夢をすぐ忘れる理由|脳内物質と目覚めるタイミング
Why Do We Forget Our Dreams So Fast?
Easy Reading
見た夢は、なぜ目が覚めた数分後にはほとんど消えてしまうのでしょうか。原因は、記憶に関わる脳内物質ノルアドレナリンが、夢を見ている間はほとんど働かないことにあります。目覚めるタイミングと脳波の研究から、夢を覚えていられる条件を読んでいきます。
監修:原田高志(原田英語.com)
ゆうべ見た夢を、朝にはもうほとんど思い出せない、ということはありませんか。今日は、夢がなぜこんなに早く消えてしまうのか、そして夢をよく覚えている人の脳で何が起きているのかを読んでいきます。
英文
Why Do We Forget Our Dreams So Fast?
Have you ever had a vivid dream, only to forget most of it minutes after waking up?
Part of the reason is a brain chemical called norepinephrine.
Norepinephrine helps the brain pay attention and turn short experiences into long-term memories.
During the day, the brain releases plenty of norepinephrine, so you remember most of what happens to you.
During REM sleep, the stage when most dreaming happens, norepinephrine drops to almost nothing.
At the same time, the prefrontal cortex, which helps store memories, stays fairly quiet.
Without these two things working together, the brain has trouble saving a dream as a lasting memory.
That is why a dream can feel completely real while it happens, yet vanish minutes later.
Timing matters a great deal, too.
If you wake up directly from a dream, your brain starts making memories right away.
If you wake up later, after that dream stage has already passed, the memory is usually gone.
A 2011 study looked at people who were good at remembering their dreams.
Their brains showed more theta brain waves in the prefrontal cortex right after they stopped dreaming.
Theta waves are linked to a calmer brain state that supports memory.
The content of a dream matters as well.
Dreams with strong emotions or a clear storyline are easier to recall than confusing, disconnected ones.
That may be part of why nightmares often stay with us long after ordinary dreams fade away.
(239 words)
重要語句
| 語句 | 意味 | 英語の定義 |
|---|---|---|
| norepinephrine | ノルアドレナリン(注意や記憶に関わる脳内物質) | a brain chemical that helps you pay attention and remember new experiences |
| REM sleep | レム睡眠(夢を見ることが多い眠りの段階) | a stage of sleep in which the eyes move quickly and most dreaming happens |
| prefrontal cortex | 前頭前野(考えたり記憶を保存したりする脳の部分) | the front part of the brain involved in thinking and storing memories |
| theta wave | シータ波(落ち着いた状態のときに見られる脳波) | a type of brain wave linked to a calm, relaxed mental state |
| recall | 思い出すこと | to remember something, especially after some time has passed |
全文和訳
はっきりとした夢を見たのに、目が覚めた数分後にはほとんど忘れてしまった、ということはありませんか。その理由の一部は、ノルアドレナリンと呼ばれる脳内物質にあります。ノルアドレナリンは、脳が注意を向け、短い経験を長期的な記憶に変えるのを助けています。日中は脳がノルアドレナリンを十分に出しているため、身の回りで起きたことの多くを覚えていられます。ところが、夢を見ることが多いレム睡眠の段階では、ノルアドレナリンはほとんどゼロまで下がります。同時に、記憶をためこむうえで重要な脳の部分である前頭前野も、あまり活発に働いていません。この2つがそろって働かないと、脳は夢を『残しておく記憶』として保存しにくくなります。だからこそ、夢を見ている間はまるで現実のように感じられても、数分後には消えてしまうのです。目覚めるタイミングも、大きく関係しています。夢から直接目が覚めると、脳はすぐに記憶を作る仕組みを働かせ始めます。その夢の段階が終わってからしばらくして目が覚めると、その記憶はたいてい消えてしまっています。2011年のある研究は、夢をよく覚えている人たちを調べました。その人たちの脳では、夢を見終わった直後の前頭前野で、シータ波と呼ばれる脳波が多く見られました。シータ波は、記憶を助ける、落ち着いた脳の状態と結びついています。夢の中身そのものも関係しています。感情が強く、筋の通ったストーリーを持つ夢のほうが、ばらばらで分かりにくい夢より思い出しやすいのです。悪夢が、ふつうの夢が消えたあともいつまでも残りやすいのは、このためかもしれません。
コラム:夢がすぐに消える理由と、覚えていられる人の脳の違い
『覚える物質』が、夢を見ているときだけ止まる
Scientific American誌が、夢の研究をしているディアドラ・バレット氏(ハーバード大学医学大学院)の回答としてまとめているのが、この説明です。記憶に欠かせない神経伝達物質であるノルアドレナリンは、夢を見ている間はきわめて低いレベルしかありません。同時に、記憶をためこむうえで重要な脳の部分である前頭前野の働きも、夢を見ている間は落ち着いています。この2つがそろわないと、脳は夢を『残しておく記憶』として保存できません。だから夢の中では現実そのものに感じられても、数分後にはほとんど消えてしまうのです。
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目覚めるタイミングが、覚えているかどうかを分ける
同誌によれば、夢から直接目が覚めると、脳はすぐに長期記憶を作る仕組みを働かせ始めるため、覚えている可能性が高くなります。逆に、夢を見る段階(レム睡眠)が終わってからしばらくして目が覚めると、その記憶はすでに失われていることが多いとされています。覚えていられるかどうかは、夢の内容そのものより、目覚めるタイミングに大きく左右されるというわけです。
2011年の研究が見つけた、脳波の違い
Scientific American誌が紹介する2011年の研究では、夢をよく覚えている人は、夢を見終わった直後の前頭前野で、シータ波と呼ばれる脳波が多く現れることが分かりました。シータ波は、落ち着いた、整理された脳の状態と結びついている波です。感情が強く、筋の通ったストーリーを持つ夢のほうが、ばらばらで分かりにくい夢より思い出しやすいことも分かっています。悪夢がいつまでも記憶に残りやすいのは、このためだと考えられます。
目が覚めた直後に、体を動かさない
バレット氏は、夢を覚えておきたい人に、目が覚めたら体を動かす前に、いま何の夢を見ていたかを思い返す時間を取るようすすめています。注意が別のものに移ってしまうと、覚えていたはずの夢は消えてしまうからです。枕元にメモ帳を置いておき、思い出したらすぐに書き留めることもすすめられています。
確認クイズ
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Q1. 本文によると、夢を覚えていられない大きな理由は何か。
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Q2. 本文によると、夢を覚えている可能性が高いのはどんなときか。
よくある質問
夢を覚えておくには、どうすればいいですか。
本文で紹介したとおり、目が覚めたら体を動かす前に、いま何の夢を見ていたかを思い返す時間を取る方法がすすめられています。枕元にメモ帳を置き、思い出したらすぐに書き留めるのも有効だとされています。