipedia|Uropygial glandによると、鳥の尾のつけ根の背中側には、脂を作る腺(尾脂腺。びしせん)があります。英語では preen gland とも oil gland とも呼ばれ、ほとんどの鳥が持っています。同じ記事によると、この腺は、カモの仲間やミズナギドリの仲間、ペリカンなどで、とくによく発達しています。

KQED の記事によると、鳥はこの脂をくちばしで羽にぬり広げます。羽づくろいには、小さな枝の向きをそろえる役目もあります。種類によっては、起きている時間の最大25%を羽づくろいに使うそうです。

  • ①羽のつくり:枝がひっかかり合い、すきまが少ない
  • ②脂:羽の表面に、水をはじく層を作る

KQED の記事は、この2つの組み合わせで水をはじくと説明しています。羽の下の綿毛が体をあたたかく保つ、とも書いてあります。

分かっていること、まだ議論があること

Srinivasan さんらの研究チームは、2014年に科学誌『Journal of the Royal Society Interface』で、鳥の羽の形と水のぬれ方を調べた結果を発表しました。PubMed Central|Quantification of feather structure, wettability and resistance to liquid penetrationによると、羽が水をはじく力は、脂のコーティングと、羽の細かい形の組み合わせによるものと考えられています。羽の小さな枝のあいだには空気の小さなふくろが閉じこめられ、これが水をはじくうえで大切だと、論文は説明しています。論文は、マガモをふくむ6種の水鳥の羽を調べています。ただし実験では、脂のかわりに人工のコーティングをぬった羽を使っています。

一方、Wikipedia|Uropygial glandには、別の記述もあります。126種の鳥を調べた研究では、体重にくらべた腺の重さと、鳥が水に触れる度合いのあいだに、はっきりした関係は見つからなかったそうです。さらに、「腺の働きは鳥の種類によって違う」と考える研究者も多い、とも書かれています。

同じ Wikipedia の記事によると、水鳥の脂には、羽のしなやかさを保ち、小さな枝が折れるのを防ぐ働きもあると考えられています。

このように、「脂が水をはじく」とひとことで言い切れるほど、単純な話ではありません。

like water off a duck's back

最後に英語の話です。Wiktionary|like water off a duck's backによると、この言い回しは「その場でも、あとになっても、何の影響もない」という意味です。特に、言われた本人が気にとめない批判について使います。

例として、Lucy Maud Montgomery が1919年に書いた『Rainbow Valley』に、次の一文があります。

  • ・She combs me down with her tongue sometimes though, but that just slips off me like water off a duck's back.

訳すと、「その人はときどき私を口でしかりつけるけれど、そんなのは、アヒルの背中の水みたいに、私の上をするりとすべり落ちるだけ」となります。

今度、だれかの言葉を気にしないでいたいときは、この一文を思い出してください。

確認クイズ

  1. Q1. 本文によると、アヒルの尾の近くにある腺は、何を作るか。

  2. Q2. 本文によると、アヒルが羽にあぶらをぬり広げることを、何と呼ぶか。

  3. Q3. 本文と合っているものはどれか。

よくある質問

アヒルの羽が水をはじくのはなぜですか。

KQED によると、小さな枝がひっかかり合う羽のつくりと、尾の近くの腺から出る脂の組み合わせによります。2014年の研究も、脂のコーティングと羽の細かい形の組み合わせで水をはじくと考えられている、と説明しています。

羽づくろいにはどのくらい時間がかかりますか。

KQED によると、種類によっては、起きている時間の最大25%を羽づくろいに使います。

like water off a duck's back はどんな意味ですか。

Wiktionary によると、「その場でも、あとになっても、何の影響もない」という意味です。特に、言われた本人が気にとめない批判について使います。